36:無限に××しちゃいなよ(修正版)

※ノクターンは普通に更新しているのに、こっちが止まったままだったのは、全年齢修正が面倒だったためです。

 なお、今後修正不可能なレベルで18禁になっていくので、カクヨム版は途中終了になるかもしれません。


――――――――――――――――――――――――――――――



「…………んん?」


 タイゾウダンジョン十階の安全地帯。山小屋の二階で僕とリンは先に仮眠をとり、カイとマッキーは寝ずの番。何の問題もなかったはずだったが、異音に気づき目が覚めた。


 いや。


 目覚めた瞬間に、それが何の音なのかは分かった。



「はぁ、はぁっ」


 ……………。

 「寝ずの番」とはいったい?

 カイとマッキーは辺り構わず大きな声をあげながらさかっている最中だった。


「シモン…」


 ふと耳元で声がして、振り向くとリンの顔が目の前にあった。思わず心臓が止まりそうになる。

 今は仮眠中なので顔も隠していないから、女神のような美貌が剥き出しだ。

 しかも……、真っ赤だし。


「と、とりあえず落ち着こう」

「でも…」


 自分自身が酷く動揺していると分かっているけど、超絶美人と息が届く距離で密着する状況で、これ以上の事態の悪化は避けたい。

 落ち着け落ち着け…、目をつぶって自分に言い聞かせる。


「マッキー!」

「あああぁんっ!!」


 落ち着けるかっ!



「すごい…」

「リン、感想言わないで…」


 結局、それからしばらく二人で観賞してしまった。

 というか、僕たちが起きてることに気づかないはずないのに、二人は……したまま。

 ヤバい、ヤバすぎる。さすがにこれはやめさせたいが、身体が動かない。


「………」


 真っ赤な顔で、だけど二人の様子を瞬きもせず凝視しているリン。僕の身体を思いっきり後ろから羽交い締めにして、背中に押しつけられる感覚まであって、どうしていいか分からなくなる。

 それに……、未経験者の僕にとって、あんな二人に割り込むなんて無理だ。


「いいねぇ! やはり男と女はこうでなきゃいかん!」


 そ、そうか?


「成り成りて成り余れるモノを、成り成りて成り足らぬ穴に突き刺す! これぞ神話の営みというものじゃあないか!」


 いやいや、なんか格好いい言葉にしたって――――――!!


 そこで気づく。



 誰!?




「す、すまねぇ! 俺もここまでやるつもりはなかった!」

「ごめん…、な、なんだか我慢できなくなって」

「ガハハハハ! 良い! 良いゾ若者よ!! やはり二人で一つ、二つが一つになって命が紡がれていくものよ!!」


 騒ぎが大きくなったせいで、ようやくカイとマッキーは正気に還った模様。

 二人ともしきりに反省の弁を述べているが、気がつくとまたカイが動く。

 その状況に大はしゃぎする奴がいる。


 奴!


「まさかと思うが、……アオさんじゃねぇよな?」

「お父様?」

「ガハハハハハハハ、望むならお前のパパになってやろうぞ!!」


 突然、下品なオッサンボイスが響きだして、慌てて僕はその声の出所を探した。

 いや、探すまでもなく一瞬で分かった。

 悪霊憑きの刀を鞘から出すと、声はさらに大きくなり、そのあまりにゲスな実況中継がカイとマッキーを正気に戻したのだった。

 あ、戻ってないな。


「お前、悪霊だな?」

「悪霊…なの?」

「ガハハハハ、何を言う! 我ほどの紳士を悪霊呼ばわりとは呆れた奴よ! そんな阿呆だから誘われても手も出せぬのだ!」

「か、関係ないだろっ!!」


 間違いない、悪霊だ。

 側で聞いていたリンは、今のが決定打になって泡を吹いて倒れてしまったぞ。いい加減にしろ。


「いやぁすばらしい! 産めよ増やせよ!」


 相変わらず向こうの二人は……だし、リンは真っ赤な顔で目を回しているし、完全にパーティは崩壊した。

 おかしい。

 刀がエロオヤジになってわめくのもおかしい…が、それは問題じゃない。


 つまり!


 僕はハシゴを下りてそのまま外に飛び出す。

 そして、扉の上に書かれている文字を改めて確認した。


 今度は読めてしまった。


「こづくりハウス……って」


 何のことはない。

 僕たちが安全地帯と思って入った山小屋は、入った者たちをそういう気分にしてしまう罠だったのだ。

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