俳句とエッセイ 2024 九月
石塊
四分休符付きのおはよう休暇明け
季語 休暇明け(秋・生活)
学校の夏休みが終わり、新学期が始まること。
夏休みというのは、人生の特別な時間。大人にも1週間ぐらいの夏休みはあったりするけど、やはり学童・学生時代の長い長い夏休みほど、心踊る時間は無い。
そんな夏休みのいよいよ始まるという瞬間なんか、毎年、言いようのない高揚感に包まれながら迎えたものだ。
プールに虫捕りに旅行に、花火をしたりスイカを食べたり...めくるめく楽しい時間がやってくる、小学生時代の夏休み。期末試験の終わった開放感から始まり、ちょっと背伸びした夏を夢見ながら始まる、高校生時代の夏休み。親元を離れ自由を得て、少し新鮮味が薄れつつ、2ヶ月という長さに気怠さも感じる、大学の夏休み。
夏休みの終わる頃になると、今度は名残惜しさを感じつつ、再び始まる学校生活の真新しい空気が、残暑の中に流れ込んでくる。
振り返るのは、高校時代の夏休み。
田舎の、学年に知らない顔のいない中学までの学校生活とうってかわって、都会(と言っても、しがない地方都市)の、どこを向いても知らない顔だらけの教室から始まった高校生活。クラスメイトとはそれなりに打ち解けて、仲の良い友達も幾人かはいるけれど、どこかよそよそしさが拭いきれない雰囲気が、いつも自分の側にあった。
というのも、私の内向的な性格もあったし、
田舎から進学校に出てきた私にとって、これまでとは環境があまりにも違っていたから。同じ中学の出身者も1人しかいないし、クラスも別だった。
そんな私にとって、夏休みが終わり、新学期を迎えた教室に足を踏み入れる瞬間は、やはり幾許かの緊張感を伴った。
教室に入って、はじめに会うのは誰だろうか。なんて声をかけようかな。そんなことをぐるぐると思い巡らせながら正門をくぐり、昇降口を抜け、教室へと続く階段を一歩一歩登っていく。
そうしておそるおそる中の様子を窺いながら、教室へ。
「おはよう」
ぎこちない声が一拍遅れたテンポで、喉元を通り過ぎる。
四分休符付きのおはよう休暇明け
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