日記っぽいやつ

八月朔日

2024/09/23

最高気温30度という、数年前であれば「9月にしては暑すぎる」という気温を叩き出しながら「おっ今日はそんなに暑くないな」とか考えてしまう我々は順調に脳がバグってる。

数日前は9月でありながら35度とか頭のおかしい数字だったのに、暑い地球ヤバイおかしいと言ってる人は少なかった。最高気温35度程度などもはや我々にとって日常に成り果てたのである。

順応性が高いのが人間の長所ではあるが、個人的にはこの暑さには慣れたくない。


そんな中突然気温が下がり、夏の名残を感じる日の強さを感じながらも秋めいた空気感を感じる日が訪れた。秋分の日の振替休日である三連休の最終日だ。

これまで何週間、何ヶ月も猛暑猛暑猛暑の日々が続いたのに突然ガクンと気温が落ち、さあ秋ですよと言われてもそう簡単に切り替えはできない。

と、思っていたのだがたった今自室を出てリビングを吹き抜ける風に当たった瞬間、いやが上にも秋を感じざるを得なかった。


私は自他共に認める根っからの酒クズで今日も今日とて、連休が終わり明日からの労働の日々に怯える気持ちを紛らわすために缶チューハイを煽っていた。

酒で火照った頬が秋風に冷やされたのが心地よく、思わず愛用のタンブラー(もちろんチューハイ入り)を引き連れてベランダに出る。

夏の終わりを告げる風が全身を撫でつけ、アルコールで茹だった脳に爽やかな風を通してくれた。そして夏が終わる事にいっぱしの寂しさを感じる。


散々夏の暑さに文句をつけたが、それでも私は夏が好きだ。夏生まれである事も一因かもしれないが、一年で最も彩度の高い季節に外に出るとそれだけで気分が上がる。まあ暑いからその上がった気分は10分も持たないのだけど。

夏は夜も好きだった。真夏の夜というものは昔から人々を魅了して止まない。昼の名残の熱気を感じながらも、どこかに怪しさや哀愁を感じさせる。そんな不思議な時間が私も大好きだ。


でも今年もそれらの時間がもうすぐ終わる。

私は秋も冬も春も大好きだ。今この瞬間にしか感じられない季節の風を、空気を、感じながら生きていたい。

でもしばらく猛暑日は来ないでほしい。それだけは切に願う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日記っぽいやつ 八月朔日 @hassaqu839

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ