翠嵐の賢者
@simaki_hajime
第1話
ふと、目が覚める。
…?目が見える?
それに、ここ、草原?
俺が起きたのは病院ではなく、青々とした草の匂いが鼻腔をくすぐる草原だった。
風が吹き、その体に青々とした香りの青嵐を受ける。
なんだか、数年ぶりに清々しい気分だ。
何年も病院にいたのにいきなり、草原で目が覚めれば、びっくりもするだろう。
なぜ病院にいたのかって?それは病気だからだ。
ストゥーパ・ノー・センシス症候群。
感覚が徐々になくなっていき、最後に心臓まで止まって死ぬ病気。感覚は、身体、触覚、味覚、嗅覚、視覚、聴覚の順で消えていく。
感覚が消えていくのは恐ろしかった。
俺も、視覚がほぼ見えなくなってきても、動かせないから、自殺もできない。医者に殺してくれと頼むこともできない。
あれは辛かった。
そう、物思いにふけっていると、目の前に異質な光景が見えた。
薄い鉛色というのだろうか?グレーよりもちょっと黒が強い灰色のボードの上に白縁の黒文字で"ようこそ、異世界へ"と書かれていた。
え?、は?
まじでどういうことだ?
とあたふたしていると、目の前にドットが湧くようにして紙束が現れた。
紙が、丸められて、細い蔦のようなものが巻かれ、それを封蝋で止められている。
見た限りでは、手紙だろうか?
封蝋を外し、蔦を外していく。
すると、2枚の手紙が出てきた。
1枚目を見てみる。
拝啓八神軟様
この度、第136回転生会議にて、貴方に転生権が与えられました。
貴方には、4つの世界から選択してもらい、今の世界に転生召喚という形でその場所にいます。
この話をあなたの夢を通じて話しましたら、すぐに転生させてほしいと、話がありましたが、転生の儀式に2日程かかり、魂の修復のため、1ヶ月の休養を取り、今に至ります。
その体は健康体そのものであり、病気になりづらくてています。
それと、一部の記憶が抜け落ちている状態です。これはあなたが、病気の頃の陰鬱な記憶を新しい人生に持ち越したくないとのことなので、転生時に選べるスキルのポイントの足しになりました。
これが、今の貴方の状況についてです。
次に、この世界について説明いたしますね。この世界はジオルヘイムと言い、アゼスター大陸、プレール王国アベストル子爵領のアズル平原です。
この星は直径1.3万キロ、円周4.1万キロのあなたの世界で言う地球型惑星です。密度も同じほどなので、重力もさほど変わりありません。
大気組成は68%窒素、魔素10%、酸素21%、その他の元素1%です。
あなたのいた地球の大気組成とは窒素が微妙に少ないことくらいであまり関係ありません。
この世界の体にチューンナップされているため、地球 の体と多少変わりますが、元々の生物としての順応機能があるので不便に感じることはないでしょう。
そして、一番聞きたいであろう魔素とは、あなた世界には非常に少ない物質であなたの世界を片っ端から集めても10キロを超えるかどうか程度にしかありません。地球にはあの世界の魔素総量の0.000002%が蓄積されていました。地球の蓄積量は、0.0002gでした。
それ故、魔法が発展しなかったのでしょう。
この世界では、魔素によって魔物が発生したり、害意を持つ動物が魔素により変質し、魔物になったりします。それを倒して平和を保つのが冒険者と呼ばれます。
あなたの希望で、魔法を扱う才と傷病をしない強靭な肉体を再現していますので、ご安心ください。
あと、名前は、無名であるため、自分でお付けください。
女神ジオ・レマイナー
追伸
あなたの現在のステータスを別紙に記載しております。
神威情報レベル1
ステータス
名 前:なし
職 業:なし
レベル:1
状 態:通常
H P:25/25
M P:140/140
筋力:30
防護:27
俊敏:27
魔力:35
幸運:27
〈魔力操作(A) 〉〈魔力感知(B) 〉〈緑魔法(E)〉〈青魔法(F) 〉〈白魔法(F) 〉〈黄魔法(F) 〉〈槍術(E) 〉〈剣術(D) 〉〈刀術(D) 〉〈魔増(C) 〉〈剛力(E) 〉〈鑑定眼(C) 〉〈瞬発(F) 〉 )〈防衛(F) 〉〈豪運(F) 〉〈魔力付与(E) 〉〈取得経験値増加〉〈命名(A級相当・1回限り) 〉
スキルポイント:18
おお
魔法系のステータスほんとに高いんだな。
命名か俺の名前は
ぜんだったら、善とか、然、とかそっちにしようかな。
病気で動けなかった前世の漢字を使うって、なんか縁起悪いし。
なんか、嫌なんだよな。
なんでかわからないけど、もしかしたら捨てた記憶の中に答えがあるのかもしれない。
まあ、多分日本語圏じゃないから、日本語の名前じゃちょっとおかしいから、英語とかから取ろうかな。
自然のネイチャーに善行のバナバレンス。
ネイレンス。
造語だけど、結構いい感じじゃないかな。
決定!ネイレンス!
〈名前が確定しました〉
しばらくキョロキョロしていると、何かに踏み固められた、街道のようなものに出た。
それをたどっていくと、壁に囲われた都市についた。
遠目に馬車が何台か、あと人が30人くらい並んでいる。1人30秒かからないくらいで中に入っている。回転率が早いからすぐ俺の番も来そうだ。
さっき見た街道は、馬の足で固められたものだろう。
この都市こそ近い未来
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