Epilogue

 ヴァイは薄暗いセーフハウスの狭い部屋で、椅子に深く座り込んでいた。




 どこかのサイトにあるこの隠れ家は、最低限の家具しかなく、必要以上に静かだった。GENプラントの崩壊からしばらくが経ち、彼はようやく一息つける場所を見つけたが、脳裏にはまだ激闘の記憶がこびりついている。








 部屋の片隅に置かれた端末が突然震え、スマホに通知が表示された。








「留守番電話か……」








 ヴァイは顔をしかめ、ため息をつきながら再生ボタンをタップした。








「もしもしヴァイ!?あのねぇ〜、ネットで私のこと馬鹿にしたやつがいるんですわ!まじムカつく!キエえぇええエエェ〜!後でURL送るから懲らしめておくんなまし!」








 エリシアの馴染みのある声が響く。どこか憎めない、けれども騒々しいその声が、かつての危機的状況とはまるで違う日常を思い出させる。








「……まだ元気そうだな」








 ヴァイは冷たい笑みを浮かべ、スマホをテーブルに放り投げた。すでにエリシアとは別れ、それぞれ別の道を歩んでいたが、彼女の存在感はどこか拭い去れない。








 シャワールームに向かいながら、ヴァイは考え込んだ。








 GENプラントの崩壊、アノマリー、あの混乱。自分たちがやり遂げたことの大きさは、まだ完全には理解できていない。だが、依頼を達成したことで得られる報酬は確かに手元に残っているはずだ。








「……ま、これでしばらくは静かに過ごせるってわけだ」








 シャワーのボタンを押すと、冷たい水が勢いよく頭上から降り注いだ。








 ヴァイはその感触を全身で受け止めながら、少しずつ現実に戻る感覚を味わっていた。どこかのサイトに潜伏し、しばらくは目立たないように過ごす。そんな日常が、今の彼にとっては十分だった。




 水音だけが響く静かな時間。彼は目を閉じ、しばし戦いから解放された感覚に浸る。




Fin.

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エリシア<スターダスト・アノマリー> @elicia

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