やっぱ王道の「恋」とかどう!?

やっぱ王道の「恋」とかどう!?

やっほー、私はね、普通の高校生、まぁ、ある二つを除いてはだけど…、一つっていうのがねぇ、えっとー…バイセクシャルでして、うーん世間一般でいう普通の恋はねー…できる確率ぐんと下がったよねぇ…もう一つは…

「何ブツブツ呟いてんの?ちょっと怖いんだけど…まぁいいや、ほら、学校行くよ」

この子は私の親友で、好きな人、女の子なんだ、あー、もう一つ?好きな子きたから後で話すね

「ん?どうしたの?熱でもある?顔…赤いけど…」

「んや、特にない!大丈夫!」

心配そうな怪そうな顔をして親友こと玲亜れいあは先々と前へと進む、まるで私との距離を離すかのように…

「何ぼーっとしてんの?おいてくよ!」

そう言われ、ハッとする

「待ってぇ!すぐ行くから!」

と早歩きで彼女の元へ急ぐ

 私は学校だと静かな方で玲亜は…と言うと

「なぁなぁ、玲亜〜、ここ教えてや」

「あっ、私もそこ気になってたの!教えて!」

と、まぁ、人気者ですねぇ、私の入る隙間はなさそうだ

「私もバカだからわかんないっての、あ、」

そう言って私の方に来る玲亜ちゃん…ってえ?…なんでこっちきた?

「あのさぁ、ごめんテスト何位だっけ?」

と聞いてくる、あー、テストの順位

「んと、クラスだと、二位で、学年だと…何位だっけな、確か…五位とか?だったと思う」

とまぁ、勉強しか取り柄のない陰キャこと私ですね、外で遊べないからなんですけどね、え?なんでか、あー、理由は後で話す

「えー!(玲亜の友達)めっちゃ頭いいじゃん!教えてよ!」

「んと、えと?数学…ですか?」

みんなが頷く…これ解けないんだ、確かに難しいよね、

「えっと、 ここを…因数分解…して、ここに代入…をして、公式に当てはめれば…」

そうして教えると、みんなの目が光を取り戻す

「え?凄、先生より教え方上手いじゃん」

と一人のクラスメイトが言うとみんなも口を揃え

「え?それな?将来先生になったらいいんじゃない?」

と言い出す始末、困った困った

「あっ、そういえば」

と、玲亜が口を開く

私が不思議そうにしていると、玲亜は言った

「(玲亜の友達)って将来の話まったくしないよね、何か理由でもあるの?」

うーん、どう答えるべきか、一応読んでくれてるみんなには教えとくね、私ね、難病になってるんだよね、将来生きてる確率がぐんと下がったの。最初に言ったでしょ、理由は、二つあるって

って誰に話しかけてんだ私は

「あんまり将来とか考えたことなくてさ、今が楽しかったらそれでいいやーって思っちゃうから」

こう答えとくのが無難だろう

「まぁ、らしいわ」

と玲亜は苦笑する、私らしかったそうだ、良かった良かった

そして、下校時間になる、

「あー、今日も学校だるかった」

と思ってもないセリフを吐く「普通」に化けるように、外出許可をもらってる上、病院ではこういう言葉は吐けないのだ、吐けないし、吐きたくないだから、学校だけでも、普通装う

「ねえ、今日(玲亜の友達)の家で遊びたい」

ここはどう乗り越えようか?いつも通りの返しでもするか?よしそうしよう

「ごめん、お母さんがさ、そういうの厳しくていくら友達だって言ってもなんか入れたくないみたいで、ごめんね」

いつもの返しをする、お母さん、ごめんなさい、そうすると彼女は顔を膨らませ

「もうお母さん、厳しいって!でも仕方ないよね、そういうことなら、あ!じゃあさ、うちはどう?うちならどうかな?」

病院に帰らないといけないのに…どう返そうかなぁ、これは初めてだなぁ

「今日、お母さんに早く帰れって言われてるんだよね、本当にごめんね」

申し訳ないといった風に手を前にする

「そっかー、仕方ないよね、それじゃあ、帰ろっか」

そう言われ安堵する

「うん、そうだね、帰ろう」

いつも通りの他愛もない会話、そして分かれ道…いつも通り、笑顔で

「また明日」

なんていつ嘘になるかなんてわかんないけど、この子の前だけでは最期まで笑顔でいたい、最期まで、


 「ただいまです」

そういうと、病院にいる小さい子が

「お姉ちゃんおかえりなさい!学校楽しかった?」

純粋な笑顔で聞いてくる

「うん、楽しかったよー?今日はねー、算数の勉強して、国語の勉強して、運動はできなかったんだけど、みんながしてるの見てたよー」

そんな話をすると小児科の子達が目を輝かせて

「算数、?1+1とか?」

と可愛い疑問をぶつけてくる

「算数っていうかねー、算数のお兄さんがいてね、お兄さんは、数学っていうんだけど、その数学をしてたんだよ」

キョトンとした顔で

「すうがく…?」

と聞いてくる、あーかわいい、

「算数がね、レベルアップした感じ、難しいよー」

そういうと

「え、お姉ちゃんはそんなむずしいのできの!?、すごい!」

と、とっても可愛い笑顔で言ってくるそんな子達をぎゅーっと抱きしめる、すると

「お姉ちゃん苦しい」

って声が聞こえる

「ごめん、ごめん」

と笑いながら答え、離す

「おぉ、(小児科でのお姉ちゃん)おかえり」

「ただいまです蓮さん」

この人は小児科の先生こと如月蓮きさらぎれん先生

「れんせんせい!」

「おー、元気いっぱいだね、あやのちゃん、今日は体つらくない?」

私の時とは違うまた優しい声で話しかける蓮さん

「うん!だいじょーぶ!」

「そっかそっか、良かったねぇ」

優しい笑顔で話しかけ、私にも

「(小児科でのお姉ちゃん)も大丈夫かい?」

子供たちを驚かせないよう、同じ声色で話しかけてくる、…違和感

「はい、大丈夫です。ご心配ありがとうございます。」

「ふは、なら良かった」

何がおかしかったのか吹き出した笑いの後に言う

「ねぇ、おねぇちゃんいっしょにあそんでぇ」

そう訴えてくるのは蓮さんの弟いつきくんだ

「お兄ちゃんと遊ばなくていいの?」

「そうだよ、樹お兄ちゃんと遊ぼうよ」

そう蓮さんが言うと

「おにいちゃん、やだ、だってあやのちゃんばっかりだもん、まえまでならぼくといっしょだったのに…!」

あー、なるほど嫉妬か…

「えー、何嫉妬可愛いねー」

……ここに空気の読めない人、一人いたわ

「ちょっと先生、そんなこと言わないでください、?ちゃんと自分の仕事に戻ってください?」

「えー、厳しいなぁ(小児科でのお姉ちゃん)さんは」

あの人、名前なんだっけな、忘れることないんだけど、おかしいな、てか、あんな人いたっけ?普通に先生って呼んじゃったけど、合ってたかな?…てかどっかで会ったことある?あの人

「あの蓮さん、あんな人いましたっけ?」

と蓮さんに聞くと

「なんのことっていうか、さっき誰と話してたの?」

…え?さっき先生いたよね、あれ?違う人?でも確かに、私の名前言ってた…はず…あれなんで私、あの人事知らないんだ?わかん…ない

「おねぇちゃん」

あやのちゃんと樹くんの声で、現実に引き戻される蓮先生も…心配…してる?

「(小児科でのお姉ちゃん)!?大丈夫!?どうしたの!?」

「あっ、いや、さっき、あの先生が新しい先生が来てて、それで空気読めないこと言ったから、注意したら私のフルネームを言ってそれでさーって消えて」

容量の得ない話し方、まるで昔みたいで、

「(小児科でのお姉ちゃん)、久しぶりに先生と二人でお話しよっか」

さっきまで違和感しかなかった蓮さんの声が話し方がスーって頭に入ってきて、私は気づけば頷いていた


 いつも蓮さんとお話する時に使ってた部屋、相談室

「久しぶりに来た気がします。っていうか全然変わってないんですね、部屋も綺麗だし、」

そう言うと、蓮さんは

「そうだね、変わってないよ、このお部屋は、(小児科からの知り合い)ちゃんだけの特別なお部屋」

「久しぶりにちゃん付けされたかもしんないです。昔に戻ったみたい…ですね。」

そういうと蓮さんは少し笑い私の頭を撫で

「そうだね、あ、すぐに聞いちゃって申し訳ないけどさ、さっきなんであんなパニックなってたの?先生に教えてくれる?」

あぁさすが小児科の先生だ、聞き出し方も話し方も見た目からじゃ、考えられないぐらい優しい、私が黙っていると

「まあ、そんなすぐには話せないよね、ごめん、ごめん、じゃあ、ちょっと遊ぼっか、何したい?(小児科からの知り合い)ちゃんの好きなパズルもあるよ〜久しぶりにする?パズル」

「あの如月きさらぎ先生」

先生は、この呼び方に驚きつつ

「ん?なあに?どーしたの?その呼び方珍しいじゃん」

「先生、あの」

言い淀んでいると

「ん〜、どうした〜?」

と優しい声で答えてくる先生

「……」

黙っている私と話を途切らせないように一生懸命話してる先生との対比が面白くて

「ふふ…懐かしいな、」

と、声が漏れる、それと先生も

「確かに、懐かしいね、昔みたいだ」

昔私と先生が出会った頃の記憶


 私は人見知りで昔から友達はいなかった。学校の先生だけが唯一の友達で、でもその先生にも裏切られて、親からは、虐待されて学校ではいじめられて、痛い思い沢山してきた、そんな時に救ってくれたのがこの病院の小児科担当の先生如月蓮先生だった。どうせ、この人もすぐ裏切るんだろうってそう思ってたのに、想像とは違くて、顔はちょっと怖くていかついお兄さん的存在気づいたら、懐いてて

「きさりぎせんせー!」

「(人見知りの女の子)ちゃん、先生の名前はきさりぎじゃなくてきさらぎね?」

呆れた風にものを言う先生

「きさりぎせんせー!」

当時の私は如月って言ってるつもりだった、それも先生は分かってたと思う、だから

「なーにー?(人見知りな女の子)ちゃん」

って一回注意して治らなかったら、もうそのままっていうことが多かった、当時の私は大人が怒ってるのが怖かった。

だから大人が怒ると蓮さんの所に行って、抱きついてた、それを蓮さんは嫌がることなく受け入れてくれて、それで、ここに来てよく二人でお話してた。お話したり、パズルしたり私がパズル好きなんだって言うと、色んなパズルを買ってきてくれた

「(蓮に懐いてる子)ちゃん、先生にパズル買ってきたの一緒にする?」

パズルを買って来ると真っ先に私のところに来て、「一緒にしよう」って誘ってくれる、優しいお兄さん

この人といる時だけは嫌なこと全部忘れられた、学校でいじめられてることも、親から虐待を受けてた辛い記憶も、全部忘れられた


 「どうしたの?大丈夫?」

昔のことを思い出していると蓮さんから声をかけられる

「あ、はい、大丈夫です、すみません」

「いや、別に謝らなくていいんだけど、さっきどうして先生の名前…しかも苗字で呼んだの?中一以来じゃない?」

そう言ってくる先生、なんでかなんて分からない…

「なんかしっくりきた…から?ですかね」

無難な回答をしておく

「少し落ち着いたかい?」

私が頷くと

「そっか、そっかじゃあ、話せるかな?」

少し、笑う先生

「ゆっくりでいいのなら…話せます」

「大丈夫だよ、先生ちゃんと聞いてるからね」

なんでこんな安心するんだろ

「あの、さっき、女性の…先生が…樹……くん…に向か…って『えー、何嫉妬可愛いね』って…言ってる…のを聞いて…それで…私が…注意…したら、『厳しいなぁ』って…言われて、私の…フルネーム…も知ってたから如月先生…に聞いたら…まるで一人で話してた…みたいな、言い方?…しててびっくり…して、パニック…に…な…りました」

さっきあったこと思い出しながら、ゆっくりと話す、普通の先生なら笑うようなこと蓮先生は、真剣に聞いてくれる

「そっかぁ、誰だろうね?それ、新しい先生が入ってきた…っていう情報は…きてない…はず…なんだけど」

不思議そうな顔をする蓮さん

「すみません、」

声をかけると

「ん?どうした?」

優しい声で聞いてくる

「少し、つらい…です。息しにくくて、苦しい…、毎日これ…私なりますね、…このまま死ねれば…楽なんですけどね、…それだけ苦しいんです。」

そういうと蓮さんは悲しそうな顔で

「そっか、苦しいね、大丈夫だよ、大丈夫なんて無責任な言葉を医者の俺が言っていいのかわかんないけど、でもきっと、大丈夫良くなるから、」

と私の頭を撫でてくる、

「先生」

そう呼びかけると

「ん〜?眠い?寝ていいよ、部屋まで連れて行ってあげるから、おやすみなさい」

その一言で、私の意識は落ちた


 …あれ?ここは?

「せんせい!このこがナンビョウってどいうことですか!」

あー、おかあさんだ、ひさしぶりだ、おかあさん、こんなむすめでごめんなさい

「どういうこともなにも、そのままのいみです。がっこうはフツウガッキュウでモウシブンないです。ですが、はげしいうんどうは…なるべくさせないほうがいいと、…それと…タイヘンイイガタイのですがニュウインをされたほうが(お母さんの娘)さんてきにもながく、カイテキに…すごせるかとおもいます。じゅうぶんにごかぞくではなしあっt」

「ニュウインでおねがいします。こんなビョウジャクのこうちのこじゃないんだわ!よくみるとぜんぜんにてないじゃない…!だれのこよあんた、(元気いっぱいのうちの子)をかえして!」

あー、そうだ、このときに…おかあさんにすてられたんだ、わたし、たたかれたんだ、どなられたんだ、

「おかあさま!おちっいてください!」

やよいせんせい、わたしをまもってくれて、

「おかあ…さん?どうしたの?なんでたたくの?なんでおこってるの?」

このときのわたしはまだ、じぶんがおかれてるじょうきょうがわかんなくて、わかりたくなくておかあさんにぎもんをぶつけてたんだっけ…なつかしいな、 さらぎせんせいはそんなおかあさんに

「…ニュウインさせます、おかあさまのもとにおくと、(お母さんの娘)ちゃんがどんなめにあうか、わかったものじゃありません」

ここでとうじのじぶんなりにわかったんだよね

もうおかあさんにあえないんだ

ってだからひっしにていこうした、こどもなりに、なきさけんでおかあさんをひきとめようとした、でも、ふりむいてすらくれなくて、あげくのはてに

「うちのこじゃないんだから、おかあさんってよばないでくれる?」

っていわれて、なきさけんだ

「おかあさん!ごめんなさい、!おかあさん!おかあさん!かえってきて!またぎゅってしてよ!ねぇ!ねぇって!おかあさん!」

ふりむいてなんてくれなかった、でもおかあさんのせなかがみえなくなってもさけびつづけたいつかかえってきてくれるっておもった。おかあさんっていいつづければ、いつかは、かえってきて、またぎゅーってしてくれるって「あのときはごめんね、またいっしょにくらそうね」っていってくれるひがくるってしんじてた、だって、えほんだってそうだったから、…だからまいにち、まいにちなきさけんだ、「おかあさん!おかあさん!」ってでもおみまいにも来きてくれなくて、いつのひだったか、あきらめがついた、もうこないってわかるようになった、それがちゅうがくいちねんせいのころ、わたしがきさらぎせんせいってよぶのをやめたころ


 ……やな夢見た、最悪、枕濡れてるし、…

「(小児科でのお姉ちゃん)、泣いてたけど、大丈夫?」

心配そうに聞いてくる

「少し、お母さんの夢を見てました、お母さんに捨てられた夢、を見てました、」

そういうと少し驚いた顔をして、頭を撫でてくれる蓮さん

「…そっか、…あのころは毎日のように泣いてたもんね、」

「そう…ですね、」

蓮さん仕事はどうしたんだろ…あ、近くにパソコンある…ここでしてくれてたんだ、

「あの、蓮さん、」

「ん〜?どーしたの?」

私に背を向け話す蓮さん

「ここでお仕事してたんですね、ありがとうございます」

そう言うと照れくさそうに

「ただ、向こうで仕事する気になれなかっただけ、あの子たち元気いっぱいすぎて、先生遊んで遊んでーって」

最後の方は苦笑しながら言う蓮さんに

「そうなんですね、集中出来ました?」

「うん、出来た、あと少しで俺の仕事終わる、ここでしていい?」

蓮さんの素の話し方いつもより声が一トーン低くて、気だるげな言い方、それがなんだか、とても新鮮で、でもおかしくて

「ふふ、」

そう笑うと、

「なーに?なんか俺変なこと言ってる?」

「変なことっていうか、素の話し方になってますよ?私だからいいものの、小児科の子に見られたら怖がられますよ?」

まだ眠いのか、頭に酸素が回ってないのか、私はあくびをする

「もうちょい寝とき、今、熱あるんだから」

熱ある…?

「誰が…ですか?」

頭が回らない、ふわふわする、

「誰がって(小児科でのお姉ちゃん)がに決まってるでしょ?頭ふわふわしてない?」

「なんで…わかるん…ですか?頭…回んない…ですし、ふわふわ…しています」

そうゆっくり言うと蓮さんは

「なんで?って毎回そうでしょ、寝てる時に泣いてたらあー、しんどいんだなぁって思うよ、俺だってさ、昔からそうだったでしょ?何年の付き合いだと思ってんの?」

呆れながらでも、どこか優しい感じで言うに蓮さんに

「さすが、リアコ製造機」

と、茶化しつつも悪態をつく私

「あー、そんなこと先生に言ったらダメなんだよ〜?わかるかなぁ?」

そんなちゃかし方慣れたと言わんばかりに子供扱いをしてくる

「ほんとリアコ製造機ってすごいですね、みんな言うでしょう?蓮さんかっこいい蓮先生かっこいいって」

これが私と先生だけの時の会話

敬語は外したくないから、多分外したら、私どうなるかわかんないからさ

「ていうか(小児科でのお姉ちゃん)って中二ぐらいから、敬語だったよね、なんでなの?」

一番聞かれたくないこと

「……」

黙っていると

「聞かれたくなかった?ごめん、でも聞かないといけない気がして…蓮さんにしては、強引だねって言われるかもしんないけど、でもお願い聞かせて」


 お母さんが大好きだったお母さんが喜ぶことなら、何でもしたいってそう思ってた――あの日までは

「おかあさん!見て見てしょうとったんだよ、すごくない?」

私は、自分で言うのもなんだけど…文才があった。たくさんの賞を取ってたくさんのトロフィーを取ってでも、お母さんからしたら、それが迷惑だったみたいでいつの日かお母さんは、私のことを叩くようになった

「お前みたいな奴がいるから、結婚できないんだ、お前が男だったら、どれだけ良かったか、お前が男だったら、あの人は、結婚したかもしんないのに、なんで女なんだ、なんで男じゃないんだ」

そんな言葉を浴びせられた確か小学一ぐらいかなぁ?それで難病が見つかった、難病が見つかったのは、確か、小学二年生ぐらいで、うちの子じゃないって言われた

最初お母さんはしょうやトロフィーを取るたびに、すごいね!って、自慢の娘だよ!ってそう言ってくれてただから、喜んでくれたって思ってた、たくさん賞を取ったトロフィーもとったお母さんが喜んでくれることなら、なんでもしたいってそう思うようになった


 「(小児科でのお姉ちゃん)?」

声をかけられ、ふと我に戻る、確か質問は

「ごめんなさい、考え事していました。えっと、確かなんで敬語なのかでしたよね」

「そう、ゆっくりでいい、熱ある子にこんな話していいのかって思ったけど、二人でゆっくり話せる時間今しかないなって思って」

ゆっくりでいい普通の言葉だけどどこかスッキリした感じがした。この人なら言えるかもってそう思った

「分かり…ました…本当に……ゆっくりに…なり……ます」

わかったって言って頷いてくれた

「私……お母さん……の…事…を……ずっと……待っ…てるん…です…もう、…どうだっ…ていい…って……そういう風に……見せ…てる…だけで、実際は…ずっと……お母さんを…待っ…てるん…です…お母さんが来た時に…私が敬語だったら…見直して…くれる…かも……ってそう思っ……たんです……だって、……お母さんは……『礼儀正しい子が好き』…って…そう、言っ…てたから……見直してくれて……『また一緒に過ごそう」って、「あの時はごめんね』…って、『お母さんどうかしてたみたい』って…そう…言われるのを…ずっと…待ってるん……です、いつ…来るか…なんてわかんない…しもう来ない…って…こと……もわかっ…てます…でも、……それでも……お母さんを……待っ……てるんです」

自分でも気づかない間に目からは、大粒の雫が、頬を伝っていた

そんな私を見て、先生は

「そっか、ずっとお母さんを待ってるんだね、お母さんの喜ぶことなら、何でもしたいって思ったのかな?まあ、そりゃあ、そうだよね、(小児科でのお姉ちゃん)からしたら、お母さんだもんね」

そういって、頭を優しく撫でてくれる先生、その手があったかくて、おっきくて私は、また眠りにつく今度はいい夢が見られますようにと、そう思いながら


 規則正しい息が聞こえる、寝たのか…今まで辛い思い沢山してきたよな、…あ、「お前誰だよ」って思われたら嫌だから言っとく、如月蓮です。小児科の先生をしています、そして今ここで寝てるのは俺がまだ新しく入ってきた時からいる女の子、名前呼ばれるのが少し苦手みたいです、でも小児科の子達の前では名前を呼んでます、てか俺あだ名つけるの下手すぎて、1回あだ名で呼んだら「本名の方が何倍もマシ」って結構本気で言われたので、本名で呼んでます、だとしても、小学二年生で親から捨てられた子…か

「…なんでこんないい子、捨てるんだろう」

彼女は言ってた、「帰ってこないお母さんのために敬語にしてる」ってこの子はどんな仕打ちを受けてきたのだろう、俺がこの子の担当になった時、親と一緒に来てて、俺が説明をして

「十分にご家族で話し合ってください」

そう言おうとした時に、この子のお母さんは

「入院でお願いします。こんな病弱の子うちの子じゃないんだわ!よく見ると全然似てないじゃない…!誰の子よあんた、(元気いっぱいのうちの子)を返して!」

なんて言われてて、俺は何も言えなくて、何も出来なくて、担当の子が叩かれてるのを見てることしか出来なくて、そこで弥生やよい先生が

「お母様!落ち着いてください!」

この一言で動けた、鎖がほどけたように

彼女を守った、彼女はわけも分からないまま母親に疑問をぶつけた

「おかあ…さん?どうしたの?なんでたたくの?なんでおこってるの?」

俺の後ろから聞こえてくるそのセリフ、泣きそうになるのを必死に堪える俺と弥生先生、泣くのを必死に堪えながら、俺は母親に向かい

「…入院させます、お母様の元に置くと、(お母さんの娘)ちゃんがどんな目にあうか、わかったものじゃありません」

この言葉を吐いた、多分彼女はその意味を自分なりに理解して、泣き叫んでいた「お母さんお母さん」と連呼していた、でも母親は振り返ることなどしなくて、振り返ったと思えば実の娘に

「うちの子じゃないんだから、お母さんって言わないでくれる?」

と吐き捨て、スタスタと歩いていく、彼女は背中が見えなくなっても

「お母さん!ごめんなさい、!お母さん!お母さん!帰ってきて!またぎゅってしてよ!ねぇ!ねぇって!お母さん!」

と泣き続けた、しばらく泣いて疲れたのかうとうとしだして、背中をゆっくり優しく叩く、寝る前に言った彼女の言葉が今でも思い出される

「お母さん、ごめんなさい…男の子生まれられなくって…ごめんなさい…女の子でごめんなさい…」

確かにそういった、俺と弥生先生は、糸が切れたように泣いた。「この子を守る」ってそう決めた「絶対生かす」ってそう決めたでもこの子が大きくなればなるほど状況は悪化していく、死が運命だとそう神様は言わんばかりに、

「蓮先生悩んでるねぇ、どうしたの?」

弥生先生が話しかけてくる

「なんていうかこの子自分なりに強がっては見せてるんですけど、もう限界なのかなって思ったり…してます、死なせてあげた方がいいんじゃないかなって、そっちの方が、この子的にも楽なのかなって思ったり」

俺がそういうと弥生…いや夜伸やの先生は

「……それ本気で言ってます?医者としてありえないことですよ、死なせてあげた方が楽なんて、そんなの逃げです、医者なら、最後まで生かすのが務めなんじゃないんですか?」

まぁあなたなら、そう言いますよね

「でも……もしも、この子が死ぬことを望んでいたら…?最後まで生かすのが医者の務め…なんていいますけど…それは今までの患者さんを救えてきた…から言えること…なんだと思うん……です、 …現時点でこの子救える方法…あります?俺ははっきり言って…無いです、苦しんで…死ぬより、ちょっとでも、楽に死なせてあげるのが、…救えない患者さんへの『最期にできる優しさ』じゃないんですかね、」

そう言うと悔しそうな顔で

「蓮先生の…言うとおりですね、俺は今まで救える患者とばかり……接してきました、救えない患者から目を逸らしてきたんです、医者としては最低な事をしてきた、」

そう言って自分を責める夜伸先生に

「多分ですけど、それは正しい…と思います……救えないことがわかっていながら…笑顔で接するのは……厳しいものが…あります、俺もこの子に笑顔で…接するのは厳しい…です、少しでも、口元が緩めば…少しでも、泣いてしまえば…、俺は…自分を…抑えられる気…は……しない…です」

そう、夜伸先生の言ってることは間違ってない、俺もできることなら夜伸先生みたいに救える患者さんと一緒にいたい、欲を言っていいのなら、この子と一緒に

「生きたい」


 「生きたい」

そう泣きながら言ってる蓮さん…ん?泣きながら…?…泣きながら!?

「蓮さん!?どうしたんですか!なんで泣いてるんですか?」

焦って言うと

「(小児科でのお姉ちゃん)…ごめんなぁ、…ごめんなぁ、」

謝りながら泣かれて、頭を撫でられる…これどういう状況…?

「あの…!弥生先生?これは…えっと、一体…どういう…状況ですか?」

弥生先生も泣いているし、どういう状況、これ

えっと、今、私が起きたことを説明すると…私、寝てたみたいで…起きたら、なんか蓮さん……と弥生先生…が…泣い…てて…なんか、頭撫でられてるんですよ、二人に…どういう状況だ、これ本当に

「あの蓮さんと弥生先生…大丈夫ですか?」

なんで謝ってるのかわかんないけど、とりあえず泣いてる、どうしたんでしょうか?

「ごめんちょっと昔のこと思い出してた、(小児科でのお姉ちゃん)が親に叩かれてたのに、何もできなかったこととか、色々思い出して泣いてた、ごめん」

そう言って、頭を撫でる蓮さんの手は優しくて

「大丈夫ですよ、蓮さん、あの時、私蓮さんに守ってもらってよかったです、あっ、もちろん弥生先生もですよ?あの時お母さんを止めてくれてありがとうございます」

二人にお礼を言うと、余計泣き出したってえ?なんで?なんで泣いてんの?え分かんない、分かんない、怖い、怖い

「えーと、蓮さん、?弥生先生、?どうしたんですか?」

そういうと、二人は

「あんだけお母さん、お母さんって泣いてた子が、ここまで成長するんだ、すごいね」

と私の黒歴史を二人して掘り出してきた、あー、恥ずかし、

「あの、その話、私、あの……恥ずかしいことなので…言うのやめてもらっ……ても……いい……ですか…?」

そういうと、二人は

「そうだね、やめよっか?」

「ええ、もうちょっとこんな話したいんやけどなぁ」

よしよしって、え?あの弥生先生?

「弥生先生、あの本当にその話はやめていただいて、よろしいですか?私その話、あのされるん嫌なんですよ、お母さん、思い出しちゃうから、だからやめていただきたいんですけども」

本当にお母さんのこと思い出しちゃうから、やめてほしいな、その話だけは

「あっ、ごめんね、そっか、そうだよね、あーごめん」

なんかすっごい申し訳ない感じで謝られたあの誰ですか、弥生先生ですか?本当に

「なんか珍しいですね、そうやってすぐ謝るの、いつもの弥生先生なら、もうちょっとふざけると思ったんですけど、しないんですね」

「(蓮に懐いてる子)にとって俺ってどういうイメージなの、」

少し落ち込んでる、可愛い

「私のイメージでは…なんかいっつも……ふざけて……てでも、仕事とか、ちゃんとしないといけないところ…では、ちゃんとしてて、事務仕事…と小児科の子たちの面倒…とかの…メリハリ……をちゃんとつけてるイメージ……です。だから、私に対して、そんな…すぐ謝るとか思ってなかったし…、また、ふざけるのかな…って思っ……てたんです…けど…意外と…すんなり…謝ってきたから……なんか違和感……です」

そういうと、少し照れたようなわかってくれたみたいな顔をして

「なんでそこまでわかるかなぁ、わからないように、俺してたんだけど……」

と、一言呟くと蓮さんが

「そりゃ、分かるよー、だって、俺の性格まで当ててきたんよ?」

そう言って頭をわしゃわしゃと撫でてくる蓮さん、それがなんだか、お母さんみたいで…

「蓮…さん、…もっと、頭撫でてください…」

そういうと、蓮さんは驚いたような顔をして

「なんで泣いてるの?てか甘えんぼさんだね、珍しい、どうしたの?大丈夫だよ〜? ここには味方しかいないからねー大丈夫、大丈夫」

仕草がお母さんみたいで、お母さんのことを思い出しちゃうような、そんな感じで…

「あらら、今日どうしたの、めっちゃ泣くじゃん、大丈夫、大丈夫だよ、いい子だからね」

私が抱きつくと

「っと、どうしたどうした、?今日やけに甘えん坊さんだね、大丈夫、大丈夫、いい子だね、」

「お母さん…み…たいで、懐…かし…くて…」

そういうと、蓮さんは、少し戸惑った後に私を抱きしめてくれた

「大丈夫、大丈夫だよ、いい子だからいい子だからね」


 私がお母さんに一回でも言われてみたかった言葉、頭を撫でられることはあったし、抱きしめてくれることもあった。でも「大丈夫」とか「いい子」とかの言葉は、お母さんくれなかった、みんなのお母さんが羨ましくて仕方なかった一度だけお母さんに

「おかあさんあたまなでて?だいじょーぶって言って?」

って言ったことがあったすると、お母さんは嫌な顔をして

「あんたが男の子だったらできたんだけどね、女の子だから、ごめんね」

と、冷たく言われたお母さんにとって、男の子が宝物で、女の子は邪魔なんだってことよくわかった。

「おんなのこでごめんなさい」

そこから大人に甘えるのをやめた、甘えさせてくれないから、わかってたから

でも、病院に来てからは違った

病院に来てからは、いつも誰かが甘やかしてくれた、甘えていいんだって思わしてくれた。特に蓮さんが甘やかしてくれた。おっきい手で頭を撫でてくれた、抱きしめてくれた、お母さんの時じゃ、絶対にありえない言葉をかけてくれた多分だから、私は蓮さんに懐いたいくら名前間違えても最初に笑って許してくれたのは、蓮さんだった。大人が怖かった私に、大人は怖くないんだよって教えてくれたのは、蓮さんだった。

「蓮さん」

私が泣くのを堪えて言うと

「泣くの堪えなくていいんだよ、どうしたの?」

全部わかってて

「私、お母さんに『大丈夫』とか『いい子だね』とか……言っ…てもらっ…たこと…なく…て嬉し……くて…涙が…止まん…なくて」

そういうと、蓮さんは

「そっか、そっかでも、もう大丈夫、俺らがいる俺らがちゃんと守ってあげるちゃんと褒めてあげる。だから、もうお母さんの呪いにとらわらなくていいんだよ(小児科でのお姉ちゃん)はいい子なんだから」

「これ、俺空気じゃね?」

そんな発言に蓮さんは苦笑する

「ふふ、確かに」

私が笑って言うと

「空気にしないでもらえます?俺、こんなんでもこいつと一緒の期間、この病院にいるんですけど、しかもなんで子供は俺じゃなくてこいつに懐くかなぁ、ほんとわかんないわ」

ここで言うこいつというのは、蓮さんのことだろう

「それは……わ、わかんない…です、」

怖がって言うと蓮さんは

「ちょっと怖がらさないでもらえます?」

と言って、私をさらに強く抱きしめてくれた

「落ち着きます、」

そういうと頭を撫でてくれて

「そっか、よかった」

「っていうか、さっき蓮が言ってた俺の性格まで当てたってどういうこと?なんか言えないことでもあんの?」

その言葉に蓮さんが口ごもる

「実は蓮さん…意外と…涙もろかっ……たり…するん…ですよ…それを蓮さん自信では…隠してたん…ですけど私がそれを…言い当てたってだけの話です」

そういうと焦ってる蓮さん

「もう何でいっちゃうの隠しといてって言ったじゃんかー、もー、」

少し拗ねたような顔する蓮さん

「可愛いですね」

そういうと、蓮さんは

「普段はかっこいいんだけどね、そのこと言われちゃうと、俺、恥ずかしくなっちゃうんだよばらさないでよー、こいつにだけはさー、絶対バカにされると思ってたから、言わなかったのに」

「はぁ?こいつって何やねん、こいつって、一応、俺の方が年上なんですけど?」

仲良く言い合いをする二人を見ながら私は

「ふふ、微笑ましいですね、こうやって見ると、私生きれるのかなぁ…みんなともっと生きたいなぁ」

と笑いながら言う何も知らないようにいうすると、二人は少し目を合わせていった

「きっと大丈夫だよ、いや大丈夫、俺らが救ってみせるから」

なんてわかりやすい嘘をついてきた、自分のことは自分が一番よくわかってる、なんてよく言ったもので、多分もう長くない、自分で実感する、最近頭に何も入ってこなくなってきた、勉強もままならなくて、眠気がすごくて、体も動かしづらくなってきて、早歩きすることが精一杯で、でも、二人が一生懸命私を救う方法を探してるってこと、でも見つけられてないってこと、全部知ってる、わかってるだから、私も嘘をつく

「そうですよね、蓮さんと弥生先生が救ってくれるんですもんね」

なんてお得意の作り笑顔でそう言う、二人は多分気づかない、この笑顔が作り笑顔であることも、私が手紙を残していることも、気づかれたくないから笑顔の練習をした、手紙だって、絶対バレないところにしてある隠してある、最後、本当に最期バレないように隠してたところからみんなの目に入るまでは絶対に隠すそう決めた

「れんせんせー?」

「おにぃちゃぁ?」

彩野ちゃんと樹くんが蓮さん探してる

「蓮さーん、探されてますよー行ってあげてください」

「いや、でも」

私のことを心配してくれているのであろうでも私は大丈夫、きっと大丈夫、心配は、かけたくない

そう思っていると

「蓮先生行ってきたらどうですか?(蓮に懐いてる子)は、俺が見ときますんで」

「あり、ありがとうございます!じゃ、行ってくるね」

そう言って、頭を撫でてくる蓮さんに弥生先生は

「本当、あの人、人たらしだよなぁ、」

一言、こぼすのであった


 おかえりなさい、リアコ製造機こと、如月蓮です。今ですか?今は

「れんせんせー!あそんでぇ!ぱずるしよー!」

「あやのちゃん、やめて!おにいちゃんは、ぼくとあそぶの!」

この通り、二人に取り合いをされております。他の子達はどうしたのかって、?他の子達は、俺には懐いてないのでね、他の先生のところにいますよ、残念

「はい、はい、とりあえず、樹は何したい?」

そう聞くと、パーっと笑顔になる

「えっとね、ぼくはおはなししたいおはなし!」

で、あやのちゃんは確かパズルだったよねー

「パズルしながらお話したらダメかな?樹」

「だーめ!だって、おにいちゃん、パズルしたら、あやのちゃんとばっかりはなすじゃん、だからやだ!ぼくとおはなしするの!いっつもあやのちゃんだけずるい!」

「そんなことないもん、いつきくんだって、ずるいじゃん!」

喧嘩…止めないとなぁ…

「はい、はい、そこまで二人ともごめんなさいしてじゃないと、先生遊ばないよ、喧嘩する子とは遊びたくないなぁ」

「ぼくわるくないもん…あやのちゃんがわるいんだもん…」

こうなると樹はとめられないんだよなぁ

「あやのもわるくないもん!いつきくんがわがままいうからでしょ!」

あらら、二人ともこうなるのか、どうしたものか、

「最初にごめんなさい、できるのどっちかなぁ?謝れる子、偉いなぁ」

そう俺が言うと

「……」

「……」

喧嘩はやめてくれたけど謝らないなぁ、どうしようか、

「めんね、」

そう思っていると、声が聞こえた

「……え?」

「いつきくん、ごめんね、ひどいいい方した、ごめんなさい」

まさかのあやのちゃんからか

「樹なんていうの?」

俺が促すと

「いいよ、ぼくもごめんなさい、ぱずる、わからなくて、おにいちゃんといつもあそんでておはなししてるあやのちゃんがおにいちゃんひとりじめしてるみたいで、やだったの、…あやのちゃんごめんなさい」

「……いいよ、!いつきくんもぱずるであそぼ!たのしいよ!いっしょにしよ!」

樹は目をキラキラさせて

「うん、!いっしょにする!おにいちゃんも、ほら、!いっしょにしよ!」

「そうだね、一緒にしよっか?」

そうしてパズルをする、

「れんせんせー!それ!こっちにはいる!」

「えー、ほんと?」

顔を膨らませて

「ほんとだもん、」

あー懐かしい、昔を思い出すな、


 …昔俺が初めて担当したのが彼女だった彼女はとてもパズルが得意らしくて俺がパズルで迷ってたら

「れん先生!ここだよ!ここに置いて!」

って答えを教えてくれてそれで置いたら、本当に当てはまっててすごいなぁってなったし

「れん先生!パズルのピース、わたして?」

って後ろ向きに座って手を後ろにしてて「ええ?」って、戸惑いながらも彼女の手に渡して彼女が

「ここ!」

って指差して半信半疑で置いてみると、本当に合ってて

「すごいね(蓮に懐いてる子)さすがだね」

って言ったら

「すごい?すごい?」

って何回も何回も聞いてきて、可愛かったなぁ、

「うん、すごいよ、天才だね」

って言ったら、わーいって喜んで、そんな子が、もう高校1年生か早いなぁ時の流れはそりゃ、俺も歳とるわけだ

 俺は別にパズルが得意ってわけじゃないし、どっちかっていうと樹と同じで苦手な方で、勉強はできたけどでも勉強ができただけ、それ以外は凡人以下で何か才能が欲しかったそれで小児科に入った理由は、単純子供が好きだったから。 でも、俺は無愛想で背も高いから、子供に好かれることはなかった。多分小さい子からしたら、俺は怖い存在だったんだろうなって今なら思う。笑顔も無くてそれこそ子供好きって、オーラも出さなかった。っていうか出せなかったから。

 夜伸が羨ましかった、俺と同じぐらいの身長ででも子供らに、好かれてて、何で俺じゃないんだろうってそう思ってた。そこで懐いてくれたのが、彼女だった。彼女はこんな俺を怖がる素振

りも見せず、俺に抱きついてきた、それが可愛くて、愛おしくて「守ってやりたい」って、強く思った彼女が難病だって、夜伸先生あいつから知らされた時、

「なんで?」

って、感情が、俺を襲ったこんなこと思っちゃ悪いが、俺はできた人間じゃないから、

「なんで彼女あの子の母親じゃないんだ」

って、そう思った、そんなこと医者が思っちゃいけないんだろうけど、でも本当にそう思った。彼女から母親の話を聞いているといわゆる毒親育ちの話し方と一致した。

「お母さんにたたかれて、あっでもね、わたしがわるいことしたから、なんだよ?お母さんはね、そんなわたしをおこってくれたのやさしいでしょ?」

って必死に守る、母親を必死に守って、自分が悪いってそう言い聞かせてる、いや、違うな、あの子は、本当に自分が悪いって思ってる。母親が全てだってそう思ってる。多分、今も思ってる

「あの時どうしたら、私はお母さんに捨てられなかったんだろう」

ってずっと考えてると思う。それを表に見せないだけで、実際はずっと考えてると思う、そんな彼女の呪いを解きたい。生きてる間に…解きたい…!俺に解けるかなぁ?わかんないや


「――れんせんせー?」

彩野ちゃんに呼ばれて、ハッとする。

「んー?ごめん、ごめん、考え事してた、どうしたの?」

「ここわかんない、せんせー、わかる?」

彩野ちゃんでもわからんってことあるんだ、

「えー、どこー?」

「ここー、いつきくんも分かんないってー、」

って、俺に言われましても、…俺も苦手だしな、

「何してるんですかーって、楽しそうなパズルしてるじゃないですかぁ!なんで私誘ってくんなかったんですか?蓮さん」

あっ救世主きたでも、熱出てるし、

「あ、お姉ちゃんだー、お姉ちゃん、わかる、ここ?」

「ん〜?あーこれ?難しいよねー、ここはねーここにこのピースを置くでしょう、そんでここにこのピースを置けば…」

教える彼女と目が光り出す彩野ちゃん

「お姉ちゃん、すごーい」

そう無邪気に言う彩野ちゃん

「お姉ちゃんね、もっとすごいことできるんだよ?みたい?」

「みたい!」

もっとすごいこと?あー、昔よくしてたやつね、…って

「(小児科でのお姉ちゃん)、今熱出てるんだからやめときなさい?余計体調崩しちゃうよー?歩くことすら、今はきついのに…」

そういうと、泣きそうな顔になって、

「蓮さん、いないと寂しいんですもん…弥生先生も…優しい…です…けど、蓮さんが…いい…です」

みんなの前でこんな甘えるって相当きついのかな…

「はーい、彩野ちゃんと樹くん、夜伸先生の方来てー?一緒に紙芝居見よっか?」

さすが、

「蓮さん?…んんぅ…」

そう言って、抱っこをねだってくる姿が懐かしくて

「はい、はい、蓮先生と一緒にお部屋行こうね、大丈夫だよ」

そう言って抱き抱える、…軽いな、

「蓮先生、…」

呼びかけられて、少し驚く、

「ん〜?どーした?」

そう言いながら頭を軽く撫でる

「すぅ……すぅ……」

…寝たか、甘えてくるなんて珍しい…余程辛かったのか、…

「大丈夫、大丈夫だからね、」

「…お母さん、ごめんなさい、女の子に生まれてごめんなさい、男の子じゃなくて、ごめんなさい、」

お母さんに何言われたんだろ、…ベッドに…っと…

「蓮…先生…?抱っこ…がいい…です。」

「ん?あー、ごめん、ごめん、抱っこがいいのね、」

あ、体温計…取りいかないと…熱わかんないな、

 「…ちょっと、体温計持ってくるから、ベッドでいい子にしてられる?」

そう優しい声でいうと泣きそうな顔で

「やぁだ、抱っこ…しててぇ、蓮せんしぇ、だっこぉ…」

……幼児退行…ってやつ?これ、んと、どうしようかな、

「よっ、って、高校一年生の子…?なんで抱っこしてんの?ベッドに下ろせばいいじゃん」

一条いちじょう響矢おとや…俺の先輩に当たる人

「いやぁ、実は、今この子熱出してまして、幼児退行しちゃってて、下ろしたくても下ろせないんですよ、」

先輩に事情を話してると

「蓮しぇんせ?」

起きたみたい、

「ん〜?どーしたの?」

「…?だぁれ?」

あー、そうか、…

「俺?」

そう言って自分に指を指す一条先輩それに頷く彼女

「俺は、蓮先生の先輩、」

「せんぱい?」

頭にはてなを浮かべる彼女

「あー、なるほど…幼児退行…ね、」

納得したかのように頷いて

「先生は蓮先生より、年齢が高い先生なんだ」

それを聞くと、彼女は俺を強く抱きしめてきた

「おーおー、どした?」

そう聞くと

「…蓮しぇんせ、がいい、だっこ…もあたまなでなで…も…」

それを見た先輩は

「ははっ、懐かれてるねぇ、あ、その状態じゃ、何も出来ないっしょ?…なんか持ってくるものある?」

と慣れた感じで聞いてくる…

「なんでそんな慣れてんすか、」

と呆れ気味に聞くと

「ん〜?だって俺もたまーに幼児退行しちゃう子の面倒とか見るし、それが(蓮に1番懐いてる子)なら尚更でしょ、なんでもいいから、言ってみ?」

…なるほど…そういう事ね、

「申し訳ないんですけど、体温計と、今日のこの子の夜ご飯少なめにして欲しいって言ってきてもらっても…いいですか?」

そう俺がいうと

「そんだけでいいの?りょーかい」

とだけ先輩は言って、部屋を出ていった

「蓮しぇんせ…?」

そう言ってくる彼女の目は眠たいのか、体調が悪いせいなのか、トロンとしていて、可愛いんだよね

「ん〜?なーに?なんかあった?」

そう優しく問いかけると

「こわいの、みた、おかあさんに『おまえがいるから結婚出来ない』とか『おまえがおとこだったらおかあさんのかれしあの人は結婚したかもしれない』って…いわれてる、ゆめ、こわかった、」

といい、泣きだす…

「…そっかそっか、怖かったね、大丈夫だよ、先生ちゃんといるから、」

…そうとしか言えない、自分に腹が立つけど、それでもこの子は

「ん、蓮しぇんせがいるから、だいじょーぶ、だよね」

なんて俺の事を信じきってて、…俺君のこと救えないのに

「そんな出来た先生じゃないよ、」

そう言って頭を撫でる、そうすると、

「んぅ?しぇんせは、やしゃしくて、かっこいい、しぇんせだよ、わたしね、しぇんせ、だいすき」

なんて言うもんだから、俺は泣くのを必死に堪える、君の前では泣きたくない、

「ねぇ、もしさ、」

難病が治らなかったらどうする?

この言葉を飲み込んだ、言ったらきっと泣いちゃうから彼女は

「ん〜?」

って言ってきて、

「なんもないよ、ごめんね、」

そう言って、君を誤魔化すように頭を優しく撫でる、君はなんとも言えないような顔で

「んぅ…?しぇんせ?」

そう言って…潤んだ瞳で俺の目を見つめてくる、ずるいなぁ…その顔…

「大丈夫だよ、ね?」

そうなだめていると部屋のドアが開いて

「蓮先生」

先輩の声が聞こえた、

「体温計と、言ってきましたよ、そしたら『(蓮に1番懐いてる子)ちゃんおかゆ苦手でしたよね、卵とじのうどんにしときますね』だって」

「先輩、ありがとうございます、助かります」

こう言ってから俺は彼女の方に顔を向け、なるべく優しい声と表情で

「ほーら脇開けて〜」

と言うすると案の定というべきか

「やら、」

とムスッとした顔で言われた

ですよねぇと思っていると隣から

「(蓮に1番懐いてる子)ちゃん?蓮先生困ってるなぁ、」

と先輩の声が聞こえた

「しぇんせ?それ、なあに?いたいいたい?」

この子は注射かどうかを疑ってたのか、まぁ、わかんないわな、

「んー?これはぴっぴだよ?先生の持ってるもの見る?痛い痛い無いよ〜」

そう言って先輩に目配せをする、するとやれやれと言った感じでカバンの横についてる注射関連のものをささっと後ろに全て隠してくれる、…さすがです、

「はい、これでしょ?」

「ありがとうございます。」

そう言って中身を1個づつ見せていく

「これ、もしもしねぇ、先生が今手に持ってるのなんだっけ?」

そう言うと

「ぴっぴ…!」

「せーかい、すごいね、」

そう言いながら見せていく

「これはカキカキするやつね、使わないから響矢先輩に渡しとくね〜」

「うゆ!」

それを見ていた先輩は

「8年も小児科の先生してれば…ここまで慣れるものなの、?」

と少し…いやだいぶ驚いている、

 不思議に思った人もいるだろう、「なんでこいつカバン持ち歩いてんの?」と、基本的に俺は患者さんの家に行って診てるからね、なんて言うんだっけか、ホームドクター?だったかな、基本的にはそれなんだけど、最近は来た方が早いってことであまり予約が入らなくなってね、病院に来てるって訳、

「8年も子供の相手してれば、慣れるって言うか、なんて言うんでしょう、柔らかい表情を作れるようにはなりますよ、そりゃ…」

「しぇんせ?…これは?」

昔の思い出の…物か、


 昔、彼女みたいに懐いてくれてる子がいた、まだ小児科医でなかった時の話、俺は少しでも子供に懐かれたくてボランティアで、子供の世話をしていた。代金はいらなかった。ただ、俺のエゴで頼んでるようなものだったから。だからか、いろんな人が頼むようになってきた。とある日、面倒を見ていた子のお母さんに言われた

「玲亜お兄ちゃんに渡したいものあるんでしょ?渡してあげな」

母親がそう促すと、玲亜ちゃんは

「おにいちゃん、いつもありがとう、これね、れいあがつくったの!あげる!」

玲亜ちゃんが持って来たのは覚えたての字で一生懸命書いたのであろう俺の名前が入ってる名札だった

「玲亜ちゃんなんで名札にお兄ちゃんの名前書いてくれたの?」

そう言うと玲亜ちゃんはニコニコしながら教えてくれた

「おにいちゃんは、おなまえあるのに、なんでなふだつけないの?せんせいがねなふだつけてれば、おなまえわかるっていってたの!あ、そういえばおにいちゃんなふだつけてないなぁっておもって、だからこれあげる!

「えー?貰っていいの?ありがとう」

俺が喜ぶと

「いいよ、つかって!」

って満面の笑みで言われる、それが可愛くて、頭を撫でる、 すると母親が苦笑しながらも続ける

「この子ねぇ、『おにいちゃんのおなまえなあにおかあさん!おしえて!おにいちゃんにね、なふだつくりたいの!』って言ってて、」

母親にそう言われ、少し照れ気味の玲亜ちゃんに

「ありがとね、お兄ちゃん、大切にするね、今はつけとこうかな、お洋服に」

そう言って、名札を服につける俺を見て、玲亜ちゃんは

「やったー、おにいちゃん…!」

と言われて少し笑った後に

「なあに、どしたの?」

そういうと、抱っこをせがまれる

「はい、はい、抱っこねぇ」

そう言って、抱き上げると

「おにいちゃん!たかーい!すごーい!」

って可愛い反応見せてくれるから

「そしたら、こんなんはどう?」

と軽く玲亜ちゃんを上にあげる

「おにいちゃん、!すごーい!もっとたかくなったぁ!」

と目を輝かせる玲亜ちゃんが母親に向かって

「おかあさん!みてみて、れいあ、いまめっちゃたかいよ!」

って自慢してるのを見て、少し笑ってしまう、

「あ!いまおにいちゃんわらった!」

そう言われて、

「お兄ちゃんだって笑うよ」

といい、母親に向いて

「平和ですね…」

とそう言うすると母親は

「そうですねぇ、…この子が笑うなんて…珍しい」

え?珍しい?俺が来るといつも笑ってるのに?

「あの!玲亜ちゃんって俺が来たら、いっつも笑ってます…よね?なんで珍しい…?なんですか?」

そういうと

「あーこの子、あんまり笑わないんですよね、蓮さんがいる時じゃないと、笑わなくて、だから…其の珍しい?というか…なん……と…いうか」

そう母親が 何か言いたげんにしていると

「おにいちゃん!!れいあね? おにいちゃんといるときがいっちばんたのしい!」

嬉しい言葉が聞こえてきただから俺も

「そうなんだ、ありがとう!お兄ちゃんねぇ、こうやっプレゼントくれたの玲亜ちゃんが初めてだから、嬉しいな!」

そう言って、頭をわしゃわしゃと撫でる

「すぅ……すぅ……」

と規則正しい息遣いが聞こえてきて

「寝ましたかね…?」

と母親に聞くすると

「ぐっすりです。やっぱり可愛いなぁ…」

「布団に置きますねぇ、起きるかなぁ…?まぁ起きても、また寝かしつけたらいいだけか」

こういうと、母親は驚いた顔をして

「えっ、!?この子、あんまり寝ないでしょ?そんな簡単に寝かしつけられるんですか?」

と聞いてきた

「簡単にってわけではないんですけどね、?でもまあこういう子なら、寝かしつけるのは、意外とコツをつかめば…」

と言いながら、お布団に置く

「よし、今日は成功…んじゃ、俺はこれからバイトあるんで、」

「あのっ、お金…!」

この人はボランティアの俺にいつも金を持たそうとする

「金はいらないっすよ、だってこれただの俺のエゴですもん、子供に好かれたいからしてるだけですよ」

この人俺に構ってる暇あるなら玲亜ちゃんと一緒に寝てあげて欲しい、…多分玲亜ちゃんは親の愛が足りてないから

「その金は、玲亜ちゃんに使ってください、俺はもうバイトでくるみなんでね、金は稼げるんすよ、でも玲亜ちゃんは稼げない、それに子供が子供でいる時間って長いようで、短いんですよ」

そういうと、母親はハッとした顔になり

「そうですね、ありがとうございます。玲亜と寝てきます」

「はーいそしたら、また来ますね、玲亜ちゃんにもそうお伝えください」

そう言うと母親は深々と頭を下げた。俺も深々と頭を下げ…

「子供が甘えてるうちに甘やかしてあげてください」

聞こえるか聞こえないかの声量で玄関の前で言うのだった


「しぇんせ?」

そう声をかけられ焦る、

「ん〜?どうしたの?」

目をこすり眠そうにする

「寝よっか?先生、トントンしといてあげるねー」

熱を測るのは、その後でいいや、今はとりあえず、この子を安心させることを考えよう

「すげえな、蓮先生」

隣ですげえなっていう声が聞こえたけど、一旦無視でいこう、また聞こう、後で

「すぅ……すぅ……」

「よし、寝た?体温計を…っと、」

挟んでも起きない、よし

「あの話聞いてる?蓮先生、俺、すげえなって言ったんだけど」

「聞こえてましたよーでも仕方ないじゃないですかこの子寝かしつけないといけないんですから、」

可愛いな、やっぱり、

「この子かわいいね、寝顔天使みたい」

そういう先輩に

「当たり前です、この子、毎日難病に苦しんでるんです、毎日息苦しくなるんです、熱出てる時ぐらい甘やかしたいじゃないですか、そんな子が、毎日生きてるだけで、天使なんですよ、あ、なった」

と言うと、先輩は少し悩んで

「生かすって、残酷だよな、この子はどう思ってるんだろうな、生きたいって思ってるのか、死にたいって思ってるのか、どっちなんだろうなぁ、熱何度?」

そう言うから、俺は

「多分、どっちもだと思います、生きたいし、死にたいみたいな?感じで、でも俺はそれでいいとは思います。この子自身も実際は分かってると思います。もう長くないんだなぁって、だから、俺らは甘やかすんですよ、最後にとっておきの思い出になるように…高、39.5」

そういうと、先輩は少し口ごもる

「そうかでも、もしも、死にたいってそう言ったら蓮先生お前はどうする気なんだ?それでも生かすのか?えっ、高、」

「実際のところ、わかりませんもしも死にたいって言ったら、俺はどうするのか、わかんないんです。でも無理して生かすことはしないと思います。…まぁこれくらいなら点滴で」

そういうと先輩は少し笑って

「そうかい、ま、別にこの子がどうするかは、この子の自由だもんな、そうだな、やっとけよー」

とだけ言って、部屋を出ていった


 「『毎日生きてるだけで、天使なんですよ』か、」

蓮先生あいつの言ってた言葉を思い出す

蓮先生あいつはどんなことを思って子供たちの面倒見てるんだろうな、」

独り言を言いながら歩いていると

「ねぇねぇ、」

と聞き覚えのある声が…この子は

「ん?どうしたのかな、?樹くん」

蓮の弟くん

「おにいちゃん、しらない?」

あー、おにいちゃん…、そっか、そーだよね、おにいちゃんだよな、可愛い、

「蓮先生はね、(蓮に一番懐いてる子)の部屋に居るよ、でも、今お熱出してるから、部屋行かない方がいいかも、」

そう言うと落ち込んだ顔になった、…やば

「…あ、先生と遊ぶ?何したい?」

そう言うと目をきらきらさせる、…可愛いな、やっぱり

「たんけんしたい!」

「探検?どこする?」

そう聞くと

「んとねぇ、病院の中!」

俺からしたら、この病院は探検も何も職場だからどこに何があるか、だいたいわかってるけど、この子からしたら、「お兄ちゃんが来てるお仕事する場所」でまだわかんないことだらけ…だもんな、

「いいよー、探検しよっか、」

そう言って笑うと

「うん!どこ行こうかなぁ…」

って目をキラキラさせる、弟くん

「せんせい!こっち!」

そう呼ばれて

「はいはい、すぐ行きますよー」

っと返事をする

少し歩いていると、隣から頑張って息をしようとしている声が聞こえた、か細く、それでもって繊細で、そう過換気症候群だ、…みんなの言いたいことは分かる過換気症候群ってなんだよ、だよな、世間的に言うと過呼吸…であってるはず…、この業界に慣れてからというもの、少し世間的の言い方を忘れてしまっててね、確か、治し方は、

「せんせ、いき、しにくい、たすけて…!」

息がしにくいだろうに、必死に俺に助けを求める、

「大丈夫、大丈夫だよ〜?声聞こえるかな、?聞こえたら先生のおてて握ろっか」

そう言って手を樹くんの目の前に出す、すると、握ってくれた、大丈夫、意識はしっかりしてる

「少し抱っこするね、大丈夫、大丈夫だからね、息の仕方先生に合わせようか、」

そう言うとこくこくと頷く、俺がゆっくり、ゆっくり、息を吸う、そして、ゆっくり吐く、…ん?手、痺れてる…?

「先生おてて握るね、大丈夫だよ、すぐ良くなるよぉ〜、」

そう言って小さい手を握る、痺れが少し、治まってきて、顔には出さないが安堵する、少し疲れたしびっくりしたのであろう、俺に抱かれうとうとし始める、

「今日たくさん歩いたもんね、お疲れ様、」

そう言うと、抱いてる俺の胸に樹くんが寄りかかる、寝たのであろう、規則正しい息が聞こえる、

「すぅ……すぅ……」

「可愛い、」

そう一言漏らすのであった


 そういえば、最近あの子学校に来てないな、先生は熱だっていうけど、ただの熱で1週間は長すぎるでしょ、インフルエンザ…とかならわかるけど、

あ、皆さんはじめまして、玲亜と申します、あの子と言うのは私の親友の女の子です、どんな見た目か…んと、髪の毛が長くて、可愛くて、スカートもズボンも良く似合う子です…

「…心配だ」

なにか隠してるのは明白なんだけど、何を隠してるのか…わかんいんだよね、

「はぁ、ほんと、どうしたものか、明日先生に聞くかぁとりあえず、」

今日は寝るか、

「玲亜〜お母さん寝るよー!」

「はーい、私も寝るぅ!」

そう母親に言う

「はーい!おやすみぃ」

…はぁ、心配…、大丈夫かな、明日聞こう、

「んんっ、ふわぁっ、…お母さんは、…もうお仕事…行ってるよね、リビング…行こ、」

 

 リビングにつく、そこには手紙が置いてあった、内容は

「玲亜へ

 お母さんは仕事に行ってきます

 今日も学校頑張ってね、ご飯はチンして食て

 ね、行ってらっしゃい

 お母さんより」

こんな内容、いつも思うけど、これお母さん毎朝書いてるんだよね、私の事はいいから、私はもう子供じゃないから、だから、

「この手紙いらない」

なんて強がってみる、でも実際は居ないことが悲しくて、普通の家庭が羨ましくて、毎朝泣きながらご飯食べてるなんて、言えないよ、

「お母さん、お金はいいから…一緒にご飯食べてよ、1人で食べるご飯は…美味しくないよ、」

お母さんのご飯が一番美味しいっていうのは、自分が一番よくわかってるでも一人で食べるのは、美味しくない、涙で味がよくわかんなくなる、

「あ、そろそろ行く時間だ、行ってきます」

そう言って涙を拭き取り学校へ向かう、いつもの場所に最初は行く

「……」

いない…よなぁ、わかっ…てたけど、…悲しい…なぁ

いつもあの子がいたら手を振ってくれる

「今日も休み…かぁ、」

私は学校に行く

 「おはよ〜ございます!!」

そう元気よく声をかけるすると先生が

「おはよ、相変わらず元気いいなぁ、」

と言い返す、私頭悪いけど、教室には1番なんだぁ…すごいでしょ、今しか聞けない…

「あの、先生」

「ん?なんだ?」

私が真剣な声を出したからか、先生も真剣になる。気まずい空気が流れる、そこに

「おっはー!ってあれ?これ入っちゃ行けなかった?あはは、ごめんごめん、」

と仲のいい子が笑いながら入ってくる、私も先生も糸が切れたかのようにわらう

「ふふ、空気読んでよ…」

そう呆れ気味に言う先生と

「先生、放課後話ありますんで、開けててくださいね、」

「はいはい、はぁ、今日も頑張りますか、」

HRホームルームが始まる

「えー、今日も…休みだな、熱が下がってないらしい、」

…心配…先生の言ってること頭に入ってこない、

「――――――終わります、」

…もう終わった?何話してたんだろう、そう思っていると

「玲亜、来い」

そう言われた、あー、これ怒られるやつ、やだなぁ、そう思いながら私は黙って、ついて行く

 

 「玲亜、俺この後授業無いから話聞くぞ、入れ」

そう言われて、先生について行ってたから分かんなかったけど、前を見ると空き教室で、先に入る、先生も入ってきて、教室のドアを閉める

「先生、」

私がそう声をかけるすると

「大体言いたいことはわかるけど、要件を聞こうか?何?」

そう言われて、単刀直入に聞く

「先生、最近私の親友が来てないんです。メッセージを送ってみても『大丈夫だよ、あともう少しで学校行くね』って返ってきて、『電話したい、ダメ?』って送ると、『ごめん、お母さん寝ちゃってるから起こすと悪いから』って帰ってきて私、ずっと気になってたんです。親友に隠し事があるなって、その隠し事が何なのかは、見抜けませんけど、けど、絶対何か隠してるんです、先生何か知りませんか?」 

そう言うと、先生は

「知らないよ、先生は何も知らない彼女がそういうんなら、そうなんじゃない、もうちょっとで来るんでしょ」

先生は、癖を知らない嘘をつく時目をギュッてつむる

「嘘つかないでください、先生が目をきつく瞑る時、嘘ついてるってことなんですよ、知ってましたか?自分の癖」

そういうと先生はため息をついて

「 まずあの子はどこに住んでると思う?」

と聞かれた…どこって、

「家じゃ…ないんですか?」

家しか思いつかなかった、先生は首を横に振り

「家?違うよ、あの子が住んでるのは、病院だよ」

と、教えてくれた、信じられなかった、あんなに明るい子が病院に住んでるなんて、

「え?病院?冗談やめてくださいよ?先生?私そんなボケ、今求めてないんです、先生、教えてください、本当に本当の居場所はどこなんですか?あの子が住んでる所はどこなんですか?」

そう聞くと、先生は

「病院だよ、冗談なんかじゃない」

えっ、どういうこと?でも、一週間前とかだよね、住んでるって入院してるってことだよね、そうだよね

「あの病院に入院してるって、一週間前ぐらいからですよね、休み始めた時から、だって、あの子体弱かったじゃないですか?そうですよね?」

先生は少し、言うのを躊躇った感じで

「あの子から聞いてないかもしれないが、小学2年生の時から病院に住んでる、本人は、『お母さんに捨てられた』って笑って話してるけど、でも、実際のところ、辛いと思う、玲亜はわかるだろ?お母さんに相手されない気持ちが」

と言われ、私は口ごもる、

  

 だっていっつも遊ぶ約束に使ってた「お母さん」っていう単語は、ほんとはいないんだったら――――――ってそうか、いてもいなくてもあの子が病院に住んでるんだったら、遊びに行けないって言った理由も、全部繋がる、病院に帰らないといけないから遊べない、でも、なんで入院してるんだ?

「あの、なんで入院しているんですか?」

「病院の先生に口止めされててな、それは言えない自分で聞いてこい」

自分でって、病院もわかんないのに、どうやって

「あの、!病室も…病院も…わかん…ないん…です……けど、どこに…あるん…ですか?」

そういうと先生はびっくりしたような表情をして

「体が弱いってことを知ってる、玲亜ら、病室も病院も知ってると思ってた、病院に住んでるってことは知らなくても、」

「今日早退します、すみません、ちょっと話聞いてきます。なので、病院と病室教えてくれませんか、」

すると、先生はまたため息をついて

「…わぁった、教えてやる、白浜病院の、810号室だ」

「ありがとうございます。カバンは、また取りに行きます」

すると、先生が頷いて

「わかった、待ってる」

そう答えてくれた、


 私は無我夢中で走った、好きな子のためだったら、何でもできるってそう思った。

「すいません、川上かわかみ玲亜です。(私の好きな人)の友達で、今、どこにいますか?」

「あ、あの子の、あの子なら、八階の810の部屋にいますよ、」

教えてくれたエレベーターより階段の方が早い、だから、階段で行った

「ここ…か、」

私はノックをするすると中から

「はーい、どうぞー」

声が聞こえたあの子の声だった、 どんな格好も似合って声が可愛くて容姿も可愛くて何もかも完璧で私の大好きな人の声だった

「失礼します」

そう言って中に入るすると、

「玲亜ちゃんどうしたの!?びっくりしたぁ、急に来るんだもん、連絡ぐらいしてよね」

と、一言言って黙った、多分聞かれることわかってるんだろうな

「なんで、病院に住んでるって言うってくれなかったの?なんで、病院に住んでるの、なんで小学二年生から、なんでお母さんに捨てられたこと、なんで、ずっと入院してるの?なんで、親友の私に隠してたの?」

思いつく限りの疑問をぶつける、「なんで、なんで」って言葉がおかしいことぐらい自分が一番よくわかってる、でも聞かないといけない、

「玲亜ちゃん、落ち着いて?…って落ち着けないか、ごめんね、ずっと隠してて、誰から聞いたのか、だいたい予想はつくけど、聞かないであげる、」

それを聞いて私は少しほっとする、元気そうだ、

「……」

お互い気まずい空気が流れる、

「…意味わからない言葉言ってごめん、私焦ってて、なんで病院に住んでるって言ってくれなかったの?」

その言葉に少し顔を曇らせる

「聞いて欲しくないことだと思うけど、聞かせて、お願い、」

「わかった」

そう言って話をしてくれた、


 「私ね、小学二年生からここに住んでるの、理由は親に捨てられたから、なんで捨てられたかって言うのは聞いてない?」

そう聞かれた、だから、

「うん、本人に聞いて来いって」

彼女は少し笑って

「そっか、信じられないかもしれないけど、私難病を患ってるの」

聞いたのはあまりにも残酷で、

「その難病のせいでお母さんに捨てられたんよね、笑えるでしょ」

全然…笑えないのに、目の前にいる彼女は笑っている

「お母さんに『お母さんって呼ばないで』って言われて、…悲しかったなぁ、…」

そう目元を暗くする彼女

「私、小学生の時に仲のいい子がいたの、その子にさ、このこと話したの、そしたら次の日からみんなに知られてて、…さ、親に捨てられたやつって見られるようになって、いじめられるようになった、そこからこのことは担任以外に話さないでおこうって決めたの、またいじめられるのが怖いの、またあの日々に戻るのが苦しいの、だから、私、話せなかったの、ごめんなさい、」

そう言うあの子…まだ言いたいことあるって直感で思っただから

「まだ何かあるよね、?口悪くなっていいから教えて」

そう言うと泣きそうになりながら

「玲亜ちゃんに、わかる?親に…捨てられる…ときの悲しさ、辛さ、苦しさ、もう会えないんだって直感でわかる、そんなわけないって泣き続けてみても、お母さんが振り返ることなんて無くて、挙句の果てに

『うちの子じゃないんだから、お母さんって言わないでくれる?』

って言われるの、小二なりにわかったよ、あ、私捨てられたってわかったけど、そんなの受け止められるわけないじゃん、たった八歳の子が、…今でも受け止められてないのにさ、当時は毎日泣いたよ、お母さんってでも来てくれるわけないそんなのわかってたよ…!わかってた、でも、ここに住めてるってことはお金ここに渡してるんだろね、お母さんねよく『私が男の子だったら、』って言ってたの、『なんてお前は男の子じゃないんだ、』って言ってた、男の子になりたかった、でも身体は勝手に女の子の体になって言って、なんで女の子なんだろうって悩んだこと…ある?」

気づけば彼女は泣いていて、私も泣いていて、私は

「わかんない、わかんないよ、ないよ、でも、…でも、苦しかったんだね、辛かったんだね、」

叫ぶように言う姿、辛そうに、苦しそうに、言って、でも難病だって知っても、生きて欲しい残酷なのかもしれない、この子に生きて欲しいなんて、そんな事、残酷…なのかな、

「失礼します、」

「…あ、先生、この子、友達です、」

入ってきた先生に私を紹介する

「あー、はじめまして、」

「はじめまして、」

この人どっかで会ったことある?…無いよね、?まぁいいか、

「初めて来てくれたねぇ、お友達」

「その言い方、やめてくださいよ」

笑いながら言う彼女を見てほっとする

「あの、すみません、」

先生に声をかける、

「ん?なあに?」

「少し…(私の好きな人)の話…したいんです、なので少し部屋移動してもいいですか?」

そう言うと先生は頷いて

「わかったよ、(小児科でのお姉ちゃん)待っててね」

「はーい、行ってらっしゃい」

そう言う彼女、私は先生と部屋に出る


 先生と歩く、2人とも黙って、空き部屋に入るすると

「久しぶりだね、玲亜ちゃん、覚えてるかなぁ?」

といきなり声をかけられる、え?知り合い…だっけ?この人

「すみません、あの、誰ですか、?…覚えてなくて、」

「あはは、だよねぇ、覚えてないよね、」

そう言いながらカバンからとあるものを取り出す「これ覚えてる?」

見してきたのは、昔、私が書いた読めない文字の名札…なんでこの人持ってんの?

「あー、なんなく覚えていますけど、なんであなたがそれを……?」

「まあ、そうだよねー、これねー、玲亜ちゃんがくれたんだよー、覚えてないのぉ?」

そう優しい声で聞いてくる

「すみません、全く覚えてなくて」

そう、謝ると、頭を撫でながら

「あはは、仕方ないよだって、まだ小さかったもんね、懐かしいなぁ、あの頃は、毎週のように行って、毎週遊んでさ、寝かしつけたりもしちゃって」

そう、懐かしいそうな顔で笑う

「こんなに大きくなったんだね、」

そう言われ思い出す、あの日々のこと、

「お兄…ちゃん…?」

そう呼びかけると

「なあに、玲亜ちゃん?」

と、返事が返ってくる

「なんで毎回寝た後に帰ってたの?お兄ちゃんともっと遊びたかった。お母さん、構ってくんないし」

そういうと

「起きてる時に帰ると、散々嫌々って嫌がったでしょ?もっと遊ぶ、もっと遊ぶーってお兄ちゃん、あの時からバイトしてたんだよー?お母さんが帰ってくるまでって約束だったのにお母さんが帰ってきても、俺に懐いてさ」

そう、懐かしそうに言う、お兄ちゃん

「あれは仕方ないじゃんだって、お母さん、お仕事ばっかりで、あの時構ってくんなかったんだもん。今もだけどさぁ?今ならわかるよ?さすがに私のために、お仕事してくれてるってさ?でも、当時はわかんなかったんだもん。

お母さん、私のこと嫌いなのかなぁ

とさえ思ってたもん。だから、構ってくれるお兄ちゃんが好きだったの、ずっと遊んでいたかったの、ダメ?」

そう少し拗ねた感じで言ってみると

「あの人は、相変わらずはお仕事か、子供が子供でいる時間は長いようで、短いよって言ったはずなんだけどなぁ、おかしいなぁ」

そう言いながら、私の頭を撫でて「よく頑張ったね」って言ってくれた

「んで、なんだっけ?あの子のことだっけ?」

そう言われ、

「あー、うん、最近学校休んでるじゃん?先生は、熱って言うんだけど、本当に熱なのかなって、気になってだって、ほら、あんな元気だしさ」

「友達思いだねー」

そう言い、お兄ちゃんは続けて話す

「あの子が難病だっていうのは聞いたよね、?」

「うん、聞いた」

すると、

「最近、病状が酷くなってきて、歩く分には問題ないんだけど、すぐ息切れしたり、すぐ過呼吸なったりしてさ、学校行かせてる場合じゃないなって思ってね、あの子自身は行きたいって言うんだけど、流石に俺が着いてく訳にも行かないしね、」

「いやそれ、十分問題あるでしょ、歩くだけで息切れとか過呼吸起こすんでしょ?」

そう言うとあははと笑い

「あの子は大丈夫って言い張るんだけどね」

そう笑うお兄ちゃんに

「絶対大丈夫じゃないでしょ」

そう言うと

「やっぱりそうだよね?だから大丈夫じゃないでしょ、おやすみしなさい、って最近は強引に休ませてるよ、ほんとにあの子は」

そう呆れながら言うお兄ちゃん、それがどこかおかしくて、

「あは、」

そう笑うと

「なんで笑うかなぁ?こっちは真剣なのにさぁ…」

…ここでは本音言ってもいいよね、

「ねぇお兄ちゃん、(私の好きな人)救えるよね?だってお兄ちゃん、お医者さんだもん、お医者さんはどんな病気も直せるんだよね、?」

 

 「ねぇお兄ちゃん、(小児科でのお姉ちゃん)救えるよね?だってお兄ちゃん、お医者さんだもん、お医者さんはどんな病気も直せるんだよね、?」

そんな期待をこんな俺に向ける、ほんとのことは言えないや、…でも言わないといけない、

「……ごめん、今の所、…直せる方法は見つかってない、」

自分の足が、口が震えてるのがわかる、あー、俺怖いんだ、今更気づいても遅いっての、失うのが怖い、あー、俺は…どうしたら、

「――ゃになる」

声が聞こえた、

「え?」

「私医者になる、」

…この子はまた無茶なことを、

「ちゃんと話聞いてた?あの子はいつまで生きれるかわかんないんだよ?今でさえ、あんな状態なのに、あと何年かしか生きれない、…あの子を救える確率、下がるんだよ?…言い方を変えようか、あの子が生きてる確率、今すごく下がってる、…だからね、医者の俺がこんなこと言っていいのかわかんないけど、いや多分ダメなんだろうけど、…人がしかも友達が苦しむところは、見ない方が良い、…医者はたくさんの人を救って、たくさんの人を死なせてる職業なんだよ」

なるべく真剣に、諭すように言う、玲亜ちゃんが諦めてくれるように、でも

「友達じゃないし、親友だし、…いや、親友じゃないから、好きな人だから、好きな人を救いたいの…!あの可愛い笑顔を、あの大好きな顔を泣いてる顔じゃなくて、明るい顔にしたいの…!私、今まで夢とかなかったから…!ずっとずっと、将来の夢なんてなくて…フリーターになるんだろうな…とか思ってたから、だから、これを夢にしたい、!たとえ…あの子と生きる日々が叶わなくても、絶対に救うから、絶対に救ってみせるから、だから…!勉強教えて、!…お兄ちゃんお願い、!」

…好きな人を…救う…か、…あの可愛い笑顔、ね

「わかった、でもスパルタで行くよ?好きな人を救うためならそれくらい余裕だよね、?」

そう恐る恐る聞くと、

「うん、それくらいなら、今まで勉強してなかった私が悪いんだもん、余裕だよ、」

そう言い切る玲亜ちゃんに

「そっか、なら今日はもう帰りなさい、明日…学校帰りに中学生の時の教科書とかワーク持ってたら好きな教科と苦手な教科持ってきなさい、…一緒にやろっか、」

と苦笑する俺、不思議そうな顔をして質問をしてくる

「わかった、でもなんで中学校の…?」

「なんでって、勉強中学生からわかんないでしょ…?、たまーに、玲亜ちゃんのお母さんに聞くんだよー?そしたら、

『中学校の勉強から置いてかれてるみたいで…』

って言うだもん、いつか教えに行かないとなって思ってたからね〜」

そう言うと目を輝かせ

「うん、ありがとう、お兄ちゃん、私、馬鹿だから…わかんない所…多い……と思う…、でも絶対、わかるように…なるから、だから、よろしくお願い…します」

そう頭を下げる玲亜ちゃん、俺は

「俺、こう見えて教えるの上手いんだよ?(小児科でのお姉ちゃん)頭いいでしょ、あれ、俺が教えてるの、」

そう言って頭を撫でる、すると

「(私の好きな人)が頭いいのこういうことだったんだ、」

と感心していた、

「まぁ、とりあえず、いい時間だし、あの子に挨拶して帰りな」

俺がそう言うと

「もうそんな時間!?わかった、挨拶して帰る、お兄ちゃん明日からお願いね!」

と言って帰っていく、

「続くかな、だいぶスパルタで行くけど、」

とそう言葉を漏らすのであった


 私が待っているとドアが開くそして

「(私の好きな人)ただいまぁー、」

と言う玲亜ちゃん

「おかえり、先生と話せた?」

そう聞くと

「うん、話せたよ、知り合いだった」

と笑う、玲亜ちゃんに

「そっか、良かったね、」

と言う私、すると

「明日から毎日来るから、ここで先生お兄ちゃんと一緒に勉強しよう、?」

とそう誘われた、

「え?でも、先生の教え方…で大丈夫…なのか、?」

あの人教え方感覚だからな、頭いい人は感覚でしてるとは聞いてたけど、あそこまで感覚だと、…玲亜ちゃん着いてこれるかな、まぁ、いいか、その辺は私がカバーすれば…

「…まぁ、いいよ、あの人には私がいないと教えるってことにならないと思うし、」

そう言うと不思議そうな顔をする玲亜ちゃん、

「とりあえず、今日は帰るね!またね!」

「うん、また明日ね、」

そう言ってドアが閉められる、

「ひま、」

とそう言葉を吐くすると見計らったように

「やっほ、元気?」

と担任こと西条さいじょう幸人ゆきとが入ってきた、

「なんで教えたんですか、あの子……玲亜ちゃんには教えないでって言いましたよね?」

そう言うと頭を搔いて

「…まずは、ごめんなさい、でも教えてくれって言われてさ、?」

…そんなの、

「そんな人今までもいましたよね?なんで私の好きな人にだけ情報を渡したんですか、今回はあの子が優しいから多分広がりませんけど、」

そう言うと

「玲亜は本気で(クラスの生徒)の事を心配してたからな、俺の話が入ってこないレベルで、今までそんなやついたか?お前の中で、普段俺ら先生のつまんない話でも乗ってきてくれるような子が耳に入ってこないって言ったように心配でぼーってしてたんだ、だから呼び出して、話した、勝手なことをして本当にすまない、」

そう言って頭を下げる先生

……あー、そういうこと、確かに、人の話を聞けないほど心配してくれる子は…いなかったな、

「そういうことなら、別にいいですけど、他の子には絶対やめてくださいよ」

そう言うと

「わかった、所でりんごを持ってきたんだ切ってやる、食べるか?」

「小説?漫画?みたいなこと言わないでください、それと今は要りません、」

そう言うと

「そか、そしたら蓮さんに渡しとくな、」

と言って部屋を出ていった、きっと蓮さんを探しに行ったんだろう、…歩いたらすぐ息切れするし、この身体ちょー不便

「こんなんなら、消えたいなぁ、私って居ない方が良かったのかもね、ほんとに、」

お母さんにも迷惑ばっかりかけて、好きな人にも心配させて、

「なんで生きてるんだろ」

あー、ダメだこれ、病みそう、あー、死にたい

そう思っていると

「失礼しまーす、」

と最悪なタイミングで入ってきた弥生先生、笑顔にならなくちゃ…

「どうしたんですか?ノックもせずに、急だと…びっくりします」

作り笑顔で、なるべく笑顔に見えるように、

「何か隠してるでしょ?我慢しなくていいんだよぉ?別にこれを誰かに言うわけでもあるまいし、」

呆れながら、そういうその姿が蓮さんと重なって、でも、どこか違くて、当たり前なんだけど、そんな当たり前すら愛おしく思えて

「なんで…急に…来て…言い当てる…かなぁ、?…なん…か…この…身体…めっちゃ…不便…だな…って…思って…消えたいな…って……思ったら…なんか…口に……出してて…それで…消えたい…死にたい……ってなって…ました…、」

そう言うと

「あー、そっかぁ、俺は蓮先生みたいに、慰めることはできんけどさぁ?でもそう思っちゃうのは、仕方ないことじゃないかなーって、俺は思うけどなぁ」

予想外の返答に固まっていると続けて、弥生先生が言う

「あはは、こんなこと言われるって思ってなかったぁ?俺ねー、正直ね、昔からさ、死ぬとかさ、生きるとかさ、どうでもいいと思ってるタイプでさ、この仕事についたら変わるんじゃないかなぁって思って就いたんだけどでも、俺の根本が変わんないからね、だから、別に思ってもいいんじゃない?思ったらダメだ、なんて法律はないんだし、しかも、その年でそこまで悩めるってすごいよ?俺、どんなこと考えてたかなぁ?」

なんか心がスッとした気がして、

「あの」

と、声をかけるすると

「ん〜、どうした?」

ん〜?なのかあー?よくわかんない言葉を言われた、

「ありがとうございます」

お礼を言うと、なぜか固まった

「別にお礼されることなんてしてねーよ、?思ってることを言っただけだ」

そう言って、照れくさそうに頭をかく

「んじゃ、なんか不吉な言葉聞こえたから来ただけ、蓮先生と男の人?隠れてないで出てきたらいかがです?」

そういうと、ドアから担任と蓮さんが出てきた、なんでわかったのか分からないけど、でももう雰囲気で分かったんだろうね、?私にはよくわかんない

「もしかして聞いてました、?恥ずかしいなぁ」

そういうと、なぜか蓮さんに抱きしめられた…ん?え?なんで?

「あの蓮さんどうしたんですか?なんでまた私を抱きしめてるんですか?…人前だし、恥ずかしいです、あの、蓮さん?」

そういうと、蓮さんは泣いていて…って…え?どうしたのほんとに、

「死にたいって言ってたのを聞いた、ごめん、俺はもうちょっとでも…あと数年でも、生きれるのなら一緒に生きて、一緒に泣いて、ってしたい、残酷なのかもしれないけど、…でも、一緒にいきたい」

そう言われた、あー、一緒に…か、

「蓮さん?」

そう名前を呼ぶと蓮さんは、びっくりしたような反応を見せ、

「どうしたの?」

と、頭を撫でてくれた

「私蓮さんには言えなかったんですけど、蓮さんにはっていうか、みんなにも言えなかったんですけど、私はお母さんに捨てられた時からずっと消えたいなって思ってます。お母さんに捨てられたあの日、…私の中で時間は…ずっと…止まってるんです…!お母さん…ってそう呼んでる子が……ずっと自分の中にいる気が…して、その子を……抱きしめたい…けど……抱きしめられなくて…だって、まだ…私が…お母さんはいないんだって……もう帰ってこないよって……!自信を持って言えない…から、だから、ずっとその子が泣いてるのを放置しててその子が言うんです

『お姉ちゃん、お姉ちゃんはなんで私といてくれるの?』

って…、 だから私こう答えるんです

『一人は寂しいでしょ?だから、お姉ちゃんと一緒にいようね』

って、そしたら、その子いつも、お母さんを待ってる…って話してくれるんです……、それが一番苦しいんです。…それに私が

『そっかいつかまた迎えに来てくれたらいいね』

なんて言ってるから……自分により腹が……立つんです。こんなに腹が立つんなら…消えた方がマシだな……ってそう思うんです。…そしたら、もう…苦しまなくていいのかなー…って、あの子も…、私も…何回も言いますけど…お母さんに捨てられた日…からずっと……時間が止まってる……私は消えたいって思ってる……。もう生きたくない…ってどこかで……そう思ってる。それを見えない風に……してるだけ、でもさ、……先生達の前ならいいでしょ、?本音言った…って受け止めて……くれる……でしょ?受け止めて……ください……お願い…します。」

ようやく言えた、私の本音……疲れた、

「ごめんなさい、本音言って疲れたみたいです。あはは、」

そういうと、蓮さんが頭を撫でてくれて

「うん、全部受け止める、死にたい気持ちも……消えたい気持ちも……全部受け入れる……受け止めてあげる、 いつかその子に

『もう帰ってこないんだよ』

って

『お姉ちゃんと一緒に生きようね』

ってそう言える日を楽しみにしてる、だから、その日までは生きよ?残酷なことなんだろうけど、それでも一緒に生きたいって思ってる、わがままでごめん」

そう言われた、

「一緒に生きたいか、」

多分、私が一番言われるのを望んでた言葉で、一番言われないであろうって思ってた言葉、すると、

「俺また空気?男の人?あの人担任?もう学校帰ったぞ」

と、弥生先生の拗ねた声が聞こえた

「あっ、ごめんなさい、またでしたね、でも私、もう眠いです」

本当に眠い、寝ていいかな?

「久しぶりに俺が背中トントンしてやろうかそしたら寝れるでしょ」

この人の背中トントンは、本当によく寝るんだよなぁ

「蓮さんがいいんなら、お願い…します」

はーいと言い、私のベッドに寝転がって

「ほーら、(小児科でのお姉ちゃん)おいで、」

とそう言われるだから

「失礼します…」

と言ってベッドに入る、見てられなくなったのか弥生先生は

「俺、外でとくわ、寝かしつけ終わったら他の仕事もあるんだから、寝るなよ〜」

とそういい残し出ていく、

「大丈夫、大丈夫だからね、先生いるから寝ようね」

そう言って背中トントンしてくる、あー、これ、ダメだ、寝る…やつだ、


 背中を優しく叩いていると規則正しい寝息が聞こえた

「すぅ……すぅ……」

…寝たか、他の仕事…しに行きますか、

ベッドから出ようとするも出れない……なんでだ?…彼女の手を見る、俺の服を掴んでた、…

「ふふ、可愛い」

思わず笑みがもれる、どうしようか悩んでいるとドアが開き

「蓮先生、起きてるんならさっさと出て来てよ、こっちも暇じゃないんだよ?」

と夜伸先生が急かしてくるだから、俺は俺の方に来るように手招きをする、夜伸先生がこっちに来るそして

「あー、なるほど…それで出られないってことね、ほんと好かれてるね」

そう言ってくる、だから

「うん、この子には何故か懐かれてるんだよね、昔から、ここでできる仕事ない?」

そう言うと

「パソコンの、仕事なら出来ると思う、鞄からパソコン取るよ」

そう言って取ってくれる

「ありがとう、」

そう言ってパソコンを受け取る、

「んじゃ俺は蓮先生の仕事までしてきますよ〜」

そういいながらでていく夜伸先生

「ありがとうございます。」

そういう俺は言葉をこぼす、返事はなかった


 そして部屋にはカタカタというタイピング音だけが響く

そうしていると隣から 

「んんっ、」

と声が聞こえる、

「大丈夫、大丈夫だからね、ねんね、ねんね、」

そういいながら背中を優しく叩く、小児科の先生しててよかったことだな、これ、子供とかが起きそうな声とかすぐ気づける、まぁ、彼女は高校生だから子供じゃなくて、もう大人なんだけど、俺からすると何でかわかんないけど昔から懐いてくれる可愛い可愛い女の子で、妹的存在の子玲亜ちゃんの好きな人

「なんだよね」

はぁ、まさかなぁ、あの子の…玲亜ちゃんの好きな人とは…

そう思いながら横を見る、安心した顔で、幸せそうな顔で

「すぅ……すぅ……」

と寝ていた、

「ふふ、可愛いな、」

そう言って頭を撫でる、絶対に

「生かさないと、」

さっきの言葉を思い出し、悩む、

『私はお母さんに捨てられた時からずっと消えたいなって思ってます。』

か、消えたい気持ちの子をこのまま生かすのは……

「誰がどう聞いたって『残酷』そのものだよな」

ほんとに、そう悩んでいると

「やっほ、」

と先輩が入ってきた

「ノックぐらいしてくださいよ、この子今寝てるんですよ?」

そう言うと…こっちに来て

「なんで一緒に寝てるのかなって思ったらそゆこと、服掴まれてるんだ…ほんとに好かれてるね、羨ましいよ、俺もそこまで好かれたいな、あ、」

「あってなんですかあって」

そう言うと先輩は真剣な顔つきになって

「この子がなんで蓮先生を好くか知ってます?」

そう聞かれた、考えたこともなかった、

「そんな事考えたこともなかったですよ、なんか昔からこんな怖い俺にも懐いてくれる子としか…」

そう言うと

「…そっか、この前俺聞いたの、ほら、蓮先生に甘えた日あったでしょ?」

なんで知ってるのか、夜伸先生にしか任せてないと思うけど

「あの、なんでその事知ってるんです?俺、夜伸先生にしか任せてませんけど…」

そう言うと

「ほら、俺耳いいじゃん?だからねぇ、聞こえちゃった」

可愛こぶる先輩、それと俺は遠回しな言い方は、少し苦手だ、

「要するに盗み聞きしたってことで合ってます?」

そう聞くと

「そーそ、お見事、」

と言われ手を軽く叩く、俺は呆れてため息をこぼす、そして

「悪いことしたなって思わないんですか、ほんとに」

と言うと

「んー?そりゃしたなとは思うけどさぁ?気になる話は聞きたいもん、仕方ない、仕方ない」

そう軽い口調で言う、ほんとにこの人は

「医者向いてるのか、向いてないのかよくわかんないですね、」

そう言う、

「今の発言は聞かなかったことにしてあげよう、んで?理由、聞くの聞かないの?どっち?」

「そりゃ、気になりますけど、この子が途中で起きたら、俺嫌われそうで怖いんすけど…」

そう言うと

「ん〜?あー、じゃあ部屋移動すっか」

この人今の俺の状態わかって言ってる?だとしたら相当意地悪なんだけど

「あの、今俺この子に服掴まれてて、行けないんすよ、?」

そう言うと

「そーだったぁ、ごめん、ごめん、んじゃあ、起きそうになったら話すのやめるってことで、どう?」

「別にそれならいいですけど、ていうか話していいって言われたんですか、」

一番大事なこと聞くの忘れてた、

「ん〜、夜伸先生に

『この話バレたら、恥ずかしいな、別にバレてもなんも問題はないんだけど』

って笑いながら言ってたし大丈夫じゃない?」

なら、大丈夫…なのか?

「まぁ、それなら…話聞かせてください」

「ん、わかったよ」

そう言って語り出す


「あの子が親に捨てられた時には大人が怖かったらしい、当時顔とか表情が雰囲気が硬かった、蓮先生お前には懐かないって俺ですら思ったよ、でもあの子は真っ先に蓮先生お前の元に走っていった覚えてるか?」

そう聞かれる

「覚えてます、なんでかわかんなかったですけど、大人が怖いなら尚更、雰囲気が優しい先生の元へ行きそうなものですけどね、」

そう言うと先輩も頷いて

「そうなんだよ、俺も疑問に思ってたでもこの子の話を聞いて納得したんだ」

「一体どんな話なんですか?」

無性に気になる、気になってしまう、

「親がそういう雰囲気だったから、小学二年生っていうのは親が正解の世界で生きてる、だから親の雰囲気に似てる蓮先生お前を選んだ、この子の母親は滅多に笑わなかったらしい、昔のお前にそっくりだよ。笑わないし、何をしても怒らない、この子に『無関心』だったんだ、小学一年生の時は褒めて貰えてたらしい

『自慢の娘だ』

って言われてたらしい、でもこの子の母親には彼氏がいた、その彼氏っていうのが跡取りが必要な家系だったらしい、だからその彼氏と結婚するには女じゃだめだった、どうしても

『男が欲しい』

とそう願った、この子に対しても

『なんで男じゃないんだ』

って言ってた…らしい、実際の所は見てもないし、聞いてもないから分からないが、この子の話によるとそうらしいぞ」

蘇る記憶、初めて俺の腕の中で寝た時の言葉の意味ようやく

「そういうことか、」

納得がいった、

「だから

『お母さん、ごめんなさい…男の子生まれられなくって…ごめんなさい…女の子でごめんなさい…』

だったのか」

夢で見ると言っていた、言われると言っていた言葉は

「『なんで男じゃないんだ』

に似た言葉…ってことか、」

あー、

「だいたいの点と点が繋がった、」

そう言うすると

「せんせ…?どうしたの?」

起きてたのか、起きちゃったのか、

「ん〜?起きちゃった?声大きかったかなぁ…?大丈夫だよぉ、」

そうあやす、この子はほんとに、強い子なんだな

「んじゃ、俺はお暇しますね、蓮先生、この子のことお願いしますよ」

そう言われる、

「任せてください」

そう言うと

「任せました、んじゃあね、ばいばい(蓮に一番懐いてる子)」

そう手を振る

「ん、ばいばい、」

と眠そうに手を振る

「眠い?もうちょっと寝てていいよ?」

そういうすると

「さみしい、ぜったいはなれないでね」

と甘えん坊を発揮する

「うん、絶対離れない、大丈夫だから、」

そう言い切る、

「おかあさん…みたいに、ねたあとに、いかなぃ…で…」

お母さんみたいに、か、

「大丈夫だよ、ここにいるからね」

そう言い、落ち着かせるため、背中を優しく叩く、すると安心したのかすぅすぅと寝息を立てる

「うん、やっぱりかわいい」

この子が男の子…じゃなくて良かった、この子は男の子じゃないと嫌かも知んないけど、俺からしたら、女の子だからこの子に逢えた、…ほんとに良かった、男の子だったら…絶対…跡取りにされてた、…うん、

「女の子で…良かったよ、ほんとに、」

そう言って頭を撫でる…

「女の子で…ごめん、なさい、」

…やっぱり、お母さんに付けられたトラウマはそう簡単には…解けないよね、

「大丈夫、大丈夫だからね、先生がいるから、」

そう言って頭を撫でる、

「んんっ、おかあさぁ…」

「…泣かないでよ、大丈夫、大丈夫だからね、」

そう言って、起こさないように抱き上げる

「ふふ、この子どんだけ俺のこと好きなんだ、」

少し笑いながらも抱きしめる、

「大丈夫、大丈夫だから、絶対…治す方法見つけ出すから、…もう少しだけ、生きて…」

ほんとにもう少し生きて、一緒に生きて、この子は守りたい、弟以外に初めて生まれた感情、もう少しだけ…ほんとにもう少し、

「生きて…一緒に生きよ、」

何回も思うし、何回も言う、

「神様、どうかこの子を少しでも長く生かせてください、」

神様なんているのかわかんないけど、でも頼む「お願いします」と 「どうかこの子を生かせてください」とそんなことを思っていると

「ん、んぅ」

起きたかな、

「おはよう、起きた?」

そう声をかける

「ん、おはよう…ござい…ます」

「眠そうだねぇ、おはよう…」

そう笑う

「なんかお母さんに嫌な事言われてる夢見た、もう寝たくない、…てかなんで私抱っこ?いや、抱きしめられてるんですか、?」

「あー、なんか泣いてたから抱きしめちゃった、それに自分の手元見てよ」

そう意地悪っぽく言うすると

「え!?なんで!?私、先生の白衣持って、…」

と慌てて言う彼女

「そのまま寝てたよ?可愛いなぁって思ってさぁ?」

笑いながら言うと

「うぅ、恥ずかしい、」

と照れてた、何この子可愛い、

「かぁいいね、?」

そう顔を覗き込むと

「あぅ…やめてください…恥ずかし過ぎて、うぅ…」

そう言われる、天使だね、

「女の子に生まれてきてくれてありがとう、」

そう言うとびっくりしたように俺の顔を見て、泣きそうになる

「どーしたの?なんで泣きそうなの?」

そう聞くと

「…女の子に産まれてきて、よかったんですか?男の子じゃなくても、大丈夫…なんですか?」

そう聞いてきた

「当たり前でしょ?逆になんで男の子じゃないとダメなの?先生は男の子じゃなくて良かったとさえ思うよ」

あの人お母さんと同じ人ばかりじゃないってことをまず知ってもらいたい、そうしないとこの子の闇は取れない気がする、

「あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙、」

そう声を出したくても出せないような泣き方をしている、

「辛かったね、大丈夫だよ、生きてるだけで偉いんだから」

必死に息を吸おうとしている、だから

「大丈夫、大丈夫だよ、ね?ゆっくり息吸ってぇ、吐いてぇ」

そういうと、俺の声に合わせて、息をしてくれる

「そうそう、上手、上手、上手だよー?いい子だからね、悪い子じゃない、大丈夫」

落ち着いたかな

「寝たくない、のに、体力無いから、すぐ眠…たく…なっちゃ…う、」

「ちょっと疲れちゃったかなぁ?それとびっくりしたね、自分の感情を抑えなくなっちゃったかな?」

そういうと

「多分、そうです……リハビリ…しないと…いけないん……です……けど、すぐ息切れ…とか…しちゃう…せいで、うまく…できなくて」

「そっか、そっか、ゆっくりでいいんだよ」

そうなるべく優しく言う落ち着かせるように言う

「ごめん…なさい、私、…また、寝ちゃい…そ…ぅ…です…」

「寝ていいよ、大丈夫だからね、」

こんな俺が『大丈夫』なんて言っていいのかわかんないけど、それでも言う

「大丈夫、大丈夫だからね、」


 …話を盗み聞いていた、

「大丈夫、大丈夫だからね、」

そう言って悲しそうな不安そうな顔をするあいつ

「あの子救えるのかね…ほんとに、」

と俺は言葉を漏らす

今の所救える手立ては無い、この状態で生かすのは…

「難しいだろうね、」

ってもうこんな時間

そう思い部屋に入る

「失礼、もう少しでご飯なので寝かさないでください」

そう、冷たく言い放つ、この子の前では笑顔なこいつすごいわ、

「あー、もうそんな時間ですか?わかりました、ありがとうございます」

「もうちょっとでご飯だって、起きとこっか」

そう言って起こす蓮先生の姿を見ていると

「んんっ、や、寝るぅ…寝ますぅ…」

と駄々をこねる声が聞こえた

「えー、ねんねしたらご飯食べれないよ?それでもいいの?」

そう優しく言う蓮先生

「ん、ごはん…?やら、たべゆ、たべますぅ…」

「んじゃ、起きとかないと…」

優しく言う蓮先生と眠そうに答えるあの子

「ほんと、懐いてるよなぁ、」

そう笑いながら言う、

「そうですねぇ…俺、懐かれてますねぇ、」

そう言っているあいつを見て

「笑顔増えたよね、蓮先生」

そう言うと

「そーですか?でも増えたとしたらこの子のおかげですよってあれ?寝てる?」

困惑が隠せない様子で俺も蓮先生も固まるすると

「蓮さん、ありがとう、ございます…だいすきです…」

とふにゃふにゃした声で言うあの子に

「あはは、こんなこと言われたら、起こすに起こせなませんよ…後で取り行くから置いといてください……多分まだこの子体調良くないんだと思います、こんな甘えることなんてないですもんしかも、一週間近く続いてるんですよ?、相当辛いんでしょうね…」

と頭を撫でながら言ってくる

「わかった、言っとく、」

「ありがとうございます」

そうお礼を言われて、部屋を出る


 蓮さんがお礼を言うと出ていった一条響矢先生

「今日は疲れたね、」

と蓮さんが言ってくる

「ん、つかれた、ねむたい、…でもねたら、ごはん…が」

「ん?あれ?起きた?」

そう声をかけられる

「ずっと…うとうと…してたから、おきてる」

「それ寝てるでしょ…」

呆れながら言われる

ドアをノックする音が聞こえる

「はーい」

蓮さんが答える、これ寝てた方がいいやつだ

「失礼します。これ、(蓮に一番懐いてる子)のご飯です、起きたら、食べるように言っておいてください、食べ終わったら外に置いといてくださいね、あ、一応卵とじのうどんにしいてます、まだ体調悪いと聞いていますので」

「ありがとうございます、起きたら食べるよう言っておきますね、」

子供に接する声とは違う声で…大人っぽい声

「失礼しました、」

看護師さんが外に出る音がする

「ん、出ていったよ、今日うどんだって、」

「今日もー?」

悪態をつく

「今日もって体調悪いんだから当たり前でしょ、」

また呆れられて言われる

「まぁね、今熱何度?」

「計るー?」

そう言って近くにあった体温計を取る、そして渡される

「ん、すぐ鳴るかなぁ」

そう言って脇に挟む

「すぐ鳴るよ、きっと」

2人とも黙る、この時間意外と好きなんよね、そうしているとぴぴぴっぴぴぴっと鳴った

「はやぁ、」

「ここのやつ異様に早いよね、」

そう言って慣れた手つき脇に挟んでる体温計を取る

「あちゃぁ、まだ高いねぇ」

そう言うから

「え?何度?気になるんですけど…」

見せてくる…熱は

「うわぁ、たかぁ、38度…うどんでも仕方ないですか、」

「そーだよ?ほんっと高いねぇ、」

この熱どんだけ続くんだろう

「この熱…いつまで続くんですか?このままずっと…続くんですか…?」

そう言うと

「いつまでだろうね、…俺でもわかんないや、それは、ごめんね、」

そう言って申し訳なさそうにする、

そりゃそうだろうけど、なんか、

「あ、あれ、なんで、泣きたく…なんて…ない…のに、なんで、」

急に…涙が止まんない、

少し驚いた蓮さんだけど

「大丈夫、大丈夫だよ、(小児科でのお姉ちゃん)には先生がいる、ね?、大丈夫、怖いものなんてないから、否定する人なんていないから、大丈夫」

すぐに優しい声になる、あー、すごく落ち着く

「なんか……わかん…ない……んです…けど、……涙が……止ま…ん…なく…て、」

「うん、そっか、泣いていいよ、今まであった辛かったこと苦しかったこと、全部泣きながらでいいから言っちゃいな」

そう言われ、

「今まで…小学校……中学校……っていじめ……られて……きて……でも、……そんな……こと…情けなくて……言えな……くて、…怖くて、……苦しくて、……言いたくて、……でも嫌……われる……のは嫌で……、意気地無しで、……そんな自分が……気持ち悪くて、……大嫌いで、……そんな…………私を……好いてくれる……人たち……に申し訳……なくて…」

支離滅裂な言葉で、泣きながら伝えるのだった


 君は泣きながら

「こんなの、私じゃない、気持ち悪い、大嫌い、なんで産まれてきたの、」

という、俺は君に会えてこんなに幸せなのに、なんで君はそこまで自分を気持ち悪がるのかわかんない、君とあえて俺は笑顔が増えたのに、雰囲気が優しくなったのに、なんで君は

「そこまで、気持ち悪がるの?」

「……え?」

無意識に声を出していた、ならもう聞くしかない

「なんで、そこまで気持ち悪がるの、大丈夫だよ、気持ち悪くないから」

そういうと彼女は

「普通に愛されて、普通の家庭で育ったからそんなこと言えるんだよ、先生の場合は裕福だったのかな、だから医者になれたんだよね、そしたら普通以上に愛されて、裕福な家庭で、優しい家族だったからそんなこと言えるんだよ」

そう言われた俺は

「――ぇ?」

声にならない声を発するしか出来なかった

「私は、わ…たし…は…親に愛された記憶なんてないよ、頭は撫でてくれた、でも外だけ、家に帰ったら私に聞こえる声で、

『あー、さいっあく、今日触ってしまったからて洗わないと』

って言うの、家も学校も地獄だった、家ではお母さんとお母さんの彼氏に殴られて、蹴られて、ご飯も貰えなくて

『給食あるんだから、ちょっとは親の私たちに譲ろうとか思わないの?』

って言われて、また殴られる、蹴られる。でも昔のお母さんの笑顔が欲しくて、勉強も家事も頑張ったでも、褒めてなんてくれなかった。学校でも、ほとんど一緒あー、そういえば、一番酷かったことは屋上から突き落とされたこと、死にかけたねぇ、あれは、まぁ、殴られる蹴られるがメインだったかな、確か難病が見つかって、信頼出来る子に話したら次の日には親に捨てられた子、としていじめられた、多分親がいないから相談する人いないって思ったんだろうね、」

そう言い、昔のことを思い出すかのように話すそれを聞いて

「なんで、親は捨てたの?」

ずっと気になってたこと

「それ熱出してる子に聞くかね、」

そう笑うあの子、そして、

「まぁいいか、話すよ、途中で止めれないからね、注意してね」

そう言ったから

俺は詰まって

「うん、熱出してるのにごめん、聞きたいの、」

「蓮さんにしては強引だね、」

そう言って話してくれた、あの子の過去を


 「まず…私…には…お父さんが…いないん……です。……浮気……した……らしく……て、親は……離婚……して、私は……お母さん……に…引き……取られ……まし…た。そこで…お母さんは……彼氏を…連れて……きたん……です。多分……ですけど、お父さん……いる方が……私にとって……幸せだ……って…そう…思ったん……だと……思い……ます。…確か年長……さん…ぐらい……に、それ…まで…は、幸せ…だったん……です。お母さん……に褒められ……て、裕福では……なかったん……ですけど、…でも…私は…女の子…だから、彼氏さん……に……嫌われ……て…まし……た。叩かれ……て…ました、…初めは…お母さん……が…守って…くれたん…です。

『私の子なんだから叩かないで』

って…言って…くれ……てまし……た、でも……一緒に過ごす……時間が……長く…なれば……なるほど…お母さん……は変わって……しまったん……です。お母さんが……その人と……結婚して…、その人に…依存したん……です。お母さんは……その人……の言う事…が全てで…正しい…と……思うように…なったん……です。それから、…その人…が…私の…ことを……叩いて…も、お母さんは…

『あの人が叩いた?ってことはなにか悪いことしたんでしょ』

って私を……守っ……て…くれなく……なりました、いくら……お母さんに……

『昔に戻って、』

って……言っても、

『昔?あー、あんたが男だったら戻ってたかもね、』

なんて…言われて、

『なんで男の子なの?』

って…聞いたら

『あの人の家は男の子が必要なんだよ』

って…言われ…ました、今…考えたら……跡取り…ってこと…なん…で…しょう……けど、当時の私……の頭の中……はで、はてなが…いっぱい……でした。「男の子が必要な家って何?」って……感じだったん……ですけど、ね。男の子になろう……と頑張りました……家族の前……では…男の子が…好きなもとを…好きな演技…をし……ました。…男の子の髪型の……ショートにも…しまし…た。男の子の……口調も真似…するようにしました。…でも、身体は勝手に…女の子になって……いくん……です。私は…運悪く…発育が…良い方で……小学一年生……には…胸が…少し…膨らみ……始めてたん……です、でも、男の子…になりたくて、…女の子は……嫌で、胸を……隠すために……さらしを巻いてたん……です。どうしても……男の子に……なりたかっ……たんです。でも、身体は…時間が進む事……に…勝手に……女性……の身体に……成長するん……です。嫌でした…自分が……女の子……なのを……恨みました、お母さんに……好かれないこと……は当時の私に…とっては、全て…だった……ん…です。嫌われるのは……嫌だったん……です。」

そう話してくれる彼女、男の子になりたかった、女の子は嫌だった、そう話しているうちにあの子の目からは涙がもっと出ていて、うどんは伸びきっていて、

「そっか、男の子になりたかったんだ、女の子は嫌だったんだね、お母さんに好かれたかったんだね、」

そういうと、

「はい……そして…難病が見つかりました……、そこで…お母さん……は…私を…捨てる…決心が…着いたんだ…と思い……ます。私を…捨てれば、あの人…からの好かれる…って思ったん…だと…思い…ます。それから、学校では、いじめられました、

『病院で過ごしてるやつ』『親に捨てられたやつ』

とまぁ、当時の…私に……とって、酷い…あだ名を…クラス…メイトは…たくさん…つけてきました。先生も、お母さんと同様、最初 は…守って……くれ…たん…です。でも、日が経つにつれて…それが当たり前になっていて、いつの日か私は、大人を…諦めるよう…になりました、でも蓮さんだけ…は諦められなかった、あの人たちとは違うってそう思って、でも下の名前で先生とは呼べませんでした、呼んだら嫌われるってそう思いました、」

そうしゃくりあげながら話してくれる、彼女、でも俺は

「嬉しいよ、お母さんたちと違うって思ってくれて嬉しい」

嬉しかった、最初は母親に雰囲気が似てるから近づいてきたのだとしても、関わっていくにつれて心開いてくれてるのがわかったから


 俺はボランティアで子供の世話をしていたけど、懐かれるのは少なかった、多分無表情で雰囲気が怖かったから、でも年は勝手にとって勝手に大人になって行く、誰も「大人になりたい」なんて望んでないのに、大人な対応という名の空気を読む力を求められて、そのせいで笑顔が怖かったと思う、そんな中この病院に来て、最初に担当になったのがこの子、親に叩かれてるのを間近で見て、俺が勝手に親と無理やり離した子なのに、彼女は

「しぇんせ、?」

ってそう言って怖がりながらも俺の足に抱きついてきて、だから、苦手な笑顔で

「なあに?」

って答えたの、そしたら満面の笑みで

「しぇんせ、やさしいね!」

って言われた、戸惑った、俺は優しくなんかない、よく子供たちからも逃げられる、だから

「ん〜?そー?ありがと、でも先生の笑顔怖くない?」

そういうと

「んーん、!だいじょうぶ、!こわくないよ!だってね!おかあさんね、わたしににこーってしてくんないんだもん、にこーってしてくれるのうれしい…!しぇんせ、だぁいすき!しぇんせは?」

そう言われた、どんな母親かなんて、見たからわかる、女の子に興味が無いんだろうな、だから抱き上げながら

「先生も大好きだよ〜」

そう言って頭を撫でる、すると

「えへへぇ…しぇんせのあたまなでなで、おちつくぅ…」

そう言われた、可愛かった、そう思っていると

「しぇんせ、?」

と声をかけられる、

「なあに?どーしたの?」

そういうと、

「おかあさん、またむかえにきてくれるよね!またいっしょにくらせるよね!」

って希望に満ちた顔で聞いてきた、だから、俺は大人だから

「そーだねぇ、一緒に暮らせるようになったら何したい?」

優しい嘘をついた、彼女を傷つけないように、そしたら

「んとねぇ、またいっしょにねて、ぱずるしたい!おかあさんね、おとうさんあのひときてからかわったの、いまのおかあさんもだいすきだけど、ようちえんのときのおかあさんのほうがすき!」

「変わったの?」

そう聞くと

「うん、おとうさんあのひとがきてからね、おかあさん、おとうさんがただしいってそうおもっててね、わたしがいたいことされてもね、まえみたいにね、やめてっていってくれなくなったの、ようちえんときのおかあさんのほうがすきなの」

必死に伝えてくる彼女が愛おしくて、でもどこか切なくてだから

「そっか、幼稚園のお母さんの方が好きだね、そりゃ お母さん怖い?」

そう聞くと

「んーん、おとうさんのね、いうこときいたらね、おかあさんね、いいこだねっていってくれるの、でもね、おとうさんはね、わたしがきらいなんだとおもう、だってね、いうこときいてもね、いたいことしてくるから、だからきらいだとおもうの」

そう言ってる声は悲しそうで、本当はお義父さんにも愛されたかったって口では言わないけど、…言えないのかもしれないけど、でも、そう言ってるような、そんな声で、言う…


 「――さん?、蓮さん?」

その声で現実に引き戻される、

「ん?あー、どーした?」

「いや別に何もないんですけど、ぼーってしてたので、何かあったのかなって」

俺はボーってしていたらしい、

「あー、特に何もないよ、ただねー、昔を思い出しただけだよ」

そういうと

「昔のこと?」

はてなを浮かべる君を見て、俺は

「そう、昔のこと、俺に懐いてきてくれた日のこと覚えてる?」


「そう、昔のこと、俺に懐いて来てくれた日のこと覚えてる?」

そう聞かれた、

「覚えてますなんとなくですけど、何かありましたっけ?」

私をとぼけることにしたそうじゃないと、昔の記憶が蘇ってきちゃうから

「あの時さ、俺(小児科でのお姉ちゃん)に嘘ついたんだよね」

ああ、そうだった、でも

「そんなことありましたっけ、覚えてないです。私もあの時の精神状態とか色々あって、記憶は、すっごい、あやふやで、そんなことあったっけなぁって思ってます」

そういうと、安心したような顔ででも、どこか緊張気味な顔で

「そういうことあったんだよ、俺(小児科でのお姉ちゃん)に嘘…ついたの、」 

「どんな嘘ですか?」

分かってはいるけど聞く

「昔の(小児科でのお姉ちゃん)にさ、

『お母さん、また迎えにきてくれるよね!また一緒に暮らせるよね!』

って聞かれたの、俺、傷つけたくなかったから

『そーだねぇ』

って平然な顔で答えて、…希望に満ちた顔されて、本当のことは…言えなくて、でもいつかは言わないとって思ってて、そしたらもう、高校生になってて、」

そう悲しそうな顔で言う蓮さんに

「そんなこと…ありましたっけ?すみません、覚えてなくて」

そう答える、すると

「頑張って、嘘つかなくていいよ、思い出していいんだよ、泣いていいんだよ、もう辛かった記憶に蓋をしなくていいんだよ」

って言われた、

「全部、わかって…?」

そう泣きそうになりながら言うと

「うん、全部わかってる、」

そう言われた、…そんなこと言われたらさぁ…

「なんで、私お義父さんに嫌われたの?私なんもしてない、!お母さんもなんで私守ってくれなくなったの?ねぇ、なんで、?お母さん、お母さん、大好きなのに、大嫌いなこの感情は何、なんなの、お義父さんにも愛されたかった、お母さんに戻って欲しかった、私、わたし、お母さんのこと大好きなの、でもどこかでお母さんのこと嫌いって思っちゃう自分もいて、そんな自分を消したくて、お母さんって大好きなのに、なんでかな、これねえ、なんでこんなに」

言い出したら、歯止めが効かなくなって

「お義父さん…男の子だったら…良かったの?男の子だったら、…愛してくれた?…女の子だから…ダメだった…?男の子になろうと…頑張った…じゃん、ねぇ…その努力は…無視したの…?ねえ、なんで…?なんで……?なんで………?お義父さん…!なんでぇ…」

最後の方は、声がかすれていて、自分でも何が言いたいのか、よく分かってないけどでも、これだけは言える

「お義父さんとお母さんに愛されたかったなぁ」

本当に愛されたかった、

「あ、うどん……」

そう言うと蓮さんは笑って

「もう伸びきってる…どーする、?食べる?新しいの作って貰う?」

そう言われた

「お腹空いてないから、申し訳ないけど、いらないです」

そう言うと

「そー?んじゃ、紙貼って外出しとくね、」

そう言ってササっとしおりに

「本日お腹がすいてないらしく、作ってくれて申し訳ないのですが残します。」

と書いて外に出す、そして、

「そろそろ寝る時間だよ、一緒に寝よっか」

蓮さんがそう言ってベッドに入る私はそれを見て

「ん、寝ますっ!」

そう言ってベッドに入る、それで、私は夢に落ちる、ifの世界の夢に


 こえがきこえる、だれのこえだろう?、どこかききおぼえがある、

「なんでウワキなんてするの!(可愛い可愛い一人娘)もいるのよ!」

「なんでってしかたないだろ、もうおまえをもうおんなとしてみれなくなったんだから、」

けんかしてるこえ…だれだろう、みにいこう、かいだんを1だんづつおりる、りびんぐのどあをそっとあける

「おかあさん?おとうさん?どうしたの?」

めのまえのおとなはびっくりしてて、とっさに…こえがでた、…え?なに?おとうさん?

「ん?どーしたの?(可愛い可愛い一人娘)、?」

そうおとうさん?がきく

「けんか?」

…だよね、?

「ん〜?だいじょうぶだよ、?おとーさんとおかーさんなかよしだから、けんかなんてしないよ?いっしょにねにいこうか」

おかあさんにそういわれる、

「うん!ねにいく!おとうさんおやすみなさい!」

「うん、おやすみなさい」

そういってかいだんを1だんづつあがっていく、

「…ごめんね」

そういうおかあさんのめにはなみだがたまってて、

「おかあさん?どうしたの?なんかあった?」

わたしはおかあさんのあたまをなでる、そうするしかなかった、

「おかあさんね、おとうさんとおわかれしたい、おとうさんわるいことばっかりするから、だから、…ごめんなさい」

そういわれた、あーこれ、ゆめだ、これからどうなるのかしってる、

「んーん、おかあさんだいじょーぶだよ、!わたしはおかあさんとずっといっしょだから!」

そういう、…いまかんがえれば、ここからまちがったのかもしれない、でも、へんじかえたらだめなきがする

「ありがとね、おかあさん、もうすこしおとうさんとたたってみるね、ん、おへやついたよ、いっしょにねんねしようね、」

そういわれ、せなかとんとんされる、そしてねる、


 きがつくと、ようちえんにはいってて、

「おかあさん!」

わたしはおかあさんにだきついてる、おかあさんも

「ん〜?なにどしたの?きょうあまえんぼうさんだね、」

っていってあたまをなでてくれる、それがうれしくて、でも、ねんちょうぐらいに…


 「(私の可愛い可愛い一人娘)、あたらしいおとうさんだよ〜」

…このひとだ、わたしのおかあさんをかえたひと

「はじめまして、(連れ子)ちゃん、これからよろしくね」

「よろしく…」

おかあさんのうしろにかくれる

「ひとみしり?まぁ、そりゃこわいよね、きゅうにしらないひとがきてきょうからおとうさんだなんていわれても」

…おとうさん、?あたらしいひと、

「――さん、」

おとうさんのなまえをよぶすると

「ん〜?なあに?」

とよそうがいのはんのうがかえってきておどろく、

「どーしたの?」

そういわれる

「…たたかないの?」

そうきくとびっくりして

「なんのためにたたくの?おれ、そんなおこりっぽいなかんじじゃないよ?」

「なんのはなししてるのー?」

おかあさんもかいわにはいってくる

「いやぁ、なんかこのこがさ、?おれのことをなまえよびしてきて、ふつうにたいおうしたらなんかびっくりして、たたかないのかってきいてきてさ、なんでたたくとおもったんだろうね、?」

「あー、もしかしたらむかしのおとうさんのことがずっとのこってるんだとおもう」

ちがう、ちがうの、おかあさん、だまされないで、

「あー、なるほど、きょういっしょにねるかー?」

そうきいてくる、しんじていいの?

「んと、ねたい…です」

「いーぞ?ねるかぁ、ほらおかあさんも!あらいものとか、あしたおれがしとくから!」

そういってわたしとおかあさんをいっしょにあがらす、そういえば、このゆめにきてからたたかれてない、…これがあいなの?

「――さん、…」

そういうと

「ん〜?どーした?」

「だっこ、してほしいです、」

そういうとこどもみたいにめをかがやかせて

「いいのか!?(可愛い娘)ちゃんがいいのならぜんぜんするぞ?」

そういって、だっこをしてくれる、あー、こんなせかいせんなら、いっしょういたい、

「おとうさん、みて、これ、」

そういってしょうじょうをみせるすると

「え!?すごいじゃん!じまんのむすめだよ!おかあさんにもみせないとな!」

そういっておかあさんにもってくおとうさん、

「おかあさん、これみてよ!(可愛い娘)がかいたやつでとったんだって!すごいさいのうだよな!」

そう言ってくれる、うれしい、おかあさんも

「すごいわね!じまんのむすめよ!これかざりましょうか、!」

そういって、りびんぐにかざってくれるうれしいな、

「おとうさん、」

そうよぶと

「ん〜?どーした?」

「おとうさんのおうちっておとこのこ…がいるの?」

そういうとわらいながら

「どこでだれにきいたんよ、?それ、まぁね?いるけど、べつにおとうさんことわることもできるからね?『(可愛い娘)がかわいすぎて、おとこのことか、いやです』

っておとうさんのほうのおじいちゃんおばあちゃんにいえばすむはなしだからきにしなくていいよ、?」

あー、このせかいせんならずっといたいここにずっとすみたい

「んぇ!?なんでないてるの!?おれ、いやちがっ、おとうさんなんかいった?」

「あー、ないてるぅ、おとうさんなかしたでしょ?」

かじをしていた、おかあさんがきてそういう

「なかしてないから!」

「おとうさん、おかあさん、」

そうなきながらひっしにつたえるするとふたりとも

「ん〜?どーした?」

といってくる、いうんだ、

「すてないでね、」

そういうすると

「すてないよこんなかわいいこすてるわけないじゃんか、ねっ?」

とおとうさんがおかあさんにきくおかあさんもうなずいて

「うん、すてるわけないよ?なんで、すてられるなんてっておもっちゃったの?」

そうきかれる、あれ?なんでだっけ?

「わかんないけど、ふあんになった」

わすれちゃいけないのに、わすれたい、このままのほうが…いいんじゃ…


 …あれ?ここはびょういん?なんで?

「せんせい!このこがナンビョウってどいうことですか!」

このことば、あ、あ、

「おかぁさ、やら、やら、すてちゃ、やら、」

そうなみだごえでいうと

「だいじょうぶ、だいじょうぶ、すてない、すてない」

そういってだきしめられ、あたまをなでられる

「おとりこみちゅうもうしわけございません。おかあさまがっこうのことで、すこしおはなしが」

れんさんがそういう、あれ、なんでこのひとのなまえわかって、

「すみません、むすめさんのまえでもだいじょうぶでしょうか?」

「……きく、」

そうおかあさんだけにきこえるこえでいうと、

「ん、わかったよ、だいじょうぶです、このこ、ここにきてからべったりで、すこしこわいかな、?」

「…わかりました。それでははなさせていただきますね、がっこうはフツウガッキュウでモウしブンないです。ですが、はげしいうんどうは…なるべくさせない方がいいかと、…それと…タイヘンイイガタイのですがニュウインをされた方が(お母さんの娘)さんてきにもながく、カイテキに…すごせるかとおもいます。じゅうぶんにごかぞくではなしあってください」

そうむずかしいことばをならべる、せんせい、

「わかりました、」

おかあさんのことばがやさしくて、

「んじゃ、くるまでおとうさんまってるからおかねはらっておとうさんのところいこっか」

そういっててをつないでくれて、

「うん!おとうさんのところいく!」

「せんせい、ありがとうございました」

そういって、あたまをさげるおかあさんそしてどあをしめる

「おかねはらっておとうさんのところいこっか?」

「うん!いく!」

そういっておかあさんのてをにぎる、


 くるまにもどるとおとうさんがまってて、

「おそかったなぁ、どーした?」

とそうきいてくる

「じつは(可愛い娘)ナンビョウらしくて、ニュウインさせるかどうかわたしたちではなしあってって言われて、」

「あー、なるほど、ニュウインしたら…すこしでもながくいきれるってことか、」

はなしあってるのをきく、

「(可愛い娘)はどうしたい?」

そうきかれて、あせる、

「わ、わかんない、…」

そう、なきそうになりながらかたまっていると

「まあ、そりゃ、わかんないよなぁ、」

ききたい、

「おとうさんおかあさん、」

ふたりにそういうすると

「ん〜、どうした?」

とおとうさんがきいてくる、きくんだ、

「ニュウイン?ってのしたらおとうさんとおかあさん…あいにくる?ひとりにしない?」

そうきくすると

「しないよ、ぜったいまいにちあいにいく、おとうさんとおかあさんぜったいいくから、しんぱいしなくていいんだよ、」

「…おかあさんたちと…すごしたい、あそこは…なんかこわい、」

そういうと

「ん、わかった、こんどおかあさんだけであそこいってくるね」

「うん!」

…ずっとつづけばいい、このゆめがずっと…

そうねがっているのに、なぜかいしきがふわふわしてきて、

 

 …ん、あれ、ここは…現実…なんで、

「ん?起きた?おはよう、」

蓮さん、

「お母さん、は?お義父さん、は?蓮さん、」

そういうと、蓮さんは涙目になって

「大丈夫、大丈夫だから、」

そう抱きしめてくれた、あぁそっか、

「幸せな夢だったなぁ、お義父さんに愛されて、お母さんにも愛されて、ここならって思った、この世界ならずっと…ってでも、そうだよね、所詮は夢だもんね、」

そう言うと、蓮さんが強く抱き締めてくれる、

「幸せな、世界、」

そうつぶやくそれに返すように

「はい、……幸せな世界線でした、……お父さん……とお母さん……は離婚……したんです…けど、ここまでは…現実と一緒…でした、でも、…そこから…違いました、新しい…お義父さん…は、私が…女の子…でも…褒めて…くれました…、認めて…くれま…した、…一緒に…寝てくれ…ました、賞…をとると『自慢の娘だ!』って…言って……リビングに……賞状…やトロフィーを…飾って…くれ……ました、お母さんも…褒めて…くれま…した、この…世界…がずっと…続けばいいのに…ってそう……思いました、愛されたい……って願いが叶った……世界線夢の中でした、」


「はい、……幸せな世界線でした、……お父さん……とお母さん……は離婚……したんです…けど、ここまでは…現実と一緒…でした、でも、…そこから…違いました、新しい…お義父さん…は、私が…女の子…でも…褒めて…くれました…、認めて…くれま…した、…一緒に…寝てくれ…ました、賞…をとると『自慢の娘だ!』って…言って……リビングに……賞状や…トロフィーを…飾って…くれ……ました、お母さんも…褒めて…くれま…した、この夢…がずっと…続けばいいのに…ってそう……思いました、愛されたい……って願いが叶った……夢の中でした、」

私は病室の外で聞いていた、私からしたら、賞を取ったら褒めてくれるのは当たり前なことなのに、あの子からしたらその『当たり前』は『幸せ』なんだってそう思いしらされた、どんな過去があるんだ、あの子には、

「どんな昔が隠されてて、なのになんであんな明るいんだ」

と小声で呟く、すると運悪く

「ほんとだよね、あの子はなんであんな明るく振る舞えるんだろね、」

と声が聞こえた、

「こんな所で何してるか知んないけど、入ったら?勉強しに来たんでしょ」

「そう…ですけど、あなた誰ですか、」

そう聞く、すると

「ん〜?俺?あー、自己紹介まだだったねぇ、ごめん、ごめん」

と軽く言って、

「俺は、蓮先生の先輩一条響矢だよ、よろしくね、(蓮に一番懐いてる子)のお友達さん」

そう頭を下げられる、

「私も自己紹介します、」

お友達さんと呼ばれるのがなぜかしゃくで

「ん、どーぞ」

そう言われて私は自己紹介をする

「私は(私の好きな人)の親友の川上玲亜って言います。よろしくお願いします」

私も頭を下げるすると

「よろしくねー、そろそろ入った方がいいんじゃない?話も終わったらしいし、」

この人ほんとに先生かって疑いたくなる明るい声に、なんとも思ってないような表情、一条さんはドアを開ける

「やっほー、お友達来てるよー、なんだっけ?勉強会?するんでしょ?もちろん、蓮先生も一緒にそーだよね?」

そう言ってこちらを見る、あの子も

「あ!玲亜ちゃん!今ね、なんの話ししてたっけ?」

そう言ってお兄ちゃんの顔を見るお兄ちゃんは

「あー、早く来ないかなぁって話してたの、」

「そーそ!」

明るく振る舞うあの子、そこにお兄ちゃんが

「(小児科でのお姉ちゃん)がさ、

『蓮さんの教え方は、ほんっとに感覚だから玲亜ちゃんついてこれるかな?』

って、すっごい心配してたんだけど、どう思う?俺だって教える時は教えますって言ったんだけどさ

『あの蓮さんがどうやって教えるっていうのしかも、中学生の勉強でしょ?ほぼ感覚って言ってたじゃん』

って呆れ気味に言ってきてさぁ、すっごい心配してるの」

「そうなの?お兄ちゃん、頭良かったの?」

そう、驚くと、あの子は

「玲亜ちゃんもか、お医者さんって、頭が良くないとなれないんだよ」

って呆れながら言われた

「あー、そっか、医者になれるって相当頭いいのか、」

お兄ちゃんが医者だと言うことを改めて実感する、お兄ちゃんは昔から勉強してるイメージ無いし

「んじゃ、勉強会楽しんで〜」

「え!?ちょっ、一条先生!?」

そうあの子に呼び止められて一条さんは振り返る

「んぁ?なに?俺他にも仕事あるんだけど?」

そう笑いながら言う

「あっ、いや、なの、一緒に…勉強会したいなって思いまして、、ほら蓮さん教え方、すっごい感覚で私でもカバーできるかわかんないですし、…勉強しっかりしてきた、一条先生なら、ね?」

そう言って、戸惑いながらも一条さんを必死に止めようとする、…なんでだ、

「あー、なるほど、つまり、蓮先生を一人にすると、いくら病院だからと言ったって、女子高生二人の成人男性一人というのはいかがなものかって言ってる?…てかその解釈であってる?」

あー、なるほど…

「全部ばらさないでもらっていいですか?まぁ、そうですけど、遠回しに伝えたんですから、話合わせてくださいよ、」

と呆れながら一条さんに伝える

「あー、ごめんごめん、まぁ、いいよ、一緒に勉強会しようか、蓮先生の教え方が感覚っていうのはわかるしね…」

そういってお兄ちゃんの方を見る一条さんお兄ちゃんは少し落ち込んで

「二人揃ってそんな事言わないでよ、もう」

と拗ねてた、

「だって、そうでしょ、」

とそう言うあの子と 

「蓮先生、そんなに言うなら教えてみてよ、玲亜ちゃんに」

そう言う一条さん

「わかった、ちょいこっち来て、」

そう言われてお兄ちゃんの横に座るそして、

「んと、?好きな教科が…数学…?数学のどこがわかんないのよ?」

そう聞いてくる

「んと、方程式…わかんなくて、」

そう言うと

「…え?ごめん、方程式のどこがわかんないの?簡単じゃん」

あー、ね?そゆこと、?

「えと、この問題なんだけど…」

私が指を指した問題は「x+3=9」という問題、お兄ちゃんは

「…これのどこが難しいの?簡単じゃん、まず、

 x+3=9

 x=9-3

 x=6

ってことで答えは…6、…何がわかんないの?」

紙にスラスラと書く、悪気のない一言が私に刺さる

「いや、なんで、マイナスになるの?そこがわかんないの」

そういうと隣で見ていた一条さんが

「あー、そこ俺もつまずいたわ、難しいよね、そこ、天才の蓮先生にはわかんないよ」

そう笑いながら言う

「なんでマイナスになるって、そういうものだから…としか考えたことないよ、」

そう言う、お兄ちゃん

「俺が教えるから、」

と言って、お兄ちゃんの席を奪い教えてくれる一条さん

「これさ、まず『xを求めなさい』って問題なのね、」

そう言って教えてくれる

「x+3=9って問題なんで蓮先生がスラスラ解けたかってさ、x+3をxだけにしようと思ったら、何すればいい?」

そう聞かれて、

「んと、3を引く…」

そういうと

「うん、正解、3引いたらxだけになるよね、でもさ、イコールって同じですよーって意味だから、」

「左を3引いたら、右も3引く」

そう言うと軽く拍手をされる

「わかってるじゃん、そうだよ、そういうこと、

 x+3=9

これは、今の式を使うとどうなる?」

「んと、

 x+3=9

 x+3-3=9-3

ってなって、x=6…だから答えは、6、」

そういうと今度は

「せーかい、すごいじゃん、ちゃんとわかってる」

そういって一条さんが頭を撫でてくれる、お兄ちゃんはというと

「…そっからなの、?」

と少し冷めた目で見ていた、やめてくれ、その目は私に突き刺さる、そう思っているとあの子は

「一条先生の教え方すごいでしょ、いつも蓮さんに聞いてわかんない所は一条先生に教えて貰ってるんだ、それと私の言ってる意味わかったでしょ?蓮さんの教え方が感覚だって」

とそう笑っていた、だから

「うん、お兄ちゃんの教え方が感覚だってわかった気がする…これから一条さんに教えてもらおう、」

そういうとお兄ちゃんは

「…だって、そこからだと思わないじゃん、」

と言い訳をしていた、私も思うよ、高校三年でこれ……私医者になれるのかなって

「玲亜ちゃん…?大丈夫?」

そう聞かれハッとする、

「ん?あーうん、考え事してた、ごめんごめん、」

そう軽く流す、すると声が聞こえた

きょう、熱あるんだってな、フラフラしないか?大丈夫か?」

「うん!ぱぱ、ありがとう!大丈夫だよ!」

声が聞こえて、あの子が固まる、…どうしたんだろう、そう思っているとお兄ちゃんが

「先輩、すみません、あの外にいる親子少し離れさせてくれませんか?」

とそう言う、一条さんは何かを察したように

「わかった、蓮先生は(蓮に一番懐いてる子)を落ち着かせといてよ?」

「わかってますよ、」

何が起こってるのか分からない、わかんないけど、あの子にとって、パニックになる要因ってことは理解出来た、

「お兄ちゃん、なんか出来ることない?」

気づいたらそんな言葉が出ていた、

「(小児科でのお姉ちゃん)の耳塞いでてくれる?」

そう言われた

「わかった、」

そう言って手で耳を塞ぐ、泣いてる声が聞こえる

「大丈夫、大丈夫だから……、」

そういうと

「玲亜…ちゃ、」

そう言って、私の手をあの子自身が耳に押し当てる、もっとして欲しいってことだろう

「大丈夫、大丈夫、」

そう言って頭を撫でる、お兄ちゃん、

「離れさせたよー」

とドアを開けて入ってくる、一条さん、状況とテンションが合ってなくて、

「…状況考えてください?」

と少し怒る、すると

「ごめん、そうだね、年下に怒られちゃった、」

と少し落ち込む、そしてあの子の方を見ると

「すぅ……すぅ……」

と寝ていた、聞くか、

「……お兄ちゃん、」

そう呼ぶとお兄ちゃんは

「ん?何?」

と言って、目を合わせようとしない

「…目合わせて、お願い、あの子に何があったの、何があって、固まって、何があって、パニックになりかけてたの、教えて」

そう言った、…聞きたいこと…だからでも、口を開いたのは、

「…それを蓮先生に聞くのはお門違いってやつだよ、医者にも守秘義務っていうのがある、」

守秘義務…?

「何それ、?」

そういうと

「簡単に言うと、この子にとって隠しといて欲しいことを医者とか、学校の先生とかが勝手に言ったらだめって言う法律、まぁ、俺が言えたことじゃないんだけどねぇ、」

そう言って笑う一条さん、場を和ませようと引きつった笑顔、そこで、

「…ごめん、話せない、」

そう言って、お兄ちゃんに頭を下げられる、

「……そっか、法律…」

こんなに法律を憎んだのは初めてだった、法律がなければって思った

「……ん、お義父さん、」

おとうさん…?

「うなされてる、起こすか」

「そうですね、」

そう言って起こす、お兄ちゃんと一条さん

「ん、?蓮…さん?」

「そーだよー?蓮先生だよ〜?どーした?」

お兄ちゃんの声が突然甘くなる

「お義父さんの声…?した、?きょうって…誰?」

あー、なるほど、おとうさん…か、それに黙ってるお兄ちゃん

「(小児科でのお姉ちゃん)、」

そう声をかける、お兄ちゃん

「…?なん…ですか、?」

そう聞き返す、あの子

「…お義父さんの息子さん、新道しんどう恭くんが、高熱出てて、…この部屋しか…相室出来るところ空いてなくて、…ここに、恭くんが来る、…ごめん、俺の立場じゃ、部屋を変えてくれって…ことは出来なくて、」

と悔しそうに言う、お兄ちゃん、あの子は

「……仕方ない…ですよ、恭くん?には罪は…ないんですから、親に…叩かれた…り、ご飯抜きにされたことを言わなければ…いいん…ですよね?恭くんの…親の像を…崩さなければ…いいん…で…しょう?」

そう言って、笑う、

「…うん、ごめんね、」

「んーん、大丈夫です、外で待ってるんですよね入ってくれて大丈夫ですよ」

そういうとあの子のお父さんと弟くんが入ってきた

「はじめまして」

と、お父さんと弟くんに伝えるあの子、お父さんは少し驚きながらも話を合わせる

「はじめまして、優しそうな人で良かったです、ねぇ、恭?」

「うん、!お姉ちゃんが優しそうでよかった!」

あの子は、恭くんの笑顔を見ると、泣きそうになってて、

「すみません、ちょっとお手洗い行ってきますね。玲亜ちゃんごめんついてきてもらっていい?私、リハビリしてないから、さ、すぐちょっと息苦しくなっちゃうんだよね」

「えっ、それなら先生の方が」

そう、私が言うと

「ほら、先生はさ、あの、あのさ、あの、えっと、あの、きょうくんの病状の説明で忙しいからさ、だからお願い」

そう言って、私を部屋から引っ張り出す

「急にごめんね、巻き込んじゃって」

そう、乾いた、笑いを漏らす、あの子に

「いや、それは大丈夫なんだけどさ、お父さん優しそうな人だね、お父さんなら、あの子を守ってくれそうだし、あの子のこと大好きなんだね、」

そういうと、ちょっと悲しそうな顔になって

「親は何時でも子を守るとか、子が大好きなんて思わないよ。いや、…思えないよ。だって、」

「あれ?(娘)?」

と、声をかけてきたのは

「お母さん?」

あの子の母親に当たる人だった

「恭くんはどこにいるの?あー、よかった、お前捨てて、お前捨ててね、すぐ、あの子は私のお腹に来てくれたんだぁ、恭くんにお前みたいなやつが姉だってばれないようにね?んで?部屋は?」

「私と相室になりました、お義父さんとお母さんがいる時は、部屋に入らないので、ご安心ください。親子水入らずの時間を楽しんでください、では、私はお友達とお手洗いに行ってきます、」

死んだ目でそういうあの子

「いい気遣いじゃないの、んじゃ、お友達とお手洗い行っといで、ってか、一人でトイレできんの?あの時みたいに漏らさないようにね」

そう言って部屋に入っていくあの子の母親、あの時みたいに?まぁいいか、

「ごめんね、トイレ行っていい?一緒に来てくれるとありがたいんだけど」

そう言って、少し震えてるあの子

「大丈夫だよ、行こっか?」

そう私が言って、お手洗いに行きながら話す

「お母さんってさ 厳しい人なの?」

そう聞くと笑いながら

「多分、私にだけ、いや、違うか」

そう言って悲しそうな顔をしながら話す

「昔ね、実の……お父さんと……あの…お母さんが……離婚…したの…原因は、…お父さん…の浮気、 …でも、今思えば…、違かったのかな、?わかんないけど…ね……? それで、さ?あの…新しい…うーん、違うな、恭くんの…お父さん…いたでしょ?」

「うん、いた、」

そう言うと、

「あの人が…来てね、お母さん…変わったんだよねー…、私を…叩くよう…になった…の、あの人が……最初……来た時は……、そんなことなかったのに……守って…くれた…んだけどなぁ……、なんでかなー、?わかんないん…だけどねー、?私も…お母さんの…お腹から…出てきた子……だとは…思うんだけど…、なんで…こうも私と恭くんで……こんなにも…対応違うかなぁ、…恭くんみたいに…愛されたかったなぁ、…私も、…私も…愛され…て、玲亜ちゃん…みたい…に思いた…かっ……たな、なんで…だろうね」

そう言って笑う、涙目になりながら、笑う、そんなあの子を見てると

「(私の好きな人)」

呼びかけてしまう

「んー?どうしたの?」

なんとでもない返事が返ってくる

「何もない、とりあえず、トイレ行きたいんでしょ、行こう」

そう言って、あの子の手を引っ張る、振り向いたら、涙が出そうだから

「えっ、ちょっ、何いきなり、?」

そういうあの子に、私はどう返したらいいのかわかんないでも

「トイレ着いたよ、しておいで」

一生懸命涙声にならないように話す、それが今できる精一杯だった、そんな時トイレからバタッと倒れる音がした、嫌な予感、トイレに駆け込む

「ぁ、ぁ、」

先生

「呼ばないと、」

そう思っても、足は動かない、そこに広がってた景色、それは、


 トイレから帰ってくるのが遅い、

「どーしたんだろ、」

そう声を漏らす、すると

「ん?何が?」

と先輩の声が聞こえた

「…お手洗いから帰ってくるの遅くないですか?途中で休憩してるにしても、」

「女の子には特有の日があるでしょ、それで遅れてるんじゃない?」

そう言われる、

「それも、そうか、」

でも変な感じがして、そわそわする、するとドアが勢いよく開く

「お兄ちゃん!(私の好きな人)が…!」

玲亜の声は震えていて、たってるのも、必死で、でも、走ってきてくれたんだろうなってわかる、息遣いで…

「どしたの?そんなに慌てて、なんかあった?」

そう聞くと信じられないことを聞く

「(私の好きなの人)がトイレで倒れてる!」

「え…?すぐ行く!」

そう言ってドアを開けて走る、時間が長く感じる、

「ついて行けばよかった、説明なんて、先輩に任せればよかった、俺のせいだ、」

「おにi…蓮先生、今は自分を責める時間じゃないでしょう?1番いい手を…尽くして、」

そう言われた、…

「わかってる、」

トイレに着く、女子トイレ…入るか、

「すみません、ここの医者の如月蓮です、(小児科でのお姉ちゃん)がどこにいるか知ってますか、知ってたら教えてください」

そうトイレに入っている、人に呼びかける、

「…この子かな、」

と声が聞こえた、そこに行くと、確かに彼女がいた、大丈夫、大丈夫だ、俺は…医者なんだから、この子の担当医…なんだから、

「ありがとうございます。少し抱っこするよー、大丈夫、大丈夫だからね」

「蓮…しゃ…?」

声が聞こえた、意識は…あるね、

「そう、蓮さんだよー、大丈夫、お部屋に戻ろうね、」

そう言うと

「…お部屋、は、や、親子、水いらず、だから、だめ、」

…親子水いらず?あー、なるほど、

「んじゃ、相談室行こーか、」

「…ん、玲亜ちゃ…も、」

そう言われることは何となくわかってた

「うん、もちろん、玲亜ちゃんも一緒だよ。ね?」

そう言うと

「ん、いっしょ、」

そう言って寝てしまった、

「…相談室、行きますか、」

そう言って、トイレを出る、すると駆け寄ってくる、玲亜ちゃん

「お兄ちゃん!(私の好きな人)は、?」

不安そうに聞いてくる

「ここで、安心したように寝てるよ、」

そう言うと安心したのか

「良かったぁ、」

と膝から崩れ落ちた玲亜ちゃんが立つのを待っていると

「…ねぇ、お兄ちゃん」

と言われた、だから

「んー?どした?」

そう言うと

「部屋に…帰る?」

そう聞かれた、

「戻らないよ、」

そう言うとほっとした顔になって、

「良かった、」

とそういった、

「(小児科でのお姉ちゃん)さ、どうして部屋に戻りたくないか知ってる?」

そう聞くと少し詰まって

「知…ってる、でも…言っていいのか、わかんない、それに…ドア越しで…聞こえてたと思うし、」

ドア越し…あんまり聞こえなかったんよね、まじでね、なんであの親子の声が聞こえたってお父さんがあの子の病室って知った上で、大きく話してたから、なんだよね、

「それがねー、あんまり聞こえなかったんだよー、基本的に病院の部屋のドアって防音なんだよね」

いうと、驚いた顔になって

「えっ、なんでじゃあ、なんであの親子の声は聞こえたの?」

まぁ、その質問してくるよねー

「うーんどう言ったら伝わるかなーこれ、病院の部屋ってさ、あんまりドア越しではね、聞こえないようになってんのよ、会話とかがそれなのに聞こえた。なぜか、答えは簡単なんだよね」

そういうと少し黙った後に玲亜ちゃんは、こう答える

「……お義父さんがわざと声を大きくして、返事させたから、でも、なんで、?」

そこまでは…わかんないか、

「うん、そう、お義父さんがわざと声を大きくしたから、理由は、…」

こんなことを…言っていいのか、大人と闇を…こんなまだ、大人になりきらない、子に言っていいのか、

「お兄ちゃん、教えて、」

そんな目で見ないでよ、

「わかった、でも大人の闇だよ、それでも聞くの?」

そう言うと

「聞く、聞かせて、」

「分かった」

そして、話す

「きっと、まだ生きてることを恨んでるんだよ、なんで難病のくせに何長く生きてんだって、さっさと死ねよってだからパニックにさせたの、トラウマである自分の声を聞かせて、パニックにでもして少しでも早く死ぬようにしたでも、俺らがいることは予想外だった、」

言葉を失っていた、それもそうか、そりゃあね、ようやく立てた様子で

「どこに……行くの?」

とそう聞かれた、だから

「んとねー、(小児科でのお姉ちゃん)と昔使ってた部屋だよ、物置にもなんにもしてない、この子の好きな物だけでできた部屋」

そういうと、目をキラキラさせて

「行っていいの?そこ」

って聞いてきた

「うん、別にこの子がいいよって言ったしね」

本当に言ったからね、いいよっていうか、まぁ、玲亜ちゃんも、って感じだったけど、でもまあいいよってことでしょ

「玲亜ちゃん…」

起きたのか、そう呼びかける。腕の中にいるこの子玲亜ちゃんは

「んー?どしたの?無理して話さなくていいのよ、?」

「ごめ…ね、巻…込…で、」

そう、謝る彼女に玲亜ちゃんは

「いいんだよ、別に、巻き込んでも、私たち親友でしょ?」

と言って、頭を撫でるそんな彼女たちを見て、俺は

「二人とも大きくなったなぁ」

と、そうこぼす

そこで、あの子が

「蓮さん、?あ、あの、下ろしてください、は、恥ずかしいです」

本当に目が覚めたのであろう、

「だーめ、倒れたんだから、少しは甘えなさい」

そう言うと恥ずかしそうに

「……ん、わかりました、」

そう言うのだった


 私は気づいたら、お手洗いで倒れてた玲亜ちゃんの真っ青に染まった顔、それで理解できた、あー、私倒れたんだなって、原因は、あの人の声とお母さんに言われた言葉、だろうね、玲亜ちゃんは何分か固まっていたけど、走ってどっかに行ってしまった、多分先生呼びに行ってくれたんだろう、数分もしないうちに病院にいる人たちが使う、トイレだから、女の人も入ってきた。まぁ当たり前なんだけどね、ここ女子トイレだし、私はあいにく見つかりにくいところで倒れた、だから、あんまりバレない、バレて、悲鳴あげられても困るし、耳痛くなるのは勘弁、そう思っていると玲亜ちゃんと蓮さんの声が聞こえた。何かを喋っているみたいだった。何かはうまく聞き取れないけど話している、

「す…ませ……、ここのい……のき…らぎれ……す、(小児科でのお姉ちゃん)がどこにい…か知…て……か、知…てたらお……てくださ…」

蓮さん、私はここにいます。ここです。見つけてください、死ぬのはまだ…嫌です。怖い……です。助けて……ください、と思っていると

「…この…か…」

女の人の声、そして、蓮さんが来る、少し不安そうな顔をしてでもすぐに笑顔を作って、私に

「す…しだ……す…よ、だ…じょ…ぶ、だいじょ…ぶだ……ね」

「れんしゃ、」

絞り出した声、なかなかうまく喋れなくて、でもわかってくれて、安心したような顔をして

「そう、れ…さ……よー、だ…じょ…ぶ、お…やにもどろ…ね、」

おや…?お部屋、…お部屋は、

「…お部屋、は、や、親子、水いらず、だから、だめ、」

必死に伝えるどうか分かってくれますようにと、そう願いながらわかったって顔をして

「んじゃ、そ…だ…しついこー…」

相談室なら玲亜ちゃんも

「…ん、れいあちゃ…も、」

そう言うと

「う…も…ろ…れ…あちゃ…もい…しょ……ね?」

そう言われ安心した、蓮さんの腕の温かさもあって、ウトウトする、

「…そう………つ、……ま…か」

何言ってるの、?わかんない、目も…開かない、…トイレから…出た…?ガヤガヤとまわりの音が聞こえる、

「お……ちゃ…………………は?」

玲亜ちゃんの声が聞こえる、

「……で、あ…し……した……に……るよ、」

…蓮さん、何…?わかんない、

「……った、」

なんか、玲亜ちゃんの方から音したけど怪我でもしたの?大丈夫?色んな会話してるけど、聞き取れない、

「………………………さ、ど……てへ……も…りた…な…かし……る?」

…ようやく、聞き取れた、?…え?私の名前?…何?何を言ってるの?わかんない、

「ね…、お……ちゃ…」

…頭がふわふわする、倒れた衝撃でかな、…でも聞かないと、行けない気がする、

「し………る、で……いって……のか、わ……なぃ、そ…に…ド…ご…で…き…え……とおも…し、」

……何?言ってる?わかんない

「そ……ねー、ぁ……りき…えな…った……よー、き……てきにびょ…い…のへゃのド…ってぼ…んなん……ね」

軽く答えてる?どういう……会話?わかんない、でも、私のことだよね……?

「えっ、な…でじ……な…であのお…このこ……き……たの?」

どんどん意識はっきりしてきた、まだ目は開けれないけど、大丈夫、大丈夫

「う……ど……ったらつ……るか…なーこ……びょ…い…のへゃ……さ、あ…まりド……しではね、き……な…よう…なって…のよ、か…わとか…そ…な…にき…えた。な…か、こ…えはか…た…な…だ…ね」

何とか聞き取れてはいるけど、玲亜ちゃんも、蓮さんも、どうしたんだろう、黙って、

「……お……さんがわ…とこぇ…お……く…て、へ…じさせ……ら、で…な……で、?」

と玲亜ちゃんの声が聞こえた、

「うん、そう、お……さ…がわ…とこえを……きくし…ら、り…うは、…」

詰まる蓮さん、何を言おうとしてるの?

「おに…ちゃ…、お…え…、」

…聞こえてきた、何言ってるか、わかる、推測だけど、「お兄ちゃん教えて」って言った、はず、

「わ……た、でもお…なのや…だよ、それでも…くの?」

…やみ?おんなの?おとなの?…おとなかな、文的には

「聞く、聞かせて、」

「分かった」

……よし、ばっちり聞こえた、

「きっと、まだ生きてることを恨んでるんだよ、なんで難病のくせに何長く生きてんだって、さっさと死ねよってだからパニックにさせたの、トラウマである自分の声を聞かせて、パニックにでもして少しでも早く死ぬようにしたでも、俺らがいることは予想外だった、」

まぁ、あの人の考え的にそーだろうね、蓮さんたちがいてくれて助かった、いなかったら私今頃、考えるだけで怖いよ、

「どこに……行くの?」

そう蓮さんに聞いていた、蓮さんは

「んとねー、(小児科でのお姉ちゃん)と昔使ってた部屋だよ、物置にもなんにもしてない、この子の好きな物だけでできた部屋」

ほんとのことだし、私の好きな物ばっかりだけど、口に出されると恥ずかしいな、

「行っていいの?そこ」

なんでそんな声明るいの?え?なんで?

「うん、別にこの子がいいよって言ったしね」

蓮さん、ちょっと待とうか、あの、別に私いいよとは一言も言ってないよ、まぁね?、玲亜ちゃんならいいかなーって思って、一緒とは言ったけどさ?

「玲亜ちゃん…」

ようやく声が出るようになった、玲亜ちゃんは

「んー?どしたの?無理して話さなくていいのよ、?」

って優しくしてくれた、でも、これは言わないと

「ごめ…ね、巻…込…で、」

まだ少し、話しにくいけど、でも、言わないといけないって思った

「いいんだよ、別に、巻き込んでも、私たち親友でしょ?」

って言って頭を撫でてくれる、暖かい、

「二人とも大きくなったなぁ」

と言う蓮さん、ん?蓮さん…?あ、…今私、

「蓮さん、?あ、あの、下ろしてください、は、恥ずかしいです」

恥ずかしさで完全に目が覚めた、返ってきた言葉は

「だーめ、倒れたんだから、少しは甘えなさい」

と予想外だった、…恥ずかしいけど倒れたのは事実だし、

「……ん、わかりました、」

そう言った、そのまま相談室に連れていかれる


 相談室に着く、すると蓮さんは、私を相談室にある?ベッドの上に寝かせて

「無理したらダメだよー?玲亜ちゃんから倒れたって聞いた時は、びっくりしたんだからね、俺、自分のせいだとも思ったし、無理しそうになったら頼ること」

そうやって説教をしてきた

「だって、あの時はさ、私、お義父さんと離れたくて、必死だったから、」

を訴えると少し笑って

「まあ、そうだね、ごめん、ごめん、必死だったんだよねー」

そう言って頭を撫でる、蓮さん、そうしていると、

「あ、!お兄ちゃんだけずるいぃ…、私も頭撫でるぅ!」

と後ろから拗ねたような声が聞こえた、この状況どっかで見たことあんな前は、えっと、玲亜ちゃんじゃなくって響矢先生の時か、つい最近のことなのに、なんだか懐かしく感じるなんでだこれ

「くすぐったいです、恥ずかしいですし」

そういう

「 あっ、そろそろ私帰らないといけない時間だ、早いなぁ、泊まっていきたいんだけど、お母さんがダメだってさ」

と声が聞こえた

「そっか明日も来てね、約束だよ」

守れるかわからない、そんな約束をした、すると、玲亜ちゃんの顔がパーって、笑顔になって

「うん、!約束ね!」

ここにきて初めて約束をした

「あ、玲亜ちゃん」

そう蓮さんが呼びかけるとこちらを振り返り

「ん?なーに、?お兄ちゃん」

「なーにー、じゃないよカバン忘れないようにね」

そう言われると

「あっ、忘れてた…、お兄ちゃん、ありがとう、思い出せた」

と、そう言って相談室を出ていった

「全く、あの子は」

と笑う蓮さんと

「玲亜ちゃんっぽいですね」

と笑う私、感じてることは、同じなんだろうけど、こうやって言葉に出すと、色々違うんだなぁって思わされる

「あのー、蓮さん?」

声をかけるすると

「ん?どうした?」

そう言われて聞こうか迷う黙っているとふっと笑って

「無理に話さなくていいよ、言いたいこと大体わかるしねー」

そう言われた

「わかっ……てるん……ですか?」

そう聞くと

「うん、だいたいねー、あの人らいつ帰るんだろうだよね、一応帰ったら先輩にここにいるんで、呼びに来てくださいとは言ってるんだけど、来ないね、もう今日はここにいる?そっちの方が安全でしょ…」

そう、心を読み取ったかのように、聞いてくるそれで解決案まで出してくれる

「そうですね、ここにいた方が安全かもです、」

そう、笑いながら言う

「もうそろそろ面会……時間終わると思うん……だけど、なかなか帰らない……のかなぁ?それとも泊まる……とか言い出してるん……じゃない……よねー、?泊まるん……だったら……本当に…ここにいるしか…なくなるん……だけどなぁ、……俺ら…」

そう戸惑ったような、考えてるような言い方をする蓮さんがなんだか可愛く見えてそれでいて、焦ってるように見えて、 だから

「別に、私はここでもいいんですけどねーっていうか、この方が落ち着くし、あっ、もちろん、あそこが落ち着かないって言ってる訳じゃないんですよ、でもほら、やっぱりここの方が慣れてるなぁっていうか、そんな感じ?」

そんな会話をしていると相談室のドアが開いて、響矢先生が入ってきた、帰ったかっとそう思っていると蓮さんの予想通りと予想外の言葉が飛んできた


 どーも、蓮の先輩こと一条響矢です。さっき蓮に懐いてる子の友達が来て帰っていって、恭くんのお父さんとお母さん、えっと、彼女のお義父さんとお母さんですねが帰りそうにないんですよね

「泊まってこうかな、」

なんて言っております。恭くんは

「泊まってかなくていいから、早く帰って」

ってだいぶ塩対応ですね、

「…なんで、帰って欲しいの?」

そう聞いてしまったすると

「この人らのこと嫌い、僕を後取りとしか見てないし、親としての愛情感じないし、」

そう言って、

「早く帰って、僕のことはいいから、」

と言ってすぐに帰らそうとする恭くんこんな時でも親は懲りずに

「この熱で死なれたら後取りが……」

この期に及んでもまだ後取りの心配をしている。恭くんがため息をつく

「ねえ、お父さん、お母さん、僕さあんたらのこと嫌いなんだ、早くどっか行ってくんない、?行かないんだったら行かないでいいけど、僕違う部屋行くから」

そう言って俺に振り返り

「あの、すみません、ここに元々いたあのお姉さんって今どこいます?そこに僕も行きたいんですけど、ダメですかね?」

声を変えてそういう恭くん。親はその言葉を聞くと血相を変え

「あの子のとこには行かない方がいいよ?だって、ほら、あの子さ、難病なんでしょう、?うつるよ」

と、あの子の悪口を言った。それに恭くんは

「難病ってそう簡単にはうつんないでしょってかうつってたら、難病とか言われてないし、とりあえずここに泊まるんだったら、僕はその子のところ行くから」

そう言って、俺に一言、言った

「多分、この人達ここに泊まっていくと思うから、もし、あのお姉さんが大丈夫なんだったら、僕もそこに行きたいです」

そう泊まることを前提として考えのであろう、親の方を振り返り

「絶対来ないでよ?来たら、僕もう後取りやめるからね」

そう、釘を刺して、俺に笑顔で一言

「ごめんなさい。僕をあのお姉さんの所まで連れてってください」

と、そういった、だから

「わかった、行こうか?」

そう言って、病室を出る。もう部屋に声が聞こえないだろうというところで、恭くんが家での生活を話してくれた

「実は僕には下に妹がいるん…ですけど、その妹と…僕の対応が…全く……違くて……、妹の名前、……歩奈あゆなっていうんですけど、……歩奈が高熱を……出しても…あの人達は……、ほったらかし…なんですよ…ね、多分、…後取りじゃ…ないから、…でも、……僕がこんな風に…高熱を……出したり、?まぁ咳をしたり……したら、あの人達……すっごい勢いで……飛んできて

『大丈夫!?』

って、……面白いぐらいに……僕にだけ、……特別対応で、…歩奈には……全然…そんな……対応は……見せ……なくて、親…ってなんだろうな……って思って……、あの人達を嫌いになった。まぁ、他にも嫌いになる要素あったんだけどね。昔は…好きだったんだ、…誰よりも…優しくしてくれたし、?誰よりも……僕を……可愛がっ……てくれたから、でも、妹ができてさ、妹に親を取られるのかなー……って思ってた、それでもいいや……って僕も妹可愛いがろう……って、お母さん達が僕にしてくれたみたいに……ってそう思ってた……でも想像とは……違くて……こっちをいつも、優先にしてくれて、最初は優越感に浸ってた、多分、妹の上に立った気…になってた、いや……違う…!、立ってたけど、立ってなかった、!妹はそれでも……こんな…威張ってばっかの僕を……

『お兄ちゃん、お兄ちゃん』

…って言ってきてくれて、可愛かったことを覚えてる、もちろん、今も可愛いよ?妹にだけご飯がなかったり、妹の洗濯物だけされてなかったり、おかしいなって思った、母さんに聞いたんだ

『なんで妹だけ、そんな扱いが違う』

のってそしたらさ、なんて返ってきたと思う?」

色んな考えが浮かんだでも、どれも親が言うことじゃないって思って黙ってた。そしたら

「まぁ、急にこんなこと言われてもわかんないよね、僕の親のこと、あんまり知んないと思うし」

そう言われて、頷くことしかできなかった、本当は知ってるのに

「さっきの答えね、

『あいつ男じゃないから』

って言ってた、多分その時から僕はあの人らのことが嫌いになったんだと思う、僕は……後取りためだけに生まれてきた訳じゃないのにね、」

そう、悲しそうに言う恭くんに

「そうだね、恭くんは、後取りのためだけに生まれてきた訳じゃないもんね、平等に愛されたかっただけなんだよね、きっと」

そう言って、頭を撫でるすると、泣き声が聞こえてきて

「はい、そうなんです……僕は、ぼく…は、平等に愛して欲しかった……だけ、なのに、僕だけ愛されて、妹は…ほったらかしで……、苦しかった、だから、僕だけでも、妹に優しくしようって……そう思ったん……です。でも、やっぱり…バレたら…怖くて……、親がいない所……でご飯を作っ…てあげたり……しかできなくて、遊び……に連れて行くことも……できなくて、ご飯を……作ったら、

『お兄ちゃん、ありがとう』

って……すっごい笑顔で……言われて、僕の前で……だけ学校の話を……してくれて、それに頷い……ていると

『…お兄ちゃんは、お母さんとお父さんに愛されて、幸せ?歩奈ね、お兄ちゃんが幸せだったらね、幸せなんだ』

って…聞いてくるんです……、僕は……どう答えるのが……正解なのかわかん……なくて、だから嘘……をつくん……です。

『幸せだよ』

って、そしたら、もっと笑顔になって

『そっか、よかったね!』

って純粋無垢……な笑顔を向けて……で言ってきて、悲しく……なるんです。

『あー、僕、この子に嘘ついたんだ』

って……自分に嘘を……つく…よりも……、自分より……年下の……しかも、可愛い妹……に嘘をついた……って、事実……が後になって襲ってくるん……です、」

そう話してくれる恭くん、話を聞くことしか出来なくて、そんな時、部屋に着いた

「ここだよ、あのお姉さんがいる部屋」

そうすると俺の後ろに隠れて

「何?恥ずかしいの開けるよ?ドア」

そう言ってドアを開ける、蓮と彼女は驚いたように固まり俺は

「恭くんの親泊まるって」

と言うと蓮が

「やっぱり?そう言う話してたんだよねぇ」

そう言って俺の後ろを見ようとしない、すると

「…後ろにいるの、誰、?」

と警戒しながらも聞いてきた、だから

「あー、この子はねー、あの恭くん、親が嫌いらしくて、だから、一緒にどうかなーって」

「嫌なら戻ります」

俺が言った後にすぐにそういう恭くん、すると彼女は優しく笑って

「別に……いいけど、 なんで嫌いなの?優しそうじゃん」

そういうと恭くんは

「僕にだけ、なんか、優しいんです。妹には、全然優しくなくて……だから嫌いなんですよね」

そう言う恭くんそれを聞いて

「そっか、恭くんにだけ優しいの?何でだろうねぇ?」

そう知らないふりをする彼女、さすがだ

「多分、僕が男の子だからだと思います。お父さんの家系、後取りが必要で、その男の子が僕しかいなくて、だからだと思います」

そういうと、少し悲しそうにして、何かをぼそぼそっと言ってから

「そっかぁ…、後取りねぇ…、正直さ、親に愛されて、どう? 正直に答えていいよ別に妹じゃないんだし私」

そう言って

「あー、でも…そっか、!先生らがいたら、話しにくいよね、うーん……そうだなぁ、外で待っててもらう?」

そう、冗談気味に言う彼女今、裏腹に俺たちには出ていけという目をする、それに俺と蓮は

「それで恭くんが話しやすくなるんだったら、全然外出るよ」

と、見事にハモってしまった

「って、本人達は言ってますけど、どうします?」

そう聞いてる。あれ言わせたようなもんだろ、

「お母さん達が来ないように見ててください、ごめんなさい、ありがとうございます」

と言われた、だから

「はーい、了解」

と蓮

「うん、わかった、見とくねー、ゆっくり話しなよー」

とふざけて言う、俺


 僕は、親が嫌いだって、妹にだけ優しくないから、あんだけ可愛い妹をないがしろにする。お父さんとお母さんが嫌い、そんな時に、運悪く僕は高熱を出した病院に行かないといけないけど、多分行ったら、妹は一人になる、それだけは避けたかった、だから、お父さんとお母さんがいない間にご飯を作って妹に一言

「冷蔵庫の奥の方にご飯作ってるからそれチンして食べてね」

そういう、すると、

「うん、ありがとう、お兄ちゃん、熱早く治してね、病院行ってらっしゃい」

そう言われた、バレてたか、

「行ってきます、お母さんに体調悪いって言ってくるわ、多分すぐ病院行くと思うけどあの人達と病院行くの嫌なんだよー、もう」

と、嫌がると妹は 少し笑って

「お兄ちゃんっぽいね、そうやって嫌がるの、私だったら喜ぶけどなぁ、そんな風な対応されたら」

と言われた、『あっ、いけないこと言った』ってそう思った、でも、妹は

「別にいいよー、お兄ちゃんみたいに縛られてないし?私だけ自由なの羨ましいでしょ?私ねー、あの人達にねー、いない認定されてるからさ、だから、すっごい楽なんだよねー、いつ帰ってきても怒られないしさ、お兄ちゃんだったら怒られるけどねー」

そう言って笑う、そこに

「ただいまー、あれ?恭?どこ?」

そう言われてる

「あ、お母さんに呼ばれちゃった、行ってくる」

「はーい、行ってらっしゃい」

そう言って、お母さんの元に行って

「お母さん体調悪い体温計で熱はかったら、39度ぐらいあった病院行きたい」

そういうと嫌そうな顔ひとつせず、普段から嫌いって言ってるんだよ?僕、後取りパワーってすごいね

「お父さん!恭が高熱出してる!早く病院行かないと!」

「本当か?!」

そう焦ってる、ほんとに歩奈のことは、いないように扱う、その後は高熱すぎて覚えてない、頭がふわふわしてた、気づいた時は点滴されてて、お父さんと病室に行く所だった、でも入るはずの病室から先生が出てきて、

「すみません、ちょっと中の子が過呼吸起こしちゃって、少し離れて貰ってもいいですか?」

そう言われた、お父さんは

「わかりました、いいですよ、」

そう言って病室を離れた、

待合室、…そして、お父さんが

「もうそろそろ部屋に行くか」

そう言った僕は

「えっ、もうちょっと持った方がいいんじゃないの?」

そう言ったが、一瞬離れていた先生が戻ってきて、

「そうですね、そろそろあの子の過呼吸もついてるでしょうし、行っても大丈夫ですよ。でも、もし落ち着いてなかったらあれなので、あの、静かにしてもらえると、助かります」

と言って、部屋まで案内される、そして中に入る、中にいたのは可愛らしい女の子で、僕よりなんか年上かなってぐらいの子、すると彼女は

「はじめまして」

と、僕らに声をかけた、お父さんは、少し驚いたような顔をして、でもすぐにいつも通りの顔に戻って

「はじめまして、優しそうな人で良かったです、ねぇ、恭?」

そう言ってくる、可愛く答えようかな、

「うん、!お姉ちゃんが優しそうでよかった!」

と答える、すると彼女は少し泣きそうになってた、なんでかは分からないけど、そんなことを考えていると

「すみません、ちょっとお手洗い行ってきますね。玲亜ちゃんごめんついてきてもらっていい?私、リハビリしてないから、さ、すぐちょっと息苦しくなっちゃうんだよね」

と声が聞こえた、すると玲亜?って人は

「えっ、それなら先生の方が」

…うん、それ僕も思った、なんで、先生じゃないんだ?

「ほら、先生はさ、あの、あのさ、あの、えっと、あの、きょうくんの病状の説明で忙しいからさ、だからお願い」

焦ってる…?早くここから出たいのかな、でもなんで?そんなことを思っていると、彼女が玲亜って人を連れ出した、

「焦ってたね、どうしたんだろ、」

そういうと先生は

「ん〜、なんでだろうね、わかんないけど、まぁ、待っとこうか、」

って軽く考えてた、入れ替わりかのようにお母さんが入ってきた

「お父さん、恭、ごめん、おまたせ、」

そういうお母さん、お父さんは

「全然大丈夫、先生、恭の状態は?」

お母さんが来て、ようやく本題に入った、お父さん、先生は

「熱と、咳と、頭痛い…症状はこれで合ってますよね?」

「合ってます、」

そう言うお父さん

「インフルエンザの検査をした結果、陰性でした、ただの高熱でしょう、」

そう言われほっとするお母さんたちしばらく沈黙が続く…非常に気まずい、そんな空気を崩したのは玲亜さんだった、ドアを思い切り開けて、足は震えて、今にも泣き出しそうな声で

「お兄ちゃん!(私の好きな人)が…!」

そう言った、誰かわかんなくて、でも、先生は

「どしたの?そんなに慌てて、なんかあった?」

と慌ててるのか慌ててないのかわかんないような答え方をする、すると

「(私の好きなの人)がトイレで倒れてる!」

「え…?すぐ行く!」

と慌てて行ってしまった、玲亜さんが言ってた子って誰なんだ?結局…でも話の流れ的にトイレってことは…あの子…だよな、?そんな時、ドアが開いた開けたのは、玲亜さんだった。玲亜さんは

「すみません、帰りますね、そろそろ帰らないと、お母さんに怒られる」

そう言ってカバンを持って、部屋から出ていった、時計を見る、すると隣から

「泊まってこうかな、」

と訳の分からない言葉が聞こえた、は?家には妹がいるのに…?

「泊まってかなくていいから、早く帰って」

そう言った、すると、先生が

「…なんで、帰って欲しいの?」

と聞いてきた、だから本音を言う

「この人らのこと嫌い、僕を後取りとしか見てないし、親としての愛情感じないし、」

そういう、それでも帰らないから、

「早く帰って、僕のことはいいから、」

とそう言うでもお母さんたちは、

「この熱で死なれたら後取りが……」

なんて、まだ後取りの心配をしていた、僕は呆れてため息をつく、そして、また本音を本人たちに伝える、何度伝えてきたかわかんない、本音を

「ねえ、お父さん、お母さん、僕さあんたらのこと嫌いなんだ、早くどっか行ってくんない、?行かないんだったら行かないでいいけど、僕違う部屋行くから」

そう言ってお母さんたちの顔を見ずに先生に振り返り、声を変えて

「あの、すみません、ここに元々いたあのお姉さんって今どこいます?そこに僕も行きたいんですけど、ダメですかね?」

そう言うすると、あの人たちは、何故か怒り気味で

「あの子のとこには行かない方がいいよ?だって、ほら、あの子さ、難病なんでしょう、?うつるよ」

って言った、なんでただ入院してるだけなのに、難病なんてわかるんだ?いや、今それは置いといて、

「難病ってそう簡単にはうつんないでしょってかうつってたら、難病とか言われてないし、とりあえずここに泊まるんだったら、僕はその子のところ行くから」

そう言って多分泊まるだろうなって考えて、僕は

「多分、この人達ここに泊まっていくと思うから、もし、あのお姉さんが大丈夫なんだったら、僕もそこに行きたいです」

とそう言った、そして僕は

「絶対来ないでよ?来たら、僕もう後取りやめるからね」

と親に釘を刺す、そして、

「ごめんなさい。僕をあのお姉さんの所まで連れてってください」

そう言った、僕熱あるけど、大丈夫かな、そんなことを考えていると

「わかった、行こうか?」

そう言ってくれて外に出る、何も聞かずに、僕の歩幅に合わせてくれる、先生、この人なら、家の生活話してもいいのかな、なんて、…話すか、この人なら何も言わずに聞いてくれると思うから、

「実は僕には下に妹がいるん…ですけど、その妹と…僕の対応が…全く……違くて……、妹の名前、……歩奈っていうんですけど、……歩奈が高熱を……出しても…あの人達は……、ほったらかし…なんですよ…ね、多分、…後取りじゃ…ないから、…でも、……僕がこんな風に…高熱を……出したり、?まぁ咳をしたり……したら、あの人達……すっごい勢いで……飛んできて

『大丈夫!?』

って、……面白いぐらいに……僕にだけ、……特別対応で、…歩奈には……全然…そんな……対応は……見せ……なくて、親…ってなんだろうな……って思って……、あの人達を嫌いになった。まぁ、他にも嫌いになる要素あったんだけどね。昔は…好きだったんだ、…誰よりも…優しくしてくれたし、?誰よりも……僕を……可愛がっ……てくれたから、でも、妹ができてさ、妹に親を取られるのかなー……って思ってた、それでもいいや……って僕も妹可愛いがろう……って、お母さん達が僕にしてくれたみたいに……ってそう思ってた……でも想像とは……違くて……こっちをいつも、優先にしてくれて、最初は優越感に浸ってた、多分、妹の上に立った気…になってた、いや……違う…!、立ってたけど、立ってなかった、!妹はそれでも……こんな…威張ってばっかの僕を……

『お兄ちゃん、お兄ちゃん』

…って言ってきてくれて、可愛かったことを覚えてる、もちろん、今も可愛いよ?妹にだけご飯がなかったり、妹の洗濯物だけされてなかったり、おかしいなって思った、母さんに聞いたんだ

『なんで妹だけ、そんな扱いが違う』

のってそしたらさ、なんて返ってきたと思う?」

と聞くと、先生は戸惑ってたまぁそりゃそうだよねー、こんな質問されるとは思わないもんね。しかも、親が言うことなんて、あんな親が言うことなんて、想像できないよねだから

「まぁ、急にこんなこと言われてもわかんないよね、僕の親のこと、あんまり知んないと思うし」

そう言ったすると、先生は頷いた、まぁ、そりゃそうか

「さっきの答えね、

『あいつ男じゃないから』

って言ってた、多分その時から僕はあの人らのことが嫌いになったんだと思う、僕は……後取りためだけに生まれてきた訳じゃないのにね、」

そういうと先生は、頭を撫でながら

「そうだね、恭くんは、後取りのためだけに生まれてきた訳じゃないもんね、平等に愛されたかっただけなんだよね、きっと」

そういった。まるで僕の心が読み取られてるみたいで泣いちゃって

「はい、そうなんです……僕は、ぼく…は、平等に愛して欲しかった……だけ、なのに、僕だけ愛されて、妹は…ほったらかしで……、苦しかった、だから、僕だけでも、妹に優しくしようって……そう思ったん……です。でも、やっぱり…バレたら…怖くて……、親がいない所……でご飯を作っ…てあげたり……しかできなくて、遊び……に連れて行くことも……できなくて、ご飯を……作ったら、

『お兄ちゃん、ありがとう』

って……すっごい笑顔で……言われて、僕の前で……だけ学校の話を……してくれて、それに頷い……ていると

『…お兄ちゃんは、お母さんとお父さんに愛されて、幸せ?歩奈ね、お兄ちゃんが幸せだったらね、幸せなんだ』

って…聞いてくるんです……、僕は……どう答えるのが……正解なのかわかん……なくて、だから嘘……をつくん……です

『幸せだよ』

って、そしたら、もっと笑顔になって

『そっか、よかったね!』

って純粋無垢……な笑顔を向けて……で言ってきて、悲しく……なるんです。

『あー、僕、この子に嘘ついたんだ』

って……自分に嘘を……つく…よりも……、自分より……年下の……しかも、可愛い妹……に嘘をついた……って、事実……が後になって襲ってくるん……です、」

初めて人に本音を言う。親にもこんなこと言ったことなくて、本当に初めてで、初めてが、この人で良かったってそう思った

そんな事を話してるうちに、先生は部屋の前で立ち止まった。僕が少し戸惑うと、

「ここだよ、あのお姉さんがいる部屋」

こんな僕が入っていいのだろうか?そう思って、先生の後ろに隠れるすると、先生は、笑いながら

「何?恥ずかしいの開けるよ?ドア」

と言って、ドア開けた、彼女の担当医かな、その人が先生の顔を見て

「恭くんの親泊まるって」

とそう言った、すると

「やっぱり?そう言う話してたんだよねぇ」

と僕がいることに気づいてないのか、僕がいることは、スルーされる。すると担当医の隣から

「…後ろにいるの、誰、?」

と僕に気づいたらしく、警戒されながら聞かれる、先生が間を割って説明する

「あー、この子はねー、あの恭くん、親が嫌いらしくて、だから、一緒にどうかなーって」

「嫌なら戻ります」

帰りたくないけど、彼女が嫌だって言うなら仕方ない、そう思って待っていると、彼女は、ふわっとした、笑いを見せてから

「別に……いいけど、 なんで嫌いなの?優しそうじゃん」

と聞いてきた親のことを知らない彼女はそう言えるんだろうなぁ、羨ましいなってそう思った

「僕にだけ、なんか、優しいんです。妹には、全然優しくなくて……だから嫌いなんですよね」

そういうと、少しびっくりしたような顔をしてでも、すぐ真剣な顔になって

「そっか、恭くんにだけ優しいの?何でだろうねぇ?」

って聞いてきた、多分、本当に分かんないんだろうな、

「多分、僕が男の子だからだと思います。お父さんの家系、後取りが必要で、その男の子が僕しかいなくて、だからだと思います」

そう答える、すると、少し悲しそうな、でも嬉しそうな顔をして、

「そっかぁ…、後取りねぇ…、正直さ、親に愛されて、どう? 正直に答えていいよ別に妹じゃないんだし私」

そう聞かれた、正直、優越感はある。でも先生いるし、話しにくいな、そう思っていると、彼女から思いもしない提案

「あー、でも…そっか、!先生らがいたら、話しにくいよね、うーん……そうだなぁ、外で待っててもらう?」

流石に申し訳ないって思っていると担当医と先生は

「それで恭くんが話しやすくなるんだったら、全然外出るよ」

と見事にハモった、

「って、本人達は言ってますけど、どうします?」

少し笑いながらも、そういう彼女、それなら…

「お母さん達が来ないように見ててください、ごめんなさい、ありがとうございます」

そういう僕、すると、担当医の方は、真面目な顔をして

「はーい、了解」

と先生は、

「うん、わかった、見とくねー、ゆっくり話しなよー」

とこの場にあってない、テンションで言う

そして出ていった

「んで?なんで親のこと嫌いなの嫌いっていうか、なんで自分だけ愛されてるのに、妹のことまで考えられるの?」

そう、冷たく聞いてきた、だから

「僕、妹のこと大好きなんですよ、だって、あんなに可愛いし天使だし、こんな僕のこと、お兄ちゃんって呼んでくれるから、そんな妹をお母さん達はいないものかのように扱うんですよ、空気なんですよ、家では、でも、妹はそれをうまく利用してというか、なんというか、強がって、夜遅くまで出歩いたりとかしてるんですよね、僕がいくら妹に

『危ないよ』

って言っても、

『お兄ちゃんはいいよね、愛されててさ、』

としか言ってくれなくて、僕が妹を怒る時は」

そういうと、彼女は少し息を詰まらせて

「妹さんの気持ちわかる気するなぁ」

とそういった、 僕が

「なんでですか?お母さんとかっていないんですか?」

そう聞くと少し笑ってから、こう答えた

「私ね、小学二年生の時にね、親に捨てられたんだぁ、んまあ、私のお母さん達も、恭くんのお母さんとお父さん通りで、お父さんの家が後取り必要でさ、私、ほら、女の子じゃん、相手にされなかったんだよね、こんなんでもね、男の子になろうと頑張ったよー?喋り方も口調も好きになるものだって、全部男の子にしたよ、?それでもやっぱりねー、私運悪くて発育がいい方でさ、捨てられたんだよねー、ここに、難病って言われてさ?なんて言われたっけなぁ『こんな病弱な子、うちの子じゃない』って言われた、確か、悲しかったなぁ、あん時は、多分、妹さんは恭くんに嫉妬してるんじゃない、?言わないだけで」

と言われた、なんで妹が嫉妬するの?分かんないよ

「なんで妹が嫉妬するんですか?僕が嫉妬したいんですけど、だって、僕夜遅くまで外にいたら怒られるし、」

そういうと、少し怒ったような顔をして

「そんな愛が欲しいんだよ、妹さんは、そんな過干渉ぐらいの愛が欲しいの!私だって欲しかったよ、愛されたかったよ!でも叶わなかったんだよ、いくら努力したって叶わなかったの!いくら男の子になろうとしてもなれなかったの!お母さん達の理想にはなれなかったの!努力せずとも理想になって、いくら嫌いって言っても好きだって言ってくれる愛が欲しかったの、!そうでしょ、?恭くんのお母さん達はいくら恭くんが嫌いだって言っても好きでい続けるでしょ、?それが欲しかったの、!それがいくら後取りの愛だとしても、それでもその愛が欲しかったの!」

そう言ってきた、あーそっか、そういうことだったんだってそう思った。いくら後取りの愛だとしても、愛されてこなかった、彼女や妹はその愛が欲しいんだって、 気が付いたら、彼女は泣いていて

「私だって愛されたかったよ、」

と、静かな部屋でぽつりと一言呟いた、それを聞いて妹の本音を聞いたみたいで、ほっとけなくて、気づいたら、抱きついてた

「ごめん、ごめんなぁ、愛されなかったよなぁ、ごめんなぁ、」

なんか話しにくいって思ったら僕も泣いてて、二人とも泣いてて、泣き終わった後に

「ふは、」

と、彼女が突然笑った、だから、どうしたんだろうって思って聞いた、

「どうしたんですか?」

そう聞くすると

「それを妹にしてあげなさい、私にして、どうするの?」

と、笑いながら言ってきただから

「あなたも、もし弟か兄がいたら、こうされたかったんじゃないんですか?」

と強がりで笑って言う、すると頭をかいて恥ずかしそうに

「そうかもね、もしいたらね、こうされたかったのかなぁ?分かんないや」

そうやって強がるから、強がり方が、僕の妹と一緒で

「僕の妹と同じ強がり方しないでもらえます……?頭かいてさ?ほんと、僕たちが姉弟…だったら楽しかっただろうね、」

そんな妄想を言う、すると彼女も

「そーだね、もしも、…私たちが姉弟だったら、楽しかっただろうね、」

と乗っかってきてくれた、それが嬉しくて、でも彼女 は僕の感情とは反対の、悲しそうな顔をして

「私、多分もうすぐ死ぬんよね、もう長くないの、」

そう言われた、息が詰まる、言葉ようやく出た言葉、 それは

「……ぇ?」

だった言葉にならない声じゃあどうして今まで生きてたのってそう思っちゃう、僕の悪い癖

「今まではねー、手術してきたんだ、何回も何回も手術してさ、でももう体が限界みたいなんだよね、」

そう言って、乾いた、笑いをこぼす、彼女が悲しそうで、でもどこか嬉しそうで

「なんでそんな……嬉しそうなの?」

そう聞いたすると、びっくりしたような顔をして

「これでようやく死ねるのかーって思ったらなんか嬉しくてさ、だってさぁ、?今までさぁ、たっくさん人に迷惑かけてきたんだよ、人に生きて喜ばれることなんてなかったしさ?だからねーようやく楽になれるんだなぁって思ったら、なんか嬉しくて」

本気でそう言う彼女、

「生きてほしいって願う人やあなたが生きて喜ぶ人はたくさんいると思います、初めて会いましたけど、僕とあなた、でも僕は生きていてくれたら嬉しいなってそう思ってます」

そういうと

「私ね、自分に価値がないなって思ってるんだよ、だってさ、親に捨てられてさ、病院では、まぁ小児科のお姉ちゃんとしてさいるけど、たまーにね私がここにいていいのかなって思っちゃう、だって私高校生だよ?小児科は、中学生まででしょうだからいていいのかなーって思っちゃうんだ」

と、そう言って悲しそうな顔をする彼女、本当は生きてたいのだろうか、まあ、生きてたいよね、そりゃ

「本当にそれでいいんですか?」

落ち着いた声で聞く、それとは裏腹に彼女は

「親に愛されてるあなたにはわかんないだろうね、!親にたくさん愛情もらって、?親に毎日のようにあったかいご飯3食作ってもらって、?洗濯物までしてもらって?私には、そんな生活なかったよお母さんがね、新しい彼氏を連れてきたの、その彼氏の家系がね跡取りが必要な家系だったのお母さん、最初は守ってくれたよ、

『私の子なんだから、手あげないでよ』

って、でもさ、でもっ…さ、でもさぁ…新しいお父さんとさ、関わっていくたびにさ、お母さんが変わるの想像できる?優しいお母さんが変わっていくところ挙句の果てにさ

『偽装結婚だ』

っていうの

『本当は結婚してない』

ってなんでって理由を聞いたらさ、なんて言われたと思う?」

…僕にはわかんなかっただから、黙ってた。そしたら彼女は

「分かんないよね、だって、恭くんは親に愛されてるもんね、

『お前みたいなやつがいるからだ』

って

『お前が男だったらどれだけ良かったか』

って

『お前がどこだったら、あの人は、結婚したかもしんない』

って

『なんで女なんだ、なんで男じゃないんだ』

って言われたの、お母さんからね、本当のお母さんからね、そんなことを言われるの、苦しいし、悲しいけど、それを超えるぐらいの、絶望があったの、『あー、私お母さんにいらないって言われちゃった』っていうね、絶望があった」

悲しそうに言う彼女何も言うことができなかった、だって、本当だから、僕は親に愛されて育ったから、妹の気持ちさえもわかんないから、だから、どうしたらいいのかがわかんないでも、これだけは言える、それは

「今まで、辛かったね。僕にはわかんないよ、あなたの言う通り、親に愛されて育ったから僕は多分あなたの気持ちは分かんないし、妹の気持ちもわかんない、女の子っていう性に生まれただけで、そんな扱いされてるってことも知んなかった。妹はまだ良かったのかもしんないって、あなたの話を聞いてそう思った。空気のように扱われてもいないように扱われても家に何事もなく、何のあれもなく、妹はまだいいのかなって思ったでも、今考えたら、確かにって思う」

よくよく考えてみれば、妹だけ対応がおかしかった、

「妹にはよく家事をさせた、 幼い妹に家事を仕込んでた、妹は家政婦のように動かされてたでも僕はそんなこと一切なくて、王子様みたいな扱いを受けてた、僕が家事の手伝いをしたら、

『そんなことしなくていいのに、偉いね』

って親戚全員に言われた、でも妹は違かった妹は手伝いをしなかったら、

『早く手伝いなさい』

って

『女なんだから、そんぐらいしなさい』

ってそう言われてた。」

よく考えなくてもわかったのに、なんで、分からなかったんだ、あーそっか、

「僕、どこかで妹のこと下に見てたんだ、」

そう気付かされた時、…いや、気づいた時、自分が気持ち悪くなって、あの人親戚たちと一緒だって思ったら

「気持ち悪い、」

そう思った、だから、声に出した、そしたら彼女は

「……うん、そうだね、気持ち悪いね、気づいてくれてありがとう、腐りきってなくてよかった、」

そう言って抱きしめてくれた、

「あったかいなぁ」

初めてだった、初めての感覚、僕のために、初めて泣いてくれた人、後取りとしてじゃなくて、ちゃんと僕っていう人を見てくれた人、初めてだった気づいたら、また泣いてて、でも、今までなら泣くの怖がってたけど、今だけは、今この瞬間だけは安心して泣けるって思った

「もうそんな泣かなくていいの、気づいてくれてありがとね、ほんとに」

そう呆れながら言って、背中をポンポンと優しく叩いてくれる。眠くて、でも寝たら今後話せない気がして起きてると

「無理して起きなくていいよ、」

そう言ってくれて僕は眠りにつく


 寝てくれた、?恭くんが来た時は、びっくりした。だって、まさか、義弟が来るなんて思わないじゃん、

「可愛いなぁ、寝顔」

来てくれた時、?あー、びっくりしたよー?私目線をくれ?って…もう、仕方ないなぁ、


 入ってきた時、恭くんは、一条さんの後ろに隠れてた。それに気づかない蓮さんと気づいた、私、さきに一条さんが

「恭くんの親泊まるって」

こういう、恭くんを知ってか知らずか蓮さんは知らない素振りを見せた、

「やっぱり?そう言う話してたんだよねぇ」

と、私に目線を向ける、気づいてよ、蓮さん、私はすぐ気づいたから、警戒感丸出しで

「…後ろにいるの、誰、?」

と、そういう、そしたら、一条さんが間に入ってきて

「あー、この子はねー、あの恭くん、親が嫌いらしくて、だから、一緒にどうかなーって」

ってそう説明すると直ぐに

「嫌なら戻ります」

と言われた、いやでは無い、静かそうだし、なんかこの子

「別に……いいけど、 なんで嫌いなの?優しそうじゃん」

今のあの人達は、本当に優しそう、目つきも表情も私の時と全然違う

「僕にだけ、なんか、優しいんです。妹には、全然優しくなくて……だから嫌いなんですよね」

あんな親から妹に気を使える子が生まれるんだ、意外少し、びっくりした。でもまだ聞きたいことがある

「そっか、恭くんにだけ優しいの?何でだろうねぇ?」

知らないふりを突き通す。そうじゃないと、自分が壊れてしまいそう、

「多分、僕が男の子だからだと思います。お父さんの家系、後取りが必要で、その男の子が僕しかいなくて、だからだと思います」

それを聞いて、少しほっとしただから、恭くんには聞こえない声で

「あの人達を、男の子の親にしてくれてありがとう」

そういった多分、これに気づいてるのは、一条さんだけだろうね、すぐに話題を元に戻す一条さんに

『さっきなんて言ったの』

って聞かれないように

「そっかぁ…、後取りねぇ…、正直さ、親に愛されて、どう? 正直に答えていいよ別に妹じゃないんだし私」

一番気になってたことどう思ってるんだろうか、この子は、先生達の方を見て、戸惑う、あーそっか

「あー、でも…そっか、!先生らがいたら、話しにくいよね、うーん……そうだなぁ、外で待っててもらう?」

そう言って、先生達に目配せをする。すると、二人とも

「それで恭くんが話しやすくなるんだったら、全然外出るよ」

見事にハモっていた、さすが仲のいい先生達だこと、まあ、私が言わせたんだけどね

「って、本人達は言ってますけど、どうします?」

すると、少し悩んで

「お母さん達が来ないように見ててください、ごめんなさい、ありがとうございます」

そういった。蓮さんの方は

「はーい、了解」

と真面目に言って、一条さんの方は、相変わらず

「うん、わかった、見とくねー、ゆっくり話しなよー」

なんてここに合わない、テンションで言ってくる、そうして2人はして出ていく、私と恭くん二人だけ

「んで?なんで親のこと嫌いなの嫌いっていうか、なんで自分だけ愛されてるのに、妹のことまで考えられるの?」

と冷たく聞いた、怯えることもなく、堂々と

「僕、妹のこと大好きなんですよ、だって、あんなに可愛いし天使だし、こんな僕のこと、お兄ちゃんって呼んでくれるから、そんな妹をお母さん達はいないものかのように扱うんですよ、空気なんですよ、家では、でも、妹はそれをうまく利用してというか、なんというか、強がって、夜遅くまで出歩いたりとかしてるんですよね、僕がいくら妹に

『危ないよ』

って言っても、

『お兄ちゃんはいいよね、愛されててさ、』

としか言ってくれなくて、僕が妹を怒る時は」

とこう答えた、妹さんは私と同じ生活をしてるんだろうか、いや、さすがにしてないか、…でも

「妹さんの気持ちわかる気するなぁ」

そういうと、びっくりしたような表情をして聞いてきた

「なんでですか?お母さんとかっていないんですか?」

この質問きついなぁ、本当にきついよ、でも答えないと笑わないと、

「私ね、小学二年生の時にね、親に捨てられたんだぁ、んまあ、私のお母さん達も、恭くんのお母さんとお父さん通りで、お父さんの家が後取り必要でさ、私、ほら、女の子じゃん、相手にされなかったんだよね、こんなんでもね、男の子になろうと頑張ったよー?喋り方も口調も好きになるものだって、全部男の子にしたよ、?それでもやっぱりねー、私運悪くて発育がいい方でさ、捨てられたんだよねー、ここに、難病って言われてさ?なんて言われたっけなぁ『こんな病弱な子、うちの子じゃない』って言われた、確か、悲しかったなぁ、あん時は、多分、妹さんは恭くんに嫉妬してるんじゃない、?言わないだけで」

と言うとはてなって、顔をして聞いてきた

「なんで妹が嫉妬するんですか?僕が嫉妬したいんですけど、だって、僕夜遅くまで外にいたら怒られるし、」

わかってる、この子は何も悪くない。悪くないけど、でも感情が抑えられない

「そんな愛が欲しいんだよ、妹さんは、そんな過干渉ぐらいの愛が欲しいの!私だって欲しかったよ、愛されたかったよ!でも叶わなかったんだよ、いくら努力したって叶わなかったの!いくら男の子になろうとしてもなれなかったの!お母さん達の理想にはなれなかったの!努力せずとも理想になって、いくら嫌いって言っても好きだって言ってくれる愛が欲しかったの、!そうでしょ、?恭くんのお母さん達はいくら恭くんが嫌いだって言っても好きでい続けるでしょ、?それが欲しかったの、!それがいくら後取りの愛だとしても、それでもその愛が欲しかったの!」

感情のまま伝えるお姉ちゃんとしては、最低な行為だとしても、それでも伝えたかった、あー私だって、

「私だって愛されたかったよ、」

静かな部屋にぽつりと呟く、そしたら恭くんは、

「ごめん、ごめんなぁ、愛されなかったよなぁ、ごめんなぁ、」

と抱きついてきた、きっと妹の本音を聞いたと思ったんだろう、私も恭くんもなく泣いて泣いて落ち着いて、なんだか、この状況がおかしくて

「ふは、」

って、笑いがこぼれた、恭くんはびっくりして、

「どうしたんですか?」

って聞いてきた、そりゃまあ、そうだよね、なんて言おうかなぁ、あ、

「それを妹にしてあげなさい、私にして、どうするの?」

そう笑いながら言う、すると恭くんも笑って、

「あなたも、もし弟か兄がいたら、こうされたかったんじゃないんですか?」

と聞かれた、鋭いな、…

「そうかもね、もしいたらね、こうされたかったのかなぁ?分かんないや」

強がりで言う、本当はこうされたいよ、

「僕の妹と同じ強がり方しないでもらえます……?頭かいてさ?ほんと、僕たちが姉弟…だったら楽しかっただろうね、」

さすが兄妹だなぁ、血は侮れないってやつか、僕達は姉弟だったらか

「そーだね、もしも、…私たちが姉弟だったら、楽しかっただろうね、」

妄想にしか過ぎないけど、楽しかっただろうなぁ、親はあんなんでも楽しかったんだろうな、もうちょっとあそこにいたかったなぁ、 あ、でも、私もうすぐ

「私、多分もうすぐ死ぬんよね、もう長くないの、」

そういうと、びっくりする。まぁ、そりゃそうだよねーいきなりこんなこと言われんだもん、そりゃびっくりするよね

「……ぇ?」

そりゃそうだ、声にならないよね、それと同時に、何で生きてきたのって聞かれるのが怖いだから、答える、聞かれる前に答える

「今まではねー、手術してきたんだ、何回も何回も手術してさ、でももう体が限界みたいなんだよね、」

と言って乾いた笑いをこぼす、嬉しさと悲しさが混じる

「なんでそんな……嬉しそうなの?」

って聞かれた、ほんと鋭い、嫌になる

「これでようやく死ねるのかーって思ったらなんか嬉しくてさ、だってさぁ、?今までさぁ、たっくさん人に迷惑かけてきたんだよ、人に生きて喜ばれることなんてなかったしさ?だからねーようやく楽になれるんだなぁって思ったら、なんか嬉しくて」

本当にそう思ってる。だから、そう言った、なのに恭くんは

「生きてほしいって願う人やあなたが生きて喜ぶ人はたくさんいると思います、初めて会いましたけど、僕とあなた、でも僕は生きていてくれたら嬉しいなってそう思ってます」

そう言われた、恭くんに罪は無い、そうわかってても、やっぱり

「私ね、自分に価値がないなって思ってるんだよ、だってさ、親に捨てられてさ、病院では、まぁ小児科のお姉ちゃんとしてさいるけど、たまーにね私がここにいていいのかなって思っちゃう、だって私高校生だよ?小児科は、中学生まででしょうだからいていいのかなーって思っちゃうんだ」

八つ当たりをしてしまう、強い言葉で、強い語気で、ダメなことなのに

「本当にそれでいいんですか?」

真剣な目で…真剣な顔で聞いてくる、ほんとに、なんで、どこまで鋭いの

「親に愛されてるあなたにはわかんないだろうね、!親にたくさん愛情もらって、?親に毎日のようにあったかいご飯3食作ってもらって、?洗濯物までしてもらって?私には、そんな生活なかったよお母さんがね、新しい彼氏を連れてきたの、その彼氏の家系がね跡取りが必要な家系だったのお母さん、最初は守ってくれたよ、

『私の子なんだから、手あげないでよ』

って、でもさ、でもっ…さ、でもさぁ…新しいお父さんとさ、関わっていくたびにさ、お母さんが変わるの想像できる?優しいお母さんが変わっていくところ挙句の果てにさ

『偽装結婚だ』

っていうの

『本当は結婚してない』

ってなんでって理由を聞いたらさ、なんて言われたと思う?」

そう聞くと下を向いて、黙ったその行動の裏にはわからないっていうのが答えに出てて、また毒を吐いてしまう、この子は恭くんは何も悪くないのに

「分かんないよね、だって、恭くんは親に愛されてるもんね、

『お前みたいなやつがいるからだ』

って

『お前が男だったらどれだけ良かったか』

って

『お前がどこだったら、あの人は、結婚したかもしんない』

って

『なんで女なんだ、なんで男じゃないんだ』

って言われたの、お母さんからね、本当のお母さんからね、そんなことを言われるの、苦しいし、悲しいけど、それを超えるぐらいの、絶望があったの、『あー、私お母さんにいらないって言われちゃった』っていうね、絶望があった」

この子に全部言ってしま居そうになる、自分が怖い、抑えないといけないのに、全部を言い終わる前に、誰か私を止めてくれそう願った、そしたら

「今まで、辛かったね。僕にはわかんないよ、あなたの言う通り、親に愛されて育ったから僕は多分あなたの気持ちは分かんないし、妹の気持ちもわかんない、女の子っていう性に生まれただけで、そんな扱いされてるってことも知んなかった。妹はまだ良かったのかもしんないって、あなたの話を聞いてそう思った。空気のように扱われてもいないように扱われても家に何事もなく、何のあれもなく、妹はまだいいのかなって思ったでも、今考えたら、確かにって思う」

そう言って、抱きしめてくれた本当にできた義弟おとうとだな、あんなクズの親からこんないい子が生まれるなんて天変地異でも受けたのかって疑いたくなるぐらいいい子、

「妹にはよく家事をさせた、 幼い妹に家事を仕込んでた、妹は家政婦のように動かされてたでも僕はそんなこと一切なくて、王子様みたいな扱いを受けてた、僕が家事の手伝いをしたら、

『そんなことしなくていいのに、偉いね』

って親戚全員に言われた、でも妹は違かった妹は手伝いをしなかったら、

『早く手伝いなさい』

って

『女なんだから、そんぐらいしなさい』

ってそう言われてた。」

そう、泣きながら言って何かを考えて、一言

「僕、どこかで妹のこと下に見てたんだ、」

やっと分かってくれた、自分が女の子を見下してたこと腐りきってなかった、この子、よかった

「気持ち悪い、」

親戚達と比べたのか、何なのかわかんないけど、でも気持ち悪いって、そりゃそうだよね、どっかで妹のこと見下してたんだもんね、あんだけ可愛い可愛いって言ってた妹、心のどっかでは見下してたんだもんね、そりゃ、気持ち悪いよね、自分が気持ち悪いよね

「……うん、そうだね、気持ち悪いね、気づいてくれてありがとう、腐りきってなくてよかった、」

思ったことをそのまま言うすると、

「あったかいなぁ」

って言って泣いてた、この子はどんだけ泣くんだ、今日で

「もうそんな泣かなくていいの、気づいてくれてありがとね、ほんとに」

そう言って寝るように背中を優しくトントンと叩く、すると寝たくないのか、頑張って起きる姿が目に入った、だから

「無理して起きなくていいよ、」

と寝るように促す、そしたら

「すぅ……すぅ……」

と寝息が聞こえた、

「寝顔、かわいいな、もし先にお兄ちゃんが生まれてて、私が生まれてたらどうなってたんだろう、でも、まあ、あの人達のことだ女の子だったら、召使いとして扱うんだろうなぁ、それで難病が見つかったら」

きっとあの人達は

「また、私をここに捨てるんだろうな、」

そんなことを考えるそして

「お話終わったー?」

と、この場の空気を考えないで、一条さんが入ってきた。

「終わりましたよー、でも、本当にそのテンションどうにかなんないんですか?場違いですよ」

そう、呆れ気味に言うすると、真剣な顔になって

「あの時何言ったの?」

と聞いてきた。まぁとぼけるしかないよねってことで

「……?あの時どの時でしょう?」

そう聞くすると

「恭くんと話してる時に、何か言ったでしょ、なんて言ったの?あれ、俺聞こえなかったんだけど」

「そんな簡単に教えるわけないでしょう、独り言ですし、あれは」

そういう、本当に独り言だから

「独り言……ねぇ……、独り言ならなんであんなに俺に聞いてそうだったの?」

そんな態度見せてないんですけどねー、

「私そんな態度してました、?してないとは思うんですけど、」

あー、ダメだこれ、私

「なんで涙なんか、」

そう言って意識を失った


「…んで………なんか」

なんて言ったのか、聞こうとしたら、目の前で彼女は倒れてた、

「……は?なんで倒れてんの?」

とりあえず、外から蓮呼ばなきゃ、 俺はドアを開ける、そして

「蓮!!来て、!」

蓮は、何かを察したように、すぐに来てくれた

「何、どうしたんですか?そんな慌てて」

蓮もどこかでは分かってるはずなのに、信じたくないのか、信じられないのか、冷静でいた

「(蓮に一番懐いてる子)が意識を失いました。」

そう言うと

「何言ってるんですか?冗談やめてくださいよ?ね、冗談です…よね、そうですよね…?あの子は、まだ倒れない、あと最低でも1年は生きるって診断出たのに、なんで?」

「最近、いろんなことあったでしょ?それに熱も出てた、あの子に負荷がかかりすぎてた、キャパオーバーしたんですよ」

そういうすると部屋に入っていって

「(小児科でのお姉ちゃん)…、?嘘でしょ?生きたいって言ったじゃん、違う、違……う、そうじゃ……ない、そうじゃ……ない、!俺が生かしてやらなくちゃいけなかったのに、無理させたから、無理なんてしなくてよかったのに、生きてるだけで、天使だったのに、頑張らなくてよかったのに」

そう、泣き崩れる蓮に

「生かしたいなら、手術だ。それしか方法はない、蓮も、わかってるだろ?」

俺は涙をこらえて、こんなことを言うこと冷たく言い放つことしかできなくて、

「悲しくないの?怖くないの?ねぇ、この子この手術で死ぬかもしんないんだよ?わかってる?いっつも言ってるよね?、俺、響矢はさ、なんでそんな死に無頓着なの?なんでそんな死に無頓着なのに、医者になろうと思ったの?ねぇ、教えてよ、なんで?」

久しぶりの下の名前呼びに俺はちょっとびっくりする本気になってる。失うのが怖いんだ、俺と蓮は高校生の時に出会った、一応先輩と後輩で、でも蓮は子供に好かれたいからとか言って、ボランティアをしてた、そんな時に俺が死に無頓着になった、理由それは


 昔好きだった人がいた、その人はヤクザの娘で、でもその子自身は人を脅す行為とかはできないって言ってた。だからそれを信じた、でも実際はそんなことなくて初めて見たあの子の本性は怖くて恐ろしくて、でも好きだったから、慣れたいや、自分から慣れようとした。そしたら死なんて怖くなくなって、いや、違うか、怖いって感情を消したんだ、死に対して

「ねえ、ほんとに医者になるの?医者になったら、私との関係切らないといけないんだよ?」

そう聞いてきた彼女こと玲奈れいなは悲しそうで、でも

「うん、ごめん、普通の感覚取り戻したい、だから、ごめん、関われないと思う」

そういうと、玲奈は泣きそうになりながら

「そうだよね、私といたら、色々と感覚狂っちゃうもんね、こっちこそ感覚狂わしてごめんなさい」

そう言って、最後に一言

「こんな私を認めてくれたのは、あなただけだった、本当にありがとう、大好きだったよ」

この言葉が今もずっと頭を支配する、抱きしめたかった記憶、抱きしめられなかった現実、今もあの子の匂いを思い出すと泣きそうになる。今あの子は幸せなのかそう考えてしまう、あの子の仕草、本当に色んなものを貰ったな、


「――とや?響矢?」

そう呼ばれて、ハッとする、

「ん?何、どした?」

「この子手術室に運んで」

と言われた見てきた中で、一番大人らしい顔をしてた、だから

「わかった」

と、頭をかいて言う、俺自身元々そんな死に無頓着な方ではなかった、どっちかっていうと、敏感な方だったと思う

「響矢?何つったてんの?あの子連れて一緒に行くよ、?ほら」

そう言って、部屋からあの子を連れて出ていく蓮の姿がかっこよく見えて

「俺は何してるんだろう」

そう言葉を漏らす、蓮は蓮なりに成長してるのに、俺は一個も成長してない、

「とりあえず行くか、蓮の助手しないとなぁ」

そう言って、手術室に向かう、俺は血を見るのが苦手だ、少しずつ感覚が戻ってきた、最近になってようやくだけど、死に対して無頓着なんじゃなくて、無頓着じゃないと、彼女付き合えなかったの方が正しいと思ってる、別に、彼女を否定してるわけでもしたいわけじゃない、好きだったしていうか、今も好きだし、ただ俺だって、

「感覚なんて狂いたくなかったよ」

と誰もいない所に叫ぶ、本当に狂いたくなんてなかった、気づいたら、狂ってた、あの子と一緒にいたら、狂ってた、否定したくないとか言っときながら、1番否定したいのかもしれない、あの子のことを心のどっかでは否定してるのかもしんない、本当に

そんなことを思っていると蓮が突然来て叫ぶ

「響矢!どーしよ、!?人殺しになるかもしんない、いやだ、一番大切な子殺したくない、助けて、」

それを言われた俺は、

「大丈夫だから、それとわかった、すぐ行くちょっと待ってて」

そう言って、 準備をして、すぐに向かう、あの子を救うために

「……私もあの子救うために頑張りますか、」

なにか声がしたが気のせいだろう、

「早く行かないと」

と言って、俺は手術室に向かう


 手術は……

「ごめん、ごめんなぁ、救ってやれんくて……ごめんなぁ」

……あの子のかかってた病気は、人には、うつらないし手術をしなくても、1年は生きれた、でも、なんで生きれなかったか、それは

「負荷かかりすぎてたんだね、ごめんね、よく頑張ったね」

そう、冷たくなったあの子の頭を撫でる、この感じはいつまでたっても慣れないや、幼い時から手術に耐えてきた、あの子は大きくなって、確か高学生ぐらいかな毎回手術の前に、毎回言ってた言葉がある、それは

『もし、もしね、手術が失敗しちゃったり、身体が耐えきれなくて私が死んじゃったら、私の部屋にね、手紙があるの、その手紙読んでほしいな、手紙の位置はね、タンスの下のね、引き出しの奥に入ってるだから見て』

そう言われてた、だから、見に行く、蓮を連れ

「蓮、あの子の部屋行こう?あの子ね、いつもね俺に言ってたんだよ、もし手術が失敗したり、体が耐えきれなくて、私が死んじゃったら、私の部屋にある手紙読んでほしいって」

そういうと蓮は驚いた顔して

「場所知ってるの?」

と、そう聞いてきた

「場所は聞いてあるから」

そういうと頷いて、部屋についてきてくれる、あの子の部屋のドアを開ける、すると

「ようやく、あいつ死んだか、長かったなぁ」

そんな声が聞こえた、一瞬叩きそうになった殴りそうになった。でもそれを止める、蓮はそんなこと言われて、平常運転なんてできるわけなくて、その上、あの子死んでるのに、そんな平常運転なんてできるわけない

「あの、すいません、そんな会話、不愉快なんでやめてもらってもいいですか?」

と、怒りを抑えて言う、昔なら絶対手出てたな、あいつ、

「えっ、なんで?だって、俺らからしたら、あいつお荷物でしか無かったんだよー、?あっ、もしかしてあいつに何か思い出ある?」

「ないでしょう、そんなの」

言いたい放題言うあの子のお父さんとお母さん、やばいなー、これ殴りそう

「あんたらにはないだろうなぁ、あの子の思い出は、」

口を荒らげてそういったのが蓮だった、それに対して

「は?あんたら誰に言ってんの?もしかして、私達じゃないよね?」

そう高圧的に攻めてくる、あの子のお母さん

「あんたらだよ、あんたらしかいねえだろ?何が見えてんだ?こえーなぁ?」

喧嘩をふっかける蓮、

「なんだっけ、あいつに思い出あんだっけ?気になるなぁ、」

そう言われて、

「…はい、」

我に返ったかのように落ち着いて話し出す


「あの子は俺に懐いてくれたんです。1番最初に懐いてくれて、パズルとか色々したんです。でもある日、俺の事を如月先生って呼ばず、蓮さんって下の名前でさん付けしだしたんです。なんでかなって思ってたんです。……今考えてみれば、あなたが来ないってわかったから、諦めついたから、如月先生って呼ぶ時は声が希望に満ちてたんです。でも、蓮さんって呼び出してから、…声が希望に宿らなくなった、如月先生って呼ぶ時は、毎日のように

『きょうおかあさんくるかな!』

って聞いてきて、俺来ないってわかってましたけど、あの子の希望を潰すことはできなくて、

『きたらいいねぇ、きたらなにはなすの?』

って聞いたら

『おえかきみせるの!おかあさんのえかくの!』

なんて言って、一生懸命描いて、」

そう蓮がいうとお母さんは泣きそうになって、

「行ってあげればよかった」

と一言発した、それを聞いたお父さんは

「あんなやついらねぇだろ、女だぞ?」

そう言われて、肩をビクつかせるお母さん、それに気づいた蓮さんが

「お父様?そこまで女の子がいらないんですか?可愛いですよー?女の子」

そう言ってお母さんを庇って、お父さんをなだめてた、

「要らねぇよ、後取りの子以外要らねぇの、」

「そうなんですね、」

そう言って、何をするのかなってみていたら蓮は殴った、…え?殴った!?

「あんた、それでも父親なんか?男じゃねぇから?いらない?ふざけんな、」

そう言って泣きそうになっている、蓮

「蓮、落ち着いて、とりあえず、手紙読もう?」

そう言って、蓮をなだめるすると、糸が切れたように、全身の力が抜けて、前のベッドに倒れ込む、お父さんはびっくりしていた、そりゃそうだよね、絶対殴るタイプじゃないもんね、俺は手紙を探すか…

「あ、あった、」

「……え?読ませて」

そう言われた、

『如月蓮先生へ』

書かれた手紙を渡す俺宛の手紙あるかな、探そ、

『お母さんへ』

あ、これ、母親宛て…?

「あの、お母様、これどうぞ」

そう言って渡す、すると、

「ありがとうございます。」

丁寧にお辞儀をされた、俺宛のやつあるよね?順番に見ていく、

『川上玲亜へ』

と書かれた手紙があった、あとで渡しとくかって違う違う、俺のやつ、俺のやつ、見つけた、 なんて書いてあるんだろう

『拝啓

これを見てるってことは、もう私はいないのでしょうか?、私がいなくなってからすぐ見たのでしょうか?それとも少ししてからこの手紙をみたのでしょうか?、私は多分いちじょう先生からしたら、む愛想な子だったと思います。でも、じっさいのところは、もっと話してみたかったし、もっとたくさんいろんなこと教えて欲しかったです、勉強もしかり、友達かんけいもしかり、恋愛もしかり色んな話をしてみたかったです。まぁ、私は自分のことは、自分が一番よくわかってて多分、もうすぐ死ぬんだろうなってこともわかってました、さいごの方は体が持たなかったです。話すのでさえきつく感じていました。この手紙を書く時も手がふるえて、うまく字が書けないです。もしかしたら気付かかれてたかもしんないですね、でも、多分気付かれてても私はそれを見せなかったとは思います。 私はえんじないとみとめてもらえないって思ってるから。それをりかいしてるから、タメ口で話したかったです。タメ口で話せたらどれだけ楽しいのかなっていっつも思ってました。正直樹くんたちが羨ましかったです。私もお母さんが来たら、あの子達みたいに明るくなれたのかなとか、色んなことを考えちゃって、最後は、わざと避けてました。あれだけ大好きだった、樹くんや、彩野ちゃんを自らさけてました。嫌いになったとか、そういうわけじゃないんです。ただましかったんです。『親から愛される』っていうことが羨ましかったんです。私の嫉妬なんです、嫉妬の感じがそこまで邪魔をしたのは初めてだったんです。私だって、甘えたかったです。私だって、タメ口で話したかったです、ちゃんと普通の女の子になりたかったです。でもなれませんでした、だから、学校だけでもって思ったんです。普通の女の子になりたい、学校だけでも、だから、普通の学校に行ってたんです。普通に憧れた結果、なんです。親に捨てられて分かってました、小学2年生の時、分かりましたよ、私、『あーこれ私捨てられたんだ』ってでも受け止められるわけなくて、ずっと隠してきたんです、多分隠すための敬語だったんです、 敬語だったら感情あんまり出ませんから、なんでも私もよくわかってないんです、なんで敬語だったのかとか、わからないんです。でもこれだけは言えることがあって、今までお世話になりました、ありがとうございます。ここの病院の先生方は、本当に素敵な人達ばかりでした。

                   敬具

  令和六年八月三十日

            (蓮に1番懐いてる子)より

 一条響矢様』

体がきつかったなんて、聞いてない、知らなかった。所々震えた文字で、身体が言う事聞かなかったってことが伝わる、でも、それよりもちゃんとした手紙の書き方で書いてて、俺は思わず笑ってしまう

「相変わらず、真面目だな」

ほんとに最後の最後まで、大真面目で、話したいたかったら、いえばよかったのに、ほんとに…泣かすなよな、そう思ってふと隣を見る、玲亜がいた、…は!?

「びっくりしたぁ、少しぐらい、声かけてよ、隣に急

にいたらびっくりする…」

心臓止まるかと思った、ほんとにびっくりした、

「…(私の好きな子)死んじゃった…?」

それに黙って返す、沈黙は答え、なんだよ、

「ねぇ?どうなの?」

わかってるはずなのに、聞いてくる、

「わかってるでしょ?、多分もうあの子の顔にかかった白い布、見てきたんでしょ?」

脚が震えてる、目を瞑って、耳を抑えている、

「本当、なんですね、あの子、眠ってるように見えました、」

震えた口調、泣きそうな、…気づいたら抱きしめてた、

「……ぇ?」

急に抱きしめたからだろう、声が小さい、いつもより、…あ、手紙、…泣いてるな、そりゃそうか、泣くよね、親友が亡くなったんだもんね、この子が泣き終わってからでいいか、頭を撫でる、すると

「…信じたくない…です、あの子が死んだなんて、あんな明るい子だったんです、あんなに可愛い子だったんです、あんなに、あんな、にいい子だったんです、あんなに、…嘘ですよね?…ドッキリですよね?あんなに早く、死ぬなんて聞いてないです。」

そう言って泣きじゃくる、玲亜、俺は黙って頭を撫でることしか出来なくて、

「あの、これ、手紙、」

お母さん…なんだろう、

「手紙がどうかしたんですか?」

「読んでください、…読む資格なんて私には無いです。なので見てません、ごめんなさい」

この人どこまで無責任なんだ、

「……あの、」

蓮に話しかけられて、ビクッと肩を震わせる

「…はい?」

そうお母さんが聞く、蓮は

「…口悪くなることご了承ください、」

そう言って、頷くお母さんを見て

「……あんたはどこまで、無責任なんだ?確かに、あんたはあの子を捨てたから、読む資格も、謝る資格もねぇよ、でも、そんなあんたにも、あの子は手紙を書いてんだ、なにか伝えたいことでもあるんじゃねぇの?」

蓮がそう言うとお母さんは泣きながら

「そうですね、私は、無責任ですよ、なんでこんな私にも手紙があるのか不思議なぐらいには、最低な母親です。私にはなにか伝えたいこと、なんでしょうね、」

そう言ってみんなの前で手紙を開く、

『拝啓

この手紙を見てるってことは私はもうこの世にはいないのですね、お母さん、お元気ですか?私は…元 気です。…ごめんなさい、嘘ついちゃいました、本当は元気とはほどとおいほど、体調が悪いです。この手紙も手が震えながら書いています。お母さんのことずっと待ってます。いつでも来てください、まぁ、私はいないんでしょうけど、私はお母さんのこと大好きなのです。あなたに捨てられた日、私は信じたくなかったです。あんなに優しかったお母さんがおとうさんと出会って変わってしまった。

『男が欲しい』

が口癖になってしまった。それが悔しかった、私が男の子だったらって思った。

『男の子だったら愛してくれるかな』

って思って、男の子の口調、男の子の好きな物、好きになろうとしました。好きな演技をしました。だけど愛してくれなかった、その時、私の中で一番大好きなお母さんが大嫌いになりました。でも矛盾してますが、お母さんの事が好きなんです。育ててくれた7年間ありがとうございました。大好きです。これからもずっと、大好きです。

                   敬具

  令和六年九月三十日

               (あなたの娘)より

 新道明日香様』

と書いていた、それを見たお母さんは泣き崩れてた、

「ごめんなさい、ごめんなさい、ちゃんと行けばよかった、」

そう言ってた


 ……手術は、一応成功、はした、でもあの子の身体が耐え切れなくて、

「ごめん、ごめんなぁ、救ってやれんくて……ごめんなぁ」

そう泣きながら謝ることしか出来ない、自分が…憎くて、嫌い

「負荷かかりすぎてたんだね、ごめんね、よく頑張ったね」

そう言って、冷たくなったあの子の頭を撫でる、先輩、幼い時からあの子は手術を受けていた、最初は

『こわい、やめて、助けて』

って言ってたあの子が…いつの間にか

『またですか?ほんとに、いつまで私耐えれますかね?』

って笑っていってた、でも幼い時のあの子の面影も残ってて、いつも目の奥では怖がってた、手術日に近ずけば、夜な夜な泣いてた、分かってたけど、気づかないふりをした、気づいたら、もしいっちゃったら、俺も泣いちゃいそうだから

「蓮、あの子の部屋行こう?あの子ね、いつもね俺に言ってたんだよ、もし手術が失敗したり、体が耐えきれなくて、私が死んじゃったら、私の部屋にある手紙読んでほしいって」

そう言われたびっくりした、なんかコソコソと言ってるのは知ってたけど、それが手紙だった、なんてわかんなかった。え…?でも

「場所知ってるの?」

この疑問が浮かんだ、すると

「場所は聞いてあるから」

と、そう言ってきた、だから、頷いた、そして、静かな気まずい間合いを取って歩く、あの子の部屋のドアを開ける、すると、あの子のお義父さんから

「ようやく、あいつ死んだか、長かったなぁ」

って言ってるのが聞こえた。多分俺らの暗いテンションでわかったんだろうね、一瞬叩きたくなったし殴りたくなった。でも我慢した俺は医者だから、我慢した。でもあいつらの文句は止まんなくて

「あの、すいません、そんな会話、不愉快なんでやめてもらってもいいですか?」

そう、優しく言う、今、ワークまでも、患者の親と医者っていう立場だ、我慢しないといけない、何を言われても、そしたら

「えっ、なんで?だって、俺らからしたら、あいつお荷物でしか無かったんだよー、?あっ、もしかしてあいつに何か思い出ある?」

「ないでしょう、そんなの」

そう言って、笑い合うあの子のお母さん達あー、これ俺、ダメだ、 

「あんたらにはないだろうなぁ、あの子の思い出は、」

気づいたら、口が悪くなってたそれに対して、お母さんが

「は?あんたら誰に言ってんの?もしかして、私達じゃないよね?」

って高圧的にきた、でも、不思議と怖くなくて、

「あんたらだよ、あんたらしかいねえだろ?何が見えてんだ?こえーなぁ?」

って俺も高圧的に言う、正当防衛だ、多分

「なんだっけ、あいつに思い出あんだっけ?気になるなぁ、」

そう、お義父さんに言われて、ふと我に返る、あー、そうだ、喧嘩してる場合じゃねえんだ話さなきゃ

「…はい、」

そう言って話す


「あの子は俺に懐いてくれたんです。1番最初に懐いてくれて、パズルとか色々したんです。でもある日、俺の事を如月先生って呼ばず、蓮さんって下の名前でさん付けしだしたんです。なんでかなって思ってたんです。……今考えてみれば、あなたが来ないってわかったから、諦めついたから、如月先生って呼ぶ時は声が希望に満ちてたんです。でも、蓮さんって呼び出してから、…声が希望に宿らなくなった、如月先生って呼ぶ時は、毎日のように

『きょうおかあさんくるかな!』

って聞いてきて、俺来ないってわかってましたけど、あの子の希望を潰すことはできなくて、

『きたらいいねぇ、きたらなにはなすの?』

って聞いたら

『おえかきみせるの!おかあさんのえかくの!』

なんて言って、一生懸命描いて、」

話すとお母さんは泣きそうになりながら

「行ってあげればよかった」

と、そう言った、本当はいい人なんだろうか?それともようやく、あの子が亡くなってからようやく呪いが解けたんだろうか、洗脳が解けたんだろうか?

「あんなやついらねぇだろ、女だぞ?」

と言われ肩をビクつかせるお母さん、叩かれてるのか、だから行けなかったのか、そう思っただから

「お父様?そこまで女の子がいらないんですか?可愛いですよー?女の子」

ってお母さんの前に出た、

「要らねぇよ、後取りの子以外要らねぇの、」

そう言われた、ムカついた

「そうなんですね、」

そう軽く返したあと、俺は気づいたら殴ってた…え?俺殴ったの?マジで?

「あんた、それでも父親なんか?男じゃねぇから?いらない?ふざけんな、」

気付いたらこんな言葉が出てて、お義父さんはびっくりして固まっていた、…まぁ、そうよね、俺自分でもびっくりだもん、

「蓮、落ち着いて、とりあえず、手紙読もう?」

そう言われて力抜けた、なんかベッドに倒れてる、…先輩は何してるんだ、…ちらっと先輩の方を見る、呆れたかと思えば、タンスの2段目奥で手紙を探していた、

「あ、あった、」

という声が聞こえた、俺は頑張って身体を起こし

「……え?読ませて」

とそういった、すると

『如月蓮先生へ』

書かれた手紙が渡された、俺は中身を見る

『拝啓

この手紙を見ているってことは、私はもうこの世にはいないんですかね?もしかしても、手術失敗しました?なーんて、蓮先生が失敗するわけないですよね、ごめんなさい多分、私の身体が耐えれなかったんですよね、わかってますよ。蓮先生、私もうそろそろ死ぬんだろうなぁってわかってました。この手紙を残しますね。あーでも、見たら、捨ててくれてもいいし、残しといてくれててもいいですけど、私、最初、大人っていうのが、信頼できなかったんですよ、親のせいで一番、あの時雰囲気が親に似てた蓮先生に懐いて正解でした。蓮先生はとっても優しくて、でも怒る時は怒ってくれて、それでもって涙もろくて、でも、その涙もろいところを隠そうとする先生も好きで、あなたが担当でよかったって思いました。声が態度が何もかも優しくて、最初はち ょっと怖いなって思ってましたけど、でも怖いって思ってたのは、最初だけで関わっていく度にどんどん知りたいってなっていきました。勉強の教え方が感覚なこと、恋バナとかをすると、すぐ照れちゃうとこ、友達関係とか、真面目な話とかをすると、真剣にちゃんと聞いてくれるとこ、全部が大好きで全部が素敵で、もしかしたら、字が震えてなんて書いてあるかわかんないかもしんないですけど、それでも私は書きますよ?手術前になると、毎回書き直すんです、同じことであろうと何回も書いて何回も読み直して、私、手術前になると泣いてたんですよ、知ってると思いますけど、分かんないふりしてくれてありがとうございます、多分私知られてるって知ってたけど、でもそれを言われたらどう接していいのかわかんなくなっちゃいそうだったから、だから良かったですあなたが担当医で良かったです、あなたが本当に本当の親みたいな感じで叱ってくれて、優しくしてくれて、愛情をくれて嬉しかったです。愛してくれてありがとうございます。私実際タメで話してみたかったです。タメで話したら楽しいんだろうなぁって、ずっと思ってました。でも、ごめん なさい、できなかったです。タメ口になっても嫌わないってわかってましたけど、でも演じないと、自分が壊れちゃいそうで自分が自分じゃなくなりそうで怖くてだからやっぱりタメ口は無理でした。それでも私を愛してくれてありがとうございます。何回 も言いますね、あなたに懐いて良かったです、あな たが担当医で良かったです。あなたに最初に愛されて良かったです。蓮先生、大好きです、尊敬してます

                   敬具

  令和六年九月三十日

           (小児科でのお姉ちゃん)より

 如月蓮様』

って書いてて、泣きそうになった、タメで話してくればよかったのに、嫌わないのに、 手紙を見た先輩が

「相変わらず、真面目だな」

と、言葉をこぼす、その通りだと思った、すっごい真面目、そう、ひたっていると

「びっくりしたぁ、少しぐらい、声かけてよ、隣に急

にいたらびっくりする…」

と声が聞こえただから、先輩の方に振り向く、そしたら、涙目の玲亜ちゃんが先輩の隣にいて

「…(私の好きな子)死んじゃった…?」

と先輩に聞く玲亜ちゃん、先輩は無言を返す、沈黙が正解と言わんばかりに、それでも

「ねぇ?どうなの?」

と聞く玲亜ちゃん、わかってるはずなんだけどな分かりたくないのか、

「わかってるでしょ?、多分もうあの子の顔にかかった白い布、見てきたんでしょ?」

容赦なく、現実を突きつける先輩、玲亜ちゃんは脚が震え、目を瞑り、耳を抑えている、

「本当、なんですね、あの子、眠ってるように見えました、」

そう、泣きそうな声で言う、すると、先輩が抱きしめ、玲亜ちゃんは、

「……ぇ?」

と、声にならない声で発した、すると、グズグズと泣き始めた、そりゃそうだよなぁ、好きな人が亡くなったんだもん、泣きたくもなるよな、先輩は黙って頭を撫でている

「…信じたくない…です、あの子が死んだなんて、あんな明るい子だったんです、あんなに可愛い子だったんです、あんなに、あんな、にいい子だったんです、あんなに、…嘘ですよね?…ドッキリですよね?あんなに早く、死ぬなんて聞いてないです。」

そう、泣きながら言う、玲亜ちゃん、先輩は相も変わらず、頭を撫で続けていて、

「あの、これ、手紙、」

と、先輩に渡していた

「手紙がどうかしたんですか?」

不思議そうな口調で聞く、先輩

「読んでください、…読む資格なんて私には無いです。なので見てません、ごめんなさい」

そう言われて、俺はイライラする、あまりにも自分勝手で、

「……あの、」

自然に声が出ていた、すると、お母さんは驚いたように、肩をビクッと震わせ、

「…はい?」

と怯えたように聞いてきた、

「…口悪くなることご了承ください、」

その確認をとる、するとコクと頷いてくれた、

「 ……あんたはどこまで、無責任なんだ?確かに、あんたはあの子を捨てたから、読む資格も、謝る資格もねぇよ、でも、そんなあんたにも、あの子は手紙を書いてんだ、なにか伝えたいことでもあるんじゃねぇの?」

そう言うと泣いてた

「そうですね、私は、無責任ですよ、なんでこんな私にも手紙があるのか不思議なぐらいには、最低な母親です。私にはなにか伝えたいこと、なんでしょうね、」

そう言って、みんなの前で手紙を開く

『拝啓

この手紙を見てるってことは私はもうこの世にはいないのですね、お母さん、お元気ですか?私は…元 気です。…ごめんなさい、嘘ついちゃいました、本当は元気とはほどとおいほど、体調が悪いです。この手紙も手が震えながら書いています。お母さんのことずっと待ってます。いつでも来てください、まぁ、私はいないんでしょうけど、私はお母さんのこと大好きなのです。あなたに捨てられた日、私は信じたくなかったです。あんなに優しかったお母さんがおとうさんと出会って変わってしまった。

『男が欲しい』

が口癖になってしまった。それが悔しかった、私が男の子だったらって思った。

『男の子だったら愛してくれるかな』

って思って、男の子の口調、男の子の好きな物、好きになろうとしました。好きな演技をしました。だけど愛してくれなかった、その時、私の中で一番大好きなお母さんが大嫌いになりました。でも矛盾してますが、お母さんの事が好きなんです。育ててくれた7年間ありがとうございました。大好きです。これからもずっと、大好きです。

                   敬具

  令和六年八月三十日

               (あなたの娘)より

 新道明日香様』

と書いていた、それを見た、お母さん…いや明日香あすかさんは、

「ごめんなさい、ごめんなさい、ちゃんと行けばよかった、」

と泣き崩れながら、言った。それを見た俺はなんていえばいいのか分からなくて、黙っていた、すると玲亜ちゃんが

「…あなたのこと、学校で話してました、

『お母さん厳しいんだよねぇ』

って、」

とそう言った、それでお母さんが

「え?どういうこと…?」

そう言って、玲亜ちゃんに聞く

「お母さんのこと話してました、遊ぶ時に誘う時も、親の話する時もお母さんの話をしてました。

『お母さん昔は優しかったんだけどね、高校生になって、厳しくなっちゃって、この学校バイトいけるじゃん?なのにさ、バイトしたらダメとか、家に友達呼んじゃダメとか、中学生までは良かったのに不思議だよねぇ』

って、よく言ってました。」

それを聞いて、お母さんは

「…そうなんだ、ほんとに酷いことしたねぇ、ごめんねぇ、ありがとね、あの、(可愛い娘)がいる、ところ連れて行ってくれませんか?」

俺にそう言ってきた、

「分かりました、」

そう言って部屋を出ていく


 …2人は部屋を出ていった、もう少し、タンスを見てみる、何かないかなー、なんて思いながら、そしたら、日記が見つかった、あの子が書いたのだろう中を見てみる

『令和三年、十月二十日

今日から書き始める、!

今日は学校に行った、楽しかった、今日も玲亜ちゃんに

一緒に遊ばない?

って言われた、でも病院に帰ってるから遊ぶことはできなかった、遊びたかったなぁ』

大体の内容がこんなのでただの日記かと思ってパラパラと読み進めていた、でも、時々不可解なのがあった不可解っていうか、なんだろう、不思議なことが書いてあった

『令和三年、十二月二十五日

今日はクリスマスだ、でもなんだか、そんな気がしない、だって、なんか桜のはなびら?みたいなのが落ちてた、道の真ん中に辺りを見ても桜の木なんてないし、ちょっと早めの桜かなとも思ったけど、早すぎるよね、なんだろう』

こんなのが書かれていたり

『令和四年、一月一日

今日は元旦で、蓮さんと一緒にお祭りに行ったお祭りっていうか、なんというか、お参りしに行った。私は早くこの病気が治りますようにって願った。その時に、また桜の花びらがあった、なんなんだろう』

と、また桜の花びらが落ちていたという報告の日記

『令和四年、四月八日

今日は入学式だった、中学校一緒だった、玲亜ちゃんと一緒になれた、よかった、 この子は私と関わってたけど、でも私のことを全く知らない子だから関わっていけそう、今日はなんか緑の葉っぱ?が落ちてた、玲亜ちゃんと一緒に帰ってて、今、春なのに季節外れだねって話をした、』

緑の葉?確かに四月にしては、

『令和四年、七月十九日

今日でようやく一学期が終わる、 玲亜ちゃんと話せないってなると悲しいけど、また話してくれるかなとか考えちゃう、今日はオレンジの葉っぱが落ちてた。なんでだろう?なんか、季節外れのものが多い気がする、オレンジの葉っぱは秋なんだよねー、ほら、何だっけ、紅葉こうよう紅葉もみじ?だっけ?あっ、漢字一緒だ読み方付けとこ』

季節外れか、確かにそうかも

『令和四年、八月十九日

今日は少し散歩をした、まだ暑いし昨日雨降ったから、かすっごいムシムシするけど、なんか今日は水が固まってた、なんでだろう、寒くないはずなんだけどな、冬に起こる現象じゃない?、水が固まるって、まあそういう日もあるか?いやないか…!わかんない』

『令和四年、十月二十日

今日で書き始めて一年らしい、早いなぁ、今日はね、何があったかなぁ?あ、そういえば今日、小テストあって、英単語のテストだったんだけどなんと満点だった、英単語を覚えるの苦手だから、すっごい嬉しかったな、蓮さんにも見せると、

頑張ったね

って褒めてくれた、嬉しかった、玲亜ちゃんには見せる気なかったんだけど、なんか勝手に見られてて、

すごいね

って言われた、

私にも教えて〜

って、英単語は、感覚だから、どうしたらいいのだろうか?まぁいっか』

普通の日記だった。でも1年経ったっていうのが書かれてあったから、読んでみた

『令和四年十二月二十四日

今日は終業式だった、また三週間ほど玲亜ちゃんに会えない、悲しい、好きなのに、まぁ引かれたら嫌だから伝えないんだけどさ、今日帰ってる途中に冬なのに緑の葉っぱが落ちてた、なんでだろう、もしかしたら夏の葉っぱがそのままほったらかしにされてたのだろうか、でもさすがに気づくよね、毎日この道では帰ってるし、』

緑の葉…

『令和五年、一月八日

今日は三学期の始業式なんていうか、久しぶりに玲亜ちゃんに会えた。すっごい楽しかった、今日も一緒に帰った、なんか最近疲れやすい気がする、体おかしいな、学校への行き道に黄色の葉っぱが落ちた紅葉かなぁ、だとしてもおかしいんだよね、季節的にさ?なんでだろうもっとおかしかったことがあって、帰りにはなかったんだよねー、本当におかしい』

…なんでだ、?

『令和五年、三月二十四日

今日は学校の修了式だった、来年も玲亜ちゃんと一緒になれたらいいなぁ、楽しみ、本当に最近体がだるい一応走れるし体育はしてないけど、先生に止められてるしね、でもやっぱりしたいなぁ来年はできるかなぁ、できたらいいなぁ、今日は何かあったっけ?うーん、あっそうだ、あのー今日もというか、まぁ、変なことあって、今、春じゃん春というか、冬っぽい気温だけどさなのに、なんかね、セミの抜け殻あったんだよね、本当におかしい、ちょっと早めのかな?早すぎるよねにしても、えー何なんだろう、あれ、明日見てみよう』

『令和五年三月二十五日

今日、昨日の道を歩いてみた、でもセミの抜け殻なんてなかった夢かなぁ、夢じゃないと思うんだけどなぁ、あっ、今日なんかネットの記事、面白いのないかなーと思って見てたら、タイムスリップの仕方?やり方?みたいな記事があってさ、なんか不思議なんだよね、その記事見てると、あれは記事っていうのかな?よくわかんないけど、でも、もし本当にできるのなら、いつか私救って欲しいなぁ救えるのかなぁ未来の私』

……タイムスリップの記事?不思議なやつ見てるんだなぁ、他に気になるやつはっと、なんかあるかなぁ、おっ、あった、つい最近のやつじゃん

『令和六年、九月四日

今日はなんか知らない人に話しかけられた、でも病院の制服?白衣?っていうの蓮さんとかが着てるやつって、それ着てたし、病院の人じゃないのかなと思って話したそしたら、蓮さんに誰と話してんのみたいなこと言われて、ちょっと怖くなって、パニックになっちゃった、おかしいなぁ、ちゃんと声聞いて、私の名前も言ってあったんだけどな、なんか聞き覚えある声してたし、まあいいか、幻聴でしょう』

それ以降は、不思議なことは書いてなかった、うーんどうしたもんか


 私は必死に勉強した、あの子が死んで、救いたいって思った、世界にはああいう子がもっといるんだって思ったら、救いたいって思った。でも一番はやっぱり、あの子を救ってあげたかった、そんな時、

「玲亜、勉強してるところ悪いんだけど、ちょっといい?」

と、勉強を見てくれていた一条さんから声がかけられる私は時々勉強を一条さんに教えてもらっている、 お兄ちゃんが感覚ってことはとっくの前に知ったからね

「どうしたんですか?」

「この記事どう思う?」

そう言って見せてきたのは、タイムスリップできる方法?の記事だった、

「こんなの遊びでしょ、どうせ」

そう、悪態をつくと

「俺も最初は遊びかなと思ったんだけど、でもこれも見て」

そう言って見せてきたのはあの子の日記だった

「日記?」

と言うと

「うん、これ、あの子が書いた日記、ここにね、なんか不自然なことが書いてあんのよ、夏なのに、水が凍ってたとか、春なのに、セミの抜け殻が落ちてるとか、もしかしたら関係あるんじゃない?しかも、タイムスリップできる方法みたいな記事もあったって書いてるし」

そう言われて

「その記事、見してください、それか、私に送ってください」

「わかった、玲亜のに送っとくね」

そう言って送られてきた記事、それをまじまじと見てみる

『タイムスリップのやり方

 一、頭を空っぽにする

 二、 そのまま一回うたた寝をする

 三、 うたた寝して寝そうになったところで目を開ける

 四、するとあら不思議、タイムスイップをしています』

こんな記事だったコメントには

『何だこれw

 どうせ子供のイタズラだろ?こんなのww

 はい、はい、できてませんでしたって、オチねw』

そんな中、気になるコメントが一つ

『一回やってみました、タイムスリップ知ってるかどうかはわかんなかったですけど、季節外れものものが落ちてたりはしました、これはタイムスリープ成功と言っていいのでしょうか?』

こんなコメント、そのコメントを見た途端、一条さんは

「ちょっと待って、」

そう言ってあの子の日記を見る

「えっと、確かこの辺に、…あった、」

そう言って

「 玲亜一緒に見よう、これ」

そう言われ、一緒に見る

『令和四年、七月十九日

今日でようやく一学期が終わる、 玲亜ちゃんと話せないってなると悲しいけど、また話してくれるかなとか考えちゃう、今日はオレンジ

の葉っぱが落ちてた。なんでだろう?なんか、季節外れのものが多い気がする、オレンジの葉っぱは秋なんだよね ー、ほら、何だっけ、紅葉こうよう紅葉もみじ?だっけ?あっ、漢字一緒だ読み方付けとこ』

季節外れという言葉に丸をつけている、私と一条さんは、目を見合わせる

「もしかしてこれって、」

言葉が揃う、

「その他にも」

ペラペラと日記のページを先へと進める

『令和五年、一月八日

今日は三学期の始業式なんていうか、久しぶりに玲亜ちゃんに会えた。すっごい楽しかった、今日も一緒に帰った、なんか最近疲れやすい気がする、体おかしいな、学校への行き道に黄色の葉っぱが落ちた紅葉かなぁ、だとしてもおかしいんだよね、季節的にさ?なんでだろうもっとおかしかったことがあって、帰りにはなかったんだよねー、本当におかしい』

季節という単語に丸をしてある、私は気になり聞いてみる

「 その他は?」

「どのほか、うーん、ちょっと待ってね、」

そう、探す

「 あっこれこの記事のことじゃない?記事の名前までは書いてないけど」

『令和五年三月二十五日

今日、昨日の道を歩いてみた、でもセミの抜け殻なんてなかった夢かなぁ、夢じゃないと思うんだけどなぁ、あっ、今日なんかネットの記事、面白いのないかなーと思って見てたら、タイムスリップの仕方?やり方?みたいな記事があってさ、なんか不思議なんだよね、その記事見てると、あれは記事っていうのかな?よくわかんないけど、でも、もし本当にできるのなら、いつか私救って欲しいなぁ救えるのかなぁ未来の私』

そう書かれていた、タイムスリップの記事…

「他になにか不思議なこと書いてなかった?」

そう聞くと、一条さんは

「……あっ、えっと、これ」

『令和六年、九月四日

今日はなんか知らない人に話しかけられた、でも病院の制服?白衣?っていうの蓮さんとかが着てるやつって、それ着てたし、病院の人じゃないのかなと思って話したそしたら、蓮さんに誰と話してんのみたいなこと言われて、ちょっと怖くなって、パニックになっちゃった、おかしいなぁ、ちゃんと声聞いて、私の名前も言ってあったんだけどな、なんか聞き覚えある声してたし、まあいいか、幻聴でしょう』

「…話戻るけどさ、」

そう聞くと頷いて

「タイムスリップのやり方とか書いてなかった?」

そう聞くと、

「書いてあるとしたら、一番後ろのページだよね、そこだけ見てないんだよねー、なんか怖くて」

そして一番後ろのページを見る一条さん

「あっ、これって、」

そう言って見せてきた、それは


 私は医者になった、たくさん勉強した、小児科医の医者、もうかれこれ5年は働いているだろうか、技術も磨いて、いつあの子に会ってもいいように、頑張っている。でもやっぱりうまくい、毎日子供達の世話とかで大変だけど、充実した日々を送っている。私は毎日「あの日」見たタイムスリップの方法を実践してる。でも、うまくできなくてうたた寝する前に寝ちゃう、疲れ果ててるんだろう、

「せんせい、あそんで!」

そう、入院してる子に言われる

「わかったよー、何して遊ぼう?」

そう聞くと

「おにんぎょうさん、!おにんぎょうさんであそぶの!」

とそう言われた、だから

「わかったよ、遊ぼっか」

そういい人形で遊ぶ、たまにあの子が夢に出てくる、あの子がというかあの子の過ごした日々が、あの子が「普通」というか「王道」に惹かれた理由が分からない、

「せんせい!」

そう声をかけられる

「あー、ごめん、ごめん、」

そう言って遊ぶ、あの子との日々を忘れたことは無い、日記に書いていた『いつか私救って欲しいなぁ』この言葉を忘れてない、忘れられない、

「川上先生、そろそろご飯の時間ですよ」

そうおにiん"ん"ッッ如月先輩から声をかけられる

「みんなもご飯だよー、ご飯食べに自分のお部屋行こーね」

そう言っていくように促す

「はーい!」

そう言って、みんな部屋に帰っていく、私は如月先輩と一条先輩と一緒にご飯を食べる、1人やだもん、寂しいし、

「いっつもそれ読んでるよねぇ、」

そう、如月先輩に聞かれる

「まぁ…そうですねー、」

「なんなの?それは」

一条先輩にも聞かれた

「 これですか?あー、ほらあのー、手紙ですよ、この子が書いてくれた手紙、ずっと持ってるんですよねー」

そういうと、二人は目を輝かせて

「えっ、どんなこと書いてんの、普通に気になるんだけど」

そう、ハモった、さすが仲のいい先輩達だ

「……見ます?」

そう聞くと

「見たい、」

と一言、

『拝啓

この手紙読んでるってことは私が病院に住んでることバレた…?それで私がもうこの世に居ないってことも…私さ、玲亜ちゃんのこと大好きだったの、友達としてじゃない、恋愛として、でも引かれるから、言えなかった、ごめんね、どんだけ同じ気持ちだったら良かったかって思った、どんだけこのバイセクシャルっていうやつが浸透したら良かったかって思った。でもやっぱり慣れなくてさ、そういうのにはさそういう世界になるのには、もっともっと時間がいるからさ、他の人と幸せになって、玲亜ちゃんの、幸せが私の幸せだからね、多分私はもうそろそろ死ぬと思うんだーっていうか、もう死んでるんだけどさ、この手紙書くのもねぇ、手震えてるんだ 最近、すっごい身体の調子悪いんだ、走ることもできないし、歩くことですらままならなくてさ、でも心配かけたくないからさ、頑張っちゃった私は、玲亜ちゃんに出会ってから、あー私この人のために生まれてきたんだなぁって思ったの、玲亜ちゃんがいたからこの何?なんていうのかな、痛みのある生活にも耐えれたし、痛みから解放されない、こんな地獄のような世界でも生きてこれたんだ、でもさ、もう体限界みたいなんだよ、初恋があなたで良かったです。最後まで愛したいって思った人が、 あなたで良かったです、幸せをありがとう、最後の最後まで大好きでした。あなたは、普通の、いや、みんながやってるような、王道な恋をしてさださい

                   敬具

  令和六年八月三十日

               (私の好きな人)より

 川上玲亜様』

そう書かれている、変わらない文字、当たり前なんだけどさ、毎日読んでるし、これ、でも毎日読んでても、やっぱり救いたかったなってなる、ふと横を見ると、二人とも泣いていて

「ほんと二人とも涙もろいんだから、ほら、あと少しで休憩終わるよ?早く食べちゃって」

そう言って、早く食べるように促す、毎日のように読んでると、泣きそうになるけど、それを止めるのも得意になってくる、子供達に心配されないようにっていうのもあるけど、

「食べたよ、」

そう言われ、私も食べていたから

「ご馳走様、」

そう言って弁当をしまう、みんな悲しそうな雰囲気だったから

「ほら!先輩達!元気だして!」

そう言って、軽く背中を叩くすると

「そーだね!さぁーて!お仕事しますか!」

そう言って先輩たちもその他の人たちもパソコンをカタカタと触る、そう、夜の部のお仕事だ

「せーせー、?」

そう声をかけられる

「んー?どーしたの、?」

そう聞くと、涙目になって

「ままは?ままがいい」

そう言って泣き出す、すると如月先輩が

「ままはねぇ、おうちでねんねだよ?すみれちゃんもここでねんねして、あしたまた、ままにあおう?」

そう言うとすみれちゃんは

「いつになったらおうちかえれる?」

と、如月先輩に抱きつきながら聞く

「いまもとってもいいこだけど、もうちょっとのあいだ、いままでどおりにしてくれたら、おうちにかえれるかなぁ、」

そう言い一条先輩に目でサインを送る

「そうだね、すみれちゃんもうじゅうぶんにいいこだもんね、おかあさんのところにいきたいよね、でもね、おかあさんもね、すみれちゃんといっしょにいたいっておもってるから、もうちょっとのあいだ、ほんとうにもうすこしのあいだね?せんせいたちといっしょにいよっか?」

そう、優しい声で言う二人、わかってた、この子にとってお母さんが正解だってことお母さんがいないと不安だってこと、それを乗り越えたあの子がどれだけ強いかって、私には想像できないけど、

「すみれちゃんせんせいらといっしょにねむれるまでいる?」

気づいたら、こんなことを口走ってた焦って二人の顔を見るすると、二人とも笑顔で頷いてくれた、あー、正解なんだ、よかったって思った

「 すみれちゃんはおかあさんのことすき?」

他愛のない会話をする、

「うん、!おかあさんのことすみれだいすきなんだ、!だってね、すみれのところにまいにちきてくれるし、 まいにちいっしょにおひるねしてくれるの!だからねおかあさんのことだいすきなんだ!」

そう話してくれる、すみれちゃん、 本当に大好きなんだなそう思いながら頭を撫でるすると

「えへへ、」

そう言ってウトウトしだした。だから、背中を優しく叩く、すると

「すぅ……すぅ……」

と寝息が聞こえた、

「……寝ました?これ」

そう、二人に聞くと頷いた、

「私もちょっと仮眠してきますね」

そう言ってすみれちゃんを如月先輩に預ける、そうして、私は仮眠室に行き、あの日見た、内容で試す、今回はうまくいきますようにと、そう願って


 気づけば、いつもと違うところにいて、いや、一緒なんだけど、なんか違うところにいて

「算数っていうかねー、算数のお兄さんがいてね、お兄さんは、数学っていうんだけど、その数学をしてたんだよ」

あの子の声が聞こえた、タイムスリップ成功か?これ

「すうがく…?」

まだ、数学わかってない女の子の声、あー、これできた成功だ、ようやく

「算数がね、レベルアップした感じ、難しいよー」

あの子の懐かしい声が響く、

「え、お姉ちゃんはそんなむずしいのできの!?、すごい!」

って幼い子が言ってる、それを聞いて、あの子は抱きしめてた、

「お姉ちゃん苦しい」

とそう、言ってるのを聞いて

「ごめん、ごめん」

そう、笑いながら離れる

「おぉ、(私の好きな人)おかえり」

あれは、お兄ちゃん!?もしかして、あーそっか、ここは過去だから、若いのか、お兄ちゃんもまだ

「ただいまです蓮さん」

そう言って、お兄ちゃんに笑顔を見せるあの子、

「れんせんせい!」

幼い女の子がお兄ちゃんを呼ぶ

「おー、元気いっぱいだね、あやのちゃん、今日は体つらくない?」

幼い女の子は、あやのちゃんって言うらしい、

「うん!だいじょーぶ!」

そう、元気よく答える、あやのちゃんが可愛い

「そっかそっか、良かったねぇ」

とお兄ちゃんも優しい口調で答える、あの子にも

「(私の好きな人)も大丈夫かい?」

そう言う、お兄ちゃん、あの子は、少し不思議そうなむずがゆそうな顔をして

「はい、大丈夫です。ご心配ありがとうございます。」

とそう答えて、お兄ちゃんは

「ふは、なら良かった」

と、笑った後に言った、

「ねぇ、おねぇちゃんいっしょにあそんでぇ」

そう呼びかけたのは、、あやのちゃんじゃなくて、幼い男の子だった、

「お兄ちゃんと遊ばなくていいの?」

そう言って、お兄ちゃんと指を指したのは、お兄ちゃん 如月先輩だった、え、弟いたんだ、あの人、

「そうだよ、樹お兄ちゃんと遊ぼうよ」

あの子は樹くんっていうんだ、小さい子可愛いなやっぱ好きだわ

「おにいちゃん、やだ、だってあやのちゃんばっかりだもん、まえまでならぼくといっしょだったのに…!」

そう言って顔を膨らませる、樹くん、嫉妬か、本当は干渉したらダメなんだけど、

「えー、何嫉妬可愛いねー」

声が出てた、あーやっちゃった、そしたらあの子にジト目で見られる

「ちょっと先生、そんなこと言わないでください、?ちゃんと自分の仕事に戻ってください?」

そう言われる、相変わらず、真面目というか、なんというか、

「えー、厳しいなぁ(私の好きな人)さんは」

一応、病院の先生のふりしとかないとねって、あーもう、夢から覚めんのは嫌なんだけど、もっと話したい


 気づけば、仮眠室で寝ていたらしい、

「ん、ふあぁ、」

あくびをする。すると、二人がやってきて

「おはよー、よく寝れた?」

と聞いてきた、だから

「うん、よく寝れた、それと、あの子に会ってきた、ちょっと話もした、タイムスリップするコツ掴んだかもしんない」

そう言うと二人とも目を輝かして

「えっ、!ほんと!?」

そう言って、如月先輩は

「…あー、あの時声かけたの、玲亜ちゃんか」

と納得していた、私が

「あの時?」

と聞くと、

「うん、俺の弟が嫉妬した時、あの子が1人で話してるって思って、誰と話してたの?的な事聞いたのね、そしたらあの子パニックなっちゃって、」

そうあの時のことを思い出して話す、如月先輩、いつの日かまた、救えますように、そう思って仮眠室から出る、そしてまたいつもの生活に戻る、

 

 家に帰ってきた、家で成功したことないんよね、

「ただいまぁ、我が家ぁ、疲れたぁ!」

そう言って

「とりあえず、お風呂か、入ろう」

私は一人暮らしをしている、毎日お風呂に入って、寝る、そんな生活だ

「あの子に会えますように」

そう言って寝る、おやすみなさい


 「響矢ぁ?響矢?」

声が響く、あー、この感覚、また成功か、響矢ってことは…これは、あの日か?私が急いで帰った日だろうか、あの時帰らなければよかった、最後の最期まで一緒にいたらよかった、そんな後悔が頭をよぎる

「ん?何、どした?」

そう、一条先輩がお兄ちゃんに向かって言うお兄ちゃんは真剣な顔をして

「この子手術室に運んで」

顔を見たあの子だった、

「わかった」

そう頭をかいて言う一条先輩、でもなかなか進まない、そこに

「響矢?何つったてんの?あの子連れて一緒に行くよ、?ほら」

そう言って、手術室に連れていく、お兄ちゃん、それをぼーっと眺めてる、一条先輩、昔から一条さんは何を考えてるのか読めない人だった

「俺は何してるんだろう」

そうつぶやく、一条さん、あー、ほんと何考えてんだ、あの人は、

「とりあえず行くか、蓮の助手しないとなぁ」

…あー、お兄ちゃんの助手だっだんだ、今じゃ考えられないな、私が助手だもん、

「感覚なんて狂いたくなかったよ」

と誰もいない所に叫ぶ、何があったのかよくわかんないけど、でも、何かあったんだろう、そんなことを考えていると、お兄ちゃんが真っ青な顔して一条先輩の所へくる

「響矢!どーしよ、!?人殺しになるかもしんない、いやだ、一番大切な子殺したくない、助けて、」

涙目で言ってるのを聞く、…人殺し?…、

「大丈夫だから、それとわかった、すぐ行くちょっと待ってて」

そう言って、なだめる一条先輩、手術室に行く準備をし、すぐに向かう

「……私もあの子救うために頑張りますか、」

あ、また声が出た、…こっち向いた…?気のせいで済まされた?

「早く行かないと」

と言って、一条先輩は手術室に向かう、私もついて行こう、

「……メス、」

「はい、」

そう言って、メスを渡す、お兄ちゃん、そこに私が入る

「ん、あの、」

そう言うとみんなびっくりして

「誰!?」

「いいですから、変わってください、」

そう言って、代わってもらう、手術は何時間にも及んだ、そして、

「成功です、目を覚ます確率は、五分五分と言ったところでしょう、」

私も、いたいけど、いや、まだいれる、大丈夫、

「…起きました!お兄ちゃん達!起きたよ!(私の好きな人)起きた!川上先生!ありがとうございます!」

そう言われ、救えた安堵感で、目が覚める、運命変えれた、後は過去の私がどうにかしてくれるでしょ、あの日目が覚めたら言おうと思ってた言葉があるから


 んん、あれ?私生きてる…?…なんで?あのまま意識失って、死ぬって思ったんだけど、目を開ける、するとそこには、汗をかいている玲亜ちゃんがいた、

「起きました!お兄ちゃん達!起きたよ!(私の好きな人)起きた!川上先生!ありがとうございます!」

川上先生?どこにいるんだろう、

「…あれ?いない?…まぁ、この恩は一生忘れないだろうな、」

そう言って、涙を流す、玲亜ちゃん

「ねね、(私の好きな人)?」

そう言われ、目線を玲亜ちゃんに向ける、

「ん、?」

そう声を発すると

「やっぱ王道の恋とかどう!?」

玲亜ちゃんなりの必死な告白に私は

「喜んで」

と笑いながらそう返すのだった


 同じ苗字の先生、同じ名前の先生に、私は救われた、同姓同名ってやつだった、その先生が

「成功です、目を覚ます確率は、五分五分と言ったところでしょう、」

そう言った、起きるように願った、起きて言いたいことがあるから、私なりの私が必死に考えた告白、それを言いたいだから起きるように願った起きてくれって願った、すると、目を開けた、

「起きました!お兄ちゃん達!起きたよ!(私の好きな人)起きた!川上先生!ありがとうございます!」

そう言って、川上先生がいたところを見るでも先生はいなくて、

「…あれ?いない?…まぁ、この恩は一生忘れないだろうな、」

そう言って、まだ意識もはっきりしてないけど、伝えたい、病み上がりの彼女の名前を呼ぶ

「ねね、麗華私の好きな人?」

そう呼びかける、すると

「ん、?」

と声が返ってきた、だから伝える、伝えたい

「やっぱ王道の恋とかどう!?」

そう言うと彼女、いや、麗華は笑って

「喜んで」

とそう答えるのだった

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やっぱ王道の「恋」とかどう!? @ayano-to-ren

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