第3話 White Riot -2-
退職届を受け取った部長から引き止めがあった。
ある役員が話をしたいとのことだったので、一回居酒屋で腹を割って話そうということになった。
僕の心は、まだマグマのように煮えたぎっている。
このまま話を聞いてもまともな結果にならないことは簡単に想像できた。
こういった時は、状況を冷静に判断できる第三者に話を聞いてもらうのがよい。
同業じゃないほうがより冷静な意見がもらえると思って、幼稚園からの幼馴染でライブ配信プラットフォームのディレクターをしている萬晃太(通称、萬くん)と、戦略コンサルで働いていた中学の後輩の木村源基(通称、キム)に相談することにした。
この2人は僕の性格も熟知しているし、古くからの付き合いなので僕に気を使うということもない。
なのでこういった込み入ったことを相談するには最適な相手である。
相談の結果、二人から「どんな条件だったら会社に残る可能性があるのかをぶつけてみたら?」という意見をもらった。
会社に残るという選択肢がなかった僕には新たな目線だった。
自分はいったい何に怒っていて、なぜ辞めようと思っているのかを書き出してみることにした。
108を超える呪詛を吐き出してみると、本当に望んでいることはおおよそ3点に集約されることが分かった。
・自分の裁量で活動したい。
・時間を自由に使いたい。
・年収を上げたい。
書籍出版やセミナー・研修などの依頼を、会社を通さずに自分の裁量で扱いたいし、それらにかかる時間は自分でコントロールしたい。
その結果、自分の価値を上げていって、ひいては年収を上げたいということだ。
よくよく考えると、会社に対する不満はそれほど多くない。
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