心の中の、大切なものを探し求める物語・七編(2024年文披31題)

明日月なを

第1話 「甘くて、しょっぱい」お題・琥珀糖

 きらきら、きらきら。


 目の前には、色とりどりの琥珀糖こはくとうたち。

 これは、飴職人あめしょくにんだったおじいちゃんが最後に残したものだ。

 おじいちゃんは仕事中に倒れ、事切こときれてしまったらしい。

 それを、一番可愛がってもらっていた私がもらい受け、葬儀そうぎの帰りに持ち帰ってきた。


 その美しい姿は、子供のころは宝石のように思え、食べると口いっぱいに甘さが広がるという、まるで夢のような食べ物だった。

 ベッドに座り、その琥珀糖を口に入れる。


 こみ上げてくる、涙と共に飲み込んだそれは甘くて、それ以上にしょっぱかった。

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