第12話 遠足の終わり

「アキト、どこ行ってたんだよ。先生にはトイレって言ってあるぜ」

「ありがとう、ちょっとこんなもの拾ってさ…」


僕は千波せんばに右ポケットから先ほど拾ったゴツゴツした石を見せようとした。

しかし千波には見えてないようで


「はぁ?なんかの手品でもはじめたか?なんもないぞ?」

「これだよ、見えない?」

「アキト、、、大丈夫か。疲れてないか?」

「いや、大丈夫なんだけど…」

「本当に見えない?」


千波は僕の右手を握って

「なぁ。何もないだろ?」


石ころは千波の右手を貫通して、僕には見えている。


どうやら、僕以外には見えないのか?


「ちょっと疲れているのかも…、バスに戻るわ」

「お、おう。気を付けて戻れよ」



バスに戻ると先に木原きはらさんが座っていた。

とくに話すこともないし、僕は改めて

右ポケットに入れたゴツゴツした石を取り出す。


右手から左手に石をコロコロと転がして眺めていると


「あんた、さっきから何してんの?」

「いやー、これ拾ってさ…」

「はぃ?」

「あぁ。やっぱそーだよねぇ」

「だから、何してんの?」

「別に、なんでもいいだろ」

「いや、気になるでしょー」

「ちょっとねぇ、色々あるんですよ」

「まぁ、いいわ。変な動きしないでよね。」


木原さんは、窓の方へ顔を向けて寝てしまった。



やはり、この石は僕にしか見えないようだ。


さっきよりなんだか温かみを感じる。

本当にこれ石なのか?


気になって仕方がない。

もしかして…これってなんかの卵…


そんなわけないか。


もり先生が

「でわ、出発するぞー。シートベルトを忘れるなー」



大型バスは、箱根彫刻の森美術館へ向かい。

遠足は無事に終わった。



――――――――






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