客室
「うわぁ、ひろーい!」
亜紀が木製のドアを開けて二人が中を覗き見ると、そこにはファミリーがゆったりと泊まれそうなゲストルームが広がっている。
カーテンと絨毯は薄桃色で、ゆったりと眠れそうなトリプルベッドには水色の毛布がふわりと掛かっていて、それはビジネスホテルの味も素っ気もない部屋とは比べようもない空間に仕立てられている。
「これも宿のお部屋なのですか。昨日のとは全然違くて――」
デスクとチェアは、落ち着いた色で4人がけのアンティーク。壁には大きめの鳩時計。そして壁際のソファーの上には、熊、ウサギ、猫、犬のぬいぐるみ。
凜霞の視線は部屋を一巡したあとで、そのぬいぐるみ達に釘付けになっていた。
「――すごく、可愛らしいです」
「いやいや、そんなに大した部屋じゃないけど空いてる部屋はここだけなんで。ま、とりあえず着替えて。なんかおやつ持ってくるから」
「すみません。そこまでお世話に……あれ。亜紀さん」
いつの間にか亜紀の姿は消え失せていて、ぱたぱたという足音と、いいよー、と言う声が廊下の先に消えていく。
机の上には、いつの間にかゆるいロングTシャツとパーカーが二組置かれていた。
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