第2話

 ここはアサルカルナ国。隣国との戦争も度々起こっていたが、20年前にようやく協定が結ばれこの国にもようやく平和が訪れ国も豊かになりはじめている。その立役者とも言われるツィルトン陛下がこの度隠居される事となった。


 そして現在の王太子、アロイス殿下は国王となる事が決まっている。その妻である正妃のローザアネット26歳。彼女は王太子妃として8年もの間休むことなく次期王妃としての政務を1人でこなしていた。


 朝から晩までの執務に追われる日々。


 何故休みがなかったのかというと、夫であるアロイス王太子殿下は側妃達に時間を取り、執務を正妃に回していたからに他ならない。そう、アロイス王太子殿下には既に3人の側妃がおり、第一側妃のサーロア26歳、第二側妃のマリンナ24歳、第三側妃のグレース21歳である。


 そして次代の王太子となるのは第一側妃が産んだザイル殿下。アロイス王太子殿下は3人の側妃を娶ってから4男2女を儲けた。


 だが、そこには正妃の子はいない。


 彼は過去の出来事から正妃であるローザアネットを嫌い正妃を公式の場以外の全てにおいて避けていた。それは公然の秘密となっており、貴族達は無能な王太子、国の生贄正妃と陰では呼んでいた。

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