第2話 勇者パーティーの呪術師

 落ちた先には草原が広がっていた。遠くに中性ヨーロッパな雰囲気の城壁の丸い都市が見える。


 え? なんで?


 深夜だったはずなのにどう見ても昼だし。


「ごめーん、なんか連れてきちゃったみたい?」


「連れて、来た……」


って?


「えっとね、私は勇者。勇者・ルーナ。この平和な世界に勇者なんかいらないけど、選ばれたもんはしょうがない! パーティーを探して異世界に行ったらなんでかあなたと縁が結ばれたみたい。」


勇者、異世界、は夢だとして……縁……縁?


「なんでか知ってる?」


五円玉は、俺と春香との縁だった。それを拾われたってことは……? いやいやそんなオカルトな。でもそれしか思い付かない。


「君が拾った五円玉……俺と幼馴染との縁、だったかも。」


「なるほど! 私は予言通り異世界で呪術師を拾ってきたというわけだ!」


呪術師て。勇者パーティーには魔法使い、だろう。多分。


 いやいやそんなことより、だ。


「俺は帰れる……のか?」


ルーナの笑顔が固まった。なるほど。


「方法は……魔王を倒すこと、です。」


え、あ、あるんだ。


「でも今は魔王がいません……。ごめんなさい……。」


やっぱ無いじゃん。


「私が巻き込んだんだから、絶対帰す! 方法は探すから安心して!」


探すって言われてもなぁ……。


「いや……どっちでもいい、かな。」


「えっ」


オカルトごっこをするくらい幼馴染と縁を切りたかった。幼馴染だからオカルトごっこをするくらい縁が切れなかった。この様子じゃあのオカルトごっこは効いてたみたいだけど、つまりは俺がいなくなればいいわけで。


「よくない。私の気が済まない。」


線が細い割に頑固だ。


「とにかく! あなたは私のパーティーで呪術師になって! 予言を1つクリアすれば新しい予言が降りるの! それでいつか分かるかも!」


「それは分かったけど俺、呪術なんか使えない。」


「大丈夫! ミーシャの予言は外れないから! 私の妹でパーティーの占い師なの!」


占い師て。勇者パーティーの占いは城の魔術師みたいなのがやるものなのでは。知らんけど。


「分かった分かった。やってみるし言うことも聞く。なんなりと。」


「よーし! じゃあミーシャに会いに行こー!」


 そうして俺は、ルーナに連れられて町に向かうことになった。……妙な夢だ。

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