第4話
スズの部屋は、白黒を基調としたスタイリッシュな部屋だ。机はスチール製で、ベッドや壁紙は白。カーテンは黒。
家具は、勉強机とベッド、そして本棚以外に何もない。ちなみに、本棚にはSF小説がたくさんある。
対して、キリちゃんの部屋は、パステルカラーを基調とした、非常にガーリッシュな部屋だ。
ベッドはパステルピンク、壁紙はパステルブルー。勉強机にはパステルパープルのデスクマットが敷かれている。
クローゼットの引き戸には可愛い制服が掛けられていて、女子高生ということが実感できる。
本棚には、教科書や参考書の他、少女漫画が少し入っている。えーっと、タイトルは……
俺はタイトルを確認しようとしたが、「お義兄さん、そこはダメです!」と隠されてしまった。
「どうですか?女子高生の部屋は」
そう言っていたずらっ子な笑みを浮かべるキリちゃん。
「すごいかわいいな。このぬいぐるみとか」
俺はベッドに置かれているたくさんのぬいぐるみの一つを手に取る。
「ちょっと恥ずかしいので、やめてください」
「……恥ずかしい?」
俺は良く分からなかったが、ぬいぐるみをベッドに戻す。
「ごほん。それで、どっちを先に見たいですか?卒業アルバムか、篠宮家のアルバムか」
「…………卒業アルバムで」
俺は少し悩んだ末、そう答える。
「わかりました!えーっと、これが小学生、これが中学生、そしてこれが高校生ですね!」
そう言って三冊の卒業アルバムを提示してくるキリちゃん。
俺はとりあえず年齢順に確認していくことにして、小学生の卒業アルバムを開く。
「えーっと……」
俺はページをめくって丹念に確認していくが、スズの姿が見当たらない。
「お」
ようやく発見したのは、社会科見学の時と思われる写真だった。
場所は博物館のようだ。誰も見向きもしないような、難しい用語が詰まった掲示型の展示を、キラキラとした目で見ている姿が切り取られていた。
小学生のスズは、黒い髪をポニーテールに纏めていて、動きやすいようにかズボンにTシャツといったスタイルだ。
「可愛いな……」
思わずそう呟くと、キリちゃんが「ですよねー!」と同調する。
ちなみに、他の写真は集合写真しかなかった。
集合写真のスズは、ぎこちない笑顔か、無表情で写っていた。
ぺらぺらとアルバムをめくると、卒業文集のページになった。よくある、卒業アルバムの中に卒業文集もあるタイプのようだ。
「なになに?」
どうやらテーマは「将来の夢」のようだ。それによると、小学生時代のスズの夢は工学系の科学者になることだ。
いつかSF小説に出てくるような機械を自分で開発したい、と書かれていた。
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