第2話 篠宮家

20分ほどで、スズの実家に到着した。


スズの実家は、マンションの一室、間取りは4LDK。玄関に入ると、早速スズの兄弟たちがやってくる。


「どーも、お義兄さん。相変わらずですね!」


と、快活に挨拶してくれたのは、篠宮家の次女である霧子ちゃんだ。


霧子ちゃんは現在花の高校二年生である。

かなりの美少女で、その明るい性格からとてもモテるらしい。月に一回は告白されるんだとか。

スズとは違い、友達も多く、充実した毎日を送っているようだ。


そんな霧子ちゃんに、俺は挨拶を返す。


「こんにちは、霧子ちゃん」

「もう、キリちゃんって呼んでって言ったじゃないですか!」


霧子がそう言って小悪魔的な笑みを浮かべる。


「ほ・ら」

「……こんにちは、キリちゃん」


俺は気圧されて思わずそう返す。


「あはは、ありがとうございます、お義兄さん。あ、荷物は運んどきますね〜」


そう言って霧子ちゃん……いや、キリちゃんはスーツケースを俺の手から奪い取り、軽々と部屋へ運んでいく。

バスケットボール部で日々鍛えているそうなので、力持ちだ。


「うっす」

「こんにちは、健太くん」


次に挨拶してくれたのは、スズ弟である健太くんだ。現在中学校二年生。

かなりのイケメンだが、こちらはスズと同じくコミュ障である。

最も、中学校ではかなりモテているらしい。キリちゃんによると、「不動の篠宮」という二つ名もあるとか。


ちょっと羨ましいのは秘密である。


「二人とも、玄関で話してないで、居間にいらっしゃい」


と、スズのお母さんの美香さんの声がする。


俺はそれを聞いて慌てて靴を脱ぎ、スリッパに履き替えてから居間に向かう。


「いらっしゃい、明樹くん。元気そうで安心したわ」


今に入ってきた俺を、美香さんが出迎えてくれる。

優しく微笑んでいるが、俺は知っている。美香さんは、スズに負けないくらい、かなり強い性格をしている。


「美香さん、お世話になります」

「うん。美玲も、元気そうね」

「まあ、特に何もないし……」

「ふふ。まあ二人とも、とりあえず座りなさい」


美香さんはそう言って、キッチンの方へと行く。


俺とスズは、隣同士に腰を下ろした。

しばらくまっていると、コーヒーを淹れて戻ってくる。

そのタイミングで、ちょうど篠宮家全員が集合した。


ちなみに俺は、この家に入ってからずっと緊張しっぱなしだ。スズはというと、何故か俺以上に緊張しているため頼ることはできない。


「まあまあ、そんな固くならずに。ひとまず、ティータイムといきましょうか」

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