生きる目的

第1話

「なんのために生きているのか」という問い自体が誤りであり、本当はただ単にそこに存在しているだけである。これは「生存競争に勝った」などという考え方でもない、むしろそれ自体も否定する。

この世には一定量の原子がありその総量は普遍である。その原子の組み合わせなどで形を変えて存在しているだけである。例えば、古来から地中には鉄があり、それは今でも地中にあったりまたは我々の生活の中に使われている。鉄は鉄のまま古来から存在している。別に鉄はそこに存在しようとして、生き残ろうとして存在し続けたわけではない。ただ、その形でいることができたと言うだけなのである。これは人も、生まれたり歳を取ったりと言うことがあるが、考え方は同じである。この現代の地球においては、原子が“ヒト”と言う形で留まっている。それだけのことである。生き残ろうとしているのではない。そういう形を保つことが、この世に存在することができただけにすぎない、のである。鉄も、その場所が高温であれば形を液体に変えたり、酸化したりして物質が変わる。人間の死や絶滅も同じである。その環境に合わせて、高温であれば燃えて炭化し、その環境が“ヒト”であるのに適さなければ、その形を崩す。これが生き物の絶滅や死である。生き残っているのではなく、形を変えながらも存在し続けているだけである、というのが私の「何のために生きているのか」という問いに対する猛烈な不承認という答えなのである。