朝霧家バーベキュー③英介の苗字とは

「ごめんくださ~い」



玄関の方から聞こえた声。


「お母さんだ!」

「あら、どうなさったのかしら」


お母さんがお皿を置き、お父さんはビールの缶を置き、こーきはみかんを置いた。


庭から玄関に行くと、玄関の方を向いて待っていたお母さんが驚き、そして笑う。


「ご無沙汰してます~

 スズのお友達まで呼んでいただいて

 ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそご無沙汰して」

って挨拶からの

「少しなんですけどね

 食後の甘い物でもと思って」


リクエストしたキャラメルプリンが来た!


「こーきこれめちゃうまだよ

 うちの人気ナンバーワン」

「マジで」

「まぁすみませんわざわざ」

「いえ、お口に合うか…

 もぉスズちゃんハードル上げないで」

「お母さんもどうぞどうぞ」


たぶんお母さんはこれ渡してお礼言ってすぐ帰る予定だったと思うけど


玄関横からお邪魔します。



「あずさちゃんかえでちゃん

 スズさんのお母さんよ」

「長女と次女です」

からのまた挨拶。

「プリンいただいたのよ、手作りですって~」

「わ、美味しそう」

「熱いお茶でいいかしら」


お母さんはお茶を入れに中に入り、お父さんがどうぞどうぞって言いながら、スペースをあける。


「スズママこんにちわ!」

「杏奈ちゃん沢山いただいた?」

「もち!」

そしてお母さんの目線は隣のタケルくんに。

「噂の彼氏さんね」

「タケルで~す」

「初めまして、スズの母です

 スズから話聞いてます」ウフフ


からの


「あ」



「……」



あーーーーー英介!



「少し前…確か初詣の時に」



男友達なんてとんでもない我が家の家風を中学時代から知ってる英介。


この状況に白目になる。

横で私も白目になる。



「朝霧さんのお友達の弟さん」



そうです

そうなんです

そう言ったんです


「え、そうなのか?」

「だれだれ?馬由中の子?」


心臓が痛い…



そして白目一歩手前のこーきが、この状況をどうにか切り抜けようと声を絞り出した。



「あ…安藤の…」



「あぁ!安藤くんの!」

「そうかそうか~へ~」

「似てないね~」



「あ…アンドウ英介です…」



チーーーン…




「で?安藤くんは来ないのか?」


「あ…あとで来るって言ってたような…」



そんな楽しいBBQだった。

お母さんはそのままお茶を飲んで、こーきのお母さんとお姉さんたちとお喋りし、残ったお肉はお父さんにってこーきのお母さんはパックに入れてくれた。



「わ~今度作ってみよう」

「簡単すぎてお恥ずかしい」

なんかのレシピを教え合ってたり

「じゃあすぐに取りかかりますわ」

「いえ、お暇なときにゆっくりで」

「すぐに出来ますのよ」

こーきのお母さんがティーコージーを編んでくれるとか。

なんか楽しそうだった。

趣味が合うんだと思う。

手作りが好きなうちのお母さんと、チーズケーキ作っちゃうこーきのお母さん。


初めてこーきの家にお邪魔したとき、同じ匂いがしたの。




「アリス~ばいばい」

「鼻ひくひくしてる~」

「スズの匂い嗅いでるじゃん」

「臭いって」

「うるさいね英介」

アハハハハ


「では朝霧さん長いことお邪魔してしまって」

「いえいえ、お引き留めししまって…

 夕食の準備大丈夫ですか?

 ご主人帰ってみえるでしょう?」

「全然!光輝くん絡みのお出かけなら

 きっと何も言いませんよ、大好きなんです」

「まぁ、そうですか」

オホホホホ


そんな感じで家の前の道、お母さんは車で来てたからそれに乗り込む私と杏奈とタケルくん。


「自分、近所なんで」←アンドウ英介

「あ、ボク送っていきますから」←こーき



「スズちゃんまた来てね~」

「光輝いなくても来ていいからね」アハハ



楽しかったな~



お母さんはそのまま杏奈とタケルくんを送ってくれた。



「スズちゃん、楽しかった?」

「うん!」


赤信号に停まる。




「よかった」



お母さんは頭を撫でた。

よしよしって。


安堵したようにふぅって息をついて笑って。




「いい子だわ」

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