スノボ旅行③天然ぶりっ子
「うわ~~すっご~~い!!」
これがゲレンデってやつか!
「スズちゃん走ったら危ないよ!」
「スズっちそんなに感動?!」
走りたいのに走れない!
寒いのに暑い!
眩しい!
ズコッ!
「あぁ!」
「スズちゃん大丈夫?!」
「すごい!全然痛くない!」
「大丈夫ですか?」
腕を掴んで助けてくれたのは知らない人だった。
「すみません!ありがとうございます!」
「雪って歩きにくいし立ち上がりにくいですよね」
「はい!ビックリです!
でも雪ってすっごい楽しい~!」
「スキー初めてですか?」
「はい!スノボするんです!」
「ウエア可愛いですね
スプラトゥーンみたい」
「え!スプラ好きなんですか?!」
「たしなむ程度に」
「私、ラッパみたいな銃が好きなんですけど
最近は筆のヤツも極めてきて~」
「そうなんだ
俺はローラー一筋ですけどね
最近はダイナモを極めたいと思ってます」
「ダイナモ!すごいですね!」
「じゃあ今度フェスあるときチーム組みませんか」
「はい!」
「その時連絡するからライン教えてくれる?」
「はい!ちょっと待って下さい
スマホどこやったっけ」
着ぶくれすぎて探すの一苦労。
「俺スノボもだいぶ極めてるけど教えてあげよっか
一緒に滑らない?」
「え」
「はいはいお兄さんそこまで」
「スズっち清い!」
「友達?みんな可愛いね
俺ら5人なんだけど一緒に遊ぼうよ」
「スズちゃんどうする?」
「静香いじわる言わないの」アハハハ
「沢山いたほうが楽しいし
じゃあみんなで遊ぶ!」
だって断ったら可哀想じゃん
一緒に遊びたいって言ってるのに。
「可愛いな~
じゃあ友達呼んでくる」
「はい!私もこーきたち呼んでくる!」
「……はい?」
「ちょ…!」
「やば…!」
↑抱腹絶倒、静香とれんちゃん
「一緒に遊びますか?
うちらは全然構いませんけど!」ギャハハハハ
一緒に遊んでよかったのに、優しいお兄さんは行ってしまった。
そして雪の中にある大きな建物の方へ。
私たちが遅くて痺れ切らしたこーきたちは、先にレンタル選んどくとかなんとか。
静香さんに手を繋がれ、れんちゃんはいつまでも笑いながらそこにたどり着いた。
「あ、トイレ行ってくる」
「私も!マドカちゃんスズっちの面倒みてて」
「はいはーい」
大きなお店の前
そこにはシンボル的に大きな雪だるまがいた。
「ちょっと写メってきていいですか!
お母さんに送りたい!」
着ぶくれの上着からスマホを出し雪だるまの方に
「ぶってるね」
え?
「あんなナンパにすっとぼけて」
「ナンパ?」
「さっきのイケメン」
チ、チ、チ、チ、チーン!
あれナンパだったんだ!
しまった…わかんなかった…
そっかライン聞かれた
龍之介くんの時と同じじゃん
学んだはずだったのに…
最初に言ってくれないかな
ナンパしますよって。
「天然キャラ作ってる女って痛いよ?」
「天然キャラ?」
「そういうとこ」
え、どういうとこ?
「スズ!」
雪だるまの向こうの自動ドアからこーきが出てきた。
「あ、こーき!」
大きな板を二枚抱えてこーきがこっちに来る。
なんか嬉しそうに笑ってて可愛い。
途中で1回滑って照れ笑いして。
「ここで見たらそれほど派手じゃないな
可愛い、よく似合ってる」
「こーきもカッコいい!地味だけど!」
グサッ
「静香と山崎は?」
「ヤマサキ?」
「お二人ともお手洗いに行ってます」
「そうですか
すみません、子守していただいて」
「いえ、とても可愛い彼女ですね」ウフフ
「すぅ、お手」
「ワン!」
うーーわあーーー
なにこれ!
今のいい!
無邪気に笑うこーきも格別!
あ、そうだ
なんでも言わなきゃ
こんな狭いスキー場だもん←こら
またあのお兄さんに会っちゃうかもしれない。
「あのねこーき」
「ん?」
「さっきここに来るまでに転んじゃったの」
「え!大丈夫か?怪我してない?」
「そしたらね優しいお兄さんが
よいしょって起こしてくれてね」
「は……はい?」
「え、言わない方が…」
「ダメなんです!
何でも言わなきゃいけないんです!」
「心構えは出来てるんでお構いなく…」
「でね、スプラやるんだってその人
だからライン交換しようって」
「はぁ?!それナンパだろ!」
「交換は結局してないけどね
一緒に遊ぼうって言われていいよって言ってね」
「な……なに…?
いいよって言ったのか?」
「だってナンパだってわかんなかったの!
だからみんなで遊ぶんだと思って…」
「そ…そっか」
「さっきマドカさんが教えてくれたの」
「そりゃどうも…」
「いえ…
可愛いですね彼女、純粋で」
「や…純粋も度を過ぎると色々と大変で…
見ての通り天然も併発してますし…」
「こーき、天然ってどういうの?
さっきねマドカさんに
天然作ってるのは痛いって言われたの
ぶってるって、私天然ぶってるってこと?」
「え…?」
こーきがマドカさんを見る。
「あ…違うのそんな意味じゃなくて
可愛いなって意味よ!
ほ…ほらスズちゃんなら可愛いけど
私くらいの年になるとね…ほらその…」
「ならいいですけど」
こーきの口調が急に冷静。なんていうかお仕事用の。
「こーき」
「ん?」
「どうかした?」
「どうもしないよ」
「あ、そうだあの雪だるまと一緒に撮って!
お母さんに送りたいの!」
「うん」
「スズ」
「な~に?」
「静香がトイレに行くなら
スズも一緒にトイレに行けよ」
トイレくらい一人で行けるのに。
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