第16話 私の気持ちは?

「行ってらっしゃい。冬真さん」


「ああ、行ってくる」


 冬真さんはいつもみたいにスーツに身を包んで家を出て行った。

 相変わらず目は死んでるけど最初に会ったときよりも顔色は良いような気がする。

 まあ、私がご飯を作ってるからっていうのもあるんだろうけどなんだかそれだけじゃない気がする。


「もう、この家に来てから結構経つのか~」


 冬真さんに拾われてから三か月くらいが経った。

 もうクリスマスシーズンということもあって外は電飾であふれかえっていたり、クリスマスツリーなどが飾られているのを目にする。


「そろそろ私も何かしないといけないんだろうけど、具体的に何がしたいっていうのはなかなかないんだよな~」


 いつまでも冬真さんにお世話になるわけにはいかない。

 そうは思ってるんだけどどうしても何をすればいいのかわからない。


「そういえば、冬真さんは私のことをどう思ってるんだろ」


 それこそ最初に会ったときとかは冬真さんを誘惑してみたりしてたけど冬真さんは一切手を出してこなかった。

 最近はなんだか娘みたいな扱いを受けている気がする。


「もう少しは女の子として見てほしいんだけどな」


 明確にそういう発言をされたわけではないけどなんだか最近の冬真さんからはそういう雰囲気を感じる。

 女性というよりは娘みたいな感じ。


「って、これじゃあ私が冬真さんのことを好きみたいじゃん」


 確かに冬真さんはとても魅力的だと思う。

 性格も悪くないし気遣いもしてくれる。

 誠実だし、私のことを大切に扱ってくれるし。


「でも、好きかといわれるとどうなんだろうな~」


 人間としては大好きだ。

 そもそも嫌いな人と三か月も一緒に住むなんてできない。


「でも、恋愛的には、、、どうなんだろうな~」


 こういうことを考えている時点で好きなのでは?

 と一瞬思ってしまったがそんな考えは丸めてごみ箱に捨てた。


「はぁ。こんなこと考えててもしょうがないし今日の晩御飯の食材でも買いに行こうかな」


 一つため息をついてから着替えていつも行くスーパーに食材を買いに行く。

 クリスマスが近いからそれにちなんだ料理でも作ろうかな?

 そんなことを考えながら私は食品を選ぶのだった。


 ◇


「ちょっと買いすぎちゃったな」


 両手にパンパンのビニール袋を持ちながら私は後悔していた。

 冬真さんのことを考えながら食材を選んでいるとついつい買い過ぎてしまった。

 反省しないとな~


 家に着いた私は買った食品を冷蔵庫に入れてさっそく晩御飯の仕込みを始める。

 それも1時間ほどで終わって手持無沙汰になってしまう。

 だから私は最近放送されているドラマをみて時間をつぶすのだった。

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