【完結】転生先は、滅びゆく世界だった。生き残るための選択は、あなた次第——。

湊 マチ

第1話 災厄の転生

「うっ…ここはどこだ?」


目を開けると、青い空が広がっていた。ついさっきまで、確か…ああ、そうだ、事故に遭って死んだんだ。これが、例の異世界転生ってやつか?夢で見たような世界だ。周りは見渡す限りの草原、遠くには山も見える。風が気持ちいい。…でも、なんだ、この違和感は。


ふと、遠くの空を見上げた瞬間、心臓が跳ね上がった。巨大な…何だあれは、隕石?冗談だろ!しかもこっちに向かってくる!


「嘘だろ、転生したばかりで死ぬなんてこと、あるかよ!?」


空は徐々に赤みを帯び、轟音が耳に響き始める。どんどん近づいてくるその物体に、体が動かない。逃げなきゃ…逃げなきゃいけないのに、足がすくんで動かない。


どうする?逃げる方向すらわからないし、助けを求める相手もいない。これは本当にやばい。


選択肢がない…なんてことはない。俺の手に、何か光るものがあるのに気づいた。手のひらに描かれた紋章。それがどうやら、隕石と繋がっているような気がする。この力で…何かできるのか?


---


「えっ、無理無理無理!」


とにかく、この状況どう見ても終わってる。手のひらに光る謎の紋章はあるけど、どう使えばいいかなんてわかんないし、そんな力で隕石が止まるかなんて保証ないだろ!


「まずは逃げるしかない!」


焦りまくりながら、俺は全速力で駆け出した。とにかく、隕石から離れなきゃ…!振り返る余裕はないけど、隕石が轟音を立てながらどんどん近づいてくるのがわかる。いや、分かりたくないけど、音だけで分かってしまう。


「マジかよ…このまま死ぬなんてあり得ないだろ!」


異世界に転生したばかりなのに、いきなり隕石に押しつぶされるなんて、誰が予想した?そんなの、夢の話にもならない。必死に走りながらも、頭の中はパニック状態。何も考えられない。ただ、逃げる。それしかできない。


でも、その時、俺の前に突然、崖が現れた。


「うそだろ、今度は崖!?」


崖の縁に立ち、下を覗き込む。すごい高さだ…飛び降りたら、無傷じゃ済まない。いや、むしろ…どう考えても助かるはずがない。だが、振り返ると隕石がもう間近に迫っていた。


「どうすればいいんだ…?」


崖の下を見渡すと、古びた石造りの建物があった。周りには家々が点在しているが、そのどれもが荒れ果てているように見える。誰かが住んでいる気配はない。あの建物に逃げ込んだとしても、助かる保証なんてないだろうし、隕石の爆風がここまで来るのも時間の問題だ。


「くっ、時間がない!」


選ばなきゃならない。崖を飛び降りるか、あの建物に賭けるか。それとも、この手の紋章を使って隕石に立ち向かうか…。選択の余地は、もうほとんどない。


「もう飛ぶしかねぇ!」


俺は覚悟を決めて崖に向かって全力で走り出した。振り返らず、迷わず、その瞬間を待たずに。崖の端にたどり着くと、俺は思い切って空へ飛び込んだ。


「うわああああ!」


風が顔に強く当たり、耳元でゴォォォッという音が響く。下へと引っ張られる感覚が恐ろしい。足元の地面が急速に迫ってくる。心臓が跳ね上がり、目を閉じた瞬間、全身が硬直した。


そして、その時だった。


「う、うわあああああ!」


激しい衝撃音が耳に響いた。隕石が地面に衝突した瞬間、巨大な爆風が巻き起こり、俺のいた場所を吹き飛ばすように襲いかかってきた。遠くから見えていた家々が、一瞬で粉々に砕け散る。瓦礫や土煙が舞い上がり、まるで世界そのものが崩壊しているかのようだった。


「これ、やばい…!」


強烈な爆風が俺の背後から押し寄せ、体が激しく揺れる。もう、崖を飛び降りたところで助かるかどうかも分からない。俺は一瞬、身体が宙を舞ったように感じた。


その瞬間、突然体がふわっと軽くなった。なんだ、これ…?


「な、なんだ…?」


気がつくと、俺の体は光のようなものに包まれていた。まるで、俺を守るかのように柔らかい光が体を包み込んでいた。その光は不思議な感覚を伴い、俺をふわりと浮かせ、ゆっくりと地面に降ろしてくれた。


「助かった…のか?」


周りを見渡すと、あの荒れ果てた家々はすっかり崩れ去り、瓦礫の山が残っていた。隕石の爆風で、すべてが壊れてしまったのだ。だけど、俺の足元は無事だった。奇跡的に。


俺は崩れ落ちるように膝をつき、肩で息をする。何が起こったのか、まだ理解できていない。だが、俺は助かった。紋章の力なのか、それとも何か他の力が働いたのかはわからない。でも、命がある限り、前に進むしかないんだ。


「どうすりゃいいんだ、これから…?」


崖下にあった古びた建物が頭に浮かぶ。あそこに何か手がかりがあるかもしれない。俺はゆっくりと立ち上がり、手のひらにまだ光っている紋章を見つめる。この力、使えるのか…?


---


俺は手のひらに光る紋章を見つめた。さっき俺を救ってくれたこの光…一体、何なんだ?この力を使えば、この異常事態をどうにかできるかもしれない。そう考えた瞬間、決意が固まった。


「やってみるしかない!」


そう思い、俺は手のひらを開き、紋章に意識を集中させた。これが俺に与えられた力なら、何か使い道があるはずだ。呼吸を整え、力を引き出そうとした瞬間——


ドゴォォォォォン!


またしても、空が割れるような轟音が鳴り響く。今度はさっきよりもはるかに巨大な隕石が、炎をまといながら空から急降下してきた。まっすぐこの街を狙っているのがわかる。焦げ臭い空気が風に混じり、遠くで何かが燃える音が聞こえる。


「くそ、またかよ!」


街の方から悲鳴が聞こえ始める。隕石の接近に気づいた人々が、パニックになって逃げ惑っているのが見える。家々から飛び出して、混乱の中を走り回る人々。叫び声があちこちで響き渡っている。どうする?どうする俺?


「やるしかない…!」


震える手で、俺は再び紋章に集中する。もしこの力で何かできるなら、今がその時だ。目をつぶり、心の中で祈るようにして、力が溢れ出すのを感じる。手のひらから光が放たれ、俺はその光に包まれて浮き上がるような感覚に襲われた。


「これで…隕石を止められるのか…?」


隕石は、もう目前だ。炎に包まれ、ものすごいスピードで落ちてくる。俺はそのまま空に飛び上がり、隕石の進路に立ちはだかる。全身に力を込め、手をかざして、その勢いを止めようとした。


「止まれぇぇぇぇぇ!!」


しかし——


ガゴォォォォン!!


全く止まらない。隕石は俺の力をものともせず、なおも突き進む。衝撃で俺の体が後ろに弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「くっ…ダメなのか…!」


地面が揺れる。隕石は迫ってくる。俺の力じゃ、どうやっても止められない。地面が割れ、爆風が街を直撃し始めた。家々が次々に爆風で吹き飛ばされ、木々がなぎ倒され、土埃が空を覆う。


「もう…無理なのか…?」


俺は立ち上がろうとするが、体が思うように動かない。遠くで悲鳴が聞こえる。人々が逃げ惑い、混乱がさらに広がっている。瓦礫の中を必死に走る子供、家族を抱えながら逃げる大人たちの姿が目に入る。俺はそれを見て、何とかしなきゃという気持ちがさらに強くなった。


だけど、隕石は止まらない。俺の力は無力だ。絶望が胸を締めつける。


「俺じゃ…止められないのか…?」


周囲の建物が次々に崩れ、人々が叫びながら逃げていく。その中で、俺は必死に何かを考えようとした。無力な俺にできることはないのか?


その時、ふと頭の中に一つの考えが浮かんだ。


「隕石を止められなくても、せめて…人々を守ることはできるかもしれない…!」


俺はもう一度、紋章に意識を集中させた。この力は隕石を止めるには足りないかもしれないが、せめて街の人々を守る力になるかもしれない。立ち上がり、再び光を放つと、俺は街の中心に向かって走り出した。


---


「今度こそ…!」


俺は最後の力を振り絞り、街の周囲に光のバリアを張ることに集中した。手のひらから放たれる光が、どんどん広がっていく。眩い光が街全体を覆い、透明なシールドのように守っているのが感じられた。


「これで…守れるはずだ!」


隕石はそのまま落下してきた。俺の力がバリアを作り出している限り、街にはもう隕石は届かないはずだ。隕石はバリアにぶつかり、耳をつんざく轟音とともに粉々に砕け散った。


「やった、これで…!」


だが、その瞬間——


「えっ…何だ?」


隕石が粉々に砕けたのと同時に、無数の黒い影が舞い散った。爆風の中から現れたのは、まるで昆虫と爬虫類が混ざったような、異様な姿をした生物だった。その異形のものたちは、隕石の破片とともに次々と地面に降り立つと、鋭い金属音を立てながら不気味に動き出した。


「なんだ、こいつらは…!?」


それはエイリアンだった。数えきれないほどのエイリアンが隕石の中から出現し、街に向かって襲いかかってきた。彼らは鋭い牙を持ち、無数の腕で何かを掴み、そして恐ろしいスピードで動いていた。


「くそっ、バリアを張ったはずなのに…!」


粉々になった隕石の破片がバリアをすり抜け、エイリアンたちはそのまま街の中へと侵入していった。街の人々は再びパニックに陥り、エイリアンの群れから逃げ惑いながら叫び声を上げる。


「逃げろ!早く逃げるんだ!」


俺は叫びながら、人々を安全な場所に誘導しようとする。だが、エイリアンたちは人々に襲いかかり、あっという間に混乱が広がった。家々に隠れていた人たちも、次々と外へと逃げ出し、逃げ場を求めてさまよっている。


「くそっ、どうすりゃいいんだ…!」


エイリアンたちは街の至る所に現れ、無差別に人々を襲い始めている。その動きは異常に素早く、強力だ。今の俺の力では、全員を守り切れるかどうか…不安が頭をよぎる。


「でも、やるしかない…!」


俺は再び紋章に意識を集中し、光をさらに強めた。人々を守るために、何とかしなければならない。


---


どうする?


1. エイリアンに立ち向かうか?

2. 街の人々を救出することを優先するか?


次の更新は明日17時。選択の締め切りは翌朝6時!

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