エピローグ

ええ、安易に近づかない方がいいですよ。こんなに怖い病気は他にはありません。

内部に霊のようなものが入り込み、内臓という内臓を侵していく、そんな病気です。

脳に発病すると人格障害を患ったり正気を失ったり、肺に発病すると呼吸困難を起こし衰弱してしまったり。とにかく恐ろしい病気です。


残念ながら今のところ致死率は100%なのですが、最後は皮膚がパキパキと割れ、骨がありえない方向に歪んで、中から化け物が出てくるそうです。それの行先は...まあ、言わなくても分かりますよね。



...“壁”の外を見たことがありますか?ない?そうですか。ならそのままでいてください、あれは見て面白いものでもないですからね。


あなたは研究科の学生さんなんでしたっけ?あちらも大変そうですね。新型兵器の開発は進んでいるのでしょうか…


とにかく、こちらには無闇に近づかない方がいいですよ。万一感染すると大変なことになるからね。

さあ、研究科まで送ってあげましょう。そんなに不安げな表情をしないでください。君はこれからのこの国を背負う存在になるのですから、胸を張ってください。若き研究者くん。

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