転校生は元勇者
雪幡蒼
序章
とある地方都市の中に存在する「おしろぎ町」
この町に僕・河野柊太は暮らしていた。
人口はそこそこの小さな町だった。
首都圏から離れていてのんびりとした穏やかな町。
人口は多くないがそこそこ発展しており商業施設も多く山に囲まれた自然を残すところ以外は普通の街だった。
しかし山に囲まれた町なだけあって少し住宅街や中心部を外れるとすぐに山道に出るようなところだ
「おしろぎ山」という名前の山の麓に広がる町だからその名前になったとか。
おしろぎ山の名前の由来は冬になると雪が降って白い冠をかぶった山のような姿になるからその名前がついたという説もあるらしい
近年この町では異変が起きていた。
突如として町に現れる熊やイノシシに狂暴化する野生動物。
山に餌が少なくなってきたから山を下りて食べ物を探す熊が人を襲ってるらしいい。
もしくは温暖化により動物の子供が死滅せず生き残り、成長して体が大きくなっていったのに山の中の食糧が以前のままで生産が合わず結果的に餌が足りなくなって猛獣が山を下りて町へ出るとか。
そして噂では本来山に住んでるはず熊やイノシシといった野生動物以外にもまるでどこかの動物園から脱走してきた巨大生物等が時折町に現れているがこっそり殺されていて表向きのニュースには出ないとかそんな噂まであった。
学校で何人もその現場を目撃したという生徒もいるらしいがそれはニュースにもならず、警察沙汰にもならず極秘で処分されているという。
なのでこの町では山から下りてくる野生動物には気を付けろとか山には近づくなとかが誰もの暗黙の了解だった
そんな噂話、本気にしてもしょせんは噂だと僕は真に受けなかった。
それより僕は過去に野生動物よりももっと恐ろしい事件をその身で知っているから
なぜ僕がこの町の噂を本気にしないかというと僕はこの町に住んでそこそこ経つが元はこの町の出身ではないからだ。
元は違う場所に住んでいたが3年前親の都合で父の地元であるこの町に越してきただけにすぎない。
元々よそ者だった僕はいまいちこの町の昔からのルールを信じずにいた。
だけどこの町が嫌いなわけではない。
以前住んでいた場所では人の噂によって嫌な目に遭ったからそこまで人口が多くないこの町はそこまで大きな事件もなくむしろ居心地のいい場所であった
過去の出来事で人が嫌いになっていた僕にとってはこの町のひっそりした感じはとても気に入っていた。
だからできるだけこの町の為に尽くしたことをしたい、と思っていたからボランティア活動には積極的に参加した。
けれど僕はそうやって人と交流はしても一人一人の人間と深い仲になることはできなかった。
過去に自分勝手な人間達と関わって嫌な想いをしたから。
この町のことをもっと好きになるにはやはりもっと人を好きになる努力をせねばならないと悩んでいてこれからどうしようか悩ませているところだった。
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