第35話 玲奈

 何ともスケールのでかい話になってきたな。もちろん優奈となら楽しい、気楽、そして少しの緊張もあって生活には問題ないとは思う。


 ただ、美優にどう説明するかな。あまりにも唐突に家を出ていくってなると美優は気にするだろうな。


【嫌だよね?それぞれ家庭の事情もあるだろうからね。無理じゃ無くていいからね。それに…】


優奈の言葉がつまった。


【それに?優奈は美優のこと気にしてる?】


少し頷く。やはりそうか。


【正人の気持ちはどっちにあるの?】


【うん…美優は寂しがると思うんだ。それが少し気になってる】


【それは姉として寂しがる?好きな異性として寂しがる?どっちだと正人は思うの?】


【姉…かな?】


【私が会った時、凄く心配そうな顔していたね、美優さん。とても姉の表情じゃなかったけど。ねぇ、同棲って言ってもすぐに結婚とかじゃないからもっと気楽に捉えてくれるようになったらでいいかもね。私は当初の予定通りに一人暮らしの部屋を探すね】


せっかくの誘いなのに…何で悩むんだ?俺は。


※ドテッ!!※


【いてて…もう!!いつまで待たせるの?】


誰?この娘?


優奈は、


【ごめんごめん、事情が変わって。少し話が混み合ってね。で、大丈夫?】


【遅ーい!!先に転んだこと心配してよ。見てよ、この擦り傷!こんなとこまで…】


【ちょっと!!玲奈!!正人いるのに…】


【あっ!!ごめんなさい。見苦しいものを…】


見苦しいなんて、そんなそんな。


【初めまして、正人です】


玲奈と呼ばれた娘は、いきなり横に来て、


【ふーん、なかなかの。優奈、やるじゃん!!で、プレゼント🎁気に入った?】


 あっ!!この娘か。あのログインの時のキャラの娘は。


【ありがとう。コードは控えてるけど、まだ使ってないです。今日、優奈と会うから使おうと思って】


【そうなんだ。優奈とねー、で?同棲は?結婚は?】


優奈は慌てて、


【玲奈!!ちょっとややこしくしないで!!同棲は無いから。それに何で結婚になるのよ】


【優奈、何度も話して来たじゃん。だからゲームログインしてすぐに正人さんのこと解ったもん。ゲームのキャラとは雰囲気違うけど、私好みかも❤️】


 なんか、積極的な娘だな。優奈もそうだけど、この娘はさらに上を行くな。


【玲奈!!ちょっと向こう行ってて。後で連れていくからさ。正人、ごめん。そのお店のコード玲奈の分も使っていい?】


【あっ、そうだね。もちろん。それに玲奈さんからもらったのだからね】


玲奈は喜んで、


【正人さん!!嬉しい!!大好き😘】


※チュ!!※


【こら!!玲奈!!ふざけすぎ!!後で誘うから向こう行ってて!!】


【はーい、正人さん、後でね】


な、な、なんだ?ほっぺとは言え、


会って数分だぞ?玲奈って娘…凄いな。



………………………………………………………



【ごめんね、玲奈ってああ言う感じなんだ。悪気は無いんだけど。この前私の弟にも会ってすぐにあんな感じで…】


【びっくりしたけど…あのさ、ここ何かと落ち着けないから、そろそろ行かない?】


その会話の直後、玲奈が向こうの席で、


【えー、今?急すぎるって!!ん、解ったよ。行けばいいんでしょ!!】


玲奈、声デカいって。


【あのさー、二人で行って来て。私これ後ちょっと急用が出来て。優奈、バイク🏍️借りていい?電車めんどくさいんだよね】


【なんでよ!!正人と行くのに】


俺は咄嗟に、


【優奈、何か急用なら貸してあげれば?保険の問題なければだけど。俺達は電車使おうよ】


【んー、正人良ければいいんだけど。玲奈、転ばないでよ!!】


【正人さん、ありがとう。優しい〜】


 玲奈がさっきのパターンで近づくと、優奈は間に割って入って、


【駄目ーーーーー!!】


優奈は玲奈の接近を止めた。俺も助かった。


【解ったよー、優奈のケチ!!じぁ、二人で、楽しんで来てね】



………………………………………………………



【じゃ、行こう。玲奈のくれたプレゼントのお店。正人、気にいるといいな】










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る