優しさと罪

ラグランジュ

第1話 チャット1

さて、そろそろかな?


【お風呂入ったの〜?私が最後に入って掃除するから、入ってないならすぐに】


あ、忘れてた。


【入るよ!!すぐ入るからさ】


※ドタドタ,バタン※ くーーー!!


【なーに?ほんとパソコンばっかりで何してんの?】


 母さん、俺、足の小指ぶつけてるの見てなかったの〜?


足の小指を柱にぶつける痛みって解る?



……………少し遅れた……………急ぐぞ!!



※【遅かったね、正人】※


※【ちょっと負傷して、優奈、待たせたね】※


※【負傷?大丈夫?じゃ始めようか…って、いつもの話だよね。ゲームじゃなくてほぼチャットだね】※


 俺は、正人と呼ばれている。もちろん本当の名だが登録してしまったからだ。特に問題ないし、いいかな?と思っていたけど…


 それで、チャットで話してる彼女はと言うと、始めはゲーム仲間だったけど、優奈と話している内に意気投合して。


 このゲームはある特殊アイテムを手に入れると隠しステージに入れる。俺は偶然にも手に入れた。それで彼女を誘ったと言うわけなんだ。


もちろん本人含め二人まで。なので彼女を。


 他愛もない話しをしてるうちに、ゲームよりこのステージで話すことが多くなった。


 もちろん、他にもこのステージにアイテムゲットした人達は入ってくる。誰か来そうなら次の日にログインする時間を決めてログアウト。それでもアイテムゲットする人達は増え始めているので比較的空いている山頂の自販機の横で待ち合わせをしてる。


※【優奈、俺は相変わらずここでしか本音で話せないんだよ。なかなか本音って出せなくてさ。ストレス発散の場所なんだ】※


※【解る〜私も同じ。見えないって気楽でいいね。こんな格好…その、今日はなにがあった?話して】※


※【…どんな格好?】※


※【そういうのに食いつくなら、ログアウトしようかな…】※


※【ごめん。気になって。もう言わないからさ。勝手に想像するだけにしておく】※


※【それも…なんか嫌…そういうことは黙っていてよ。あっ、そうそう、出張決まってもう大忙し。おかしいよね?出張決まるとなんでこうもやることがあるの?仮払い申請って何?クレカ💳貸せってなれば楽なのに…】※


※【俺のとこもクレカ💳なんて、オンラインで買うくらい。さすがに出張に持ってくなんて出来ないよ】※


※【じゃあさ、せめて仮払いくらい用意して渡せっての!!後から申請して、入力ミスやこの時間なら帰って来れるとか、行かない人に限って指摘してくるから嫌になっちゃう。あっ、人きた。明日もこの時間に会える?じゃね】※


※【おい、明日は少し遅くって…ログアウトしてるじゃん。マイペースなんだよな…】※


優奈はログアウトして、仕方ないので俺も。


 出張って言ってたな。さすがにその間は話すことは出来ないな。








 






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