妻に不倫されて離婚したシングルファーザーの俺と、大人のお店で出会った彼女と……

ぱぴっぷ

俺が離婚した理由 1

 元妻、かえでと離婚してもうすぐ一年。

 俺はシングルファーザーとして、もうすぐ五歳になる娘の穂乃果ほのかと二人で暮らしている。


 離婚した理由は…… 楓の不倫だ。


 不倫相手は大学生。

 穂乃果を保育園に通わせるようになり、家計の足しにと始めたアルバイト先で出会ったらしい。


 どういう経緯で不倫に至ったのかは詳しく聞かなかったが、関係は三ヶ月くらい持っていたと楓は言っていた。


 穂乃果のためにやり直すことも考えたが…… どうしても許せなくて離婚を切り出し、親権は俺がもらった。


 俺がどうして楓の不倫に気付いたかのというと…… 上手く説明出来ないが、何となく楓の雰囲気が『少し違う』と感じた事からだった。


 …………

 …………


 楓との出会いは、大学生の時に友達の友達として知り合い、楓の方が一つ年上だったが同じ学年で、みんなで遊んでいるうちに仲良くなった。


 美人でスラッと背が高く、引っ込み思案で人見知りだから、良く言うとクールに、悪く言うと暗く見える楓だが、仲良くなり打ち解けると、よく喋るし笑顔が素敵な女性だと知り、そんな彼女に惹かれてアプローチし続け、三年の時にやっと付き合い始めることが出来た。


 それから順調に交際を続け、お互いに社会人になり俺が二十四歳の時に結婚、そして結婚してすぐに楓が妊娠、穂乃果が生まれ……


 子育ては分からない事だらけで大変だったが、二人で色々調べたり、お互いの親に協力してもらいながら、俺達は楽しい結婚生活を送っていた。


 そして結婚して五年、俺がもうすぐ三十歳という頃、十年近く一緒にいて初めて楓に違和感を覚えた。


 最初はアルバイトとして久しぶりに働き始めたから疲れているのかと思ったが、何となく楓が俺と距離を取ろうとしているように感じた。


 当時、俺も仕事で忙しく帰りも遅くなることが多かったので、その分、楓の家事や育児の負担が増えてしまっていて、それもあって疲れがたまっているのかと思い、楓には申し訳ないと何度も謝り、不満があれば言って欲しいとも伝えていた。


 ただ、謝るたびに楓は『忙しいんでしょ? 仕方ないよ、大樹だいきくんは心配しなくても大丈夫だよ、私もバイトがちょっと忙しくて、少し疲れているだけだから』と笑いながら言ってくれていた。


 何度言っても同じような返事をされるので、俺は楓の言葉を信じてそれ以上何も聞かずにその時は終わったのだが……




「あっ、今日はお父さんが迎えに来たんですねー」


「はい、今日は仕事が早く終わって間に合いそうだったので、いつもより来るのが遅くなってしまうけど、たまには自分が迎えに来ようと思いましてね」


「えっ? 最近は奥さんもこのくらいの時間に迎えに来てますよ?」


 えっ、今は十七時半…… いつもは十五時には終わるから、遅くても十六時くらいには迎えに来ているんじゃ……


 バイトが忙しいとは言っていたが、残業しているとは聞いてない……


「あ、ははっ、そうでしたか……」


「パパー!!」


「おお、穂乃果! ……今日はパパが来たぞー」


「わーい! パパ、かえろー!」

 

 そして穂乃果と一緒に家に帰ると……


「あっ、二人ともおかえり、私も少し残業になって今帰って来たところなの」


 買い物袋をテーブルに置き、イスに座っている楓が居た。


 笑顔だが少し疲れた顔、そして目が合うと一瞬だが目を反らした楓を見て…… 俺は何か変だと感じてしまった。


 一つ気になってしまえば色々と怪しく見えてくる。

 穂乃果にはいつも通りに接している…… いや、やたらとスキンシップが多いな。

 逆に俺には…… 少し気まずそうに目を反らされることが増えた。

 

 そして違和感が疑いに変わっていく中、楓が怪しいと思うようになる、決定的な事が起こった。


『もう閉園になるんですが、何も連絡がないんですけど…… まだ穂乃果ちゃんを迎えに来れそうにありませんか?』


 と、俺のスマホに保育園から電話が連絡が来た。

 時間を見てみると十八時半を過ぎていた。

 俺は残業で少し遅くなると楓には伝えていたのだが…… 楓が遅くなるような理由のある話は一切聞いていない。


 楓に連絡してみるも電話には出ず、俺は慌てて仕事を切り上げて保育園へと向かった。


 そして保育園に到着すると……


「うわぁぁん! ママぁー!」


「ごめんね穂乃果、ママお仕事で遅くなっちゃった」


 俺より先に楓が穂乃果を迎えに来ていた。


「楓……」


「だ、大樹くん…… ごめんなさい、急遽残業なっちゃったんだけど、スマホの充電が切れていて…… 時間に気付くのが遅れちゃった」


 そう言いながら泣いている穂乃果を抱っこしながら近付いて来た楓…… 


 色々言おうとしたが、近付いて来た楓からフワリと香った、制汗剤とかでもない、嗅ぎ慣れないシャンプーかボディーソープみたいな匂いがして、俺は言葉が出て来なくなってしまった。 


 そして、この出来事があってから楓を怪しむようになり、ついに俺は楓が何を隠しているのかを、興信所を使って調査を依頼することを決意した。


 色々スマホで検索してみた結果、近所にある『大沢探偵事務所』という所が格安だったので、俺が家を空けている間の楓の素行調査を依頼をした。


 そして十日後くらいに探偵事務所から連絡が来て、楓がアルバイト先の男とホテルに入って行く写真と、その時点までで判明した楓の行動や相手の男の素性が分かる調査結果を受け取った……

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