第4話:ケン
ギルマが研究所から出ると崩壊したの瓦礫の上に一人男がいた。それはかつて仲間内のリーダー的存在だったケンだった。彼は幼い頃から仲間たちをまとめ上げ、いつも元気にみんなを引っ張っていった。だが、今のケンは冷酷で強大な破壊者と化していた。彼の力は常人では到底かなわないほどで、街を一瞬で瓦礫の山に変えるほどの破壊力を誇っていた。
「ケン、やめろ!」
ギルマはケンに向かって全力で叫んだ。
「ギルマか…」
ケンは低く呟いた。
「お前も邪魔をするなら排除する」
ケンの目には、かつての暖かさは一切なく、ただ無情な戦士としての冷たい光だけが宿っていた。彼は自らの力を試すかのように、ギルマに向かって大剣を振りかざした。
「お前と戦いたくない、ケン!思い出してくれ、俺たちは友達だったじゃないか!」
ギルマは叫びながら、なんとかケンの攻撃を避けた。だが、ケンの攻撃は止まることなく、次々にギルマに襲いかかってきた。
ギルマは、かつてのケンが戻ることを信じていた。彼らは一緒に過ごした時間がある。その絆は、どんなに深く心を歪められたとしても、決して消え去ることはないと信じていた。
「ケン、俺たちは一緒に野球をしたこと、覚えているか?あの時のお前はどこに行ったんだ!」
ギルマの叫びが響いた瞬間、ケンの動きが一瞬止まった。過去の記憶が、ほんの少し彼の心の奥底に触れたようだった。しかし、それは一瞬のことだった。ケンはすぐに冷酷な表情に戻り、再びギルマに襲いかかった。
「過去はもう関係ない。俺は新しい力を手に入れた。人間を駆逐するためのな。」
ギルマはケンの攻撃避け続けながら、ケンに向かって叫び続けた。
「お前が1番こんなことしたくないはずだ!仲間思いで、優しくて!目を覚ませ!ケン!!」
その言葉が、再びケンの心に響いた。彼は大きく息をつき、力強い攻撃を止めた。
「ギルマ…お前…」
その時、ケンは電撃を浴び、彼の体は激しく痙攣した。彼は再び無表情な顔に戻り、ギルマを振り払うように姿を消した。
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