異世界に爆誕したレベル666の孤児の少年は”理想郷”作りに邁進する!
新山田
第1話
僕の名前は……いくつもあるので省く。
代わりに就いている業種について少し語る。
”工作員”もしくは”諜報員”か”スパイ”と言えば理解してもらえただろうか。
この仕事に就いて、分かったことは3つ。
1つ、”悪”と呼ばれているモノは人の数だけある事。(正義も同様)
2つ、決してそれらは際限なく増え続けること。
3つ、関わらず、常に備えなければいけないこと
それがわかっただけでも僕の人生には価値があった。
でも一歩遅く死ぬことになった。
不幸中の幸いか、死因は潜入にバレたのではなく事故だったことだ。
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「さて……どこかなここは」
二度目の人生、なぜ僕に与えられたのかはわからない。
でもそんな問題は些細なことだ。
結論のでた答えを実現するべく行動できるのだからこれほどうれしいことは無い。
─人生は与えられた手札で勝負するしかない─
という言葉がある通り、まずは自分の手札探すため色々と見てみる。
まず、裕福ではない。
教会然とした目覚めた場所は、すでにその役割をこなすには限界が来ている状態で、割れたステンドグラス、崩壊し欠けた壁、穴の開いた天上、といった様子だ。
そして服装も、麻布をぼろい服と質素なものだ。
見た目は、とても中性的で美麗な方だった。
白い髪、長いまつ毛、大きな青い目、整った顔立ち。
最初は”少女”になったのかと確認したが、そこは問題なかった。
そしてこの”ステータス”なるウィンドウ画面。
手で触れることは出来ず、操作は”意思”のみに反応する。
その操作によって”キャラパラメーター”なるものを発見した。
レベル:666
HP:666
STR:666
DEX:666
VIT:666
AGI:666
INT:666
MND:666
LUK:666
CHA:666
スキル:[インタフェース]
ジョブ:
平均の数値がわからないからなんとも言えないが、幼少の頃の記憶から思い出せるゲームに関する知識だとレベルは1~100くらいが妥当ではないのだろうか……?
そしてスキルなるモノ、名前は[インタフェース]、その意味は分かる。
確かめるべく意思をそのスキルに向けてみた。
スキル[インタフェース]を起動させますか?
ポップアップ表示がされその下には[YES/NO]の選べるようだ。
もちろんYESを選択する。
[another world support interface]待機………再起動します。
暗幕が掛かったように目の前が真っ暗になり、
一瞬のうち視界が回復、ウィンドウ画面に戻る。
スキル[インタフェース]のチュートリアルをアップロード……
そのログが追記された途端、記憶の中にスキルの情報が流し込まれた。
……アップロード完了。
「なんて、いやな感触だ」
まるで、脳を直接触られたような感触だった……とにかく使い方はわかった。
改めて、3つの手札がある事が確認できた。
1つ目は、見た目が良い事
2つ目は、ステータスが(恐らく)高い事
3つ目は、[インタフェース]スキル
この手札で僕は、”理想郷を作る”ことを目指さなければいけない。
……というか、実現できなければ二度目の人生なんて全くの無意味だ。
────────────────────
”悪”や”正義”なんてものはどこからともなく現れては騒動を起こす。
そんな大きな大義名分には、いつだってそれには犠牲は生まれる。
ぼくは”巻き込まれてしまう者たち”が逃げ込めるところを作りたいのだ。
それが僕の”理想郷”だ。
どんな高い理想にも叶えるには必ず必要なものがある。
「まずは”金”だな」
何をなすにも”金”が必要だ。
それも大量の金、唸るほどの金、山のような金、
まずは大金を手に入れる方法をさがさないと……。
建物の中から出るため大きな鉄扉を開いた。
その先に広がっていたのは、昼時の露店市。
様々な物を売る商人と、品定めする客、物見遊山に眺める者と様々だ。
そのすべての人が僕を見ている。
通り過ぎる者も口を開けて立ち止まる。
「なに、見てるんだ……?」
とりあえず退散しとくか、視線が刺さっている感触を背中に感じながらその場を後にした。
「ふぅ~、何だったんだ…ん?」
偶然目に入った看板、[冒険者募集中]とあえい、親切なことに矢印付きだ。
詳細には、経験不問、初心者歓迎、誰でも歓迎、講習あります!と人手の足りないバイトのような内容だ。
取り敢えず行ってみることにした。
「ダメです」
眼鏡をかけたツンとした女性に席に着いて3秒で見事に断られた。
「ほんとはダメです……けど」
と思いきや様子が変わるとスキル[インタフェース]が反応した。
”CHA値:60”条件クリア。受付嬢[■■■]の第三選択肢解除
とログが追記された。そして、
実績解除:[魅了]スキル解放。
さらに続く。
[魅了]スキル、CHA値上限値達成。
[惹かれる存在]に解放されました。
受付の女性は顔を近づけ小声でつづけた。
「キミ…そのなんとなく見放せないっていうか、なんというか……だから今回は特別に受理してあげます、特別ですよ」
[惹かれる存在]スキル、CHA値上限値達成。
[心を奪う存在]スキルが解放されました。
「それ、っとキミお金なさそうだから特別にこれ、今は持ち合わせが無いんだけ、っど」
[心を奪う存在]スキル、CHA値上限値達成。
[悪魔的な魅惑を持つ存在]スキルが解放されました。
「もしお金足りないなら、ここに来てくれれば幾らでも渡して上げるますし、もし寝床がないならわたしの家を使っていいですよ」
と走り書きしたメモを、手を取って握り渡してきた。
「ここがわたしのお家です、他の人には内緒ですよ♥」
握られた手に鼻息が当たるほど近く迫る受付嬢の顔。
なんだかマズい状況になりつつあるな……どうにか元に戻さないと、っいや冒険者ってのにはならないと、現状じゃあほかに目途があるわけじゃない。
なんとかならないか、とウィンドウ画面の確認していると”スキルセット”なる発見した。
スキルセット一覧
[インタフェース](着脱不可)
[悪魔的な魅惑を持つ存在]
どうやらいまは、この二つがセットされているようだ。
とりあえず[悪魔的な魅惑を持つ存在]を[惹かれる存在]に変更する。
「あ、あれ、わたしったら、な、なんてはし──」
「それじゃあお姉さん!登録ありがとう!」
「え、あ!」
不可抗力とはいえなんだか申し訳なくなり急いで席を立ちその場を後にした。
その後、受理書の申請の際では[惹かれる存在]が大いに役に立った。
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「確かに助けてやりたいけどよ…わりぃな、うちは人雇ってる余裕ないんだわ」
これで15一軒目。
何とかなると思っていた、だけど世の中そう甘くない。
”冒険者”なる存在は、依頼を受けその対価に報酬を貰う、後払い制の出来高払いの仕事のようだ。
それに申請し、正式な採用は明日からの研修によって決まるようだ。
だからその間住み込みでの仕事をさせt貰えそうなところがないか探してみた。
結果どこも首を縦に振ってくれる者は無く街中を歩き続る羽目になり、
気付けば日も暮れて真っ暗闇を遠くで月が照らすような時間になってしまった。
「今晩は野宿……かくなる上は仕方ないか」
クシャクシャになった手紙を広げた。
「ほ、ほんとに、来た、ってくれたん……ですね!」
念のため[悪魔的な魅惑を持つ存在]に変えてきて正解だったようだ。
「今晩だけ、ご迷惑でなければお世話になろうかと」
「ぜんっぜん迷惑じゃないですよ!ほらどうぞ、遠慮せず上がってください!」
招かれた家の中はとても整えられていて設備も、
多少の年季が感じられるがしっかりとした空間だった。
今日はここでお世話になることにした。
いつか今日のお礼をしなければ、と思いつつ玄関をまたいだ。
「………フフフ……今日から楽しくなりそうです……」
彼女の声は届かなかった。
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異世界に爆誕したレベル666の孤児の少年は”理想郷”作りに邁進する! 新山田 @newyamada
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