王子の私の配下の女の子が全員NTRれているんだけど手を出しただけの覚悟はあるんだよね?
あんぜ
プロローグ
「あの黒髪の妖艶なエルフたちはどうにかなりませんか。我が軍の男の損失のほとんどが彼女らに
私は傍に立つ、私よりも背が高く、そして髪の長い、人に依っては幽鬼のようにも見られかねない透き通った肌の女に問いかけた。窓の鎧戸を締め切った暗い部屋の中で、その姿はいくらか光を放っているようにも見えた。
「あれは根が色欲旺盛なハスレのエルフたちだからのう。妖精界へ連れ去るものだから、まだオークに捕まった女の方が取返し易い」
「オークたちは呪いで人の女を襲うだけです。元は気高い種族です」
「オークの事は、
「それで……属州総督府へ向かわせた将官たちの現況は把握できたのですか?」
「ああ。ちゃんとこの目で見、この耳で聞いてきたよ? ククッ」
上擦るように笑いを隠し切れない様子の高い声で、そう女は返した。
「勿体ぶらないでお話しください、エルラ様」
「おやおや? もっと親しみを込めてくれないと。
「……調べてくれてありがとう、感謝する。エルラ」
ふむ――と得心し、鼻を鳴らして頷くエルラと呼んだ女。
「将官らはどやつもこやつも篭絡されておったよ。もちろん女としてな」
「まさか……エイリスもなのか!?」
「ああ。坊の大事な幼馴染は最初に目を付けられておったからのう。将来の誓いを
ククク――と、笑いを抑えきれず、エルラは背を丸くする。
まさかあのエイリスが……。彼女は私を支え続けてくれた大事な人だった。
「エルラ様。アイゼ様のお気持ちもお察し下さい」
そう口を挟んだ女。簡素ではあるが布をふんだんに使った彼女の衣装は、ふくよかな彼女の身体を艶めかしく包んでいた。
「いや、良いのです聖女様。国の存亡のために名乗りを上げてくれたのは彼女らです。責められるべきは私です」
「アイゼ様……」
慈しみの溢れる眼差しを向けてくださる聖女様。
「軍に復帰しておる将官も篭絡されたと考えるべきかの。まあ、あちらに
「性豪などと……気楽なものだ。人間同士でこのような諍いを起こしている余裕など無いというのに……」
我が国は長年に渡って魔王軍の侵攻を常に最前線で防いでいた。国が亡べば魔王軍は要衝を抜け、人間の住む土地を北へ南へと進軍するだろう。私は北西の
南西は
『誉に名高いタルサリアの軍を観たい』
そう言った属州総督は、前線の要衝へと赴いた。
私はこの要衝の重要性を説き、帝国属州の防衛のためにもこの地の維持は必要だと念を押した。だが、属州総督は私の言葉に適当に相槌を打つだけ。その目は我が軍の将兵たちを向いていた。
タルサリアには、魔族が死ぬときに残す『魔石』を元に魔剣を作る技術があった。ただ、その代わり人的資源に乏しかった。女でも優れた腕を持つ者は兵士となり、さらに『祝福』に目覚めた者は男女を問わず戦士長へ、将官へと取り立てていた。
『将兵を我が総督府へ招いて、ぜひに話を聞きたい。その上で協力させてもらおう』
思いがけない言葉を貰った私は、すぐに吟詩の得意な文官を見繕おうとしたが、属州総督はそれを制止する。そして――
『その娘とその娘、それからその娘が具合が良さそうだ』
――などと、女将官や兵士を勝手に見繕い始めたのだ。あまりの身勝手さに私は呆れかえってしまったが、指さされた一人、エイリスが国のためと、その任に就くことを承諾したのだ。
「……であれば、わたくしが総督府へと向かい、将官たちを守りましょう」
思いもしなかったその聖女様の提案は私を驚かせた。
「しかし!――」
聖女様は私を制する。
「地母神様の聖女を甘く見ないでくださいまし。力及ぶ限り、彼女らを守って差し上げましょう。あなた様の大事な人も」
「そのように言われますが……」
彼女も同様に篭絡されてしまうのではないかという不安が
「大丈夫。手は考えておられるのですよね、エルラ様?」
聖女様がエルラを見やると、エルラは薄ら笑いを見せる。
「坊が覇道を歩むことも厭わぬと言うのであれば、策はある」
「タルサリアの民を救えるのであれば、私は何者にでもなろう」
「よかろう。アイゼ・タルサリスよ。先代タルサリア王の息子よ。
「御心のままに。エルフの女王よ」
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新作開始ですが、相変わらず雑な構成ですので先が見えません。
とりあえず上げましたが変更するかもしれません。
ご感想頂けますとめっちゃ喜んで続きを書くと思います!
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