第3話 狩り

「それじゃあまずはスキルの確認からしましょう、松本君たちは何か分かることはありますか?」


「そうですね、拙者の知る本やアニメではスキルの名前を唱えることで使うことができる場合が多かったです。しかし、やはりスキルの意味や効果を理解しなければあまり威力は発揮されないと考えます。まぁこの世界の場合色々違い過ぎて当てはまるか分かりませんが」


「そうですか…それならまずは昨日確認した戦闘に役立ちそうなスキルを持つ人から順番に確認しましょう。松本君達の意見も参考にして特訓よ!」


「「「「おう!」」」」


「じゃあ順番に、まずこういったことに詳しい人は何人いますか?」


「拙者や柊沢を含めだいたい5人程といった所です」


「そう、それじゃあ5人ずつ一応それぞれ距離を取ってやりましょう。松本君達もよろしくお願いします」


「はい!微力ながら皆さんのお力になれるよう尽力しましょう」


「ありがとうございます、じゃあ6人ずつに分かれてやりましょうか」


こうして初日の訓練が始まった


…「じゃあスキルの方を確認するでござる」

「あぁよろしくな!」

このスキルは………


「はいっ少し休憩しましょうね、皆自分のスキ

ルについて確認できましたか?」


「うんっまさかあたしの千変万化ってのが幻を見せる能力だとわね〜。もうちょっとわかりやすく書けっての」


「昨日委員長の言ってた人を惑わせるっていうのが鍵になったでござるね」


「そうね〜、でもあんた達がいてまじで助かったわ〜。ありがとね!オタ軍団!」


「いやいや我々は自分達の出来ることをやっただけですので…」


こんなことを言って謙遜しているオタ軍団だが内心では(うぉー女子に初めて褒められたでござるー)などアホなことを考えていたりした。


「にしても腹も減ったし喉も乾いたなー」


「あっそれなら私達が役にたてるかもしれないです」


「おっホントか前園、篠崎!」


「はい、私はスキルで水を出せるようですし篠崎さんは周囲の散策が出来るみたいなので食べ物探しに役立つかもしれないです」


「それじゃあ水を飲んだらお昼ご飯を取りに行きましょう、それと篠崎さんその散策のスキルで周囲に監視してるっぽい人がいるか確認できるできますか?」


「あっはい!私達の周りにクラスメイト以外で6人隠れているみたいです」


「そうですか、やっぱり私の予想通りあまり監視はつけられていないみたいですね」


「あぁ、でも物量で押せば行けるだろ。こっちも戦闘系の奴は20人くらいいるし」


「そうよね、あまり時間をかける余裕はないから明日にでも仕掛けるべきかもしれないです」


「んじゃそれも踏まえて取り敢えず飯取りにあそこの森に狩りに行こうぜ!」


「俺も腹減ったわー」


「あたしもー」


そうして森に入っていくと、


「む、むこうに動物みたいなのがいます。でもなんか日本のよりも少し大きいような…」


「まぁ細かいことは気にすんな。こっちは30人いんだから、ある程度大きくねぇと全員に行き渡らねぇしな!」


「いや…でも…」


「おし!篠崎!その動物ってのは何処にいるんだ?」


「あ…はい、えっと9時の方角です」


「了解9時だな。それで9時ってどこだ!」


「はぁ…大石君左ってことですよ」


「左だな、ありがとよ篠崎」


「うし『身体超過』!」

すると、大石は思い切り踏み込む


「きゃっ!」

周囲に風を巻き起こす程の猛スピードで向かっていく


「これは…」


「えぇ、大石殿のスキル『身体超過』は恐らく身体能力を上げるスキルでござる。しかし何故強化ではなく超過なのかはこれからもっと調べる必要がありますが…」


「いいえ、十分すぎるくらいです。これなら本当に明日には監視を振り切ることができるかもしれません。本当に心強いです」


「とりま、あーしらも後追わないとねー」


「うぉっ!!」


「今のは大石君の声!?一体何が」


そこには巨大なイノシシが鎮座していた


「なんだコレゃ!いくらなんでもデカ過ぎんだろ!」


「流石にここまでのは予想外です…」


「さ、3mはあるっしょ」


「だがよこっちは30人もいるんだ、何とかなるだろ!それに、もしこいつを仕留められたら全員腹一杯に食えるだろ。何なら夕飯の心配もしなくて良くなるかもしれねーぜ?」


「そうよね、皆行きましょう!」


「「「おう!!」」」

この時、雅達はまだ知らなかった。異世界と日本の根本的な違いも、異世界の本当の怖さも、何もかもを…


まずは大石がイノシシの腹を力一杯に殴りかかる。

「ドラぁぁぁぁぁ!!!」

イノシシを吹き飛ばすことには成功したが…


「いってぇぇぇ!」


「えっ!?大石君?どうして!?」


「あ、あいつめちゃくちゃめちゃくちゃ硬え、拳が潰れちまうかと思った」


「そんな…」


「かなりやべーな、あんなんそうそう殴り続けることなんか出来ねぇぞ、こっちが先に限界が来ちまう」


「でも、流石に向こうも無傷ってことはないっしょ、あんだけ吹っ飛ばしたんだし。皆で少しずつ削っていけばそのうち…」


『ブォォォォォォォー!!』


「う、嘘無傷?」


「そんな、ありえねぇ…」


「せ、戦闘出来るひとは集まって!全員一斉に攻撃します!こんなところでクラスメイトをを失うわけにはいけないんだから!!」


そして、クラス全員の本気の一撃がイノシシへと当たる、が…

『ブォォォォォォォ!!!』


「そ、そんな全然効いてない…」


「もうだめだ…」


「あ、あたしらこんなとこで死ぬんだ」


「いやだ、いやだ、嫌ー!!」


「こんな、こんな意味わかんない死に方するなんて」


そんな中

「く、来る!なんか早いのが凄い勢いで!」


『ガァァァァァ!!』


篠崎がそう告げた瞬間茂みから勢いよくチーターのような生き物が出てくる。


そしてイノシシへと狙いを定めると…一気にイノシシの喉笛を噛みちぎる。


『ブ、ブァァァァァ!!』

イノシシは断末魔を上げ、そして息絶えた。


雅達は一時は危機を脱したがさらなる絶望が襲いかかる。


「そんな…あのイノシシよりも強いのがいるなんて…」 


「今度こそムリゲーでしょ…」


「もう、諦めるしかねぇのか…」


そしてその怪物は雅達に襲いかかる




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