地を這う黒き集団

アカネ達が向かった先にいたのは大量の蟻だった。

ただ、普通の蟻と違うところといえばそのサイズが3m超えてることくらいだろうか。

ここは『巨大な森林』その入り口、まるでこの森に入る資格があるかどうか試すように

黒き先遣隊ミルミンギ・プロトポリアが立ち塞がった。


「今更ですが私たちは検証班です、どうぞまとめて検証班と呼んでもらって結構です」


「皆さん先にこれを渡しておきます」


「ん?何かしら」


「HP&MPリジェネポーションとトリモチ爆弾です」


そう言って検証班が取り出したのは毒々しい色をした

ポーションと丸い手榴弾みたいな丸い形をしたものを渡された。


「もうそんなの作ってるのね」


「ポーションの方はあるプレイヤーが作ったものを買ったものです

トリモチ爆弾はうちの者があると便利と言って作ったやつですね」


「お!このポーションすげぇな!5分間どっちも5ずつ回復って意外とでかいぞ!」


「そうね、これはすごいわ」


「わぁ~!でも色やばいね!これ!」


「毒かどうか疑うレベルね」


「味はフルーティーなので色だけです、安心してください」


そうやってアイテムを渡したり、装備の確認などを済ませると

御者の人が声をかけてくれた。


「もうあと少しであいつらが来る!!お客さんら準備はいいか?」


「あぁ!!もちろんだ!俺たちは先に行くぜ!!行くぜぇぇー!!」


そういうと山賊パーティー(仮)は蟻に向かって突っ込んでいった。


「ゴベバァ...!!やmグハッ...ゆるsゴバファ...!」


山賊パーティー(仮)は大量の蟻に囲まれ、タコ殴りにされ

そしてアイテムを使う暇もなく、1ダメージすら与えられずに散っていったのだった。



無念、山賊よ安らかに。



「彼らはこの先に行く資格がなかったみたいですね。。。

にしてもどうしましょう。。。?私たちだけではつらいですね。。。」


「いいえ、問題ないわ」


「そうそう~!私たちが全部蹴散らすもん!」


「それは頼もしいですね、ご武運を」


「行ってくるわ、行くわよツボミ」


「うん!」


そしてアカネ達は黒き先遣隊ミルミンギ・プロトポリアに向かっていった。

その手にはあの日手に入れた『ルシマベル』を携えて。


「さて、さすがにこれだけ大量にいると少し大変かもね」


「まかせて~!ここは私の【古代呪文】でサポートするね!」


ツボミはそういうと杖を前に構え呪文を唱えた。


「巡れ 廻れ 世を渡れ 我 阻むもの 傷つけん【世を廻る風】」


詠唱を終えると杖の前に風が少し吹いた。

そして、次の瞬間目の前の全ての蟻の体中に傷ができはじめた。

それは殺すには至らない、それはただ阻むもの全てを傷つけるのみ。

だが、十分な威力である。


「ふふ、すごいわ!ツボミ!あとでいっぱい褒めてあげる!

 私も負けてられないわね!」


呪文が終わったタイミングを見計らってアカネは蟻たちの前に飛び出した。

まるで突風が吹いたのかと思うほどの風圧。

そして勢いそのままに『ルシマベル』で次々とその首を狩っていった。


踊るように、舞うように、魅せつけるように


「アハッ!アハハハハ!」


『ルシマベル』レア度:ユニーク

装備効果1【身体強化】


装備効果2「???」


装備効果3「???」


装備効果4「???」


その強化は通常の【身体強化】など比ではない。その数倍あるいは数十倍。

使い手の状態、主としての格によって引き出せる倍率が異なるが

今のアカネは本来の半分の性能を引き出すことに成功していた。




蟻たちになすすべはなく、ただ蹂躙されるのみ。

そこにスキルも魔法も介在する余地はない。

ただ純粋な暴力、しかしシンプルが故に凶悪。


「おそい...遅い!遅い!!アハハハハ!!」


蟻たちもなんとか抵抗しようと数で囲もうとするも

その一瞬で首をまとめて刈られる。


酸を吐いて殺そうとしても、その酸が届く前に命尽き果てる。


スキルで防御力を上げても速度を上げても、意味はない。


敵は全て死んでいくのみ。


「綺麗...」


ツボミはその光景に見惚れてしまった。

アカネの美貌、圧倒的カリスマ、圧倒的暴力によって作り出される

一瞬、一瞬がまるで美しい一枚絵のようでツボミは思わずぼーっとしてしまった。


そしてその間にも蟻たちはどんどん減っていき、最終的には戦闘から3分もせずに

大量にいた蟻たちは蹂躙されたのであった。


積み上げられた蟻たちの死体の上に立つその姿は死神か、はたまた魔王か

アカネの背に見える太陽がまるで日食のように輝いて見えた。


「アハハ!楽しかったわ!少しやりすぎてしまったみたいかもだけど」


「すごい...すごい...!すっっっごい!!かっこよかった!!」


「ふふ、うれしいわ。ツボミもあの呪文凄かったわよ

 他にもあるんでしょう?」


「うん!あれまだ【古代呪文Lv1】で覚える呪文だし基本の4属性まとめて覚えられるの!」


「そのまま成長したら大魔法使いも夢じゃないわね!」


アカネはツボミと2人で死体を一部素材に変換、一部は【鑑定】を使い

スキルの被りがないようにしてインベントリにしまった。













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