この姉にこの妹あり
<フリースタイルの世界へようこそ>
「ツボミが来るまで少し時間があるし、どうしようかしら...」
「そうだわ!私のスキルを使って驚かせてみましょう!」
......
「お姉ちゃん~!来たよ~」
「今開けるわ」
「お姉ちゃん今日はどこに行くか予定は決まってるの?」
「「えぇ、決まってるわよ」」
ツボミにはアカネの声が2重に聞こえた。聞き間違いかと思った、次の瞬間
肩に手がふれた感触を感じた。姉は目の前にいる。では後ろのこの手は誰だろう?
「え?」
思わずとツボミは困惑した声を出してしまった。
恐る恐ると後ろを振り返るとそこには...
アカネがもう一人いたのだから。
「え?えぇぇぇぇ?!お姉ちゃんが2人!?うそ!つまり幸せが2倍!!?」
「「あら、ならこうしたほうがいいのかしら?」」
そういうと2人のアカネはツボミを部屋にひっぱり扉を閉めたかと思うと
2人して前と後ろから抱きしめたのだ。
「スゥーーーー//」
「これ...やば...お姉ちゃん、今私天国にいるよ...」
(お姉ちゃんのにおいと感触が前と後ろから....しあわせ...)
ツボミの顔は赤くなりながらもどこかその表情はしあわせに満ちた表情をしていた。
そうして、しばらくアカネはそのツボミの反応を見ながら可愛がるのであった。
......
「さて、今日は『日の出の森』じゃなくて反対にある『巨大な森林』に行くわ」
「『巨大な森林』?広い森ってこと?」
「違うわ、昨日終わる前に街中のNPCに話を聞いたところ、
この森は木や生物など様々なものが巨大化した森だそうよ」
「へぇ~そんなとこあるんだ~!でも街からは何も見えないよ?」
「馬車で行ってしばらくしたところにあるみたいよ」
「おお~!じゃあ馬車旅も楽しめるんだ!やったー!」
「えぇ、私の準備は終わってるけど、ツボミは大丈夫?」
「うん!私も必要なものはもってるよ~!準備万端!」
そうやって雑談しながら歩くことしばらく
気づけば乗る予定の馬車までアカネ達はついていた。
そこにはアカネ達以外にも他のプレイヤーもいるようであった。
(他にも行く人はいるのね、あそこ適正レベル30だったはずなのだけど...
検証班か武勇伝目当ての人達かしらね)
彼らの装備はお世辞にもレベル30を越えているもの達の装備には見えなかった。
1つ目のパーティーは初期装備のままであった。
ただその胸には帽子とキセルが合わさったワッペンが付けられていた。
(初期装備に加工なんてできるのね。まぁフリースタイルうたってるくらいだしできるか)
2つ目のパーティーの装備は初期装備でこそないが、街中でそこそこの値段で売ってるのを
アカネは見たことがあった。
(あの装備じゃきついんじゃないかしら?それともレベルが高いのかしら?)
アカネには【鑑定】があるがあまり使わないようにしていた。
それはさきに情報を知ってしまっては面白みが減るからである。
相手がなにを出すか、何をするかわからない緊張感とワクワク感を得るには、そのほうが良いと思ったからだ。ただし絶対に勝つと決めた場合はその範疇ではない。
たとえそいつがどれだけ弱かろうと自分の持てるすべてを駆使して必ず倒すと決めていた。
「「あなたたち、私の(お姉ちゃん、妹)には近づないように」」
「おぉ...どうした?嬢ちゃんたち、別にちょっかいかけたりしねぇよ」
「安心してください、神聖な場は遠くから眺めるものですから」
「冗談よ、じゃあ全員揃ったみたいだし行きましょう」
「ふふん!姉妹ジョークだよ~!短い間だけどよろしくね!」
(((目が笑ってねぇ、ないんですが...)))
馬車はそんな空気はおかまいなしに出発した。
アカネ達以外のパーティーはとりあえずできるだけ奥につめて座ることにした。
なんとなくそうしたほうがよいと感じただけである。決して近づいたら殺すといわんばかりの
瞳の奥に宿る殺意に日和ったわけではない。決して。
......
馬車が進むことしばらく、馬車が急に止まった。
「なんだ?急に止まったぞ」
「何かあったんですかね?」
アカネ達以外のパーティーがざわつきはじめた、その時
「すまねぇ!お客さんら!魔物に襲われたんだが雇ったやつらが負けそうなんだ!!
お客さんに頼むことじゃねぇが...あんたら冒険者だろ?頼む!助けてくれ!!」
御者のおじさんが緊迫した表情で訴えてきた。
それと同時に目の前にシステムメッセージが出た。
<御者から襲撃イベント『御者のお願い』を受注しますか?>
YES NO
「俺たちにまかせろ!」
「すいませんが私たちはアイテム支援だけならできます」
「私たちも行こうかしらね、ツボミは大丈夫かしら?」
「うん!お姉ちゃんのサポートはまかせて!」
(ツボミがどんな戦いをするかも見れるし、『ルシマベル』の試運転もやっとできそうね)
「えぇ、背中はまかせたわ。楽しみね」
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