繭(まゆ)

受け止めたはずの指先から、滑り落ちた


光には、浮く、割れ目


触れた指先から、救った確信が、伝わろうとも

しかし損なっていた


かけがえのなさを、覆うのは

かつては、愛で、守るためだった


今も、天邪鬼がよぎる繭の、望み、叶わず


口にしないと、分からない、っていうのなら

口にできてしまう、軽い言葉だけが、真実なのね

だから


貴方との、幸せな思い出など、一つたりとて、ありはしない


って言いたくなってしまったの


歪だったはずの灯に、罪悪感を問え


分かってたまるものか

もし分かった、と思えたなら


お前は、どんな鬼よりも、汚らわしい


美しさをうそぶく、火の揺れに、尋ねることなかれ

宣うことを、許しはしない


ほだされることは、決してない


読むな

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詩集〘雅な陰り〙 裏律 @riritsu

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