詩集〘雅な陰り〙

裏律

にじみ

重なるの線がうねる、文字は

擦れ、掠れてしまい

いくら拭おうとも

汚れは、広がるばかりで

騒がしく思えた、あの愛おしさは

もう、伝わらない


でも、諦めきれなかった


薄くても、それは、やはり綻びで

蛭の

柔和な、食いこみに


揺らめく、淡い手つきが、私を抉る


もう、戻らないの


逃れられない、締めつけの

怪しい心地よさ

でも、心地よいのだから


執念深さが起こした、弾みで、壊してしまった数々の

でも、それは罪じゃない


貴方は、何にもしていない


だって何にもしてなくても、壊してたのだから

何にもしてないのと、同じ


落ちたしえんインクの広がりは

煙のように溶け、薄まり

なのに、いくら払おうと

消えてなくなったのに、こびりつく


まったく優しく縛るのね

優しくとも、確かにある、けば立ちで、傷はつくの


慈しみが染みついてしまったなら

もう、卑しさは

洗い落とせない

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