第84話

新副リーダーとなったNRと新リーダーとなったTTが新たに加わり、AYがアドバイザー、HAがWEB兼総務担当、KKが総合プロデューサー専任、僕が代表専任という新規運営形態となって間もなく、2期生メンバー募集に向けて動きだした。HAは団体としての規約を作ったほうが良いと提案を出してくれて、僕も賛成した。しかしKKは、一刻も早く告知をすべきだという判断で、総合プロデューサーの意見とあらば否定するわけもいかず、僕らは団体規約作成を後回しにして、メンバー募集に専念することに。

9月上旬、2期生メンバーオーディションが開催され、3名の女性が参加。運営で会議の末、今回も参加者全員を合格という結果になった。2人は演劇経験者で1人は演劇が初めてだったが、運営メンバー曰くビジュアルが良いという理由だった。


翌週の稽古から、2期生メンバーの3人が合流。だがその一方、ミュージカルの本番が終わった後もあり、仕事や個人の予定を優先するメンバーも出始めたこともあり、メンバー全員が顔をそろえる機会はなかなかなかった。しばらくは、市民演劇祭に向けての稽古と、9月末に控えたライブハウスで行われるライブの稽古の2本立てだった。

昼から夕方までは、演劇祭に向けて僕が執筆した脚本の読み合わせ。夕方から夜がライブの稽古というスケジュールだった。読み合わせはしたものの、演出経験もなく演技経験が1回しかない僕にとっては、読み合わせの後の講評で何を言って良いのか分からず、どんなふうに読んでほしいのかという指定しかできなかった。

しばらくして、僕はKKとAYと3人で会う機会があった。AYは自分の劇団があるので、付きっ切りで市民演劇祭の稽古に参加もできず、KKもプロデューサーとして外部との交渉事が多いため、結局僕しか現場を回す人間はいなかった。だが経験値の浅い自分に何ができるのだろうかと、この頃の僕は精神的に不安定な状態が続いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る