メンチカツはおでんに含まれますか?
ZENWA
第1話 カキフライとびんちょう鮪
この世には二通りの生物が存在する。
大根か、そうじゃないか。
大根でないならば、その人は人参かもしれないし、マグロかもしれない。
いずれにしろ、わっちは大根ではないのだよ。
「やぁ
「あっ、るん太郎ちゃんおはよう」
4月某日、女子中学生(笑)になったわっちにも春が来た。
そりゃそうだ。
4月に夏が来てたまるかってんだ。
そして今わっちが話しかけたのが
ルビを振るのが面倒なので以後振らないが、菜っ葉ちゃんはとてもかわいい女の子。
パンで言うならパン屋さんで真ん中に置かれてそうな娘で、わっちは絶対買わないタイプのパンだ。
でもそんな菜っ葉ちゃんをわっちは気に入っている。
なぜなら名前が面白いから。
それだけである。
「るん太郎ちゃん、今日体育あるけど随分軽装だね。荷物はどうしたの?」
「はっっっ‼‼」
わっちは重要なことを忘れていたようだ。
今日の晩御飯は鍋にしようと思って生きたニワトリさんを鍋の中にぶち込んできたが強火にしたままなのをすっかり忘れていたのだ。
「ガス代が大変なことになる……」
「るん太郎ちゃん、今日カバンは?」
それはそうと今日の昼食はチューリップだ。
球根は食べたらいけないって聞いたことがあるから、花が咲いた今なら食べてもいいってことだよね。
「昼休憩が楽しみだね」
「え、もしかして
菜っ葉ちゃんは食に対してすごく熱いものを持っている。
今だってわっちのお昼ご飯に興味津々なようだ。
「ちなみに私の今日の昼食はスイカなんだぁ」
「ス…イカ…!?」
―スイカの種を飲み込むといずれ胃から芽を出す―
言わずと知れた世界のトリビアである。
わっちはそれが怖くて怖くてスイカが食べられない。
大人は「そんなことない」って言ってくるけど、全然信用ならない。
みんな他人事だと思って……
「でもそれどうやって切るのさ?」
「それを私も悩んでるんだよねぇ」
するとどこからともなく凛とした女の子の声がする。
「わしにまかせんさいや」
「
彼女は
青森県十和田市出身。ご両親の仕事の都合で幼い頃から愛知県とアフリカを行き来する生活を行っており、本人曰く育ちは兵庫県明石市なんだとか。
なのになぜか広島弁を喋っている。
「わしが八等分に切っちゃるけぇ」
「まって、広嶌ちゃんどこからその刀だしたの」
こんな性格と口調だが見た目は京都府のお嬢様のような感じで金髪である。
「きゃぁああスイカの汁が飛び散ってるよぉ」
そんなこんなで毎日平々凡々な生活を送っています。
実家のお母さん、お父さんこのビデオを見て安心してくれたことでしょう。
このとおり一人暮らしも様になってきて、全くもって大丈夫ですので引き続き安心してください。
愛する母と、そこまで愛してない父へ――
「…だそうですけれども、お父さん」
るん太郎の父母は自宅のリビングで娘から送られてきた報告動画を観ていた。
「あぁ、俺を愛していないとはどうい u 」
「今のどこに大丈夫な要素があったんですかねぇ」
「いや、それより俺を愛していないというの h 」
「それも学校で動画回しても一人暮らしがままなっているかわかるわけないのに」
「え、君は愛されてて、俺はあい s 」
「やっぱりあの子に一人暮らしは早すぎたんじゃ…」
るん太郎は現在一人暮らしをしている。
理由は……特にない。
「うむ…しかしるん太郎が俺を愛していないとなる t 」
「まぁまぁよいではないですか母上、父上」
「あら、めん
るん太郎にはめん
姉に似ず恐ろしいほどきちんとしており、社会性という意味ではちゃらんぽらんで−100点の姉と足して二で割ればゼロに戻せるほどの格式であった。
「いざという時には拙者が姉上のもとへ駆けつけますので」
「そうねぇ、めん三郎がそう言うなら」
「そういえば触れられてなかったということはめん三郎のことも愛してないということか…おぃめん三郎、父さんとおそろいだ n 」
「では拙者は本日姉上との夕食の予定がありますのでこの辺で」
今日は「わっちが夕食を作るでな、食べに来なさい」とめん三郎は言われていたのだった。
「えっ、つまり愛されてないのは父さんだけなの k 」
「さて、お父さんには愛妻夕食を作ってあげますよ」
「かぁさん(*´▽`*)」
わっちの物語は、まだまだ始まったばかりなのである。
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