異世界転生した僕はのびのび冒険者をする

夜白にこ

第1話 前世の自分

僕の名前は三ツ島翔


今年で中学三年になるけど、

産まれてからずっと病院生活なんだ。

僕は産まれた時に

原因不明の病気を持っていた。


その病気や症状は突然現れることがあり、

処置も病院でなきゃ出来なくて

外に出ることすらままならない。

それを聞いた両親は

泣き崩れてしまったらしい。


僕は物心ついた時に悟った。

僕は病院から出られなくなり、

高校まで生きられないことに…

けど、両親は僕が暇しないように

本をたくさん持ってきてくれた。

そのおかげで僕は

知識もついたし沢山学べた。


そして、その中でも一番好きな本が

「これから僕は冒険者になる!」

という本だった。


その本の内容は中世ヨーロッパ風で、

王族・貴族・平民という階級制度が

ある時代だった。だけど、

少年がいる時代は差別化が少なくなり、

貴族も平民に分け隔てなかった。

でも、一部の人間は差別してた。


けど!僕はそれよりも、

魔法が存在することにすごく興味を持ったのだ!そして、冒険者になる少年の姿に心惹かれたのだ!


その理由の一つが、

少年の両親が昔、冒険者だったこと。

そして、二人とも同じパーティーだったこと。そして、冒険者だった時は冒険者の中でトップの実力を持っていたこと。

何より、その両親は

魔法の種類が全て使えたのだ!

僕は今までにないくらいワクワクして

その本を読んだ。


そして、その少年は両親みたくなるために冒険者を目指していくが、その途中で出会う仲間たちへの思いにもすごく感動できるのだ。


仲間になったみんなと少年は、

楽しそうにして、仲間達と一緒に戦って、

それでも最後は笑ってる姿に

僕も友達が欲しいな。って思った。

だから、僕はこの本を貰った時から

この本が一番のお気に入りになった。

僕にとって、この本は今まで読んできた中で

一番衝撃を与えた本だった。


そして、いつものように本を読んでいた…

発作が出た。

僕は急いでナースコールのボタンを押したが

今までよりも発作が酷かったため、

答えることが出来なかった。


「翔くん!!聞こえますか!!」

「翔くん!!!……急いで手術室へ!!」

そう遠くで看護師さんの声が聞こえた。

「翔!!お願い、生きて…!!」


そう両親の声も聞こえるが

僕はもう生きれないと悟ってしまった。

「おか、さ、ん。お、とう…さん、あり……がと、ね。」

僕は最後の思いを振り絞って両親に言った。

(ああ、どうせなら大好きな本の世界に行きたいな。)

そう思いながら僕は意識を手放した…








*******








気づいたら僕は真っ白な空間にいた。

辺りを見回しても

白い空間しか続いていなかった。

その時、僕の目の前に一人の女性が現れた。

「あなたが三ツ島翔くんね。」

女性が僕にそう言った。


女性は腰にまでかかるロング髪をしており、

透明な水色の瞳で僕を見つめてそう言った。

僕はなんで知ってるのか分からず、

戸惑っていると女性が

僕の思いを悟ったかのように口を開いた。


「ごめんなさい、驚かせてしまって。私の名前はセトリーヌ。あなたの立場で言うと私は女神にあたります。」

「え!?女神様なんですか!?」

「そうです。そして貴方は前の世界で生きることを諦めていたでしょ?」

「………」


そうセトリーヌ様に言われて

僕は何も言えなかった。

それでもセトリーヌ様は

僕を気にせず話し続ける。


「そんな貴方に私は今世で幸せになってもらいたいのです。」

「…え……?」

そんなことを言われて

思わず俯いていた顔を上げた。


「私が管理している世界なら貴方が望む形で送ってあげることができます。どうしますか?」

そう問いかけられた僕は

びっくりしすぎて固まってしまったけど、

僕の願いは一つだった。


「…僕は仲間達と笑いあってのんびり冒険者をしたいです!!」

そうセトリーヌ様に言った。

僕は前の世界でずっと…ずっと願ってた

友達や仲間と楽しく笑いあっていたいことを

セトリーヌ様に伝えた。

「わかりました。それでは………」


そしてセトリーヌ様が何かを唱えた時に

僕の周りに光が満ちた。

キラキラとしていて

眩しくなるほどの光だった。

その時、セトリーヌ様が

僕に最後の言葉だと言った。


「翔くん、貴方は周りに恵まれるから大丈夫です。今度こそ楽しい生活を送ってくださいね。」


そう微笑んで言ったセトリーヌ様が

見えたのが僕の記憶の中で最後だった。





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