第27話 海は陸とは違う

「男爵ランー!ミナを放せ!」

僕は海面に立っている男爵ラン目掛け

指先から魔法エネルギーを発動。

男爵ランは横にスーッと移動。

かすったがハズレた。

「何をしてるのかね。小さき少年。」

今度は宙に浮いた男爵ランが偉そうに僕たちを見下ろす。

ミナが大イカに縛られて、今にも息が切れそうだ。

「助けて、カイ・・・」

「男爵ラン!今すぐ放せ!」

「主導権はこちら側にあるのさ。この僕をコケにした罰さ。

ミナにはこの場で海の塵となってもらう。

そして次はお前達だ。ハハハ。」

一番嫌な笑い声が僕の耳の中に入って来る。

くそー!

「マテオ、ドンク、ユウキにリン。

みんなで一斉攻撃だ!」

「おー!」

「負けせな。」ドンクは命中率100%越えのモリで男爵ランを狙う。

マテオは海ねこに変身。魔法発動用意。

ユウキは青い魔法炎を発動。

リンは火の精霊。巨大な赤い燃えるような炎を発動準備。

「行け―!」

ものすごい爆音と海面が、えぐれた。

「やったか!」

「ハハハ。雑魚ども、何をしてるんだ。」

男爵ランは無傷だ。

「なんだ、アイツ!こんなに強かったか?」

マテオが「たぶん海底ダンジョンのモンスターと海での魔法契約をしたんだろう。

ほら、よく見ろ。男爵ランの耳だ。後ろにエラの線がある。

ミナと同じだ。」

「なんだ、それ?」ドンクがあきれる。

「男爵ランは改造人間になったのか?」

「そうだ。しかも最強だ。

陸も海でも活動できる。」

ユウキが「カイ、女子が捕まって苦しんでる姿なんか見たくないよ。

カイ。何とかしろよ。

お前がこの世界に僕を誘ったんだろう。」

ユウキが僕のシャツをつかんで言い寄る。

ポロン。首のペンダントが。僕は笛を鳴らした。

魔女デルタが危ない時に使うんだと言っていた。

「ピーーー!」笛の音は鋭く金属音のように響き渡った。

「バーン!」

目の前に魔法部隊が現れた。

「おい!デルタ。助けに来てぞ!」

「えっデルタ?」デルタは港冒険者ギルドに残っているはずだ。

急にリンが前に。

「カイ、よく思い出した。その笛。それは私の仲間を呼ぶ笛だ。」

「?」

「兄さん達、大イカに捕まってる女の子を急いで助けて。」

「わかったぞ。」

魔女デルタの兄さん達は強かった。

瞬時でミナを救ってくれた。

気づくと男爵ランの姿は消えていた。

ミナが僕らの船に戻る。

「大丈夫かミナ!」

「大丈夫よ。ありがとう。」

僕は魔女デルタの元へ。

「デルタ、この笛は?」

「私は海魔法の王国、サワラアイランドの王女だ。笛は王女の笛だ。」

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