第3話 山下公園の隠しごと
僕は混乱した。何からツッコめばいいのか?
人がカモメに変身。
目の前の少年は海ねこに変身。
個人的には、鳥としても噓つきカモメより
赤い目のきつい顔の海ねこ派の僕としては
海ねこ変身少年は気になるし、話したいが。
それに助けてくれたおじさんは?
伝説の大ダコだと目がいっちゃってる。
でもおじさんは、命の恩人だしな。
「わあー!」
頭の中がごちゃごちゃしてきた。
お気に入りの青の海ねこTも海に落ちたせいで、ヨレヨレだ。
なんだか、気合いが入らない。
こういう時は、『深追いはしない。』
おじいちゃんの遺言だ。いやいやまだ生きていた。ごめん。おじいちゃん。
とりあえず、逃げよう!
「ごめんなさーい!」
僕は大声で叫び走り出した!
僕はいつも冷静だ。
僕は振り返らずにローズガーデンを斜めにくぐりぬけてポールのゲートへダッシュ。
振り返ったら負けだ。
信号早く変われ!「変わった!」
82横断歩道をダッシュで駐輪場へ向かう。
もう大丈夫だろう。
それに誰も追いかけてこない。
あの場から逃げたはずが、
何かを期待していたんだろう。
ラブコメじゃあるまいし。
もう、いいかな。
僕は愛車の自転車Bに乗り、振り返った。
氷川丸を見た。先端に大ダコはいない。
いつもの氷川丸だ。
ただ。えっ?山下公園をすっぽり囲む、かなり大きめのドーム型のネットが見える。
「なんだあれは?」
白く光っている網?
よく見ると網を抜けるカモメと網で引っかかるカモメがいる。
僕は凝視した。網にあたったカモメは一瞬、
人の顔になってすぐ、口ばしのあるカモメに戻った。結界か?
「あー、」まずいものを見た。忘れよう。
僕は、単に大ダコを見に来ただけだ。
大ダコはいなかった。僕は海に落ちた。
助けられた。今、自転車Bに乗っている。
そうだ。それだけだ。
「グー」お腹がすいた。僕はぺダルを踏んだ。
ホテルのナポリタンの看板を横目に路地を抜けて「あー、喉がかわいた。」
Dr.Pーを自販機で買って一気飲み。生き返る。
とりあえず帰ろう。
観光客をよけながら坂道を変則ギアでのぼりきる。
外国人墓地まできた。ペダルを踏むのを止めた。港を見た。
さっきのドーム型のネットが光って見える。
たぶん大ダコと同じか。
僕はペダルに足をかけ前を見る。
あれ?ここに建物あったっけ?小さな三角屋根の洋館が。
ドアが開き、「カイ、待っていたぞ。少年。」魔女?
ハロウィーンには少し早い。
僕は聞こえないことにして猛ダッシュでペダルをこいだ。
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