第2章 携帯彼氏リク

第20話

里美が真由美の死を受け入れられないのは、実際に真由美の遺体を目にしていないからだった。


葬儀を迎えた今日も、里美は真由美の遺体を見ることはなかった。


遺体の損傷が激しいことから、真由美との再会は布越となった。


真由美の母親の話では、頭は陥没し形を留めておらず、足は綿を抜いた人形のように潰れていたらしい。


さらに追い討ちをかけるように、真由美の遺体は司法解剖に回された。


遺書がなかったことや、真由美に特別思い悩んでいる節がなかったことから、事件もしくは事故の可能性があると判断されたからだ。


地面に叩きつけられ、バラバラに砕けた真由美の体を更にメスで切り刻んだのかと思うと、虚しさと怒りが同時に込み上げてきた。


なぜこんなにも惨たらしい最期を迎えなくてならなかったのか。


頭から爪先まで、大きな白布で包まれた真由美の遺体らしき物体を見つめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る