第13話

「私がここへ到着したとき、真由美はまだ生きていた。

携帯電話が鳴ったのが5時少し前だった。

こんな時間に誰からだろうと思って、着信の名前を確認したら『リク』ってなってて驚いたの。

真由美の携帯彼氏の名前だったから」


聞きたいことは山ほどあったが、里美は最後まで由香の話を聞くことにした。


質問するのはそれからだ。


「リクは私にこう言ったの。真由美死ぬよ。やっぱり真由美じゃ駄目だったんだ。帰ろう、愛すべき人の元へって」


真由美が飛び降りた屋上を正面に睨みつけながら、由香の言葉を頭の中で繰り返す。


真由美じゃ駄目だったとは、どういう意味なのか。


それに、愛すべき人へ帰るとは一体……。

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