魔王誕生

第6話 我は魔の王!

扉をあけると腐臭のような臭いと重苦しい空気が襲う 

中央には型のわからない大きな生物が蠢き唸り声を発している


「お前が魔王か!?」

そう声をかけると一際大きな唸り声を上げたあと


「俺は…魔王…じゃ…」

と言う声は弱々しい

「俺は魔王じゃな…」

知らんがな


とりあえず先制攻撃をしかける

上段からズバッと斬ると

ギャアアアアアッ俺は…魔王じゃな…ひいあああ

と叫びながら消えていく


え。まじか。あっけない

もしかしてこの後ラスボス出てくるパターンか!?


身構える


魔王が砂と化して消える


何か光る物が飛び出して迫ってくる

刀をすり抜けた為大きく避けると後ろから僕の頭にぶつかり…

入ってきた

くそっそういう攻撃かっっ油断した

何か身体が熱いっ頭が痛いっ

頭に手をやると角が横に2本生えている

なんだこれは!?魔物にされたのか!?


と、上からボトボトと前に大きな塊が落ちる

絶体絶命じゃないかっ


よく見ると騎士の様なガタイに赤い髪をした男と貴族のように美しい銀髪細身の男が跪く事も出来ない程に弱った様子でまさに落ちている

魔王に囚われていたのだろうか


「大丈夫か?!」

助け起こすが赤い方は息も絶え絶えだ

見ると赤い方は耳が頭から生えている。犬の耳だ

銀の方は目も銀色で肌は白く大きな牙が見えた

人ではなさそうだ


銀の方が

「お願いです。我々を助けてください。」

と懇願する様に声を絞り出すように言う

「どうすればいい!?」

人だろうがなんだろうが弱った者を見捨てるなんて王者のする事ではない


銀色が目を見開く

赤い方は息が出来ないのかチョークサインでガハァっと言い出した

早く対処しなきゃ

「時間がないんだろう。早く言え」

せかすと

「なんと…気持ちのお強い…

王であると。魔の王であると宣言してくださいませんか」


魔の…王であると…?

僕は、魔の王になるのか?

いや。もうなっているのか


なら臣民を守ることこそ王のつとめ!


「我は!魔の王である!」

高々と宣言をする


ドンッと衝撃を感じるほどに空気が一変した


スハー!!!ゲホガホゲッホゲッホ

赤い方がいきなり息を吸い込んだからか苦しそうにむせる

銀色の方も息を整えるのに必死だ

少し待とう


水分をとり少し待っていると二人?が連れ立って前までやってくる

まだ苦しそうではあるが今度は美しく跪き礼をする

こちらも身を正す


「我々は大魔、ワタクシは西のセラフィス、こちらは東のゼルバン。共に魔王の補佐をしておりました」

銀色のセラフィスが紹介をしてくれる

魔王の補佐…

「では僕があなた達の王を倒してしまったんですね」 

仇を討つだろうか

「いいえ、あれは魔王魂を受け入れられなかった人間の成れの果て」

え?




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