第3話 秘宝と秘薬

あれこれ準備して、うちの勇者ですってあちこち挨拶に行かされパーティをして披露目をして

アッという間に僕の最後の時間が溶けて行った

ゆっくりしたかったのに


明日出発の夜

最後の荷物確認をしていると部屋の扉がなる

「オリバー!」

「兄さんたち…」

二人とも泣きすぎじゃないかな?


「なんでかわいいオリバーがこんな目に合わなきゃいけないんだ!」

「今からでも逃してあげるよ?オリバー」

これもずっと言ってくれていた


でも僕が逃げたら父上はきっと別の人を生贄にする

それは、僕の王としての資質に反する


僕がやる


「大丈夫だよ。兄さん。僕は立派にやってくる」

はっきりと宣言すると

「きっとそういうと思っていた」

そう泣き笑いしながらアスカル兄さんが何か丸いものを取り出す


なにこれ?


「兄さん!?」

イリカス兄さんがあわててる

「俺が王太子なら俺のもんでもあるだろ。ずっと地下にあるよりいいよ」

「でも…」

めちゃくちゃ困惑してる…

「アスカル兄さんそれは…?」

「代々伝わる精神の秘宝。真偽は定かじゃないが精神力が格段に上がるそうだ。下げていけ」

秘宝ぉおー!?国宝じゃん!?

「いや、でもアスカル兄さん!!」

「下げていけ!下げていかないならどんな事をしてでも監禁するっ俺は、オリバーを行かせたくなんかないんだ」

アスカル兄さんが叫ぶ

「今更無理だよ。あちこちに挨拶させられて国民に披露目をして逃げ道は塞がれてる。わかった。下げていくありがとう兄さん」

お礼を言うと兄さんが泣き崩れる

兄さんありがとう。ごめんね


「俺からはコレ。まぁ真偽定かじゃないのは同じだけど…」

「能力上昇の薬」

「なにそれ。なんの能力?」

「なんでも色んな能力値が上がるとかなんとか…」

「うさんくさ。80歳まだまだ走れます。みたいなやつだろ」

アスカル兄さんがすぐ突っ込む

「無いよりいいだろ」

二人とも言い合いながらも泣いてる

ごめんね


「ありがとう。イリカス兄さん」

そう言って飲み干す。甘い

「あ、そんな怪しいもんを一気にぃ」

「怪しいって何だよ兄さんっっ」


あはははは

楽しい

楽しいな…

たのしかったな…

この兄さん達を、国を守るために僕はちゃんと役目を果たしてくるよ

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