盗まれたプラネタリウム

Rotten flower

第1話

もともとプラネタリウムがあった空間にはぽっくりとした大きな穴から日の光が差している。

今月に入ってから私が住んでいる市ではプラネタリウムが盗難される事件が多く発生している。

観光事業でプラネタリウムが大量に設置されていた。誰も使うことはもうないのに、盗まれたらそれは悲しい。

「ここも遂に…。」

警察署最寄りのプラネタリウムも盗難にあった。

「そもそも、プラネタリウムを盗むメリットってありますか?」

「転売とか、魔改造とか?」

「顛沛にしてもプラネタリウムを出品する人なんて滅多にいないし、そもそもこんな大きいドームを持っていけるなんて、一人の犯行じゃないですよ。」

俺はドームの真ん中まで来るとプラネタリウムの操作盤があった。確か、今までの事件だとこれすら盗まれていたのに。

「デジタル式は高いんです…!?」

館長が話している間に俺は時間帯操作と書かれたレバーを手前に引く。

すると、ドームから見える空がすごい速さで動いている。ダッシュして外に出ても中からの見え方と何一つ変わりない。


「宣伝のためだけにこんなことする必要あるんですか?」

部下がそう上司に聞くと上司は部下のことをビンタした。

「上からの指示だ。あいつら俺等のこと捨て駒とかに見えてるんだろうが、高給料ならクビになりたくないだろう?」

そう言うと部下は下を向いたまま、何も言い返してこなかった。

「うちの会社のプラネタリウムだ。3分以内の片付けてるだろ。」

6人でドーム内に入ると手際よくドームを持っていった。ついでに、操作盤に上司ですら知らないUSBを挿していくと、全速力でその場を後にした。

「これでこの街の弊社製品は全回収できたかな。」


空が光っている。星座を囲んでは何座かを教えてくる。

如何にもハイテクという感じだが普通に迷惑だ。

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