【朗報】落ちこぼれダンジョン探索者だった俺、実は魔神王の子孫だった件。人類唯一の闇属性魔法でダンジョン攻略。覇王を目指します!

さい

第1話 落ちこぼれダンジョン探索者

 水原ダンジョン高等専門学校。

 静岡県水原市に位置する、ダンジョン探索者を育成する高校だ。

 俺こと黒宮蓮也はそんなダンジョン高専に通う高校二年生。

 俺には夢がある。

 最強のダンジョン探索者に贈られる称号『覇王』を手にすることだ。

 

「ぎゃあああ」


 人口模擬ダンジョン、四階にて。


 トラップを踏み、正面から巨大な玉が発射され、潰されないように走り出す俺。


 現在、ダンジョン実習のため人口的に作られた、模擬ダンジョンに潜っている最中である。


 実習内容は三人一組となり、第十層に潜む魔物を倒すこと。


 目の前に白髪の男が現れた。

 こいつの名前は琥珀竜星。

 幼馴染だ。


「何してるんだ、蓮也」


 竜星は刀に携えていた細く鋭利な剣を鞘から抜き、


「本当、足手纏いだ」


「うっ、うるせー」


 確かに足手纏いだけど。

 好きでこんなことになってるわけじゃない。


 竜星はこちらに向かって走り出し、


「お前、ダンジョン探索者やめろ」


 俺の耳元でそう呟くと、俺を追い越していき、玉に剣先をぶつけた。


 すると、あら不思議。


 玉は動きを止め、剣先を中心にヒビが生えていく。


「ダンジョン探索者に落ちこぼれはいらない」


 バゴン!!


 と、玉が砕け散った。


「はあはあ、余計なお世話だ……」


 俺はその場に座り込んだ。


 竜星は天才だ。

 同い年で竜星に叶うやつなどいない。

 すでに名のある数多くのダンジョン探索者パーティーからスカウトが来ているほどにだ。


「そんなんじゃ、俺とパーティー組めねえぜ」


「いいや、ぜってえに追いつく」


 俺と竜星には一つの大きな約束がある。

 それは、二人で伝説のダンジョン探索者パーティーを作ること。

 

「無理だな、落ちこぼれのお前が俺に追いつくなんて宝くじで一等を当てるくらい無理だ」


 正直に言おう。

 俺は竜星が言うように落ちこぼれだ。

 ダンジョン探索者の平均魔力量も少なければ、運動神経もそこまでよくない。

 おまけに無属性。

 属性、それは個々に芽生える使える魔法を示すものだ。

 竜星の場合は『光属性』。

 無属性が使える魔法は存在しない。

 俺が落ちこぼれな一番な原因はこれだ。


「なるったらなるだ」

 

 と、そこに、


「本当に蓮也はドジなんだから」


 桃色の髪をした女がやってきた。


 この子の名前は桃崎夢芽。

 同じチームで、竜星と同じ幼馴染の治癒属性ダンジョン探索者。

 

「あんな透明化されたトラップに気づけるはずねーだろ!!」


「気づかないようじゃ、本物のダンジョンに潜ったら死ぬぞ」


「そ、そうだけど。魔力感知もできねーし」


「本当落ちこぼれだな」


 ああ、俺は落ちこぼれですよー。

 つっても、なりたくてなってるわけじゃねーし。

 なんなら努力してるっつーの。


「あんま言い過ぎちゃダメよ、竜星。ほら、二人とも、早く十層を目指すわよ」


「へいへい」


「そうだな」


 はあ、俺ってダンジョン高専にいて本当に一人前のダンジョン探索者になれるんだろーか。

 ちょっと、心配だな。

 自分の夢どころか竜星との夢すら叶えられる気がしない。


「おい蓮也」


「ん? なんだよ」


「俺は本気だからな。このままお前が成長したかったら、迷わずお前との約束を破る」


「ああ、そーしてくれ」


 だからって諦めるような俺じゃない。

 こいつが才能の天才なら、俺は努力の天才だ。



「蓮也、あなたのお父さんがどんな人が知りたくない?」


 夕飯をお袋と二人で食べていると、そんなことをお袋は口にしてきた。


「知りたいけど、いきなりなんだよ」


 俺は親父をしらない。

 声も知らなければ顔すら知らない。

 写真もない。

 昔はめちゃくちゃ気になってたけど今はいないのが普通になった。


 お袋はお箸を置き、真面目な表情が言う。


「あなたのお父さんは魔神王よ」

 

 と。

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