最強のババアと、今はまだ無名の僕【連載版】

こうしき

第1話

 剣と魔法で実力の全てが決まるといっても過言ではない世界──。


 いにしえより、二十の大国が各一つずつ所有する、それはそれは美しい魔石があった。その魔石から放たれる魔力の力で国民たちは魔法を使い、国は潤い、繁栄した。


 そんな世界で、己の拳一つで成り上がり、名を馳せる女丈夫じょじょうふがいた。この国の王家に二十から仕える彼女は第一の姫の側近として、また乳母として彼女を育て、支え続けて四十余年。異色の経歴の彼女を、皆は恐れた。


〜〜〜


「なんだってこんな小僧が!」


 琥珀色の長い髪を頭の高い位置で結び、剥き出しの額に皺を寄せて眉を吊り上げるこの女は先日、他国からの侵攻で相棒バディを失っていた。新しい相棒にと国王直々に言い渡された相手に、どうやら不満があるようだ。


「まあまあ、アイリーン。落ち着いて」


 白濁した碧色の瞳は、視力を失いつつある目の病の証。小麦色の柔らかな髪を揺らし、クスリと微笑むのはこの国の第一の姫イザベルである。アイリーンの新しい相棒との初顔合わせにとイザベルが提案したのが、彼女の私室からほど近いこの薔薇園であった。

 

「これが落ち着いていられますかぃ姫様! アタシがどれだけ陛下の前で我慢をしたか!」


 ふん、と組んだ腕は逞しく、軍服の上からでもわかるくらい肩周りも筋肉質だ。分厚い体は薔薇園の入口に控える兵とは比べ物にならぬほど。そんな筋肉の壁に守られるような形で、イザベルは椅子に腰掛けていた。


「アイリーン、とりあえず紹介をしてくれないかしら。先程からわたくしとあなたしか声を発していないのよ」

「申し訳ありません姫様。……おい!」


 アイリーンの怒声に打たれて顔を上げたのは、華奢で小柄な男だった。波打つような金の髪の間から覗く顔立ちは端正だが覇気がない。彼はこの国の姫を前に緊張しているだけなのであったが、ゆらゆらと揺れる紫水晶のような瞳に、アイリーンは苛立ちを募らせた。


「挨拶をしないか! 小僧!」

「ヴァ……ヴァージル・アボットの息子、ウィルマー・アボットです。お初にお目にかかります、イザベル様」

「聞こえないねぇ?」

「わたくしは聞こえましたよ。よろしくお願いしますね、ウィル」

「はっ……!」


 アイリーンの相棒になるということは即ち、イザベルの側近も担うということ。こんな小童に何が出来るのかと、アイリーンはウィルマーを視線で捻じ伏せる。彼女の顔が少しだけ曇ったことに気が付いた者は誰もいなかった。


「魔法学校を首席で卒業したのでしょう? 希望して軍に入ったとか」 

「はい!」

「アイリーンは拳で、ウィルは魔法でわたくしを守ってくれるのですね。嬉しいわ」

「フン……アタシゃ嬉しくないですがね」


 不機嫌さを隠すことなく、アイリーンはウィルマーに向かって舌まで打つ始末。それを受けてウィルマーの肩がピクリと跳ねた。


「こ……こっちだって、こんなババアが相棒バディだなんてお断りだ!」 

「やっとデカい声が出たな、小僧」


 先程までの大人しさはどこへやら。眉を吊り上げたウィルマーは勢いよく立ち上がり、アイリーンに詰め寄った。


「素手でドラゴンを捌いたとか! 百人の魔導士を一人で倒したとか! こんな嘘みたいな伝説だらけのババア、僕の魔法の方が優れていると認めさせてやる!」

「言うねぇ小僧。猫被ってたのかぃ」

「お前のせいでもう剥がれたけどな!」


 騒ぐ二人を微笑みながら見つめ、薔薇色の紅茶を飲み切ったイザベルを、二人は私室まで送り届ける。これが初仕事だと張り切るウィルマーに、アイリーンは城内の案内をしながら足を進めた。


「いい相棒になりそうで安心したわ」

「どこがです」

「凸凹ってぴったり嵌るのよ」

「ですが、あの小僧は……」

「シルフィと比べては駄目よ」

「はい……」

「少し休むわ」

「はい」


 私室に控えた侍女が、イザベルの着替えを手伝い始めた所で、アイリーンは部屋を出た。入口の壁に背をつけて静かに佇むウィルマーは、不満げにアイリーンに視線を移す。


「……ババア、聞くが、何故イザベル様は第一の姫だというのに、華やかな場に顔を出さず、隠されるように扱われている?」

「華やかな場?」

「任命式にいらっしゃったのは、国王陛下と王妃様。それに第二の姫レジーナ様だった。公の場に姿を現すことは基本的にはないと聞いた」

「……ついて来い」


 早足でアイリーンが向かうのは、この城の中庭だった。空へ向かって顔を上げれば、敷地内で一番高い塔の上で眩い光を放つ魔石が、ゆっくりと回転しながら国内を照らしていた。


「この国の王となる者が、魔石を管理することは知っているな?」

「当たり前だ」

「清らかな者が王となるべき、というのは知っているか?」

「……いや」

「イザベル様が婿を取り、王位を継ぐはずであった……が、姫様は目の病に罹られた。いずれは視力を完全に失う。それは清らかでないと、国王陛下は判断されたのだ」

「だから人目につかぬよう隠し、レジーナ様に王位を継がせようと? ふざけているっ!」


 握りしめた拳で己の足を殴りつけ、歯を食い縛るウィルマー。そんな彼を見下すように、眩い魔石は塔の上で踊り続ける。


「心優しく……誰よりもこの国と国民達を思っているのはイザベル様だというのに! 僕は……あの方に王位を継いで頂きたい……!」

「……お前、何故姫様の事を? 誰からそんな事を聴いた?」

「父だ。これ以上お前に話すことはない。仕事に戻る」


 道はわかるのか、と遠退く背中に声をかけたが、自身満々に「大丈夫だ!」とウィルマーが叫ぶので、放っておくことにした。アイリーンは中庭の隅に移動すると、ポケットから取り出したマッチを擦り、葉巻に火をつけ空を仰いだ。



〜〜


 その日の深夜。けたたましい鐘の音で目を覚ましたアイリーンは、ベッドから飛び起きると二秒で寝巻きを脱ぎ、五秒で着替えを済ませた。長い髪を結いながら駆けると、門塔の見張りの兵が「敵襲ーっ!」と叫んでいる姿が見えた。


「敵襲だって!? どこから入り込みやがった!」

「城壁を越えて、みたいだよ」

「小僧、いつの間に……! お前、何故そう思う」


 目にも留まらぬ速度で駆けるアイリーンに追いついたのは、昼間とは打って変わって精悍な顔つきになったウィルマーだった。ブーツのような魔道具に魔力を流し込み、アイリーンを追従する姿は、先程とはまるで別人だった。


「門塔に、僕の開発した監視型の魔道具を設置しておいたんだ。内側から手引する者の姿も映っていたから、裏切り者がいるか……先日の侵攻の時に、密偵として残っていた者がいるか」

「……」


 魔法学校を首席で卒業──という事実に合点がいった。自ら魔道具を開発した子供など、聞いたことがない。


「おいガキ、お前いくつだ?」

「十四。飛び級で卒業したからな、優秀だ」

「そういうのは自分で言うもんじゃないんだよ」


 二人がイザベルの私室に辿り着くと、部屋の前で侍女が一人倒れていた。どうやら魔法で眠らされているようであった。扉をノックするも返事はなく、アイリーンは慌ててドアノブを引いた。


「姫様っ! ……いない!?」

「まさか、敵に連れ去られたんじゃ……」

「……っ!!」


 風に揺れるカーテンを引き、開いていた窓から中庭へと視線を移すと、何やらいつもとは違う──おかしなことにアイリーンは気が付く。夜の間も煌々と光を放つ魔石の煌めきが、弱々しいのだ。


「……あれは!」

「な……魔石がっ!」

「邪魔になる! お前はそこにいろ!」

「なんだと! 僕はお前の相棒だぞ!」


 アイリーンはウィルマーを置き去りにして駆ける。今まさに奪われんとする魔石の隣に、その光を隠そうと何やら布を巻く男が一人。その横には、女の姿があった。男は布を巻き終えると両手で魔石を抱え込み、浮遊魔法で空へと飛び上がった。


「……まさか」


 アイリーンは空を見上げて刮目した。その目で捉えた姿に驚き、ぐぐっと足を踏ん張ると一気に跳躍。凡そ三十メートル跳び上がった彼女は、賊の男の肩を掴み捕らえた。彼女にも浮遊魔法が付与され、夜空にふわりとその身が浮かぶ。ギラリと光る双眸に、男は気圧され、たじろぐ。


「姫様! すぐお助けします!」


 男に連れられていたのはイザベルだった。脅されてここまで連れてこられたのか、彼女は──……


「ゔっ……!?」


 彼女は不敵に嗤った。イザベルの拳から放たれた閃光がアイリーンの腹を貫き、こぶし大の風穴が開いていた。


「ア……アイリーーーーンッ!!」


 血相を変えたウィルマーが、ふわりと宙へ舞い上がる。先程見せた魔力とは桁違いの力が、魔道具の周りに渦巻いていた。駆けつけていた他の兵や、なだれ込んできたカイ国の兵達はその光景に目を丸くする。


「ずっとこの時を待っていたの。あなたは新しい足手まといをきっと守ろうとするから」

「姫様っ……どうして……」

「この人が……カイ国の密偵が手引してくれたのよ。先日の侵攻で、国内に紛れ込んでいたみたいでね。一時的に視力を上げる魔道具を準備してくれたのも、この方。わたくし、久しぶりに見る星空が眩しくて驚いたわ」

「姫様っ……!」

「ごめんね、さよなら、アイリーン」


 ぼたぼたと血を撒き散らしながら、アイリーンの体が地上へ向かって落下してゆく。この高さからの落下だというのに、彼女は受け身を取ろうとぐるん、と体制を変えた──刹那。


「……相棒。お前、来るなと言ったのが聞こえなかったのかぃ?」

「うるさい! 喋るな死ぬぞ!」

「アタシが……こんなことで……死ぬわけ、ないだろうが」


 空中でアイリーンの体を捕まえたウィルマーは、彼女の体の大きさに耐えながらも、なんとか地上へと着地。腹に開いた風穴に手を添え、回復魔法を施してゆく。


「なんで腹に穴が空いてるのに喋れるんだよ……」

「慣れだ、慣れ」

「理解出来ない」

「お前こそ……なんだこの魔力の量は……」


 齢十四の小僧にしては些か多すぎる魔力量に、アイリーンは眉を顰める。ウィルマーは呆れたように鼻を鳴らすと静かに口を開いた。


「僕の父はヴァージル・アボットだと、今朝言っただろう? 聞いたことくらいあるだろうが。魔力もないのにあんたと同じくらい強い……本当に強い人

「……」

「父さんは、あんたに言い残すことはないと言っていた」

「……」

「初見で気がついていたんだろうが! なんとか言えよクソババアッ!!」

「……楽しくお喋りしてる場合じゃないようだよ」


 二人の周りを取り囲むのは、侵入を果たしたカイ国の兵達──ざっと二百人。自国の兵達も応戦しているが、この国の兵達の戦闘力はアイリーン任せの部分が大きく、カイ国の兵達に敵うほどの実力を備えてはいなかった。


「ったく……小僧、お前自分を守るくらいの防御壁は作れるな?」

「ああ」

「一応聞くが、戦闘はからっきしだろ?」

「攻撃魔法は得意だぞ?」

「そうか。……っ! 防御壁を貼れ!」


 アイリーンが声を上げ、ドンッ──と前方に飛び出した直後、カイ国の兵達が一斉に襲いかかる。驚いたウィルマーは声を震わせながら両腕を前方に突き出した。


「ラ……光の障壁ラ ムース!」


 目にも鮮やかな虹色の大きな球形の障壁が、ウィルマーとアイリーンを包み込む。アイリーンはその障壁から飛び出しながら、腕をぐっと後ろに引く。二の腕の筋肉が、と膨れ上がった。


「──ふんっ!!」


 勢いをつけ、そのまま前方に突き出す。一番近くにいた兵は、風圧だけで上半身が抉れ、その周りの兵達も扇状に飛ばされてゆく。倒れ、あまりの風圧に呼吸困難に陥った兵達も次々と倒れてゆく。なんとか生き残った者は俊足のアイリーンに見つかった直後、急所を抉られ地に倒れた。


「くそう! 魔道士隊、撃てッ!」

光槍の撃ラハ イン!」


 後方に控えていた敵の魔道士隊が、声を重ねて攻撃を放つ。直径凡そ五メートルの光の球が、アイリーンの眼前に迫る。


「ババア下がれ! 僕の魔法で──光槍のラハ……!」

「ふんっ!!」

「え」


 右腕を横に薙いだだけだ。たったそれだけだというのに、球はパンッと弾け、消滅した。唖然とした魔道士達は、叫びながら散り散りに逃げ出した。


「ば……化け物だ〜ッ!!」

「敵いっこない!」

「早く! 逃げろ!」


 逃げても無駄だと言わんばかりに、アイリーンは次々と魔道士達を仕留めてゆく。拳は赤々と染まり、返り血で軍服は濡れる。息の一つも乱れぬ女丈夫は、敵兵を一人で仕留めてしまった──その間約二十秒。


 ふと上空を見上げれば、様子を伺っていたイザベルと、魔石を抱えた男がゆっくりと降りてくる。


「あらあら、アイリーンはやはり最強ね。敵うわけがなかったわね」

「姫様! アタシは……アタシは! っ……あなた様の側近で……しかし、それ以前に……この国の、軍の、陛下にお仕えしているっ……ただの兵なのです……!」

「いいのよ、もう、ちゃんとわかってるから。でも最後に……話を聞いてくれる?」

 

 頭を垂れたアイリーンを一瞥し、イザベルは口を開いた。


「父も母も、わたくしの目が見えなくなってもいいと言ったの……! 医療の発達した国の医師に診て貰えば、治るかもしれないと、医師に言われたのに……必要ないとあの人達は言ったのよ! そんなの……あんまりではなくて!?」

「姫様っ……」

「カイ国の王は、この国の魔石を渡してくれさえすれば、わたくしの目を治す医師を雇うと手紙をくれた! 目が治れば、王子との結婚も約束してくれると! 命をかける価値はあるでしょう!?」


 障壁解除後、アイリーンの強さに混乱状態だったウィルマーが、覚悟を決めたかのように真っ直ぐにイザベルを見つめ、重々しく口を開いた。


「口を挟むことをお許しください……姫様、この国の掟をご存知ですか?」

「どの掟かしら」

「味方を裏切る者には制裁を。国を裏切る者には死を」

「それね。ええ、勿論知っているわ」

「そのお覚悟があってのことなのですよね」

「ええ」


 アイリーンの血で真っ赤に染まったウィルマーの拳がぶるぶると震え出す。アイリーンは、光の消えた瞳で主の隣の男に視線を投げた。


「……っ!」


 ぐっと拳を握った彼女の腕は、岩のように膨らみを増す。その次の動きを誰も目で捉えることが出来なかった──速すぎるのだ。


「うぐっ!!」


 男の頬にアイリーンの拳が直撃する。顔面がへしゃげ、彼は地面に打ち付けら、跳ね返り、ごろごろと転がって停止した。一緒に飛ばされた魔石もごろんと転がり、壁に衝突して止まった。


「イザベル様……アタシは……アタシは!」

「いいの。わたくしが愚かだったの。この男の言うように、一目散に逃げていれば……助かったかもしれないのにね」


 ふっと穏やかな顔になったイザベルは、目を閉じ腕を広げた。アイリーンは彼女の正面に立つと、首を掴んで地面に押し倒した。


「イザベル様……」

「いいのよ、早く殺して。どうせ父たちに見つかれば殺されてしまう。それなら、わたくしはあなたに殺されたい」

「あなた様にお仕え出来、光栄でした。あなた様のことは、一生……死んでも忘れません」

「今まで、本当にありがとう」


 ここでイザベルを連れて逃げ出せたなら、どれだけよかっただろう。己の実力を持ってすれば現実的ではあったが、大切な主に一生日陰の──今よりももっと日陰の生活を強いらなければならないことは、耐えられなかった。


 いっそのこと、この世界の頂きに己が立てばよいのでは──。


 そんな馬鹿げた妄想が、アイリーンの頭を掠めた。もっと若ければ、もしかしたら実行に移していたかもしれない。しかし自分は老いた。知らぬ所で孫まで持っていた程に。


「お願い二人共……最後に、顔をよく見せて……」


 イザベルの視界から星空を隠すように、二人は膝をつき顔を近づけた。琥珀と金の髪が月明かりを受けてきらりと輝く。


「なによ……あなたたち、顔がそっくりじゃない……ふふっ……わたくしがいなくても……仲良く、ね……」


「……」

 

「    」


「姫様っ……!」


 黙って頷き唇を固く結んだアイリーンの手から、一瞬だけ力が抜ける。短く息を吐き、覚悟を決めた──刹那。


「転移魔法……っ……闇の羽テーネ ルーマっ!」


 アイリーンに殴り飛ばされた賊の男が、上半身を起こして両腕を広げ、叫んでいた。右手はイザベルの方へ、左手は魔石の方へ向いている。


「な……あいつ、まだ……!」


 イザベルと魔石が黒い闇に飲まれ、同時に姿を消す。立ち上がったアイリーンは男に詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。


「姫様はどこだ!」

「うっ……カイ国に飛ばしたよ……さっき浮遊魔法を三人分使ったせいで……私と二人分……転移させる魔力は……、残っていなかったからな……」

「クソが! 姫様を返せ!」

「無理な話だ……私はもう、死ぬ。取り返したくばカイ国へ向かうんだな……イザベル様がどのような扱いを受けるか……私にはわからぬ……」

「ふざけるな!」


 男の身を投げ捨てると、アイリーンはその場に崩れ落ちた。この国の決まりだからといって、一瞬でも主を手に掛けようとした己の愚かさに、吐き気がした。



 ──雨が降り始めた。


「おい、ババア」

「……」

「最強と謳われるババアは、主人を失っても涙の一つもみせないんだな」


「黙れ」


「あんたの息子が死んだ時も、そんなだったのか」


「……黙れ!」


 お前に何がわかる、と怒鳴りつけたいのを堪え、アイリーンは更に顔を伏せる。芝生を握り締め爪に土が入ることも厭わず、何度も何度も地面を殴りつけた。噛み締めた唇からは、血が滲んでいた。


「おい、聞けババア」

「……なんだ」

「あんたが拳だけで守りきれないものを、僕が魔法で守ってみせる。そしたら、相棒バディと認めてくれるか?」


 風雨が強まってゆく。アイリーンは返事をすることなく、天を仰いで声を殺して泣いて泣いて、泣き続けた。 



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