凌辱エロゲな世界に変身するバイクに転生したので、敵は纏めて轢き殺します。
土斧
バイク……バイクなのか俺!?
始めまして、転生したらバイクだった者です。
何を言っているのか分からねぇと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった、テンプレ展開だとか雑導入だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ……もっと恐ろしいはしょりを味わったぜ。
と、まぁくだらない言葉で自分を慰めてみる。
だが、巫山戯ている訳では無い、転生したのも本当だし、今の俺の姿が黒いボディに流線型のラインが綺麗なスポーツ系のバイクだと言うのも本当だ。
どうやって確認したのか?頑張って近くのガラスで自分の姿を確認したんだよ。
そして、転生したのも間違いない……と言っても、死に直面した時よりも前の自分の過去の記憶を辿っても何もでてこないのだが。
普通にスマホを信号機前で見ていたら、なんか突っ込んできたトラックに轢かれた……それが俺が知る俺の中での一番古い記憶だ。それ以外の記憶はない。
自分でも面白いくらいテンプレな死亡理由で笑っている。コレがネット小説だったら陳腐すぎて低評価がつくぞ。ていうか俺がつける。
……まぁそんな風に前世の記憶がないと言ったが、出来事以外の他のくだらないことは結構色々覚えてる。
言葉だったりスラングだったり、俺の好物がきんぴらごぼうって事も覚えている。俺の人生で起こった事と言う物だけが全く持って思い出せないのだ。
実に奇妙な感覚だ。どうにもむずむすして落ち着かない……身体もそんなに自由には動かせない。まぁ、バイクになっているのだからある意味当然と言えば当然だ。
さて、ここまでやいのやいの言ってきたが、実は俺は現在とんでもない危機に襲われている。一度死んで生まれ変わった俺の命を脅かすほどに危険な事態だ。
「ったく。だれだよこんな人気のない路地裏にバイク停めてる奴は……回収する方の気持ちになれってんだ。」
そう!俺は現在軽トラに乗せられ紐で縛られて……要するに、撤去されそうになっているのだ!
助けてくれぇ!こちとら生まれてまだ三日目なんだよ!現実逃避に状況確認諸々で漸く落ち着いてきた所なんだよ、勘弁してくれ!
なんで語りかけたてそうそう撤去されそうになってんだ!?このままだとスクラップにされる!
嫌だ!前世ではトラックに潰されて今世でもプレス機に潰されるなんてゴメンだ!
「しかしもったいねぇ……このまま廃棄されるのか、こんなに良いバイクなのによ。」
おぉあんた!今俺を回収しようとしてるそこのおっちゃん!俺をもらってくれ!……なんか嫌だな貰ってくれって言い方。いや、この際言い方に構ってられるか!頼む!
「まぁ、良いか。俺車派だし。」
俺は良くねぇんだよハゲ!
クッソ!不味いな……せっかく新たな人生を謳歌できると思ったのに……新たな人生謳歌できる訳がねぇな!だって俺バイクだもん!
俺は只管に現実逃避を続ける……続けないとこれから来るであろう絶望的な未来に心が耐えきれないからだ。
幸いなのは、俺自体ある程度動くことは出来るから、すごく頑張ればここから抜け出せそうな点だ。
しかし、そうなった場合は俺は勝手に動いたバイクとして都市伝説……下手をすれば捕獲対象になるかも知れない。
警察や調査機関に追われる人生なんてやだ!……いや!ミニスカポリスとライダースーツ女捜査官になら追われても良い!
……我ながら最低なことを口走って嫌になる。どうやら、今の俺はだいぶ情緒が不安定な用だ。
「さぁて、そろそろ行くかぁ。」
あーあ、俺終わったな。なんか……こう……どデカいハプニングとか起きてくんねぇかな、なんか化け物が落ちてきたりとか……
……そうそう、今車の下から出てきたアメーバ状のクトゥルフ神話に出てきそうな化け物とか…………はっ!?
「ひぃっ!?な、なんだコイツ!?」
まって何あのアメーバ……人の口みたいなのがくっついてて気持ち悪っ!?待って吐きそう……吐くもの無いんだけど……!!
「た……助け――助けてくれぇ!」
回収業者のおっちゃんは完全に腰が抜けて、赤ん坊のようにハイハイすることしかできなくなっている。
まぁいきなりこんな化け物と出会ったら当然か……俺も今めちゃくちゃ怖い!
くっそ!?まさか俺が化け物出てこいって願ったからか!?んなわけねぇか……だとしてもヤバい!アメーバめっちゃ口開いとる!?あれ絶対喰おうとしてるって!?
なんか、感覚的にじゃれ付いてるようなのじゃないってのはわかる!
「い、いやだ……やめろ!やめてください!お願いします!」
……だぁ!こうなりゃヤケだぁ!このまま見捨てるなんて目覚めが悪すぎる!こちとら精神年齢学生だぞ!?どうせこのままなるようになってもスクラップならぁ!
俺は咄嗟に自分の身体のエンジンを付ける……俺が望めば、俺の身体は自由にエンジンもブレーキもアクセルも付けられるのだ。
ここ三日で色々試して学んだ事だ。人目が気になって路地裏から動くことが出来なかったが……もうそんな事を言っている場合じゃない!
俺はエンジンを吹かせて体を動かして無理矢理つけられたロープを振り払う……俺は想像以上の勢いで飛び上がり……目の前のアメーバへと突進した。
「うわぁっ!?」
おっちゃんはいきなり動いて突進をかましたバイク姿の俺に完全にビビっている。まぁ、おっちゃんからしたら次から次へとといった感じだから仕方がない。
俺は某A◯◯RAの様におっちゃんの前に立ちはだかると、ライトが眩く輝き、瞳のように目の前のアメーバを捉える。
だが、バイク1台出てきた所でどうにかなるわけではない……ここは逃げるのが吉!おっちゃん!俺に乗れ!
「ひっ……ひぃぃ!」
……おっちゃん!俺に乗れ!
「な、なんでバイクが動くんだよぉっ!?」
……おっちゃん!乗れ!
「た、助けてくれぇ!」
くっそ喋れねぇから余計ややこしいことになったな!?つかこのおっちゃん察し悪すぎだろ!?俺がこうしたら乗れって事だろうが!(?)
すると、目の前のアメーバはまず邪魔な俺に対してその身体を伸ばしてきた……終わった。もう知らん、おっちゃんのせいだ。
……しかし、それだけでは俺の二回目の人生は終わらなかった。次の瞬間、俺の声で特有のシャウトを響かせて、何処からか……と言うか、俺という機体から叫び声が響く。
『チェェェェェンジ!バルナイザー!』
バルナイザーって何!?知らん!?怖っ!?
すると、次の瞬間俺の身体が勝手に動く……勝手に動いた俺の身体は、その場でウィリーをしながら回転し迫るアメーバの身体を弾いた!なんでですか!?
すると、俺の体に違和感が走る……その違和感は、だんだんと視線が上がってきているというものだった。
それだけではない、体からガシャンガシャンと変形するような音が鳴り響いている……そして、体は徐々に慣れた感覚へと覆われていく。
俺が人だった頃の感覚。二本の足と二本の腕、体に頭を持った人型の姿へと……俺は変形、変身するのだった。
「は……はっ?」
視界の端に映ったガラスが映し出す俺の姿は……航空機とバイクを合わせたような黒いボディに、真っ赤な目が特徴的な……まるで特撮ヒーロー――仮◯ライダーの様な姿だった。
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