異端の若手冒険者
水瀬 霤
2069年4月16日
第1話 日常崩壊
あれ、ここはどこだ。そう思ったが声に出すことが出来ない。
いったい何が起きたのだろうか。
思い出してみよう。
僕の名前は
暗い。
人も居ないし草すらもない。
少しあたりを散策してみるとここは一つの部屋のようだった。
もしかしたら、拉致監禁されてるのかと思ったが暗さに目が慣れてくるとドアすらないことがわかった。ならば僕は閉じ込められてしまったのだろうか。
しかし、急に睡魔が襲ってきて、そのまま眠ってしまった。
起きたのは体感で10時間後くらいだろうか、その時ようやく少し冷静になれた。
ここにくる前のことを少しずつ整理して見よう。
まず、大学の入学式に行く途中だった。
その途中で来年の授業料を振り込むために、銀行に行った。そうだ、そこに銀行強盗がいて、人質にされて見せしめで打たれたところまで覚えている。
そのあとはなぜか建物が全て倒壊したのか。
ガラス張りの窓だったからよく見えた。
まるで見えない何かに押しつぶされたように潰れた。
こんなことが起きるはずがないのに何が起こっているんだ?
『ワールドアナウンスです
この放送はここにいるすべての人に伝わっています。
あなたたちの世界は、滅亡の危機に瀕しています。
何によるものかって?
別次元からの侵略者達からです。
しかし‼︎我らが神はそんなあなたたちを救いたいと仰せなのでそのための新しい法則が追加されます。
それはあなたたちがいる世界とは別の世界の追加です。
13個くらいの世界があるのでぜひ観光にでも行ってみてくださいね!
とりあえず今いる世界はレストワールド、基本的にこの世界にいれば寿命や病以外で死ぬことはありませんし、疲労などがたまらない世界になります。
そして最後に一番の目玉はダンジョンです。
ダンジョンはあなたたちの世界に72個できました。
ダンジョンからは侵略者が降りてくるので適度に倒してください。
侵略者たちを倒すとアイテムか素材どちらかをもらえるのでぜひ倒してください。
もし倒し切れなかったら、世界が壊される可能性があるので頑張ってください。
最後に今は結界で抑制していますが時間と共に敵も強くなるので強くなってください。
あとはステータス画面を作成したので自分たちで確認してください。』
これで終わりみたいだな。
さっきまでは驚きで気づいていなかったが周囲が変わっていて人がいる。
「ねぇ、君、どうしてこんなところにいるの?」
それが彼女たちとの初対面だった。
二人の高校生らしき人が近づいてきた。
一人は長めの髪を低めにまとめていて陽キャだとわかるような女性で、もう一人はかなり目つきが悪くて子供に怖がられそうな顔をした男性だった。
「えっと、どうゆうことでしょうか?」
驚きのあまりつい質問をしてしまったが思いの外動揺はしていなかった。
「一人でいたから近くに親御さんはいないのかて思って聞いてやってるんだよ」
「ダメじゃないそんな言い方したら、怖がらせちゃうでしょ」
そう言って二人のうちの女性の方が一歩前に出て話し始めた。
「私の名前は
「勝手に俺を紹介するな!その名前はただでさえ女子っぽくて嫌なのに」
その言葉は本音だったのか少し照れていることが目に見えてわかった。
「まぁそれは置いといて、君の名前は?」
「えっと、僕の名前は黒瀬空です」
「空君だね。今この辺りは大体みんな家族でまとまってるらしいんだけど君だけ周りに大人の人がいないし、どうしたのかなって思ったの」
かなり心配した様子で同情も少し混ざっているように感じた。
「ここ数年は一人で暮らしていたので多分もう家族だと判定されなかったんじゃないですかね?」
「どうゆうことか聞いてもいい?」
「はい、とりあえずちゃんとした自己紹介から始めますね。」
そう言ってしっかりした口調で話し始めた。
「僕の名前は黒瀬空です。今年で12歳になります。性別は男です。親はt
かなり驚いた様子で話の途中で話し始めた。
「君って男の子だったの!?」
「はいそうですよ」
と少し戸惑いながら話した。
「いやいや、おかしくない?こんなにきめの細かい肌をしていて、どうして女の子じゃないの?」
そう言いながらほっぺを押されたり引っ張られたりした。
かなり困惑しているようだ。
「そう言われても事実なので…」
「それに、事実だとしてもどうして髪を伸ばしているの?服もワンピースを着てるし…」
きっと一番の誤解を招いた理由は髪の毛を腰のあたりまで伸ばしていたからだろう。
「髪を切りに行くのはめんどくさくて、自分で毛先を整えたり前髪を切ったりするだけで終わらせていたんです。」
「そっ、そうなんだ、わかった。」
と言いつつも男だと言うことを今も少し疑っているようだ。
「ごめんね、話の腰を折っちゃって。続きを話してくれる?」
とりあえずそのまま話を聞くつもりになったようだ。
「はい、親は父の方はかなり賭けが好きでたまに、すごく当てて生活できるだけのお金を稼いでくるくらいだったんですけど、真実の愛を見つけた!とか言って不倫して家を出て行って、母はそんな奴でも好きなのか、ついて行って、家に一人残されたと言うわけです。これが5歳の時に話です。」
「そんなのってひどすぎるよ!」
そう言いながら怒っていたが、ふと動きを止めた。
「5歳の時って言ってたけどそれから今までどうしてたの?」
かなり強い哀れみの目線を向けながらそう聞いてきた。
「さいわい、両親はこんな感じでしたけど祖父母たちはいい人たちだったのでそちらのお世話になっていました。」
両親がいないことを気にしていないから明るく返した。
しかしそれを空元気だと思ったのか頭を撫で始めた。
「そんなに無理しなくてもいいんだよ。」
「無理はしてないです。」
これは偽らざる思いだった。
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