第44話 避妊具を爆買いする偽カノ
――――【陽香目線】
聖女学院の中にあるカフェで杏奈ちゃんたちに相談していました。
実は雄司くんと本当には付き合っていないこと、お互いに別に好きな人がいたこと、でも私の勘違いで好きな人は雄司くんだったことを……。
杏奈ちゃんはストロベリーシェイクからストローを引き上げると、くるくると回しながら口を開きました。
「ふ~ん、随分と面倒くさいことになってんなー」
「う、うん……」
私は彼女の言葉に頷くしかありません。
杏奈ちゃんは人差し指と親指で作った輪っかの中に笛のように咥えていたストローを入れながら、言い放ちます。
「セフレしかないな」
「ぶふっ」
私は飲み掛けたミルクティーを吹き出しそうになり、押さえ込んだまでは良かったのですが咳き込んでしまいました。
「杏奈、変なこと言うな」
「陽香、大丈夫?」
詠美ちゃんが杏奈ちゃんに抗議して、琴美ちゃんが私の背中をさすってくれていました。
「ごほっ、大丈夫大丈夫、驚いただけだから……」
「だってさ、陽香が素直に偽彼に告白すりゃ万事上手くいくってのに、できないんでしょ?」
ストローの先を私に向けて、杏奈ちゃんが痛いところを突いてきますが、私の性格を良く分かっている杏奈ちゃんだけに反論できません……。
「私から雄司くんの恋を応援するって言ってしまったんだもん……今更雄司くんのことが好きなんて言えない」
「面倒くさ~!」
「「陽香は面倒くさい」」
えっ!? 私……面倒くさい女の子なんだ……。
「だから偽彼の性格を考えたら、既成事実で雁字搦めにするのがいいんだよ。いざとなりゃ、『私で童貞捨てたんでしょ?』とか言われたら男はだんまりになるから頑張れ」
雄司くんは……優しいから、杏奈ちゃんの言う通りなのかもしれないけど、彼を縛っちゃうようで……それに私でいいのかな……。
「ちょっとは自信を持てって。陽香はかわいい、偽彼もそう言ってんだろ?」
「う、うん……」
「陽香がのろけた」
「陽香がマウント取ってくる」
「違うから~!」
「分かってる」
「からかっただけ」
「んもう~」
みんなに相談して、気分が落ち着きました。お姉ちゃんはお姉ちゃん、私は私。れんしゅうを口実にすれば雄司くんといっぱいいちゃいちゃできます。
杏奈ちゃんがいきなり何を言い出すのかと思ったけれど、雄司くんがお姉ちゃんを忘れるくらい頑張れば……。
そう思うと居ても立ってもいられません。
「みんな、ありがとう! 私、頑張ってくる」
「あ、おう! 頑張れよ」
「「私たちも応援してるー」」
杏奈ちゃんたちに手を振り、私は聖女学院を出ると走り出していました。
――――自宅。
雄司くんの持っていた分ではまったく足りないと思った私はネット通販でとある物を見ていました。
一つで千円くらいするんですね。
だったら一日に五回くらい雄司くんから愛されたいので……。
欲しい個数を設定し、【今すぐ買う】ボタンを押して購入しました。あとは届くのを待つだけです。
――――【雄司目線】
インターホンが鳴ったのでモニターから確認すると、「宅配便でーす」と配達の人から告げられる。
俺で間違いないか確認すると配達の人は段ボール箱をこちらに渡すとそそくさと車に乗り込み、行ってしまう。
配達の人が走り去ったあと、家の中に入り差出人を確認すると雛森の名前が書かれてあった。律儀な子だからお礼にお菓子でも送ってきたんだろうかと思いつつ、俺の部屋で箱を開封すると絶句してしまう。
重くはないが、なんとか手で抱えられるくらいの
段ボール箱にいっぱいに隙間なく収められた赤くて薄い小箱……。
〇.〇一ミリとでかでかと表記されており薄さをこれでもかとアピールしてくる。
小箱には避妊具が十二袋も入っており、何回分かも分からないくらいある……。
なるほど!
雛森の家に置いておくと拙いと思ったんだろう。彼女は兄貴をベッドテクで落とそうと本気なんだ。
仕方ない。
どれだけ役に立てるか分からないが、俺は雛森のヤル気に応えようと決意を改めていた。
―――――――――あとがき――――――――――
明日でついに……! また見て頂けるとうれしいです!
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