追想、君との約束、彼岸花の咲く場所で。

青海野 灰

【一章 柊】

第零話


 どこまで生きれば、赦されるのか。

 どこまで逃げたら、振り切れるのか。

 それから目を背けながら、直視しながら。

 それから走り去りながら、必死に抱きとめながら。

 時に震えるように。静かに叫ぶように。虚空に吠えるように。

 僕は今を生きていない。僕は未来を見ていない。

 僕はその場所にだけ存在している。

 何よりも愛おしく、そして何よりも憎い。


「過去」の中でだけ、僕は生きている。

 そして、もう戻れないその場所にだけ、君はいる。




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