見ちゃダメ! いや、見る!

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

 あれは、たしか小学校の1年生か2年生の時。夏休みだった。母と祖母の家に行った時、母に、


「公園で遊んできなさい」


と言われ強引に外に出された。僕は部屋で本を読んでいたかったのに。


 歩いて15分くらいの所に公園があるのは知っていた。だが、地元じゃないので遊び相手がいない。本を持って来ていたので、とりあえずベンチに座って本を読んだ。


 すると、後ろから声が聞こえて来るのがわかった。後ろは茂み、茂みの中に入るのは嫌だったが、好奇心の方が勝った。“この茂みの中で誰が何をしているのか?”僕は茂みに入った。声の正体が気になって仕方がなかったのだ。女性の声と男性の声が聞こえる。


 ソーッと奥へ進むと、少しひらけたポジションがあり、20代であろう男女がブルーシートの上に並んで座ってキスをしていた。


“見てはいけない!”


と思ったが、それ以上に見たかった。キスシーンを見るのは初めてだった。瞬きするのも忘れながらキスシーンを見続けた。


 異様に長いキスだった。“え! キスってこんなに長時間するものなの?”と思ったら、男性の手が女性のTシャツの中に入っていった。Tシャツで見えていないが、胸を揉んでいるということくらいはわかる。“そうか、キスした後は胸を揉むのか!”僕は大事なことを学んだ気がした。Tシャツを脱いでほしいのだが、それはしないようだった。やはり公園では脱ぎにくいのだろうか? 僕は胸が見たかった。


 気付けば、男性がミニスカートの女性のスカートの中に手を入れた。“?”僕は意味がわからなかった。胸まではなんとなく理解出来る。“女性の胸は男性が揉むために大きいんだ!(←極端)”と納得したくらいだ。だが、何故パンツの中に手を入れるのかが理解できない。“もう少し見やすい場所に移動しよう”と思い、ソーッと茂みの中を移動しようとした。が、物音をたててしまった。


「誰や! 見るな!」


 男性の怒声が聞こえた。怖くなった僕はダッシュで逃げた。結局、祖母の家まで走って逃げた。


 帰ると、母が言った。


「本を読んでたんか?」

「うん」

「少しは勉強になった?」



「うん、すごく勉強になったで!(本は関係無いけれど)」







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