―美少女戦車隊殲滅装備 超常ヤツ等― 〝ドキッ 美少女だらけの戦車隊(SFぴっちりエロスーツもあるよ)〟がヤベェ超人にぶっ飛ばされて全滅しちゃう!?
EPIC
チャプター1:「いらないサプライズ」
日本国の有事組織である〝日本国隊〟。
その有事官である
この異世界の地で活動を開始し、その範囲を広げていた日本国隊。
――その最中での、ある任務行動中。その事態は巻き起こった。
制刻率いる一隊は、旧型73式小型トラックと73式大型トラックの2両に分乗し、なだらかな丘の続く地形を進んでいる。一隊は、先に展開する部隊へ、補給物資を届ける任務を帯びていた。
――前を行く小型トラックの車上には、4名の姿が見える。
助手席に座す、あまりに醜く禍々しい歪な容姿をした存在――それが制刻 自由。
運転席でハンドルを預かる、まるで王子様のような端麗な美人――女隊員の
後席荷台には、陰険を絵に描いたかのような、人相の悪い隊員――
そして200㎝を優に超える身長を持ち、強靭な体躯と深黒い肌色が非常に目を引く隊員――
――そして後ろに続く大型トラックは、
さらに荷台には二名の同乗者の姿。
長身で比類なき体躯と、堅気離れした険しい顔立ちを持ち、しかしそれでスマートな印象を同時に受ける、
そして小柄で可愛らしい顔立ちの、
「おぉい、まだつかねぇのか?」
小型トラックの車上後席で、だらけつつ退屈そうに尋ねる言葉を上げたのは、各員の内の竹泉だ。
「今、半分くらいだ。大人しく周囲を見張れ」
それに、助手席の制刻が端的に答え指示する。
「チッ、へぃへぃ」
竹泉は舌打ちを打ち、そして投げやりに返した。
「――……見えた、あいつらね」
暗い空間から、一人の女が様子を伺っている。
「リングキャットより全車へ、攻撃準備」
女は、襟元の通信マイクに向けて言い放つ。
「行くわよ、悪辣な悪党共に正義の鉄槌を!」
『『『了解!』』』
「ったく、お使いとか勘弁してほしいもんだぜ。そもそもとして、いらんトコまで首を突っ込み過ぎたんじゃねぇのかぁ?」
竹泉は、相変わらず愚痴をまくし立てている。
「いい所で切り上げとけば、今頃基地でコーヒーでもすすっていられたろうによぉ」
「いつまで愚痴っている気だ!黙って見張りをしろと言って――」
愚痴り続ける竹泉に、ついに鳳藤がハンドルを操りながらも、叱責の声を上げようとする。
――しかし。突如として劈くような爆音が響きあがったのは、その瞬間であった。
「――おげッ!?」
「わぁッ!?」
突然のそれにより、鳳藤の台詞は途中で遮られる。そして驚く声を零し上げる竹泉に鳳藤。
同時に、車列の左側方で爆炎が上がり、発生した衝撃波が車列を煽り、小型トラックが揺れた。
「なんぞぉッ!?ヲぉいッ!?」
「ヅッ――カスッタレの摩訶不思議攻撃かッ!?」
突然起こった事態に、多気投は独特の口調で驚く声を上げ。
竹泉は爆炎が、この異世界に存在する魔法現象による攻撃である可能性を鑑み零す。
「――違ぇ、今のは〝砲撃〟だッ」
しかし、竹泉の言葉は制刻に否定される。そして制刻は、そんなワードを発して見せた。
「はァッ?砲撃だぁ!?んな事があるわけ――ッ!?」
「ヘェイッ!あれ見ろやァ!」
制刻の言葉に、懐疑と意義の声を上げかける竹泉。しかし、直後に制刻の言葉は証明された。
同時に多気投が、車列より左斜め後方。背後にある丘の頭頂部を指し示す。
「嘘……だろ……」
目に飛び込んできた者に、鳳藤は己の目を疑い、思わず声を零す。
丘の向こうから現われた物。それは――複数の〝戦車〟と〝装甲車〟だ。
そして、制刻等は現れたそれらのシルエットに見覚えがあった。
「――……おぉい、誰がこんな悪趣味なドッキリパーティーをこさえたんだぁ?71式戦車が3両、96式装輪装甲車が2両に87式偵察警戒車が1両――ご丁寧に、どいつも漏れなくこっちを狙ってやがるッ!」
双眼鏡を構え覗いた竹泉が、現われた謎の戦車隊の詳細内訳を捲くし立てる。
それらは遠目に見る限り、いずれも制刻等の属する陸隊が保有している装備車輛と同種の物。そしてあろうことか、その全てがこちらへと砲口を向け、攻撃の意思を示していた。
「ど、どうなってんだァ!?」
困惑の声を上げる多気投。
無理もない。それはこれまで無かった事態だ。
ここまでも、元世界――すなわち日本から転移して来た、新たな部隊との遭遇合流こそ何度かあったものの、それ等は全て穏便な物であった。
しかし今。姿を現した戦車や装甲車の群れは、探りを入れて来る様子すらなく、容赦なく突然に攻撃を仕掛けて来たのだから。
「チッ――全車、飛ばせ。あれと距離を離せッ」
「クソッ……!」
自由は舌打ちと同時に指示を発し上げ、鳳藤は焦り悪態を吐きながら、アクセルを踏み込む。同時に、インカム越しに指示を受け取った後続の大型トラックも、速度を上げ続く。
「どこのトンマだ――」
速度を上げる車上で、自由は悪態を吐きつつも、乗せてある無線機を掴み取り寄せる。
「――そっちの戦車部隊、応答しろッ。こっちゃ北部方面隊の、54普連ッ。味方だトロカスッ、撃つんじゃねぇッ!」
そして通信回線を開くと、制刻は荒げた声で呼びかけ、そして悪態文句を混ぜた要請の言葉を飛ばし叩きつけた。
それに対しての応答は、すぐに舞い込んできた。少しの雑音が響いた後に、無線機から音声が流れ始める。
『――……そのような部隊は、我が軍には存在しない――それに、貴様等のような軍人の片隅にも置けないヤツらに、友軍呼ばわりされる言われなど無いわ!』
無線より流れ聞こえてきたのは、女の物と思しき声。そしてそういった――はっきり言って制刻等からすれば、まったく要領の得ない内容の物であった。
「――あぁ?」
思いもよらない返答に、制刻等の顔は怪訝な物になる。
「――ヨォおい、日本語は理解できてんだろうなッ――もっぺん言うぞッ、こっちゃ日本国陸隊、北部方面隊、第54普通科連隊だッ。テメェ等がどこの部隊で、何をハイパー勘違いしてるのか知らねぇが――とにかく寝ぼけたトンマズラで、砲撃するのを今すぐ中止しろッ!」
制刻は再び自分等の所属を名乗り、そして荒げ煽るまでのセリフで、相手方の行動中止を要請する言葉を叩きつける。
『勘違いなどしては居ないわ。貴様等は、倒されるべき悪しき存在……そして、最期を迎える前に覚えておくといいわ。貴様等を葬るのは、私達――〝皇国陸軍、第7機甲師団、偵察騎兵隊〟!』
しかし相手方は、取りつく島も無いといった様子でこちらの要請を切り捨て、そしてそこで初めて向こう側の身分組織を名乗る。
『正義を遂行し、貴様等のような非道を行う悪辣な存在を討ち倒す――今から貴様等に、裁きを下しますッ!』
そして高らかな声で、まるで演劇の台詞振る舞いのような形で、そんな宣告の言葉を寄こして来た。
「――……何の話だってぇッ!?」
相手方の巻くし立ててきた、一連の台詞とその内容。無線越しのそれを制刻の背後で聞いていた竹泉は、音声が一段落した瞬間に、米神に青筋を浮かべながら疑問の旨を荒げ発し上げた。
「こ、皇国……?」
運転席の鳳藤は、相手方の台詞中にあった気に掛かるワードを口にして、困惑の色を見せる。
「――てめぇの頭に、脳みその代わりに麩菓子が詰まってんのは理解った。だからいいか?その欠陥品の耳と頭をフル活用してよーく聞けぇッ。なんだか知らんが、こっちに交戦する理由は皆目ねぇぞッ。まずは、そのご自慢でナマクラのブツを引っ込めて、んでもって一から十まできっちり説明しろッ!!」
制刻はその歪な顔に、呆れとイラつきの色を浮かべながら。最早、説いているのか煽っているのか区別のつかない、要請の言葉を飛ばし叩きつける。
『ぬけぬけと――よくもそんな台詞を並べられるものね、怒りを通り越して呆れるわ……貴様等がエルフのお姫様にしたことを、忘れたとは言わせないッ!すぐに今までの非道を後悔させてあげるわ――さぁ!これより正義の鉄槌を――』
ブツッ――っと。無線機からそんな鈍い音が上がり、そして捲し立てている途中らしき女の声が、そこで途絶えた。
話が通じない。
そう判断し、制刻が無線を切ったのだ。
「挨拶も通じねぇな」
後席から、やり取りを聞いていた多機投が、茶化す言葉を寄こす。
「交渉決裂だ――連中、ぶっ放してくるぞッ。全速、丘の死角に退避しろッ」
どういう事なのか皆目不明だが、ともかく相手方はこちらを明確に敵と宣告し、敵意と攻撃の意思をこちらへと向けて来ている。
最早、猶予も選択の余地も無い。
制刻はハンドルを預かる鳳藤に。そしてインカムを用いて後続のトラックに、対応行動を指示する言葉を送る。
「な、なぁ……ッ。今聞こえたエルフの姫って、もしかして水戸美さんを回収した時に戦った……」
鳳藤はハンドルをアクセルを操り小型トラックを速度に乗せながらも、制刻に向けて言葉を紡ぐ。
先に相手方の女から聞こえ来た、〝エルフの姫〟というワード。
それが、先日行われた日本国民――水戸美の回収保護作戦の際に、相対し戦った存在。魔王勢力側に堕ちたエルフの姫、マイリセリアの事を示す物ではないかと推察したのだ。
「だろうな。連中が、何を華麗に勘違いし腐ってんのかは大体想像つく。だが、今は――」
制刻は鳳藤の推察を肯定しながらも、とにかく今は目先の事態への対処を優先する旨を発しかける。
――だがその瞬間。再び爆炎――いや砲撃が車列を襲った。
再び襲い来た砲撃は、後続の大型トラックのほぼ真後ろに着弾。
発生した爆風、圧によって、なんと大型トラックは宙へと舞い上げられた。
「チッ」
半身を捻りその光景を見た制刻は、舌打ちを打つ。
舞い上がった大型トラックは、宙空で180度回転。真っ逆さまになって地面へと落下し、キャビン部分がグシャリと潰れるのが見えた。
「ぬヲいッ!やべぇぞッ、策頼ズが吹っ飛んじまったぜぇッ!?」
吹っ飛び潰れた大型トラックを目の当たりにし、多気投が発し上げる。
「――策頼、応答しろ――顎、出蔵――――チッ」
制刻はすぐさまインカムを用いて、大型トラックに乗車している策頼等それぞれの名を上げ、呼びかける。しかし少し間を置けども、返信が来る気配は無かった。
「あぁ、畜生ッ。回収しねぇと!」
竹泉は悪態と合わせて、戻り策頼等を救助回収する必要性を訴える。
「剱。そのまま丘の向こうまで走れ」
だが、制刻は鳳藤に向けて、小型トラックをそのまま直進させる指示を出した。
「え!?しかし!」
「オォイ!策頼達はどぉすんだッ!?見捨てる気かよッ!?」
制刻の指示に鳳藤は困惑し、竹泉は目を剥いて、制刻に訴え食って掛かる。
「喚くなッ、いいかよく聞け――」
しかし制刻はそれぞれを制し、そして言葉を紡ぎ始めた。
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